もう、昔のカノジョではないのだから………
「え?」
薫の言葉を思わず聞き返す京子。
『そんなの、どうでもいいさ……何? 真実? バカじゃないの?』
冷たい目で淡々と言い放つ。
「茜、ちゃん?」
『何度言わせるの。僕は、薫って、言ったはずだけど?
……それに、いまさら、真実を知っていても、意味無いよ?
僕は壊れた後だしね……もっと早く、気づいていれば、なんとかなったかもね
……でも、そんなの、今更だよ…………茜は、もう居ないんだから』
「あ……ごめん」
『謝られてもなぁ……僕は、和たちが……僕の本当の仲間が居ればいい。他はいらない。
だから無駄だよ? 早く、帰れば? 早くしないと……殺すよ?』
「……」
微かに殺気を放った薫に、京子は怯えたような表情になる。
そして、京子は何も言わないまま、走って、出て行った。
『あらら……泣いちゃったかな?』
「……でも、味方だろ?」
『味方? ……ハハ、アホらし……そんなもの、必要ない。
それに彼女は戦力にならない。いても無意味だ。邪魔はいらない』
少し、歯を食いしばり、片手で、目元を抑えながらそう言う。
その姿は悔やんでいるような……ごめんなさい、と謝っているようにも見えた。
そんな薫の頭を撫でながらも、〝味方は必要ない〟その言葉に、反応する和。
『あ、和は居てよね……さっきも言ったけど、和たちが居るから、必要ない。他の奴なんて、信じられないしね』
そんな和を見て、少し笑ってから、そう言う。
「……そっか」
薫がそう言うと、和は安心したように笑った。
会話が、ちょうど終わった後――
〔ガチャ〕
『お客さんが多いなぁ……』
ダルそうに言う。
「やぁ、いくら待っても、来ないから、来てみたら……」
『今度は、お前か』
そう言う薫は、既にいつもの笑顔を貼り付けている。
「……また、姫野がやったの?」
『あぁ……当たり』
雲雀の口から出た言葉に、少しだけ驚く薫。
だが、すぐにいつものように、少し笑って返す。
「僕は、アイツが嫌いでね……風紀を乱しすぎだよ」
『……その言い方だと、お前も真実、知っているんだ』
「まぁね」
『どうだった? 人が死んだ後に真実が分かるって』
一瞬にして笑顔が消えた薫はそう問う。
京子の時と同じように、本心を覗くような冷たい目で雲雀をみる。
薫の青色の瞳は、静かに雲雀をうつしている。
「……」
『その、嫌いな奴を、ずっと、お前は守っていたんだよ?』
「……」
雲雀は何も言えないまま、黙っている。
『……ずっと黙っているって、ことは……自分のバカさが、分かったの?』
「……僕は、今度は君を守るよ」
『群れるの嫌いな、雲雀恭弥が?』
「……」
『ハァ……そんなもの、必要ないから。生憎、私も大勢での行動は嫌いでね』
つい先ほどまでの表情が嘘かのように、いつものように笑いながらそう言う。
『あ、ついでだから聞いとくよ』
「?」
『なんで、真実を知ってるくせに、沢田綱吉たちは、アイツに?』
「……彼らは、真実を知らないからね」
『ふぅ~ん……それだけだから、では……』
薫が、それを聞いたのは、本当に理由が知りたかったわけではない。
ただ、全員真実を知っているのかどうかを確かめたかっただけだ。
雲雀によって、彼らは真実を知らないことがわかった薫は、それ以上何も聞かなかった。
そう言い、雲雀の横を通り過ぎ、帰る。
和も、後ろに付いていく。
「!?」
薫は、雲雀の真横を通る時、ある言葉を残して――
「何か、言ったのか?」
『ん? ちょっと……ね』
楽しそうに笑いながら、そう言った。
〔家〕
『あー! 久しぶりに学校行ったー!』
「……と、言っても授業はほとんど受けてないけど」
『まぁ、いいじゃん♪』
笑いながら言う。
「おかえり」
靴を脱いでいると落ち着いた、キレイな声が聞こえた。
声に振り返って、アクア色のショートヘアの女性を見た薫は穏やかな表情になる。
『星、ただいま!』
「……すぐ、ご飯作る」
少しだけたれ目であり、綺麗なペールブルーの目を細め、優しく微笑みながらそう言う。
『あー……確かに、お腹へったね~』
「待っていて……」
『うん!』
「……さて、待っている間、何するか」
星が歩いて行ったあと、和が呟くように言う。
『僕は、部屋に戻るよ』
「そう?」
『うん。着替えたりもしないといけないしね』
そう言い、薫は部屋に戻っていった。
「……ハァ」
そんな薫の後ろ姿を見届けたあと、和は小さくため息を吐いた。
〔薫の部屋〕
部屋に入ってから着替え、パソコンを開く。
『……さて』
パソコンの電源を入れ、何か、作業を始める。
『…………できた』
笑いながら言う。
そして、パソコンを閉じ、ベッドに倒れ込む。
『アハハ……久しぶりに、彼らを見たけど……駄目だね』
笑いながら、言う。
だが、その笑みにはどこにも優しさが含まれていない。
しかし、憎悪も含まれていない。
一体、彼女は今、何を思っているのだろうか――
〔コン、コン〕
誰かが、ドアをノックする。
その音で、薫の思考は一旦途切れた。
『……どうぞ』
起き上がり、言う。
〔ガチャ〕
『どうした?』
「ご飯……出来たって」
呼びに来たのは和だった。
『そっか、じゃぁ、行こうか』
〔リビング〕
『あれ? 龍、久しぶりに見るね』
「…………任務」
ラベンダー色の眠そうな目を薫に向け、それだけ言う。
『へー、で、なんか、情報掴んだ?』
彼は主に、情報収集をしてくるのだ。
「あぁ」
短く返事をする。
『それは、結果報告、ちゃんとしておいてね』
「そんなことよりも、早く食べよー」
会話の途中で割り込んできた、明るいオレンジ色のロングヘアの彼女に薫は苦笑する。
『……哉恵姉は相変わらずだね』
「その、姉ってつけるの、やめてって言っているでしょ」
少しつり目な黄色い目で軽く薫を睨むように見る。
『分かったよ……じゃぁ、食べようか』
「「「「いただきます」」」」
その後は、みんなで色々な話をして、ご飯を食べた。
〔次の日〕
「……薫、本当に行くのか?」
学校へ行く前に、和が聞く。
『え? 行くけど……何で?』
「昨日の事で、クラスの奴らは……」
『フッ……僕が、あんな奴らに、負けると思う?』
「え? 思わない……けど」
『……じゃぁ、決まり……行こうか』
それ以上は聞かない、と言う様に笑いながら歩き出す薫。
「あ、ちょ! 待てよ」
『♪』
和はそんな薫を急いで追いかけた。
〔校門〕
『着いたね』
「……」
「やぁ」
昨日と同様、雲雀が声をかけてくる。
『……おはようございます』
不敵な笑みを浮かべ挨拶する薫。
「昨日の言葉は、どういう意味かな?」
『……そのままですよ』
「今日、放課後に応接室にきてね」
『考えておきますよ……ま、答えは決まっていますけどね』
そう言い、薫たちは中へ入っていった。
〔教室前〕
『到着♪』
楽しそうに言う。
「?」
そんな薫を不思議そうに見ている。
どうしてそこまで楽しめるのか、不思議だったのだ。
だが、その疑問を口に出すことはなく、ただただ薫を見る。
『じゃぁ、入ろうか♪』
「待って、上……」
ドアの上を指して言う。
『ん? あぁ、黒板消しのこと?』
ちいさく頷く和。
『この仕掛け……小学生みたいだね……バカだよ』
呆れたような表情をしながらそう言う。
「……どうするんだ?」
『ん? そうだな……』
しばらく、考えていると――
「ちょっとぉ、そこ、邪魔なんだけどぉ」
相変わらず、高い声をあげて、そう言う桃が来た。
『ん? ……あぁ、ごめんね……どうぞ』
そう言い、ドアの前から退く。
「ありがとぉ(フッ、昨日の事でビビッてるわぁ)」
そう言い、ドアを開けようとする。
(……バカだ)
必死で、笑いを堪える薫。和も口元を抑えている。
そして、桃がドアを開ける。
〔ガラッ ポンッ〕
見事に桃の頭の上に、黒板消しが落ちた。
「!?」
予想外の結末に、クラス全員が驚く。
「何? これ!?」
すごく驚いている桃。
必死に髪の毛についたチョークの粉を落とそうとしている。
「ごめん! アイツに当てようとしたんだけど……」
「いいのぉ……桃、強いから、大丈夫だよぉ」
「そっか……ありがと」
「どうしてくれるんだよ!? 桃たんに当たったじゃねぇか!?」
薫に向けて言い放つツナ。
『は? 僕のせい? ソイツが勝手に入っただけだよ? バカじゃね?』
本当にバカにするように笑う。
「なっ!」
「てめぇが、先に入らねぇからだろ!」
『……ハハ……アハハハッ』
壊れたように笑う。
「!?」
「……薫?」
そんな薫にクラスの人たち、もちろんツナ達、そして和も驚いたような表情をする。
『ハハッ……いや~、ごめん、ごめん……あまりにもみんな、バカだったからさ』
「どういう、意味だ?」
少し睨みながらそう聞く山本。
緊迫した空気の中に……
「極げーん!!」
と、遠くから叫びながら、教室に近づいてくる一人の生徒。
いやぁ、今回新キャラ多かったねー。
まぁ、最後の人は言わずとも誰かは分かりますよね…?
薫の本心は作者にも分からない!!って、それじゃだめだけどねw
最終編集日 2017/12/11