「奈津!? 落ち着け!!」
急に叫び、突っ込んだ奈津を止めようとする裂。
「だまれぇぇぇ!!」
だが、いつもの奈津ではない。
そこに居た奈津は、暴走モードに入っている。
いつも黒い髪が、赤色になっているのだ。
それを見れば、本気になっているのは分かる。
怒りがピークに達すると、奈津の髪色は変化し、暴走するのだ。
「薫になにしやがるんだ!!」
〔バアンッ〕
銃声が部屋に響く。
「……ッ」
雲雀が腕を掠って血が出る。
「奈津! 落ち着け!!」
急いで和が止めに入る。
「うるさい!!」
いつもなら、暴走した奈津を止められるのは和と薫だった。
だが今回はさすがの和でも止められないほど、奈津は本気だった。
『やめろ、奈津……』
立ち上がり、ゆっくり奈津に近づいていく。
先ほどまで、雲雀に向かっていた薫の目ではない。
いつもの、仲間のために動くボスとしての薫がそこにいた。
「薫! 今、近づいたら危険だ!!」
『関係ない……奈津は僕が止める……奈津、落ち着け』
「うるせぇ!! 黙れ!!」
〔バアンッ バアンッ バアンッ〕
何度も部屋の中に銃声が響く。
最初は雲雀だけに向かっていた銃弾は徐々に見境なく、薫にも向かう。
薫は銃弾をよけようとするものの、雲雀との戦いでのダメージのせいか避けきれず、所々かすり傷を増やしていく。
周りの仲間から、薫を心配する声が聞こえるが、薫は奈津へ向かっていくのをやめない。
『くっ……奈津!』
ギュッ――
奈津の前まで来て、奈津を抱きしめる。
「!! …………薫……?」
『大丈夫だから……落ち着けよ……仲間まで、殺す気か?』
「薫……」
奈津の髪の色が戻っていく。
『……戻ったね』
それを見て、少し笑ってそう言うと、奈津から離れる。
『さて……続きでも始めようか♪』
そう言い不敵な笑みを浮かべる。
完全にいつもの薫に戻ったようだ。
「いや……今日はここまでだよ。ココも、大変な事になったしね」
そこは奈津の銃の弾で、そこら辺に穴が開いていた。
それを見て、薫も納得したような表情になる。
『この家は、僕が責任を取るよ……たぶん、明日には直るだろう』
そう言うと、携帯を取り出し、どこかに電話する。
『うん……うん……じゃぁ、頼んだよ…………これでOK』
「どこに電話したんだ?」
『え?あぁ……
「……何気になんでも出来るからね」
「誰が何気にだよ」
不意に後ろから声が聞こえる。
みんな振り向くと、そこにはついさっき電話した和風が居た。
「……速いな」
「そうかな?」
これが当然、というように首を傾げる和風。
そして、家の状態を見て、少し眉をひそめる。
『まぁ、ココ、ヨロシク』
「ハァ……分かった」
『と、言うわけだから……今日は、僕の家に来いよ』
雲雀のほうを見て言う薫。
「はぁ!? ……コイツ、来るのか?」
真っ先に反抗したのは奈津だった。
明らかに嫌そうに声をあげる。
暴走は収まったものの、彼に対しての怒りが収まったわけではないのだ。
いつもは心配性で温和なほうな彼だが、今回ばかりは許せないという様子だ。
『仕方ないだろう……こいつの家がこんな状態なんだから』
少し呆れたように言う。
「……それ、は……まぁ……」
自分がやったことなので、文句は言えない様子の奈津。
それを見た薫は気にするな、というように奈津の頭を軽く撫でる。
そんなことをされ、何も言えなくなった奈津は諦めたように軽く頷く。
「そんなことより、怪我……」
まだ、少し血が出てきている。
それを心配そうに触れる裂。
『あぁ……大丈夫だよ。ありがとう』
「別に! ただ、俺は……俺は……ボスがやられたなんて、話にならねぇから……それだけだ!」
そう言い、顔を隠すように背ける裂。
それを見たみんな苦笑しつつ裂を見る。
『そうだな……まぁ、家に帰るか』
そう言うと、家に向かって歩き出す。
「あ、薫!!」
すぐに薫の横につく和。
その後ろにみんな付いてくる。
『……和には、迷惑かけたな』
小声で言う。
「え?」
『その……私を庇ったせいで……』
今までこのようなことがなかったから余計にだろう。
薫は少し気まずそうにそう言う。
「でも、傍に居てくれたんだろ? それだけで、十分だ……ありがとな……」
微笑みながらそう言う和。
『……あぁ』
「それに、あれは俺が勝手にとった行動なんだしさ……薫を守るために」
『じゃぁ、そういうことにしておくよ』
そう言い、薫も安心したように笑う。
悩んでいたのはなんだったのか、と思うほど簡単に。
「あとさ……お前の事、ちゃんと知りたいんだけど……」
『僕の事?』
「うん……好きな事、お気に入りの場所とか…………過去の事とか」
最後の『過去の事』は、言うのに少し戸惑った。
『……全部は答えられないな』
「え?」
『自分のことを語るのは、あまり好きじゃないしね』
そう言うと、薫は少し悲しげな笑みを浮かべた。
〔薫たちの家〕
『……まぁ、今日はこの部屋使ってよ』
「分かった」
そう言うと、雲雀は中へ入っていった。
「でも、本気なの? アイツ、裏切ったんでしょ?」
『うん……裏切ってないと思う。たぶん……わざとやったことだと思う』
「わざと?」
『まぁ、大丈夫ってことだよ……じゃぁ、僕も部屋に戻るから』
そう言い、部屋に戻っていった。
「あ、薫、待って……」
その後ろをついていく和。
〔薫の部屋〕
『……ついてきたんだね』
「さっきの話、まだ、終わってないから」
『……質問は、何だったかな?』
少し考えるような素振りを見せたあと、笑顔でそう聞く薫。
「まずは……お気に入りの場所。よく行く場所を教えてほしい」
『何で?』
少し首を傾げながら言う。
「昨日、薫を探そうとしたけど……行きそうな場所が、一つも思いつかなくて……」
『……』
「だから……悔しくて……昔と変わってないと思って」
『なるほどね……よく行く場所か…………学校の屋上とかかな?』
疑問系で答える。
「休みの日は?」
『同じ場所か……公園』
「公園?」
『そうだよ。近くにある公園……特に意味なんてないけどね』
なんとなく落ち着くんだ。そう付け足す薫。
「そっか……じゃぁ、好きな事と、物は?」
『ん……その質問はパスで』
「えっと……じゃぁ、過去、というか薫自身の話…………聞きたい」
目線を逸らし言う和。
それを見た薫は笑顔を崩し、静かに和を見る。
それに気づいた和は、真剣そうな目で薫を見つめ返す。
――この前あまり知らないほうが良いって忠告したんだけどな。
そう思いながらも、和の表情を見て、諦める様子はないことから、薫はため息を一つこぼし、口を開く。
『……全部は、まだ言えないけど……そうだね……簡単に言えるのは……
親は車の事故で、幼い頃に僕の目の前で死んでいること。
親の残したこのファミリーを当然、僕が継ぐことになって最初は大変だったこと。
成長していくにつれ、和たちと出会って……ってこれは、まぁ良いか。
それから……信じていた人に裏切られて今の僕がいること。
そして、僕がこれからやろうとしていることは――』
そこまで言うと、言葉に詰まる薫。
少し、言い過ぎた、という顔をしている。
「……分かった……もういいよ……ありがと。教えてくれて」
そんな薫の表情を見て、少し不思議に思いつつもそう言う和。
そういった和を見て、薫は軽く頷き、口を開く。
『……じゃぁ、今度は僕が質問していいかな?』
荒ぶる奈津……だったねw
いやぁ、今回奈津が暴れたねぇ……そして、雲雀は前からキャラ崩壊しまくってるw
で、微妙に優しくなった薫。色々おかしくなってきてるw
最終編集日 2017/12/29