楽しくてついやっちゃうんだ
地上本部の朝は早い。
朝7:00には点呼がとられる。
「時空管理局を名乗る身ならば、このデバイスがどのような意味を持つかは理解できるだろう!みな!バエルのもとへ集え!」
「バエルだ!」
「アグニカ・カイエルの魂!」
「そうだ!時空管理局の正義は我々にありぃ!!!」
『うおおおおおおお!』
これが地上本部の点呼である。これで士気が上がるので一概にも不要とは言えないだろう。
何気にマクギリス中将が朝の挨拶をする時点でどんな組織なのかはお察し。
地上本部の一日が始まる。
「ここからここまでの書類をどうにかするべきか…」
「鉄華団からの申請書が届きました。」
「ありがとう、石動」
総司令の朝は書類から始まる。
数多くの書類と格闘する様子は一種の戦闘空間になるほどである。
そしてそれを補佐するのは石動・カミ―チェ。寡黙でありながら献身的に総司令を支える右腕である。
「オルガからか…ふむ、人員の増員についての許可は出しておく。そのまま彼に渡しといてくれるか。」
「了解いたしました。」
今日も地上本部第一守衛隊、通称鉄華団からの苦情が舞い込んだ。
内容は単純に人がいない。
それはそうだろう。今の地上本部はありていに言って人材不足。海と言われる次元航行部隊も似たようなものを知っている中将はため息を吐かざるを得ない。
だが、そこはこのマクギリス・ファリド中将。最強のカリスマと戦闘能力、またイケメンなフェイスをもつ彼にとっては些細な問題ごとだ。
「仕方ない。ならば、アグニ科のメンバーを数名送っておけ」
「はっ」
アグニ科。それはマクギリス・ファリドが地上本部へ総指揮官となった際に設けた部門である。
そのメンバーはたった5人しかいないが、1人で数名分の働きをするいわゆる優秀な者で構成された部門である。
基本的にはマクギリスの直下部隊であり、時空管理局の正義やら何やら騒ぐやべー奴らだが、たまにこうして他の部門に貸し出している。
それだけで仕事が終わるからだろう。
もちろん、福利厚生はしっかりと行われていることを伝えておく。
マクギリス曰く
「人は使いつぶすのではなく再利用したほうがいいに決まっている」
とのこと。いい方はアレだが、とりあえず人を第一としているのには間違いない。
さて、そんなマクギリスも午前中の仕事は終わった。伊達に成績で中将になったわけではないのだ。
つまりは優秀。お前、本編でももう少し頑張れたろ。
昼ご飯は地上本部にある食堂で食べることになっている。
本来なら将官クラス、さらに総司令がいるとなるとその場にいる一般局員は縮こまるのだが、そんなことはない。
なぜならば、
「なんだよ…マクギリスじゃねぇか。」
「あ、チョコレートの人だ。」
「ああ、君たちか。」
鉄華団隊長(本人は団長と呼べと言っている。)、オルガ・イツカ二佐と、鉄華団エースの三日月・オーガス一尉がそこにいた。
「で、俺たちの要請書はどうなった?」
「ああ、アグニ科のメンバーから数名そこに派遣することになった。今は事件途中なのだろう?遠慮なくいいたまえ」
オルガの軽い言葉遣いに軽く返すマクギリス。本来中将と二佐という立場上、敬語は必要なのだが、彼らはそんなことは気にしない。
何を隠そう。彼らはいわゆる腐れ縁というものなのだ。
マクギリスがボケてオルガと三日月は突っ込む。これは前世から決められた定めのようだ。
「ああ、ありがとな。そういえばアインはどうした」
「彼なら今、新兵たちの教育をしている。」
「適任だわな。」
今ここで出てきたアイン・ダルトン三佐も彼らの親友的なものである。前世でいろいろあったらしいが、今は友好的な関係であるらしい。
彼もまたマクギリス、三日月と同じフルフェイスバリアジャケットを用いるエースの一人である。
ちなみに三日月はバルバトス、アインはグレイズ・アイン、そして我らがマクギリスはバエルという名前をバリアジャケットに持っている。
そして疑問だが、なぜフルフェイスバリアジャケットをもっていないオルガが隊長なのかというと、彼のレアスキルによるものだ。
どんな人でも欲しがるその能力。
その名も“希望の華”
死者蘇生のスキルである。
しかし、自分にしか効かないものである。これにも欠点はある。
本来なら死に対する忌避感が薄れていって、自我が崩壊する危険極まりないものだ。
しかし、オルガ自身の強靭な精神によってそれらの効果は意味をなさない。
オルガは仲間のためなら止まらないのだ。
とまぁ。そんな彼らも席に着き雑談をしながらご飯を食べる。
ラフタと明弘が結婚した。
クーデリア・藍那・バーンスタインが三日月にしかけ始めた。
アインとギンガがいい感じ。
そんな雑談を繰り返して彼らは解散する。
マクギリスは午後になると訓練場へ赴く。
訓練の様子の視察をするのだ。
「ふむ。いい仕上がりだ。」
新人たちの訓練は厳しいわけではない。一つ一つの基礎を伸ばしていくのだ。
「ほら!そこ!もう少し行けるはずだ!あと一息だ!」
『はい!』
前線にて教鞭を振るうのは先ほど話したアイン・ダルトン三佐。
彼もまた地上本部のエースなのだ。
そんな彼が新人たちを鍛え上げていく様を見て満足したのか。マクギリスはその場を去る。
午後からは別の仕事が入っているそうです。
「ふむ…」
「どうしました?モンターク商会さん?」
とある喫茶店。その場にいるのはどこかひょろっとしているように見えるいかにもサラリーマンという風貌な男。実際にそうなのだが。
対するは白髪に謎の金色に光る仮面をつけている一人の男。喫茶店の雰囲気に合っていないかと思えば、なんだかんだで親和性があるのだろう。紅茶を飲む様は堂々としていた。
彼こそがミッドチルダで大きなデバイス会社を手掛けているモンターク商会のトップである。
話す内容と言ってもそれこそデバイス関係のことであり、その値引きをしている最中なのだが。
その後は2時間ほどかけてなんとか契約を取り付けることができ、ホクホク顔のサラリーマンと、いまだに優雅に紅茶を飲んでいる(9杯目)モンターク商会がそこにいた。
「では、私はこれで。」
「はい!ありがとうございました。」
して、解散することになったモンターク商会とサラリーマン
解散後、モンターク商会は裏道に入り仮面を取る。
そこにいたのは我らが地上本部総司令マクギリス・ファリド中将が!
なんという変装術!アッパレ!
マクギリスはその足で地上本部へ向かう。
「今日もいい買い物をした。」
とても満足そうである。
その時です!
ベチャ!
「あっ…」
『……』
なんというべたなシーン。いわゆる俺の服がアイスを食っちまった状態である。
アイスをぶつけてしまった少女は涙目でマクギリスを見る。その後ろには顔を真青にさせた母親もいた。
これでも地上本部総司令。そのフェイスも相まって一般市民にもその名は知れ渡っている。
バエル。悪魔の名前であるということがかなり広まっているらしい。
故に恐怖の対象として見られている。
先に行動を起こしたのはマクギリスである。
少女の顔まで膝を落とす。
「レディ。私の服が失礼をした。これを使って新しいアイスを買うといい。」
マクギリスは少女に1000AP(アグニカポイント)をあげたのだ!
ちなみに、これは地上本部にて使用可能で、400APで4人家族一食分の食料が配給される。
それはさておき、
少女に微笑みでアイスを買いに行ってきていいよっていうイケメン。これは周りもタジッタジである。
そんなこととはつゆ知らず、少女は笑顔満開で感謝を言ってくる。
「ありがと!にいちゃん!」
「HAHAHAHAHAHA!」
そんな少女の感謝を受けながら、幸せそうに笑うマクギリス。周りの者も微笑ましいものを見ていたら、急にマクギリスは口を開ける。
「ところ君も、アグニカ・カイエルの思想を」
前言撤回。急に勧誘しだした。これは洗脳と言ってもいいだろう。
なんてやつだ。さすがバエル馬鹿。
「なにやってんだぁ!マクギリス!!!」
「ぐほぉ!」
「中将!」
まあそんなことを防ぐために鉄華団はいるといっても過言ではない。(過言だが)
地上本部総司令の暴走を止めるのはいつでも鉄華団の役目なのだ。
吹き飛ばされたマクギリスを受け止める石動は相変わらず健気だと思うのは私だけか。
そんなこんなで彼らは本部へ戻る。
「バエルを持つ私の言葉に背くとは」
「理不尽な逆切れやめろ!」
「相変わらずだねチョコレートの人」
彼らは地上本部の期待の星。
この関係を知るクライド・ハラオウンは言う。
「ああ見えて、信頼できる人達だよ。なにより力の使い方を知っている。1人は同期だし、助けてもらったりもした。つまりは恩人だね。」
ミッドチルダは今日も平和です。
最近バエルと鯖の勝率が頭おかしいぐらい高いんだが