立夏たちが目覚めた樹海、そこでの気候は蒸し暑さを感じるものであった者の極地用礼装のお陰である程度までの蒸し暑さをカットすることができ順調に進んでいるかのようにいたが。
「ロムルス!」
「それっ!」
ロムルスの神木による神槍が、スカサハの朱槍が出会いがしらの敵性エネミーをなぎ倒し、射し穿つ。
そして後ろで立夏が二人の現界に必要な魔力を送り込む。
カルデアからの通信を試みるも案の定、つながる気配がなくおまけに魔力供給も立夏が行わないといけない状況下で二人への魔力は必要最低限となり二人の霊基も小さくしている為に大幅な弱体化を行わざる負えなくなっている。
「ふむ、これで最後のようだな。だが、ここは聊か物足りないな」
だが、霊基を縮小している状態でも彼女たち二人を止められる魔物はいない。
これが人類史に名を残した英霊、神殺しの女王スカサハ、そして建国の神祖ロムルスの二人だ。
「だが、ローマたちはマスターの少ない魔力を回し現界できている。それを忘れることはローマ達でなくマスターの命に係る事を忘れるな」
「ああ、だが、ここでマスターへの修業を兼ねるという事をして見たいものだ」
「女王」
「わかっている。相も変わらず過保護だな貴様は」
この樹海へ立夏一人投げ出そうとするスカサハへのストッパーとしているロムルスに感謝しながら立夏たちは前へと進む。
現れる敵性エネミーをなぎ倒すつつ足を進めると巨大な破裂音が聞こえた。
その音は銃声だ、ビリーが使う拳銃の銃声に比べると重くここまで響くその銃声は重く、肌を震わす。
ーーーこの音は銃声!?
「ほう、この未開の地で銃声とは神祖よマスターを頼んだぞ」
スカサハはその銃声の聞こえた場所へ跳びすぐにその姿を消した。
ーーーいこうロムルス。
無言で立夏の前へ立ちスカサハの後を追いかけて行った。
銃声の所為なのか敵性エネミーは興奮状態となり雄たけびを上げる、雄たけびを上げる巨木が横にあっても違和感がない程の巨体の犬のような敵性エネミーを見たロムルスが周りに生い茂る樹木を足場に縦横と飛び敵性エネミーはをかく乱する。
「セプテム!」
その背に乗ると敵性エネミーはロムルスを振り払おうとその場で飛んだり跳ねたりするがその体毛をを手綱のように掴んだロムルスの手により次第に大人しくなる。
ーーーさ、流石ですローマ…
「ローマもまたこうして兄弟を宥め、そしてともにローマの地を駆けた。さぁマスター共に女王もとへ」
ローマ、地球のそれも普通の狼はそんなに身の丈は大きくありません。
ロムルスは過去を懐かしみながらその狼の背に立夏を乗せスカサハの後を追いかける。
狼の背に乗りながらスカサハとのパスを辿っていくとさらに銃声が数発響き渡る、きっとスカサハが戦闘を行っているのだろう、段々銃声の音が近づいてくる。
「そら! この程度で私を殺せるものか!?」
「なんだこの女!」
そこにいたのは笑顔で銃撃とあいさつをする女傑がいた。
笑って銃撃の雨を除ける、その手に持つ朱槍で魔力を帯びている弾丸を弾き飛ばす光景はまさに悪夢、いや、きっとケルト民族はみんなこうだろうな、やっぱケルトは魔境だ。
そして銃声を放つ白髪の青年、金髪の小さな少女にウサミミの少女。
「ピギャー! ま、魔物ですぅ! 助けてくださいハジメさぁああん!!」
「ユエ!」
ウサミミの少女が泣きじゃくりながら白髪の青年に抱きつきそれを鬱陶しそうにしながら金髪の少女に声を掛ける。
「ん……‘‘嵐帝‘‘」
両手の平を前へ突き出し詠唱と共に放たれる竜巻を立夏たちへと放つ。
危険を感じたロムルスは立夏を抱え狼を乗り捨てる。
乗り捨てられた狼は竜巻に巻き込まれると錐揉み回転しながらミンチへと変わり果てる。
「我が兄弟では無い者よ、一時の間だったが感謝する。いつかのローマでまたの再会を」
ーーーそれより師匠これはどういった状況ですか!?
「なに、あの小童に力を見せろと言っただけ」
ああ、いつもの師匠だ。
第五特異点での事を思い出したがどこへいっても師匠は師匠だ。
力ある戦士に出会うとこうしてその力を試す、それはスカサハが聖杯にすら願いを込める程の破滅願望。
戦士にであったら取りあえず戦う、そして相手を認める、それがスカサハでありケルト神話の戦士達だ。
「気をつけてハジメ、あの大男も強い」
「ああ、まさか迷宮から出てここまで強い奴がいたなんてな想像もしてなかった」
「神祖、手を出すな。あれは私の敵だ」
白髪の青年が手に握る大型拳銃の銃口をスカサハへ向け、金髪の少女もいつでも魔術を使えるようにスカサハを睨みつける。
まさに一触即発、何かの拍子で戦いが再開する。
現地の人間とは出来る限り敵対しない、それも今までの異分帯で学んだ事だ。
だが、とうのスカサハ達は臨戦態勢であることで立夏は令呪を使うべきだと考える。
「ローマ!!!」
雄たけびを上げながらロムルスが三人の間へと跳び地面に神槍を突き立てる。
ただ突き立てただけの筈なのに地面には巨大なクレーターが生まれ白髪の青年と金髪の少女は目を見開き、ウサミミの少女はその光景に腰を抜かし地面に尻餅を着く。
「何の真似だ神祖? 如何にお主でも私の戦いを割って入るのは許さんぞ?」
スカサハの敵意はロムルスへと流れるがそれをそよ風のように受け流す。
「双方静まれ、共にローマへの道を切り拓かんとするローマと共にローマを目指すのだ」
「ローマだと?」
「ローマこそローマである、東の果てにいたローマよ。お前もローマであるならばその矛を収めよ」
「はぁ?」
間の抜けた声を洩らしながらロムルスの言葉に応える、だがちょっと待ってほしい今ロムルスは何ていった東の果てのローマってもしかして。
ーーー君も日本人?
立夏の言葉が聞こえた白髪の青年は再び今度は立夏の方へと銃口を向ける。
「おい、どういうことだ? お前今日本人って言ったな?」
立夏はその言葉に黙って頷いた。
「どうやってこの世界へやってきた?」
それはわからない、自分も眠っていたらいつの間にかこの世界へやってきていたのだから。
それを聞いた青年は舌打ちをしながら拳銃を下ろす。
「いいのハジメ?」
「ああ、この男の所為でやる気がなくなった。だが、お前がなんなのか教えろ」
ーーーああ、勿論だ。情報交換をしよう
白髪の青年、南雲ハジメ。
本来は普通の高校生であったがこの世界の神というエヒトと呼ばれる存在によりクラス全員がこの世界へ召喚され一人だけ奈落の底へと落ち地上へと生還した、その過程で出会った吸血鬼の少女ユエと共に元の世界へ帰る方法を探している。
酷いものだ、片腕をなくし目も失くした中でよく生きてこれた物だ、きっと自分なら彼の状況下になったら活きていないんだろう。
「地球の漂泊化、ふざけるなよ! 元の世界へ帰っても意味がねえじゃねえか!?」
「ハジメ…」
ーーー大丈夫。
「はぁ? お前大丈夫か? 地球が滅亡したんだぞ?」
ーーーそれでも俺たちは前へ進むんだ。
「……お前、頭は大丈夫か?」
ハジメは立夏の言葉に呆れた、絶対絶望な状況下の中で前に進まなければならないと決意を固めているその姿にハジメは鼻で笑う。
ーーーそれは君も同じだ。
「何?」
ーーー君も生きる事を諦めなかった。
誰からの助けが来ない中、意志の力で前へ進んだハジメへ立夏は賞賛を言う。
「っち、お前と話していると調子が狂う」
立夏の否定しながらも照れ隠しをしようと言葉を選んだつもりだったハジメだがその隣にいたユエは小さい口を押さえながら笑う。
「なんだよユエ?」
「やっぱりハジメはツンデレ」
「はぁ!? 違うし! ツンデレじゃねえし!」
「だけどベットの上では恥ずかしがり屋さん」
「ユエさん!」
あははは、すごいなぁハジメ君、もう大人の階段を上っただへぇすごいね。
「マスター、では私が夜伽の相手をしてやろうか?」
ーーーだ、だだだだ大丈夫だし! 大切な後輩がいるから大丈夫だし!!
「ハハハ、やはりキリエライトが一番がよいか!」
自分で墓穴を掘ってしまったことに後悔しながらロムルスに助けを求めるも……。
「良い、子が増えればローマはさらに広がる。そう、全てはローマへ帰るのだから」
ロムルスすらマシュとの関係を深めろと進め始める。
「だが、ローマは多くの戦士に好かれている、お前もローマであるならそのローマを広めることもまたローマである」
ーーーもうやだこのローマ! 言っていることが滅茶苦茶だ!!
そんなカルデアあるあるをハジメたちと交えながら話をしながらハジメも感じる、笑うことの楽しさ。
迷宮ではただ生きて行くことで精一杯であったが故に笑う事が無かった、だが、迷宮から出て、立夏と出会って笑う事を段々思い出してきた。
隣にいたユエもそんな笑うハジメを見て嬉しそうに笑う。