「!!」
その言葉に、驚き立ち止まるXANXUS。
『ずっと、一緒に居てくれて、嬉しかった……ありがとう』
目を思い切り瞑り、俯きながら言う。
さすがに真正面から礼を言うのは恥ずかしく、勇気のいることだったらしい。
ファミリーには何回かお礼を言っていた薫だが、急に敵だった人たちへのお礼はまた別だった。
「目、開けろ」
『……?』
言われたとおり目を開けると、いつの間にかXANXUSが薫の前に立っていた。
黙ったまま、ネックレスを取り出し、薫に見せる。
『あ……それ』
「お前、捨てたって言っていたのに……どうして、持っているんだ?」
『それは……本当は、どうしても、捨てられなかった……から、です』
何故か敬語になる薫。
険しい表情をしている。だが、顔は真っ赤だ。ただ恥ずかしいだけなのだろう。
「そうか」
あまり表情には出ていないが、嬉しそうにそう言う。
『……返してよ』
「まだ、ダメだ」
そう言い、それを自分のポケットに入れる。
『何で?』
「いつか、返してやる……ひとつ、願いがある」
『なに?』
「一人称……戻しやがれ」
『……それだけ?』
少し、驚く薫。
「今はそれだけで良い……今後、色々と戻していくからな」
そう言い、歩いていく。
『……』
薫はしばらくその場に立ち尽くしていた。
〔次の日〕
『……え?』
薫は和から言われた言葉を聞き返した。
「ん? 聞こえなかった? 今日は、学校休めって」
和ももう一度同じことを言う。
『何で?』
身を乗り出しそう聞く薫。
体はもう大丈夫だ。聖菜だって問題ないと言っていた。
それなのに、和は休めという。いくらなんでも心配しすぎだろうと薫の疑問は当然だった。
「アイツらには、この家に来てもらう……学校帰りに連れてくるから」
『別に、学校で話しつけても良いんじゃ……』
「いや……やっぱり、家でちゃんと話し合ったほうが良いだろ?」
首を横に振りながらそう言う。
確かに。教室では他の生徒が気になり満足には話し込めないだろう。
薫は少しだけ考えた後、頷く。
『じゃぁ、待っていれば良いんだね……』
それでも少し不服そうだったが。
そんな薫を見て少しだけ笑う和。
薫は不思議そうな顔をしたが、和は少し嬉しかったのだ。
薫の雰囲気が柔らかくなっているのは明らかだったから。
和は薫の頭を撫でながら口を開く。
「分かってくれた? ありがとう……じゃぁ、行ってくるよ」
『いってらっしゃい』
〔ガチャ バタン〕
『……ハァ』
和が出て行った途端、ため息を吐く。
「何か遭ったのか?」
不意に後ろから声を掛ける。
『奈津! あの、あのさ……その……』
「?」
口ごもって何も言わなくなった薫に不思議そうな表情をする奈津。
『……ううん、なんでもない……少し、外出てくる』
そう言い少し落ち込んだ様子を見せながら、外に出る薫。
〔庭〕
(昨日から、和の様子が少し変な気がする……)
木陰に寝転びながらそんな事を考えている。
(何かあった? いや、覚えに無いし……昨日の話のせいで?
それとも、ぼく……私が眠っている間に? いや、誰もそんな、こ……と)
そんな事を考えていると、いつの間にか寝てしまっていた。
〔同時刻〕
「薫、どうかしたのかな?」
結局何も言わないまま出て行った薫を心配そうな表情で見ていた奈津。
「おい」
「ん? 何……」
声をかけられ振り向くと、そこにはXANXUSが立っていた。
少しだけ険しそうな表情になる奈津。
当然、その表情の変化に気づいたものの、そのことについては何か聞くつもりはXANUSにはない。
気にした様子を見せずに、本来声をかけた目的であることを口にする。
「アイツ、どこに行った?」
「アイツ……あぁ、薫のこと? ……さぁ、外に出るって言って、出て行ったけど?」
「そうか」
そう言うと、XANXUSも外に出ようとする。
「ちょっと、待てよ……どこか、心当たりあるのか?」
「この家、庭はねぇのか?」
「庭? それなら、ドアを出て、左へ行ったらあるけど……」
「そうか」
先ほどと同じようにそう言うと、出て行った。
「……庭に居るのか?」
奈津は一人、そう呟いていた。
〔その頃〕
『……』
木陰に居て涼しいし、いい感じに風も吹いている。
なので、全く起きる気配が無い薫。
〔ザッ ザッ ザッ ザッ〕
少し遠くから、誰かが近づいてくる音がする。
足音はだんだん大きくなっていく。
足音の主は、薫に気づき立ち止まる。
薫の前に立ったと思うと、同じ目線ぐらいに座り込む。
そして、ソッと薫の髪を撫でる。
心なしか、薫は微笑んでいるように見える。
少し前なら触れられたら……いや、それよりも前に目をさましただろう。
それほど、今の薫は警戒をしていなかったということだ。
『(……私の髪を撫でるのは……とても、懐かしい感じがする……
懐かしくて、優しくて……ずっと、撫でていてほしい……そう、この感じは――)』
〔ザァァ〕
一瞬、その風が優しく感じられた。
『ん……』
そっと、目を開ける。
『やっぱり、お前か……XANXUS』
少し、微笑みながらそう言う。
撫で方が、昔、よく触れたその手が変わってないことに気付いた。
「起きたのか」
そう呟くと、手を離す。
『よく、ココが分かったな』
「てめぇは、昔から庭が好きだったからな」
当然と言うように言う。
『……そうだな』
「かわらねぇんだな」
『うん……好き…………でも、嫌いだよ?』
軽く首を横に振り、言う。
「嫌いなのか?」
『当然だよ……XANXUSに、僕……私を消されたところだもん』
悲しそうに笑いながら言う。
「……」
『黙り込まないでよ……余計、悲しくなる』
「あぁ」
そう呟くと、その場から立ち去ろうとする。
だが――
『行かないで……』
「……」
薫の一言で立ち止まるXANXUS。
振り向き薫のほうを見ると、少しだけ目が潤んでいて、眉も困ったように下がっている。
寂しそうな、幼い子どものようだ。
『……今ぐらいは、傍に居てよ』
「……」
黙ったまま、薫の横に座り込む。
『ふふっ……ありがと』
少し笑い、そう言う。
先ほどとは打って変わって安心しきった表情だ。
「……カスが」
『カスで結構……今は、それでも……お前の傍に居られるなら』
少し照れたように言う。
「……」
XANXUSは薫から顔をそらし険しそうな表情をする。
彼なりの照れ隠しなのだが。
XANXUSはその表情のまま、そっと自分の手を薫の手に近づけた。
………ふはっwなんか、どっかの恋愛小説になってるwww
まぁ良いか。いずれはそうなる…←
和の様子が変なのは……なんでだろうね?
それにしても、今回XANXUSよく喋ったねぇ……めっちゃ喋ったねぇ………
一人称は、元々は僕じゃなくて私ですからねw
最終編集日 2018/01/28