次回以降も日が開いてしまうことがあるかもしれません。
今更になりますが、こんな作品にお気に入り登録をしていただいた方々に感謝いたします。
小代との勝負の結果、俺はサッカー部に入部することになった。
これから、新たな環境でサッカーをやり直す。つい、昔を思い出してしまう。
あの頃のように、全力でサッカーを楽しむことができるだろうか。
そして、夜が明け朝が来る。
昨日からではあるが、部活としてサッカーをする準備をしている自分に両親が喜びながらもどこか不安を感じながら声をかけてくる。
その声に「心配いらないから」と返した。あの日をきっかけに自分自身が変わり始めていることを改めて実感することができた。
そして今、俺は学校へと向かっている。今朝は朝練の予定が無いらしい。
その道中、後ろから声を掛けられる。振り向くとそこには、ふわふわとした雲のような印象を感じる少女がいた。
「おはよ~。きみ、ゆにょくんだよね?きのーきゃぷてんと勝負してた。」
彼女に対してあいさつを返す。
「あーしは、わたぎゅ、わちゃ・・・えありらよ?いや~、きのーはしゅごかったねぇ~。」
「勝負なんて久しぶりだったからな。」
「サッカー部にゅは、きょーきゃらきゅるの?」
「ああ、そのつもりだ。」
「そっかー、じゃあ楽しみにしちぇるね!」
そんな会話をしているうちに学校へと着く。
転校してから3日もたてば、それなりに学校でも慣れてくる。しかし、人付き合いが苦手な自分には、まだ気兼ねなく話すような友人はいない。
自分の席に着き、時間ギリギリに教室へと入ってくる舞埼に担任である坂本先生が小言を言う。そんな風に一日が始まっていく。
そして授業が終わると、舞埼がせかすように話しかけてくる。
「今日の授業は終わったから部活の時間だね!!早く行こうよ!!」
そんな彼女の後を追い、グラウンドへと向かう。
グラウンドに着くとそこにはすでに部員全員がそろっていた。
「結乃君をつれてきたよ~!」
舞埼の声に全員が反応する。そして、小代から自己紹介をするように言われる。俺は小代に言われた通りに、みんなの前に立ち自己紹介を始める。
「結乃要。前の学校ではボランチをしたり、トップ下をやってた。事情があって少しサッカーから離れてはいたが、こうしてまたサッカーができることをうれしく思う。これからよろしく頼む。」
自己紹介が終わると朝出会った、えありという少女が声をかける。
「サッカー好きなりゃ大歓迎にゃのよー!――――――結乃くんっ。サッカー部へ、ようこそなのよっ。」
こうして俺の徳康中サッカー部でのサッカーが始まった。
今日のサッカー部の練習は、部員の自己紹介から始まった。
最初に自己紹介を行ったのは、銀髪のロングヘアーで前髪の1部を三つ編みにしたスレンダーな少女だ。
「私は桜羽 美咲よ。ポジションはトップ下をやってるの。これからよろしくね。」
「次は、俺様だな!俺様は...いずれこの学校の伝説となる漢!盾神 獅子雄様だッ!」
そういったのは長い茶髪と大柄な体を持つ獅子のような男子であった。
「初めまして!私、氷上 真白です!ポジションはフォワードです!」
雪のような真っ白な長い髪を1つに括った碧眼の少女が自己紹介をする。
「あらたみぇまして、あーし、えありらよ。よろしくにぇー? ……またかんりゃっ?」
「舞埼 友紀!!ポジションはサイドハーフ!よろしく結乃君っ!!」
「2年は俺で最後だな。キャプテンでゴールキーパーの小代 辰飛彦だ。一緒にサッカーができることをうれしく思う。」
えあり、舞埼、小代の順で自己紹介を行う。
「次は1年だな。風間から順に自己紹介をしてくれ。」
小代の言葉に、
「おっ、自分ッスか?自分は風間 春翔12歳、趣味はサッカーとサッカーと……あとサッカーッス!」
そう答えたのは元気のよい男子であった。
「次はおれだな!おれ、日ノ丸 昇!宜しくな!!サッカーは始めたばっかだけど、努力してすぐに追いついてみせるぜ!」
風間の次に言ったのは、 跳ねまくった赤髪、オレンジ色の目、八重歯が特徴の小柄な男子であった。
「次は自分ッスね。どうもッス、ジブンは弓月 来夢。よろしくッス。」
ウェーブのかかったセミロングの茶髪に、透き通るような翡翠色の瞳をしていて首にヘッドフォンをかけた少女が自己紹介をした。
「最後は私ね。葛城 真由美よ。よろしくね。」
肩のラインまで伸ばした明るめのブラウンの髪を外にはねさせて、若干つり上がった碧色の瞳を持つ少女が名乗った。
こうしてサッカー部の部員の自己紹介が終わった。
自己紹介の後は、軽いランニングの後に柔軟を行う。それから本格的な練習が始まった。
このサッカー部はパスを繋いで攻めあがるサッカーを意識しているとのことで、練習は主に動きながらパスをするような練習であった。
部員が俺を含めて11人しかいないため、最後のミニゲームのような練習でも半分ずつに分かれ、小代の守るゴールを攻める攻撃とそれを防ぐ守備を代わる代わる行った。
そうして練習が終わると、サッカー部の顧問でもある坂本先生がやってくる。
「来るのが遅くなってすまないのである。君たちに朗報があるのである。」
「朗報とはいったい何ですか?」
チーム全員を代表して小代が訪ねる。
「練習試合が決まったのである。対戦相手は、つい先日あの帝国学園に勝利したという雷門中である。」
「雷門中って、確か炎のエースストライカーって呼ばれてる豪炎寺修也がいるところじゃいたはず。」
「豪炎寺さんに会えるんですかっ!私、豪炎寺さんに憧れてサッカーを始めたんです!」
葛城のつぶやきに氷上が興奮した様子で答える。
「試合はいつなんですか!?」
楽しみで仕方がないといった様子の舞埼が聞くと、坂本先生は
「急ではあるが、次の土曜日つまりは明後日だ。昼頃から始める予定である。現地集合になると思うので、各自遅れないようにするのである。」
坂本先生の言葉の後に部員全員が試合ができる喜びから大きな返事をする。
そして学校の帰り道、俺は小代と話していた。
「ついに試合ができるまでに至ることができた。この調子で今年こそフットボールフロンティアに行くぞ。」
小代からは静かではあるが激しく燃えている闘志を感じた。
「まずは、雷門中との試合だ。帝国に勝っている以上、気を引き締めないとだな。」
「ああ、俺自身も久しぶりの試合だ。足を引っ張らないように気を付ける。」
こうして二人とも、いや部員全員が雷門中との試合に向けて気持ちを高めていた。
それなのに、小代との勝負によって吹っ切れたはずの自分の中で、なぜか不安になっている自分がいた。
お読みいただきありがとうございました。
次回から試合の方に入っていきます。
自分の思い描くように文章を起こすことができるか不安ではありますが頑張ってみたいと思います。