悪の復讐劇   作:カオル06

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そろそろ、終わりが近づいてきたかな?
そこ!!やっとか…なんて言わない!!


映し出された真実と和の裏切り?

そこに映っているのは、車の中、ドライブ中の画面。

【また、この子ったら、記録して】

誰かが、笑っている。

女の人の声だ。とても穏やかな声をしている。

その声だけでもその人が優しいと分かるほどだ。

薫はその声を聞き少し唇をかみしめる。

 

『……私の、両親だよ……私は、小学……3年の時だったかな』

 

【いつも、持ってるな】

今度は男の人の声だ。

【だって、何でも残しておいたほうがいいと思わない?】

少し幼い感じの女の子の声。

【フフッ、そうね……後が、楽しみね】

車の中は穏やかな笑いに包まれている。

車内にいるのは女と男、それと撮影者の女の子。

さきほど薫が言った通り女と男は両親。

ということは撮影者は薫なのだろう。

【おっと、信号につかまったな】

前の信号機は赤色。

車は正しく、いったん止まる。

【今日は、すごく楽しみだね!!】

【そうね。せっかくのお休みだもの。たくさん、楽しみましょう】

 

『この日……私たちは、遊園地に行こうとしていた』

 

【あ! 信号、青になったよ!! 早く行こうよ!!】

【そうだな……出発!】

そうして、車は動き出す。

だが――

【プッ プー】

突然のクラクション音。

隣から、車が突っ込んでくる。

相手のスピードが速すぎる。

相手が止まることも、こちらが避けることも不可能な距離。

【茜!!】

叫びながら母親が腕を伸ばしてくる。

カメラとともに、視界が塞がれる。

体が母に抱きとめられた、次の瞬間――

【ガシャァン!!】

車同士、ぶつかる音が鳴り響いた。

外に出たのか、少しだけ映像が明るくなる。

といっても、カメラに映し出された映像は未だ暗いまま。

ただ、上下に激しく揺れ動いているのが分かる。

布がこすれる音、何かが地面に叩き付けられ、そのまま擦れる音。

しばらくその音が聞こえていたがやがて止まる。

それ以降は動かなくなった。

カメラを塞いでいるものからは何も音が聞こえなくなった。

――少し前まで煩いほど早く鳴っていた、心音さえも。

 

 

 

 

少しすると、またガサガサと聞こえ出す。

それと同時に、外の景色が映し出された。

女の子――本来の名前茜とする――が起き上がったのだ。

茜はもうカメラのことなんて考えていない。

ただ、手につけたままのカメラが回っているまま。

【う……ん? ……お母さん? お父さん?】

起き上がったとき、真っ先に映ったのが倒れた母親の姿。

ずっと茜を抱きとめていたのだ。最期まで。

そのおかげもあり、茜は奇跡的なほど無傷に近い。

少しだけ遠くに父親も倒れている。

遠く分かりにくいが日の光に照らされ何かがキラキラと光っている。

おそらく、車の窓の破片だ。

父からも母からも赤色が流れている。

それがなんなのかわからないほど、茜も幼くはない。

 

『この時……私のことを、お母さんが庇ってくれた』

事実を確認するようにそう言う薫。

 

【おい、事故だぞ……】

【誰か、警察と救急車!!】

【君、大丈夫かい?】

周りがざわめく。車の中から、歩道から、どんどん人が集まっていく。

【……】

誰かの問いかけには答えず、茜は黙ったまま、相手の車に近づく。

相手も、車の中から落ちている。

 

「あれが……桃の、パパとママ……」

 

【そっちの信号……赤ですよ? 聞こえますか?】

震えた声で聞く茜。

相手から返事はない。

相手からも赤が流れているのだ。

ピクリとも動かない。

それでも茜は何度も相手に問いかけ続けている。

 

 

しばらくすると、警察と救急車が到着する。

【誰か、状況が分かる人は?】

警察が、周りに居る人に聞く。

【……ダメです! 全員、手遅れです!!】

【君は?】

警察が茜に聞く。

【…………その人たち……お母さん、お父さん……】

親を指して言う。

【あ……そっか……残念だね……】

【どういう意味ですか……助からないんですか!?】

 

【残念だけど……】

少し間があいてから、相手の人が呟くようにそう言った。

【嘘ですよ……そんなの……】

茜は泣きだす声が聞こえる。

【だって……今日は、みんなで遊びに行くって、約束して……】

【でもね、もう会えないんだよ】

 

【うっ……うわぁぁぁぁ!!】

茜の手に固定されていた紐が抜け落ちる。

【ガシャン】

ビデオカメラが落ちたのだろう。

【ガッ  ジー】

落とした衝撃で、画面が消える。

ビデオはそこで終わった。

 

「そんな……パパとママが突っ込んで行ったなんて……」

信じられない様子で、青ざめている桃。

『すべて……君の勘違い……思い込みだよ』

「そんな……」

桃はその場に泣き崩れる。

「お前……何も知らないのに……薫に……茜に逆恨みして、あんなこと……」

桃に向かって言うツナ。

そんなツナを黙って見る薫。

「てめぇ……ふざけやがって……」

ツナに続くように獄寺も桃を睨みながら言う。

真実を知った皆は怒りを顔にする。

もっとも雲雀と山本、ヴァリアーは真実を知っていたためそれほどの動揺はみられない。

だが、その表情は浮かないものだ。

真実を知っていたと言っても、過去のすべてを知っていたわけではない。

ただ、本当は桃が悪い、という抽象的なことしか知らなかったからだ。

それともう一つ、理由がある。

――真実を知っていようが復讐はやめない

その薫の考えを知っているからだ。

 

『ハッ……ハハハ……アハハハハッ』

すると急に笑い出す薫。

「……薫?」

『ハァ……それ、お前らが言う事?』

そう言いながら殺気を放つ薫。

「……!!」

『何も知らずに、茜を殺したのは誰だよ……僕を虐めようとしたのは?』

俯きながら言う。

「それは……」

『確かに、ソイツの逆恨みだよ……

 でも、お前らもそれに手を貸した事に変わりはない』

「……」

 

『……じゃぁ、そろそろ終わりにしようか』

そう言うと、いつの間にか持っていた長剣を檻に向ける。

「!?」

「薫!? この中に、いる間は、手出さないんじゃなかったのかよ!?」

『ん? そうだねー……そんな事も言ったなぁ……じゃぁ、出せば良いよね?』

〔ゴォォォォ〕

檻が上がっていく。

誰かが息をのみこんだ。

『さて、これで自由だね? 誰から殺ろうかな♪』

そう笑顔で言う薫。

檻の中ではない、それは薫も手を出せるということ。

だが、今までのこともあり、誰も手は出せないのか、戦闘態勢にはいらない。

そんなみんなを一瞬、冷たい表情で見た薫だが、すぐに笑顔になる。

『……決めた♪』

そう言うと、少しゆっくり走りだす。

 

そして、薫の前に居る人物は――

「……!!」

ツナだった。

『やっぱり……お前からでしょ♪』

そう言い、長剣を振り上げる。

そして、振り下ろそうとする。が――

 

 

 

その腕が振り下ろされることはなかった。

「?!」

思い切り目をつむっていたツナが目を開け、驚いたような表情をする。

他の皆も驚いたような表情をしている。

『……和?』

薫自身も、驚いたような表情。

「……」

和が、振り上げた薫の腕を掴んで、止めたのだ。

何も言わない和。

ただ悲しそうな表情をするだけ。

『……どういうつもり?』

長剣を消しながら、振り返る薫。

眉をしかめている。

「……」

〔ダンッ〕

黙ったまま、薫を押し倒す和。

周りの人も何が起きているのかわからず、全く動けないまま、その二人を見ている。

『……』

薫もまだ付いていけていないのか、黙ったまま和を見つめる。

数秒、静かな状態が続いたが、和が口を開く。

「…………もう、やめよう」

『……え?』

「復讐なんて、やめよう」

『……何で……和が、そんなこと言うんだよ……』

心から理解できない、というような声を出す薫。

実際、その表情は困惑していた。

「俺は、こんな事……」

薫の腕を掴む手に力が入り、そこで言葉を切る和。

 

『……嫌だって、言ったら?』

目を閉じ、和の言葉が続けられるのを待っていた薫。

だが、それ以上、和からは何も言わないと思ったのか、目を開けてそう言う。

まだ、戸惑いを隠しきれていない薫。

そんな薫の言葉に、和は一度、すごく辛そうな顔をしてから口を開く。

「薫を……殺す」

『……へぇ……和が、ね………………良いよ』

間を開け、呟くようにそう言う。

「え?」

『殺しなよ……僕の事』

「……」

言葉も出ずに、そのまま動かない和。

薫の眼は何もうつしていなかった。

今何を思っているのか和でさえ、わからない。

もっとも、和自身も動揺しているためでもあったが。

『ほら、殺すんでしょ? ……結局、和も僕を裏切るんだね……みんなと一緒なんだ』

「裏切る……?」

『そうでしょ? だから、今、僕の事を殺そうとしているんでしょ?』

少し、笑いながら言う。

無機質な笑いだ。

いつの日か、和が恐怖を覚えたその笑み。

だが、その笑みはすぐに消え、次は悲しそうな表情をする。

 

 

 

『……本当は、不安だったんだ……ずっと、不安だった』

「えっ?」

薫の口から意外な言葉が出てきたので、驚く和。

『いつか……和も、僕を裏切るって思うと、不安だった……

 でも、やっぱり、そうだったんだね……朝から、様子が変だったのもそのせいか……

 僕は……最初、和のこと信じてなかった……でも、いつからか、少しは信じていた。

 だから……』

そこで、言葉は切れる。

その時、見せた表情は薫ではなく、茜のものだった。

すごく優しく微笑んだあと、悲しそうに笑う。

「茜……!」

この時、和は腕を掴んでいる力を弱めてしまった。

〔ドコッ〕

そのため、その隙を見て、薫は和を蹴り飛ばした。

和は勢いよく飛んでいく。

壁にぶち当たり、そうやく止まった。

『……ハァ』

ため息を吐きながら、すぐに立ち上がる薫。

「くっ……」

和は蹴られたところを抑えながら、立ち上がる。

容赦のなかった蹴りに驚きを覚えながら、薫を見る和。

そこでもう一度驚き目を見開いた。

『……だから、その和にさえ、裏切られるなんて……ショックだなぁ……

 やっぱり、人は信じられない……ね?』

ショックというわりには、笑いながらそう言う。

憎しみがこもった笑みだ。

もうその瞳に、光は写っていないように見えた。

「薫……」

今度は和が戸惑った表情を見せる。

和自身、薫を裏切ったつもりではなかったのだ。

ただ、かつては仲間だと親しんでいた皆を殺すと、それこそ薫が壊れてしまう……

そんな気がしたのだ。

『お前なんかに……僕を守る権利は無くなったね』

まだ、笑いながら言う。

だが、その笑いは、とてもとても悲しそうだった。

全然、笑えていなかった。

頬を水が伝ったのが見えた。

そんな薫を見て、みな動き出そうとする。

〔カチャ〕

だが、薫は銃を取り出す。

『全員……動かないでね……動いたら、撃つから』

その一言で、全員の動きが止まる。

それを見て、いつものように口角を上げる薫。

そして、ゆっくりと和に近づく。

『……ねぇ、和』

銃口を和に向けたまま、口を開く薫。

和を息をのみ、返事をしない。否、できないのだ。

それまでになかったほど、殺気立った薫の目。

その目が自分に向けられている。

上手く言葉が発せない和。

『……大嫌いだ。消えてくれ』

そう呟くと――

〔バンッ〕

銃声が鳴り響いた。

 




まぁ、死因はあれですよね………信号無視ってやつ?
逆なんですよね。薫が巻き込まれた感じ?よく説明できないけど………
警察さん幼い子どもになんて現実を叩き付けてるんでしょう。残酷ですね。
てか今回長い。


最終編集日 2018/01/10
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