バグ多きこの世界で生き残れたら上等だと思う【旧名:昔だからこそ】   作:翠晶 秋

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出発だ!

 

「「いただきま〜す!!」」

 

ステーキサンドにかぶりつく。

昨晩のステーキの肉汁の味覚への暴力はそのままに、パンが食感と空腹感を満たしてくれる。

トマトとはまた違うが、酸味の強い果実をスライスして挟んであるので、今回のステーキには味付けはしていない。

ガツンとビッグなボリュームのステーキサンドをむさぼり、近くの滝から採ってきた冷たい水で流し込む。容器はヤシの実くらい硬い果実をくり抜いて作った。

おいしー…………。

 

「はぐ、はぐ、うむ……ごくごく……」

 

実に旨そうに喰ってらっしゃる。

ワイルドなお姫様だこと。

 

腹ごしらえも済んだ事だし、森を出る間に少しづつ木の実を採りながら移動する。

メニューの【地図】はマッピング式なので、基本数メートル先しか道が分からない。

なので、俺の記憶を頼りに王都に行くことにした。

 

「あの、さっきから採ってる木の実はどこに行ったんですか?」

「俺の力が物理法則を越えた結果だ」

「そのブツリホウソクってのもわからないんですが」

「……空間に物を閉じ込めているのさ」

「なるほど〜……」

 

時代設定がよくわからん。

攻略本には剣と魔法の世界って書いてあったけど、どこまでが分かっているのだろう。

重力を操る龍とかはいたから多分その辺かな。

 

「……うん?でもそれって、鮮度とかはどうなるんですか?」

「入れた時のまんまだぞ。腐らない、錆びない、朽ち果てない」

「無敵じゃないですか!!そのまま行商人などやれば良いのでは?」

「うーん……家とか屋台は入らないっていうか……多分、武器とか木の実とか、手に持てるサイズの物しか入らないんだと思うな」

「そうですか……では、木箱などは?木箱や布で、簡易的な机を作れば良いのでは?」

 

それは……やったことが無かったな。

そもそもゲームにそんな機能無かったし。

木箱とかゲームで何に使うんだよって話だよな。

 

「なるほど……木箱が手に入ったらやってみるか」

「はい!……あの、自分で言っておいてアレですが、覇王を倒すのが目的ですからね?あの、商人に根付かないでくださいね?」

「商人になってそのままセーリャと裕福にぬくぬく過ごすのも良いかもなぁ」

「良くなッ……いや、やぶさかでは無いのですがそういう事は覇王を倒してからと言いますか……」

「子供は四人いてさ、男二人女二人なんだよ」

「どこまで話が進んでいるんですかッ!?」

 

あ、ところで。

 

「セーリャ、下着の替えは持ってるか?」

「え、なんですか急に!?子供ですか、子供なんですか!?」

「ちげーよ、衛生的に考えると持って無い場合はペースを上げなきゃならないだろ」

「あ、そういう……」

 

ゲームには衛生度なんて無かったけど、現実となれば話は別。

さすがに何日も変えないってのは危険だろう。

 

「持って……ないです。今まで空に一人だったので、今まで一日置きに洗って乾かしてました」

「服も?」

「はい、服も」

「つまりセーリャは一日置きに屋外でまっぱだった訳か」

「〜〜〜〜〜ッッッ!!スケベ!!」

 

いてぇ!!

HPがけずられる。

今日初ダメージ、セーリャによるビンタ。

南無三。

 

「まぁ、服は重ね着っぽいから良いとして、問題は下着だな。無いなら買わなきゃ行けないし、取り敢えずは早めに着かなきゃな」

「そうですね」

「そこでだ」

「?」

「最速の移動手段を取ろうと思う」

 

スキルポイントを使うのだ。

メニューの強さの欄から……。

 

 

 

メニュー

アイテム ずかん

そうび 地図

話す ???◀︎

 

 

 

ないんだけど!?

強さの欄が、ななな、無いんだけど!?

ナンデ!?ハテナナンデ!?

 

「───と思ったけど、今は使えないみたいだ」

「えぇ……」

 

なんでだろう。

なんか条件があったかな。

 

「セーリャ、スキルツリーって知ってるか?」

「スキルツリー……あっ、まだ説明をしませんでしたね。スキルツリーは、世界の記憶を体に習得する事ができる、体内に生えている木です。……といっても本当に木が生えているわけでは無いのですが。スキルはスキルポイントをツリーに捧げると会得できます。それと、個人個人でスキルツリーは構造が違います。テロさんと私では、習得できる世界の記憶(スキル)に差があったり、もしくは全く別の能力だったり」

 

ふむふむ。

そんな話聞いたな、たしかに。

まぁ、今スキルツリーの話を聞いたところで何かが変わるわけでもあるまいし……。

 

 

 

メニュー

アイテム ずかん

そうび 地図

話す 強さ◀︎

 

 

 

アイエェナンデ!?ツヨサナンデ!?

急に仕えるようになったじゃん!、セーリャのお話を聞いてからじゃないと使えなかったっけ!?

 

 

 

強さ

テロ◀︎

セーリャ

 

 

 

仲間扱いなんだな。

 

 

 

強さ:テロ 残りスキルポイント3

剣撃0

魔法0

召喚0

ラッキースケベ7

???0

 

 

 

おいなんだこのステータス。

なにが『ラッキースケベ』だよ神様まじ感謝。初期から振られてるのは意味がわかんないけど。

……ごほん。

スキルツリーは10が限界だ。

成長やクエスト、その他様々な事象によって新たに覚えられるスキルが追加される場合もある。

そして、普通はスキルポイントは使ったらとある施設に行くまで取り戻せないんだけど……。

 

「ちょっとセーリャ後ろ向いてて」

「え?はい、わかりました……?」

 

スキルツリーを連打。

ポイントをラッキースケベに送り、減らしを続け、MAXとMAX以下を連続で表示させる。

そして、MAXになった瞬間に実行を押す……と思いきや下げる!

これにより、スキルポイントを振っていない状態でスキルを加算することになるのだ!

これにより、残りスキルポイントは3のまま、ラッキースケベに3が加算されるのだ!

 

……勢いでラッキースケベをMAXにしてしまった……。

 

まぁいいや。とにかく、ポイントを振らなくても加算することが可能。

3、6、9と成功。

あとは、1を送って同じムーブへ。

 

 

 

強さ:テロ 残りスキルポイント3

剣撃0

魔法0

召喚MAX

ラッキースケベMAX

???0

 

 

 

俺が選択したスキルは召喚。

1で犬、2でイノシシ……と言ったように、スキルによって召喚できる大きさと数が変わる。

大きいと召喚できる数も変わるけど、スキルがMAXの状態で犬レベルを召喚するなら数の暴力ができるくらいには召喚できる。

 

「もういいぞ」

「はい」

「いまスキルを取った。それで王都まで急ぐぞ」

「あ、はい。スキル、何を取ったんですか?」

「見て驚くなよ?俺のスキルは召喚だ!!」

 

スキル、召喚!!

 

地面が明るく光り、その姿が顕現する。

最高の移動手段、それは───!!

 

「あら?呼ばれちゃった?」

「サキュ‥…バス……?」

「ごめん召喚間違いだわ」

「そうだったのね。いいわ、また会いましょう、ボウヤ♡」

 

ここにきてラッキースケベMAXの弊害が……ッ!!

気を取り直して。

召喚したい対象をちゃんと明確にイメージして……!!

 

「グオオオオオオオオアアアアアアアッッッ!!!!」

「これが、最高の移動手段だ!!」

 

緑の巨躯。大きな翼。

ドラゴン亜種、ワイバーン様が顕現した。

 

 

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