「あれ?茜、おはよ~」
あくびしながらそう声をかけてきたのは哉恵だった。
彼女は茜の隣にいるXANXUSには特に何も言わなかった。
元々茜のそばによくいたこともあり、それほど違和感を感じることもなかったのだろう。
『あ、今、部屋に行こうとしてたところ』
「ん?何の用?」
『もう朝食出来てる…って、言いに行こうとしていただけ』
「そっか、じゃぁリビング行っとくわ」
そう言うと、歩いていく。
『…さて、じゃぁ奈津の部屋に行こうか』
そう言い、歩き出す。
ここでも、やっぱり沈黙が続く。
別に気まずいわけではないのだが、なんとなく恥ずかしいのだ。
声をかければ普通に話はしただろうが、会話の種もなかったため、何も話さずにいた。
気がつけば、奈津の部屋の前に来ていた。
〔コンコン〕
『奈津?起きてる?』
<…うん、起きてるよ>
中から、奈津の声が聞こえる。
少しテンションが低いように聞こえたが、眠そうな声にも聞こえたので起きたばかりなのだろう。
『…もう、朝食の用意出来てるから』
<あぁ、分かった……すぐに、行くよ>
『分かった』
そう言うと、次の部屋に向かうため歩き出す。
〔コンコン〕
『龍、起きてる?』
<……あぁ>
少ししてから龍の声が聞こえる。
いつも通りの短い返事。
眠いわけではない。
必要以上の言葉を使わないだけだ。
『もう、朝食出来てるから』
<…あぁ>
『じゃ…』
茜も気にした様子を見せず、それだけ言って、その場を離れる。
『さてと、次は、れt……和風のところ行こうか』
「……あぁ」
茜が言い直したことには当然気づいたXANXUSだったが、何も言わずにそう返事する。
『(…何となく、裂とは喋りにくい……)』
今朝のこともあり、余計にその思いは強くなっていた。
そして、和風の部屋の前――
〔コンコン〕
『…
「
部屋の中から勢いよく出てきて言う。
『何だ、起きてるのか……朝食、出来てるよ』
「あ、あぁ……分かった、すぐに行く」
チラッとXANXUSを見てからそう返事する。
『じゃぁね』
そう言い、歩いていく。
「……アイツと、結構仲良いんだな(あんなことあったのに……)」
XANXUSを見ながら、そう呟いた。
『さてと、次は……』
「……裂とかいう奴だな」
ほかに思いつかず悩んでいる茜にそういうXANXUS。
先に逃げ道を断ったつもりだった。
『え……うん、そうだね』
俯いてそう言う。
「……嫌か?」
『えっ?ま、まさか!…あ、スクアーロたちがまだだったよ!先に、そっち行こう!』
「………」
まだ逃げる茜だったが、XANXUSも何も言わずに急ぐように歩いて行った茜と同じほうへ歩き始めた。
スクアーロの部屋前
〔コンコン〕
<誰だぁぁぁ!!>
部屋の中からでも十分すぎるくらいの声が聞こえる。
『…私、茜だけど』
<…茜かぁ!!ちょっと、待てぇぇ!!>
〔ガチャ〕
部屋の中からスクアーロが出てくる。
『あ、おはよう…』
「ボスも居たのかぁ!!」
「うるせぇ……カス鮫が」
「何だとぉぉぉ!!」
『あ、ス、スクアーロ……朝食出来てるから……』
二人が、今にも喧嘩を始めそうなところを、急いで割り込む。
「…分かったぜぇ!!」
茜が割って入ったことで、二人もそれ以上言い合いをしなかった。
『じゃぁね!』
再び喧嘩し始めないようにそう言い、足早にその場から去る。
『……じゃぁ、最後…行こうか……』
茜はとうとう観念したかのようにそう言い、裂の部屋にむけて歩き出した。
そして、裂の部屋の前――
『………』
息を呑んでから、ドアをノックする。
〔コンコン〕
<はい>
普通に返事が返ってくる。
『…私…茜だけど…』
<………>
名前を言うと、返事が返ってこない。
それを悲しく思い、思わず言葉がつまる。
手を強く握りしめる。
その手をXANXUSが上からかぶせるように握ると、力が抜け、小さく深呼吸をする茜。
その姿を見て、大丈夫だろうと手を離し、少し後ろから見守るXANXUS。
『……あのね、朝食の用意が出来たから、みんなで一緒に食べよ!』
なるべく、明るい声で言う茜。
だが、やはり返事が返ってこない。
『…じゃぁ、待ってるから』
そう言い、歩いていく。
『……ハァ』
歩きながらため息を吐く。
『ねぇ、私…裂に嫌われてるのかな?』
「…それは、ねぇ」
『何で?』
「……嫉妬だ」
茜に聞こえないように、小さい声で言う。
案の定茜には聞こえなかったようで、不思議そうに首をかしげる。
『え?何て、言ったの?』
「何でもねぇ……早く戻るぞ」
『う、うん』
続けて聞こうとしたが、XANXUSが歩いて行ってしまうので、聞くことはできなかった。
〔リビング〕
『お待たせ』
そう言いながら、席に座る茜とXANXUS。
「ありがとう……あとは裂がきたらみんな集まるわね」
星がそう言った瞬間、ドアが開き、裂がくる。
「悪い、待たせた」
周りを見て、自分が最後だと知り、そう言い、席につく。
「大丈夫よ、そんなに待ってないから……さて、食べましょう」
「「「いただきます」」」
みんな思い思いに話していると――
「…そういえば、何で二人、一緒なんだ?」
と、和が聞いたことで周りが静かになる。
ほかの人も気になっていたことなのだろう。
事情を知っているベルとフランは何も言わずに食べ進めていたが。
『えっ?…何で、って……言われても……』
何も言えずに、近くにあった飲み物を飲みだす茜。
「………」
XANXUSは何をするでもなく、ただ黙っている。
沈黙が流れる。
「…付き合ってるからだ」
しばらくすると、XANXUSがそう静かに答えた。
『ゴフッ……ゲホッ、ゲホッ……』
飲み物を飲んでいたので、思わず、咳き込み驚く茜。
まさかこのタイミングで言うとは思っていなかったため、心の準備もできていないのだ。
「あら、大丈夫?」
『ありがと……』
星から差し出された、ハンカチを受け取りお礼を言う。
だが、今の茜には飲み物でぬれた服が気にならないほど動揺していた。
一応ぬれた部分を拭く動作はしているものの、うまく力が入らず、一向に拭き終える感じはない。
「…付き合ってるのか?」
和が確認の意味をこめて、茜に聞く。
『……うん』
数秒、間は空いたが、少し顔を赤くしながらそれを認める。
茜が、そう言った瞬間――
〔カラン、カラン…〕
静かになった部屋の中で、箸が落ちた音が響いた。
部屋めぐりー、でもヴァリアーメンバーはスクアーロの部屋しか行かないー
フランとベルは元からリビングにいたんで、良いかなと。
ルッスーリアとレヴィは……きっとスクアーロが呼んだんでしょう。
それかスクの声を聞いて出てきたんでしょうね(適当)
裂とは気まずいままですね。なんとかしなければ。