『えっと、好きって……みんなのこと、好きじゃないと…ファミリー成り立たないよ?』
少し笑いながらそう言う茜。
一瞬焦ったが、冷静に考えればそうだった。
もっとも、それは友情的な好きであるが。
「そうじゃねぇ……恋愛…として、だ」
『えっ、そっち?……恋愛……か』
考えるような仕草をする。
時折、うーん、と唸り悩む茜。
どうやら裂の思いは微塵もわかっていないようだ。
「………」
そんな茜を見て、少しだけ安心を覚えるXANXUS。
もしも、裂の思いに気付いたら、どうするのだろうと思い質問したが、茜は思ったよりも鈍感だったらしい。
『…ぷっ…アハ、アハハッ…ごめん、考えもつかないよ…?』
ついに答えが出ず、笑いながらそう言う。
「もしもだ」
『…んー…ありえないから、考えもつかない……』
茜はいたって真剣だった。
誤魔化しているときはもっとわかりやすい。
「そうか……」
そこで会話は途切れた。
『……じゃぁ、私は部屋に戻るね』
数秒何か考えるような表情をした茜だったが、別れの言葉をつげる。
「あぁ」
そうXANXUSが言うと、茜は頷いて歩いていった。
〔茜の部屋〕
部屋に着いてから、茜は机に向かって、写真を見ている。
そこには、茜とXANXUSの二人が写っている。
その写真には『新カップル誕生♪』と、書かれてある。
ベルが書いたものだ。
『…カップル…か』
そう呟くと、さっきのXANXUS言葉が、頭をよぎる。
『好きだったら……やっぱ、ありえないよね!』
考えを振り切るために、ワザと大きな声を出して言う。
そして、写真を元の場所に戻すと、小さくため息を吐く。
そして…
『…すべてが元通りにならない…そのくらい、分かってるよ……』
そう呟く茜だった。
時間が過ぎ、もう学校も終わっただろうという頃
『………』
さっきから、リビングで立ち上がったり、座ったり落ち着かない様子の茜。
行動が不自然なのは誰から見てもわかることだった。
「…ただいま…どうかした?」
そのため、任務から帰ってきた奈津が聞く。
『いや……もうすぐ、和も帰って来るだろうな…って、思うと落ち着かなくて………』
「何で?」
『今日、綱吉たちを連れてくるらしくて………』
「…あいつらが、ココに来るのか…?」
少し、嫌そうな顔をする奈津。
奈津でなくても同じような表情をしただろう。
それほど、ツナたちを信用していないのだ。
『うん……大丈夫だよ、ちゃんと話をつけるだけだから』
「うん……分かってるけど………」
『…奈津は、本当に心配性だね』
少し笑いそう言う。
「そりゃぁ…茜はボスだし……大事な仲間だし……」
『…ありがと』
奈津の言葉に嬉しそうに微笑みながら茜がそう言うと――
「ただいまー!!」
リビングまで響く和の声が聞こえた。
待っていた和が帰ってきた。
『………』
複数の足音が近づいてくる。
その音と気配を感じながら茜の緊張感は増していく。
落ち着くために、数回深呼吸をして、なんとか気合を入れた。
〔ガチャ〕
リビングのドアが開く。
「ただいま……連れて来た」
『おかえり……それから、いらっしゃい』
複雑そうな顔をして言う茜。
「…まぁ、とりあえず中に入って」
「…お邪魔します」
一番はじめに入ってくるのはツナ。
その後に、みんな入ってくる。
みなも、茜と同じように複雑そうな表情を浮かべている。
誰も何も言わないまま、言われたところに座る。
『……とりあえず、何か飲み物とか入れてくる』
みんなが座ってから、立ち上がって、そう言う。
そして、足早にその場を去り、キッチンに向かう。
〔キッチン〕
『……ハァ(…桃と紅月も居るんだ……)』
キッチンに着いてから、大きなため息を吐く。
息が詰まるほど緊張していたのだ。
その中で来た人物をきちんと把握したのはさすがと言うべきか。
先ほどと同じように落ち着き、言った通り、飲み物を人数分入れ、リビングに戻る。
〔リビング〕
『お待たせ』
そう言いながら、飲み物が入ったコップを渡していく。
みなも緊張のせいかお礼がたどたどしい。
ギクシャクした空気の中、話が始まる。
「早速だけど、俺たちから薫に――」
『ちょっと、待って!』
ツナの言葉を遮って立ち上がって言う。
『私のことは…茜って呼んでほしい……』
「!?」
みんな驚いたが、その言葉にいち早く反応したのは和だった。
茜のほうを驚いたように見つめる。
その視線に当然気付いた茜は和のほうを見て、静かに頷いた。
「茜………」
ツナが繰り返すようにその名を呼んだ。
少しだけ茜が嬉しそうに微笑む。
『…それだけ』
そう言うと、すぐに座り直す。
それを見て、次はツナが立ち上がった。
「…じゃぁ茜……今までごめん…何も悪くない茜を虐めて……傷付けて……本当にごめん!!」
その後に、みんなも立ち上がって次々に謝った。
『………』
黙ったまま、首を横に振る茜。
それは茜の許す、ということだった。
「…それから、コイツはどうしよう」
桃を指して言う。
「………」
黙っているが、小刻みに震えている桃。
自分のしたことを、今更後悔したところで、全てが遅かった。
どうなっても仕方がない。たとえ、この世を去ることになったとしても――
『……友達』
その時、茜がぽつりと呟いたその言葉で桃の震えが止まる。
恐怖を通り越し、驚いたのだ。
「………?」
「友…達?」
「本気かよ…」
みんなも驚いた顔をする。
「友達って……今までの事は…?」
『…忘れる…は無理だけど……無かった事にする』
「無かった事にするって………」
驚きでその後の言葉が続かない。
「そんな簡単に決めていいのな?」
その代わりに山本がそう言う。
『…うん……だって、桃は何も知らなかったんだよ…
…まさか、自分の親のせいなんて、誰も考えない…考えたくないだろうし………』
「でも、今までコイツに酷い事されたんだよ……」
『それは、桃のせいだけじゃないから……それに、私はもう薫じゃない』
みんな、茜が決めたことだからと思ったのか、何も言わなくなる。
薫がそうしたように、茜もまた薫とは別人ととした。
『ね?良いよね?……桃』
「あり…がと」
目に涙をためながら言う。
『…よろしく』
笑いながら言う。
そこで、話し合いは終わった。
その後は、普通の会話をしていた。
みんなも緊張がほぐれ、ほどよく会話が進んだ。
『…ちょっと、ごめん……少し、庭に行ってくる』
途中、茜がそう言い、出て行く。
「…なぁ」
茜が出て行ってから、小声で紅月が和に呼びかける。
「?」
「アイツは…いつもこんな感じなのか?」
「…まぁ、そうだな……いつも、最終的にはみんなを傷つけない選択を選ぶな………」
「…俺、ちょっとアイツと話してくる」
そう言い、紅月も部屋から出て行く。
〔その頃、庭では…〕
『………』
黙ったまま、風を浴びている。
そして――
『ハァ……緊張したな』
腕を伸ばしながらそう言う。
「お前でも緊張とかするんだな」
不意に後ろから声を掛ける紅月。
「紅月か……どうかした?」
振り返りながら言う。
「…お前と、少し話しをしたくて……」
『私と?』
「お前…変わってるな……」
……ハハッ、いきなり変わってるなってひどいなー
そして、裂の思いには全然気付いていないご様子で………
だから、みんな名前変更あっさりOKしすぎでしょ………