『あぁ……どうも……』
そう言い、それを受け取る。
内容を詳しくは読まずに、パラパラと眺めながら、相変わらず持って帰ってくる情報の多さに少し感心する。
薫がそうしている間に、用が済んだということで、龍はそのまま部屋から出て行った。
『相変わらずだね……んっと? 今回の内容は……』
薫は龍の持ってきた、任務報告書に目を通していた。
〔コンコン〕
『……あ、どうぞ』
しばらく夢中で報告書に目を通していた薫。
ドアのノック音で、ハッと我に返る。
〔ガチャ〕
「ご飯だけど……どうかしたのか?」
入ってきたのは和だった。
いつもより反応が遅れ気味だった薫に対してそう聞く。
『いや、報告書見てただけだよ……行こうか』
笑顔でそう言い、和の背中を押していく。
「あ、あぁ」
自分で歩くから、と少し戸惑いつつ言う和。
それに対し薫は笑顔で和の背中を押すだけだった。
〔次の日〕
「あ、和君……ちょっと、話しがあるんだ。いいかな?」
教室に入ると、すぐにツナが和に近寄りそう聞いた。
咄嗟に薫を守る体制をとっていた和は少し不思議そうな顔をする。
「行くわけないだろ」
だが、和はキッパリとそう断った。
「てめぇ……せっかくのお誘いを……」
「獄寺君、落ち着いて……そっか、じゃぁここで言わせてもらうよ」
獄寺を止めてから、もう一度、和を見て言うツナ。
和は黙ったまま、ツナを睨むように見ている。
薫を守るように立つのはやめていない。
「単刀直入に言わせてもらうよ」
一度、薫をチラッと見てから笑顔で言う。
「俺たちのほうに付かないかな?」
「……何が言いたい」
少し間を開けてからよりいっそうきつく睨むように見ながらそう言う和。
疑問形ではなかった。怒りを含んだ声。
薫は何も言わない。
和の後ろで黙ったままそれを聞いていた。
「だから、そんな奴の味方をしているより、俺らに付いたほうが――」
〔 ガタァン!!〕
次の瞬間、ツナは和に殴られ、体が浮き、机に体を打つ。
そのままツナは机を巻き込みつつ倒れていった。
「10代目!!」
獄寺たちが、急いでツナに近寄る。
「ツナァ……大丈夫ぅ?(ドンくさいわね……あのくらい軽く避けて見せなさいよ!)」
「うん……大丈夫」
そう言いながら、立ち上がる。
「ふざけやがって……」
ツナを睨み、近づきながら言う和。
和の怒りは収まっていないようで、拳を震わせながらツナを見る。
薫は今も何も言わず、その後ろに付いていく。
そして、ツナの前に来たと思ったら、思い切り胸倉を掴み、再び殴り飛ばそうとする。
『和……少し、落ち着け』
だが、和の腕を掴み、薫が止めた。
「何で、止めるんだよ……」
悔しそうな顔で薫を見ながら言う。
『話は……ちゃんと聞いてやれ』
そう言って、腕から手を離す。
「……分かった」
その時、和はある事に気づきそう言った。
薫の言葉で少し冷静になったようだ。
『……』
そう和が返事すると、小さく頷き、席に鞄を置き、教室から出て行った。
それを見届けた後、和はツナのほうを向く。
警戒心を見せながらも、再び殴りかかろうとする素振りは見せず、和は口を開いた。
「……それで、何でそんな事言い出すんだ」
『……』
一人で階段を上がっていく。
その後ろに、誰かが付いて来ているのも分かっていたが、そのまま上がっていく。
「……和君、君いつまでアイツを守る気なのかな?」
「ずっとだ」
「何で、そこまでするの?」
「……」
〔ガチャ〕
『……いい加減に、出てきたら?』
屋上へのドアを開けてから言う。
すると、その人はすぐに姿を現した。
「ハハハッ、ばれてたか」
笑ってそう言いながら、山本は出てくる。
『気づいてないわけがないよ』
「そうだよな」
今度は苦笑している。
『僕に何か用かな?』
「いや……何で、さっき殴ろうとしてるの、止めたんだ?」
『何だ、そんなこと聞くためについてきたのか?』
少し呆気にとられたようにそう言う。
「そんなことって……だって、ツナたちは……」
『それはね――』
薫はいつものように少し怪しい笑みを浮かべながら口を開いた。
最終編集日 2018/01/06