「……え?」
薫の言葉に戸惑いを隠せない様子の和。
だが、首を絞められているので、息ができず、苦しくなる一方でそんな戸惑いはすぐに消え去る。
『勝てるんだよね?』
微笑みながらそう言う。
いつもの優しい表情ではない。
ツナたちに向けるような、全てを隠すようなほほえみだ。
「ちょっと、待っ……て、よ……そん、なこと」
だんだん視界がぼやけてくる中、ほとんどかすれた声でそう言う和。
『……出来ないの?』
そう言うと、少し力を強める。
微笑んでいた薫の表情はだんだん悲しそうな表情へと変わる。
「ッ……くっ」
薫の手の上に和は自分の手を置く。
『……?』
「勝て、るよ……大丈夫」
そう言い、微笑む和。
『!!……そう』
和がそう言うと、薫はソッと手を離す。
何で?と、言うように薫を見る和。
息を整えたいので、声には出さない。
『分かった……ありがと』
薫は理由を言わず、微笑みながらそう言うと、部屋から出て行く。
「?」
不思議そうな顔をしてから、絞められた首にソッと触れる和だった。
〔薫の部屋〕
『……』
部屋に戻ってから、薫は和の首を絞めた手を見ていた。
和に大丈夫だと言われただけで、ひどく安心した。
それだけ和を信頼している証拠でもあるのだ。
――これじゃダメ。こんなんじゃ、この世界に未練を残してしまう。
薫は自身が甘くなったなと、少し自嘲気味に笑った。
〔数日後〕
『……やぁ、皆さん♪』
学校に来た薫はいつもと同じ口調でそう言う。
「……」
「何のようだ」
みんな警戒している様子を見せる。
『……今日は、渡したいものがあるんだよ♪』
そう笑顔でそう言うと、ツナと獄寺と桃に一枚の紙を渡していく。
「なぁに? これぇ?」
『明日は休みということで、僕の家に招待するよ♪』
「ふざけんじゃねぇ……誰が行くと思っt――」
『そこですべてを終わらそうか』
獄寺の言葉を遮り、言う。
その言葉に少し反応するツナ。
「終わらす?」
『うん、決着……つけようよ』
「……分かった」
「10代目! 本気ですか!?」
驚きながらそう言う。
もしかすると罠かもしれない。
いや、獄寺から見ると、絶対罠だと思っているのだ。
その上での、ツナからの了承の返事はありえないものだった。
ツナも、そのことがわからないほど、幼くはない。
だが、ツナは獄寺に向かって少し微笑む。
「大丈夫だよ」
その一言で、獄寺は「おれも行きます」と決める。
もしものときは、自分が守ればいい。返り討ちにしてやればいい、そう思いながら。
「ツナが行くならぁ……桃も行こうかなぁ?」
「うん、桃たんは俺が守るよ」
『じゃぁ、ちゃんと来てよね?』
アヤシク笑いそう言った。
その後に、時間を見つけ、山本、了平、クロームにもそれを渡した。
〔放課後〕
「薫、どこ向かってるんだ?」
『屋上だよ♪ あと、一人にも渡さないとね♪』
そう言いながら、楽しそうに階段を上がっていく。
〔ガチャ〕
「……」
そこには予想通り雲雀がいた。
『どうも♪ 今日は渡したいものがあって来ました』
「渡したいもの? 僕にかい?」
『そうですよ…………これです、どうぞ』
そう言い、招待状を渡す。
「……?」
『明日、僕の家で待っているよ♪』
「わぉ、君の家に招待かい? 珍しいね」
少し驚いているような顔をしながら言う。
すぐに、戦えるのだろうと、期待を含んでいるような笑みも浮かべた。
『……今日はそれを渡すためにココに来たんで、さようなら♪』
そう言い、薫たちは帰っていく。
「……本当に、やるんだな」
帰り道、和がポツリと言う。
『当然だよ……準備も整ったしね♪』
「準備?」
『そう、準備』
「そうなんだ……?」
正直、和には何の準備か分からずにいた。
だが、教えてくれそうな感じでもなかったので、和は何も聞かなかった。
〔薫たちの家〕
もう、みんなが眠った頃、薫だけは起きていた。
そして、あるところに向かう。
『……』
〔パチッ〕
その場所についてから、まず電気を点ける。
今、薫が居るところは、地下室。
明日、決着をつけようとしている場所だ。
『……』
黙ったまま、周りを見渡す。
そして、携帯を取り出し、あるところに電話を掛ける。
「……ん? ……何で明かりが……」
そこにたまたま起きた和が降りてくる。
「!?」
薫が見えたので、思わず隠れる。
運良く、薫は後ろを向いていて気づいていない。
(薫? 何やってんだろう? こんな時間に、こんなところで……)
『……』
<プルルル プルルル プルル――もしもし、藤咲です。ただいま、留守になっています。
ピーという発信音の後に、ご用件をお伝えください 〔ピー〕>
『……お母さん』
とりま、安心がほしかった薫。なので、和を試してみましたw
招待なんてのんきなものじゃないよねー。
で、最後の電話は……うん。
最終編集日 2018/01/06