「……お前にそんなこと出来るのか?」
『フッ……出来るよ♪』
「……」
それ以上、何も言わないツナ。
そんなツナを少しだけ見つめたあと――
『……きっとボンゴレは後悔するよ』
と、口元はいつも通り笑みを、だがその目には悲しみをうつしながら、そう言った。
「?」
だが、薫はすごく小さい声で言ったため、ツナには聞こえていなかった。
ツナは、薫が何と言ったのか確かめようと、薫を見る。
しかし、薫は既に前を向き、全くツナの方を見なかった。
〔休憩時間〕
『んー! 終わったー!』
「薫」
授業が終わった瞬間、和が近づいてきて薫を呼ぶ。
『ん? 何?』
席に座ったまま、用件を聞く薫。
そんな薫に少し顔を近づけ小声で話し出す和。
「……さっき何話していたんだ?」
口元を見て、何かを話していたことは確かだが、内容までは聞こえなかった和。
だが、いつもとは違う、一瞬だけ変わった薫の気配を逃しはしなかった。
『ん? ……あー、ちょっとね……沢田綱吉が何か言っていたからさ♪』
「……そう」
全く、内容については話さなかった薫に、納得できないものの、それ以上聞かなかった。
聞いても答えてもらえない、そう感じ取ったからだ。
〔とばして、次の休憩時間〕
「薫ちゃぁん」
次の休み時間、終わるなりなんなり、桃が近づいてきた。
『……何?』
少し嫌そうな顔をしてから、席から立ち上がり、距離をとる薫。
「「……」」
黙ったまま、和は薫の、ツナは桃の隣に立つ。
『ん? 和、どうしたの?』
「……一応」
『そっか♪』
笑いながらそう言う薫。
微かに安心したような薫の気配を感じ、和は少しだけ微笑む。
「ツナぁ? どうかしたぁ?」
「桃たんは俺が守るから」
「わぁ……ありがとぉ」
ツナに引っ付きながら言う。
和に向けていた笑顔を消し、そんな二人を冷たく見つめる薫。
和は、そんな薫をどう思ったのか、優しい手つきで肩を撫でる。
肩に和の手が触れたのを確認した薫は、いつものように口角をあげた。
「あ、薫ちゃぁん……今日の放課後ぉ、屋上に来てぇ」
『……却下☆』
清々しい笑顔で言う。
「なっ……なんでぇ?」
『逆に何で行かないとダメなの?』
「そ、それはぁ……お話しようと思ってぇ……」
少し焦っているような口調でそう言う。
――どうして周りは気づかないものなのか。
『……へぇ』
そんな桃に少しだけアヤシク笑い言う。
「だからぁ……来てくれるよねぇ?」
『……ん~、やっぱりヤダ』
「なっ! なんでぇ!?」
驚きながら言う。
(え? 何? 行くと思っていたの? アホ?)
内心、そう思いながら、表面上は笑っている薫。
和はすでに、嫌そうに眉を寄せている。
「なんでなんだよ!? せっかく桃たんが、誘ってくれたんだぞ!?」
『ん? お前らアホ?』
今度は隠そうとはせず、そう口に出す薫。
そう言った薫に、ツナは眉をひそめる。
「なんだと?」
『本当……お前がソイツに手だすなって言ったんだよ?』
「……今回は特別だ」
「ツナぁ、桃たんねぇ……薫ちゃんと、二人でお話したいなぁ」
「大丈夫なのか?」
「うん」
「そっか……と、いうわけだ、今回だけだからな」
薫を睨みながら言う。
『ハァ……これだからダメなんだよ』
「え?」
『沢田綱吉……弱くなったね♪』
「!?」
いつのまにかツナの真横に来て、ツナの心臓の場所を軽く指していた薫。
まるで、瞬間移動したようだった……
『……クスッ』
不敵な笑みを浮かべる薫。
茜では見たこともないその表情に、周りを驚きの表情を隠せない。
「いつの間……に!?」
後退りしながら言う。
『……さっきの間……かな?』
(全然分からなかった……)
(どうなってるのよ!?)
薫たちの会話を聞きながら、クラスの人、全員が黙り込んでいる。
『……ま、仕方ないから行ってあげるよ』
「あ、ありがとぉ」
『フッ、行こう、和』
「……どこに?」
『屋上だよ♪』
「え?」
『授業なんて、ツマラナイし……』
「……そうだな」
そう言い、二人は教室から出て行った。
「……」
二人が出て行ったあとも、信じられないと言いたげな様子のツナ。
「大丈夫ですか!? 十代目!」
「大丈夫か?」
そんなツナに、獄寺と山本の二人がほぼ同時に言う。
「……うん」
まだ、理解が追いつかず、混乱しながら、短く答えるツナ。
(しかし、アイツはかなり強くなっていた……いや……あれが本来の……)
ツナの顔色はすごく焦っているようにみえた。
〔屋上〕
『あー! ダルッ!!』
寝転びながら叫ぶ。
「……」
『そういえば……雲雀恭弥にも呼ばれていたや……どうしよー』
「……行くのか?」
『んー……アイツなら自分で来るかもね。それに行かないって言ったし』
「じゃぁ、ココに居るのか?」
『うん。ココなら誰も来ないだろ〔ガチャ〕!!』
薫の言葉を遮り、誰かが入ってきた。
和はすぐに薫を守る態勢になり、相手を睨む。
『待て! 和! ……偶然、なわけないね。何故、お前がココに居る……六道……骸』
薫はお得意の不敵な笑みを浮かべながらそう言った。
おぉっとー?最後の最後に、リボーンキャラ登場!!
まぁ、台詞がなかったわけだが………
薫の素早さは計り知れない。
今回はあれですね、薫と和の言葉を交わさずともお互いの気配や雰囲気で、
通じ合っている信頼感みたいなものを出したかったのです。
最終編集日 2017/12/11