――俺は死んだ。
突然、何を言ってるのか分からねーとは思うが、大事なことなのでもう一回だけ言う。
――俺は死んじまった。
それはもう、悲惨なくらい無様に。
俺はもう少しで魔法使いになれるんじゃないかって年齢の――まぁ、お兄さんと言うには若干歳いっちゃってるが(決してオッサンではない!)成人男性だ。
え?なんで魔法使いになれるのかって?
三十路過ぎまで童貞だと、魔法使いになれるという都市伝説があってだな……って、言わせるなよ恥ずかしい!
この歳になると彼女とか作るのも面倒で、だったらいっそのこと――都市伝説が真実か確かめるのも悪くないかなぁ、ってね。
――あぁ、まぁ、ね?彼女が出来る職場環境じゃなかったし、可もなく不可もなくな顔立ちだったしね……。
仮に出会いがあっても、自分からガンガン行くタイプでもねーしな。
……ヤバい、なんか死にたくなってきた。
もう死んでるんですけども。
『あー、もうそろそろ良いかな?』
「アッハイ」
――話を戻そう。
今、俺が居るのは白の様な灰色の様な――不思議な空間。
目の前の彼(彼女?)曰く『輪廻の環より外れし涅槃』。
俺は死んだ。
死因はトラックに跳ねられての即死。
――まぁ、所謂一つのテンプラって奴ですよ。
小学生くらいの女の子が横断歩道を渡っていたら、そこにトラックが突っ込んで来たんだ。
普段の俺なら動けなかった筈だ――けど、女の子の何が何だか分からないって顔が見えて……気付いたら身体が動いていた。
女の子を抱き抱えて飛び退けられれば良かったんだろうが……生憎、運動神経が中の下程度の俺では女の子を突き飛ばすくらいしか出来なかったんだ。
びっくりした表情を浮かべたその子に、俺は苦笑いを浮かべることで返した。
女の子が歩道で尻餅着いた瞬間を確認して――あぁ、やっちまったなぁ……と。
瞬間、この世の物とは思えない痛みが襲って来て―――そこで俺の意識は途絶えたんだ。
「アレだ、即死する時は痛みを感じないとか絶対嘘だと分かった――後、走馬灯なんて無かった」
『痛み云々に関しては人それぞれだと思うけど、直ぐに死ねたのは運が良かったかもね。大体の場合即死とは言っても、本当に直ぐに死ぬワケじゃなくて、激痛や死の恐怖に苦しみもがいて死んでいくのだから――ほんの数秒の間だけどね』
「何それコワイ」
そんなもん、確実にトラウマじゃねーか――死んだらトラウマも糞もねーけども。
で、俺が今話しているこの方が誰かと言うと――。
『私は神だ』
「やはりお前か」
『……別に暇をもて余してるワケじゃないからね?』
なんて、心の声を先読みしちゃう――この男だか女だか老人だか子供だか分からない――何を言ってるのか分からねぇとは思うがry――存在が……神。
ネ申と書いて神、GOD。
『私は神という概念であって君たちの言う神ではあるけど、唯一神では無いし至高神でもない――まぁ、彼らも暇じゃないからね』
――等と供述しており……正直、意味解りませんハイ。
『君が知っている程、有名ではないけど――とりあえず神霊ではあるから、一応は神を名乗っている次第さ――で、何で私が此処に君を招いたのかと言うと、恐らく君の考えてる通りだと思うよ』
――あぁ、つまりアレだ……二次創作とかでよくある、事故って転生って奴だ。
俗に言う神様転生。
『最初に言っておくけど、君の死は神側の不手際とかじゃないからね……まぁ、そういうことも無いワケじゃないけど』
「あるのかよ!」
『嘆かわしいことに、ね――本来ならあってはならないことだけど――君があの時、少女を助けたるという選択をしたのは、それが君の選んだ運命だったからだ――勿論、少女を助けないという選択をした場合は君が生き残り、少女が死んでいたワケだけど』
「要するに、等価交換って奴か」
『少し違うけど――まぁ、その認識でも構わないよ』
俺が女の子を助けたのは俺がソレを選択したからで、俺が死んだのは事故でも偶然でも無く、必然の事象だった――と。
けどなぁ――。
「それだとお約束の転生――ってのもおかしくないか?コレが俺の選んだ運命だってんなら、俺が特別扱いされる理由は無い筈だ――普通なら転生は転生でも輪廻転生って奴の輪に入らなきゃいけねーんじゃねぇの?」
最近じゃあコレを【円環の理】って言うんだったか……違うか。
『そう……神の不手際でも無ければ偶然でも無い……君の死は必然。故に、君は輪廻の輪に入らなければならなかった……しかし、君のことを惜しいと思った者たちにより、君をこの場に招くに至ったというワケさ』
「惜しい?」
『――君は、かつては悪逆の限りを尽くした罪人だった――それがこうして命懸けで人の命を救う迄に至った、故に私や他の一部の者は惜しいと思ったのだよ』
――いやいやいや、ちょっと待てし。
俺が罪人だった?それってつまり――。
『そう、君は既に転生していたのだよ――かつては罪人であったにも関わらず、再び人間に転生するという、極めて稀なケースでね』
いや、マジで意味不なんですけど――。
『そうだね……君も、覚えがある筈だ――小さな赤子の頃の記憶を』
「っ!?」
『君は生まれてから暫くして、何とか動ける様になった時にある行動に移っただろう?――君の家族、母や姉に欲情するという――ね』
――この野郎、人の黒歴史をさらりとぶちまけやがった……!!
そう、俺は断片的ではあるが――小さい頃の、赤子の頃の記憶がある。
まだ離乳食をしている時分、俺は親や兄弟と昼寝をしていて――母や姉を相手に欲情してしまったのだ。
その時の下卑た思考は、未だに頭にこびりついている――自分のこととは思えない様な下衆な思考の元、母や姉の足にしがみつき――さながら盛りのついた犬の様に腰を振ったのだ。
――まぁ、あまりにも異様な事態に驚いた姉たちに、無様にも蹴り飛ばされていたから大事には至らなかったが――ソレ以前にその頃はナニがポーク○ッツだったから、大事に至る筈もry。
『元来、人が生まれ変わる時は真っ白になる――その思考も、経験も――それこそ神様からの特別なギフトでも無い限りはね――けど、稀に浄化仕切れずに生まれ変わる魂も存在するんだ――それが良い感情ならば一向に構わないんだが――』
「……俺みたいな状態のまま育ったら犯罪者予備軍確定……ってわけか」
まぁ、この神様曰く紛うことなき犯罪者だったらしい俺の前世なワケだが……前世の俺は一体――。
『ちなみに、前世の君が行った悪行は主に性犯罪――その嗜好は少なからず今の君にも影響を与えている――強姦物とか、女性を猟奇的な迄に追い詰める――人間世界では俗に言うリョナだったかな?そういうモノにも性的興奮をもて余すだろう?つまり――』
「分かったもう良いそれ以上言わないでくださいコノヤロウ」
確かに――漫画とかでは強姦物は好んで見ていたし、リョナ系も嫌悪を抱えると同時にイキリタツ!!していたのは事実だが――これは……。
『なんなら、君の前世の記憶を呼び起こしてあげても「やめてください死んでしまいます」って、もう死んでるんだけどね?』
いや、冗談抜きでそんな記憶を蘇らせられた日には、精神的に死んでもおかしくないから!
……つまり、俺の前世は俺が最も嫌悪する最低の屑野郎だったと――けど、そんな元屑野郎が転生とか余計に不味いんじゃ……。
『言っただろ?君は確かに罪人だったが、その実――今の君は善だ。現に君は創作物としてはそういう嗜好を好むが、現実にそれをしようとは思わないだろう?』
「当たり前でしょうがよ――そりゃあ、軽いSM位には興味はあったが――腹パンとかダルマなんてやりたくねぇっつーの !」
つか、何で俺の性癖を掘り下げてんの?馬鹿なの?死ぬの?
『おっと、すまない――話が脱線してしまったな……要するに、君はあのまま育っていたら犯罪者確定だったのだが――そうはならなかった。神々の手により、記憶を修正されたのだから……』
「修正?」
『君は幼少の頃、階段から落ちたり車に跳ねられたり――事故には事欠かなかった筈だ』
あぁ、大体分かった――つまり……。
『そう、要所要所で暴走しそうになった君を、神々の末端はその度に修正していったのさ――まぁ、壊れたテレビを叩いて直す様なモノだな』
それって、下手したら余計に悪化するフラグでは……つか、最悪修正される前に死んでる可能性もあったよね?
『だが、君は今の今まで生き抜いて来た――決して前世の悪行を繰り返さず――むしろ正義の味方に憧れながら今まで生きてきただろう?仮面ライダーとか、ウルトラマンとか好きだろう?女神転生シリーズをやると必ずロウルートに傾いたり――』
「何で一々人の黒歴史を引っ張り出しやがりますかね?また話が脱線してますがね?つか、最後のは関係無くね?」
『おっとぉ、すまない――誉めているつもりだったのだが、余りに蛇足が過ぎたな――話を纏めるとしよう』
キンクリッ!!!
**********
で、話を纏めると――前世の俺は元々、吐き気を催す邪悪と言っても良いくらいの極悪人だったが――転生した今生では改心して、正義の味方に憧れつつも平々凡々な生活を送っていた。
改心はしたが別に英雄的な行動を起こしたワケでも、偉人的な功績を残したワケでも無い。
そのままでは、転生なんてとてもさせることは出来ない筈だった。
――現に、俺は一度だけ夢という形でこの空間に来たことが有り、その時に俺は転生出来ないと告げられている――この神様とは別人?からではあったが。
――当時から、現実世界に居場所が無いような――妙な疎外感を感じていた俺は、そのことに怒りを顕にしていたが――。
それは置いておこう。
平々凡々の人生を、平々凡々に過ごして終わる筈だった俺が、最期に見せた無意識の一歩――それがこの神様を含む数名の心を射ち、転生させる運びになったと……。
「で、お約束の転生っつーことは、普通の輪廻転生じゃねぇんだよな?」
『そう、君の考えてる様にアニメやゲームと言った世界への転生さ――以前にも此処へ来たことがあるなら説明はされている筈だが――』
そう、その時の記憶を思い出した――というか、この神様に思い出させられた――ので、分かる。
アニメやゲーム、或いは特撮等――空想上の二次元ワールドは、実際に存在する異世界であり、その異世界の光景を夢なり天啓なり、様々な形で見ること感じることが出来た人々が、創作物や二次創作物として世に送り出しているのだとか――。
『つまり、今この瞬間を誰かが創作物として形に残している可能性も……まぁ、微粒子レベルで存在しているんじゃないかな?』
「何それコワイ」
まぁ、創作物になるとは言ってもそれは別の世界線の話になるそうなので、気にしないことにする――というか、一々気にしていたら身が保たないですわ、お?
『さて、改めて聞くけど――君は異世界への転生を望むかい?――言うまでもないが、創作物の世界は危険と隣り合わせの物も少なくない――君が望むなら輪廻の環に戻すことも――』
「俺の思考も読めるアンタなら、俺がどう答えるか分かる筈だろ?」
『――愚問だったな』
俺は元々、現実世界に違和感を抱いていた――居場所が無いように感じていた。
なら、俺がこの話を断るわけが無い。
親兄弟や友人に未練が無いわけじゃないが――どの道、俺は死んじまってるんだ――なら、答えは一つだ。
『――ならば、僭越ながら君に力を授けようと思う――君が行く世界は平和と闘争が紙一重の世界だからね――力があるに越したことはない』
世界は自分で選べないようだ――バイオでハザードな世界とか、ハイスクールでデッドな世界とかだったら軽く死ねるのですが――なんというか精神的に。
『心配しなくても、君が思った様な闘争――というより、生き死にが日常的な世界では無いから安心すると良い――ちなみに何故世界が選べないのかというと――私自身、神という概念ではあるが全ての世界に干渉出来るワケでは無い、必然と選べる世界に限りが出てくる。それにこの一件は私だけの預かり知るところではなく、私以外の神々の総意でもあるからだ――単刀直入に言えば、君の転生を推した神々の中に『この世界の方が面白い』と強く推した奴がいてね』
「……よくある、神様の遊び心で弄ばれるワケですね分かります」
二次創作ではよくある話だが……別に神の娯楽の為に死んだわけでは無いんですがねェ――。
『――先程も述べた様に、君が死んだのは自身が選んだ運命の結果だ――そこに神々の意志は介入していないよ』
――更に神様が言うには、神々には娯楽の類いは少なく、また絶えず職務に追われているので暇ではない――故にそういう発言をする者も中にはいるが、広い心で許してくれ――とのこと。
いや、俺としても神様転生なんて機会を与えてくれたんだし、感謝こそすれど批難するつもりなんか無いわけで――。
これが娯楽の為に殺された――とかなら話は違ってくるかもだが。
『では――君の望む力を言うが良い。基本、どんな力でも授けよう』
それって、俗に言う各能力EXとか、無限の剣製とか、王の財宝とか、でも良いわけか?
『構わないよ。君が本当に望むのなら――ね。まぁ、無限の剣製は正義の味方に憧れる君には、ある意味似合いの能力かも知れないが』
俺は考える――どうやら、俺が行く世界は平和と闘争が隣り合わせな世界らしい――なら力を持っているに越したことはないが――けどなぁ。
「無限の剣製や王の財宝は、なんか違う気がするんだよなぁ――自分で言い出しておいてなんだけどさ」
『ほう、それは何故かね?』
神様は不思議そうに尋ねてきたが、そんなの当たり前だろう――。
無限の剣製にしろ、王の財宝にしろ――それはそれぞれの生き様の証だからだ。
無限の剣製は、衛宮 士郎だから成し得た奇跡なんだと、俺は思っている。
がむしゃらに、正義の味方を目指したが故の――剣の世界。
歪で、荒廃した世界、しかし決して折れずに突き進んだが故の……剣の墓標――。
王の財宝に至っては、正に金ぴか様の生き様そのものだ。
世界中の財をその手に収めたという逸話、それが形となった概念。
――俺はあそこまで正義の味方を求道する気は無いし、もし無限の剣製を得たら俺は俺では無くなってしまうだろう――王の財宝は世界中の財を手に入れてなんかいない俺が持っても、空の倉庫にしかならないだろうし。
仮に宝具を用意してくれたとしても、それは俺の生き様にはなり得ない――様な気がする。
『くくっ……君は面白い考え方をするんだな。――あぁ、そうか……君は誰かを『守りたい』のであって『救いたい』のでは無かったな――成程、確かにそれは自身の変異を危惧する気持ちも理解出来る――』
笑うなよコンチクショウ――正確には『救う』なんて大それた真似は出来なくても、『守る』くらいなら俺にも出来るかも……なんて思ってただけさ。
今回は救う形になったけど――。
『しかしそうなると、どんな能力を所望する?君の好きな仮面ライダー辺りから選ぶかね?平成ライダーというカテゴリーならば、君の懸念する事項に当てはまる物は少ないとは思うが――なんならオリジナルの能力を考えても良い――この空間は、君たち人間の体感出来る時間を超越した空間だ――有限ではあるが、無限と思えるくらいの時間はある』
そこまで気遣ってくれるのは嬉しいが――実はもう、目星を着けてる力はあったりするんだよな。
『ほう、それは?』
「それは――」
***********
「――と、此処までが夢でしたとさ」
誰にとも無く、一人ごちる俺。
――いや、転生したのが夢だったワケじゃない。
……夢で転生する前のことを思い出していたんだ。
***********
あの後、自分の望む能力を神様に告げた俺は、幾ばくかの会話を交えた後に転生を遂げた。
――別に落とし穴に落とされるとか、そんなオチは無く――普通にスーッと意識が溶けて行った。
最後に交わした会話は、俺が望んだ能力が珍しかったと笑われたのと、それだけでは心許ないだろうから、能力について少し融通してくれるってのと――。
(助けた女の子は無事に天寿を全う出来る、か)
あの時の俺は柄にも無く、命懸けで人助けなんてしたんだ――その助けた女の子に直ぐに死なれたら、正直寝覚めが悪いからな。
これが効かせてくれた融通なのか――俺は生前の記憶と、神様から貰った能力と共にこの世界に生まれ落ちた。
極々一般的な中流家庭――サラリーマンな親父に、専業主婦なお袋のもとに。
前世の時と、然程変わらない家庭環境――。
ただ、親父にしろお袋にしろ前世の両親より顔立ちが整っている――お袋に至っては美人妻を地で行っているという――。
正にアニメ的な展開だ――あ、因みに周りの人物や風景は客観的に――前世の世界の人が――見たらアニメ調な感じだが、これは俺を含むこの世界の人々にとっては現実なので、違和感等は一切無い。
二次元だけど、二次元じゃないと言うか――何が言いたいかと言うと、ウチの母さん美人を通り越して可愛いんだよ。
親父も、オッサン臭さが無いというね。
――赤ん坊時代のことは黒歴史なんで詳しく触れないが、ウチのお袋が母乳が出ない体質だったのは幸を然うした。
正直、母乳で育てられていたら前々世の下衆野郎な俺が再臨していた可能性が大いにあり得たのだから――。
そうして、転生を果たした俺は新しい家族と共に平凡だが幸せな日常を、非凡な力を磨きながら過ごして行った。
勿論、せっかく前世の知識があるのだから平凡のまま終わるのは勿体無い――。
然程頭が良いワケでは無かったけど……身体は子供、頭脳は大人なアドバンテージを生かして勉強して――ゆくゆくは官僚か公務員か、貰った力の恩恵からスポーツ選手も悪くない。
訓練もしていたし、その力の恩恵で小学生当時ですらオリンピック選手の記録を塗り替える……なんてことも余裕で出来そうだったしな。
……そんな風に思っていた時期が、俺にもありました。
それは、中学卒業間近くらいだっただろうか?
俺が進路相談を担任の教師としていた時に、目についた進路先の資料があった。
そこは学生の街……そこは外界と隔絶された街……科学が大きく進んだ街。
そして、超能力が公然と存在する街……その名を『学園都市』と言った。
――とある魔術の禁書目録の世界ですね本当にありがとうございました。
……いやね、気付いてはいたんだよ。
それまでに生活してきて、ニュースや新聞なんかで学園都市のことは取り上げられてきたし……何より、闘争と平和が紙一重の世界なんて言われたんだ……この世界のことを調べない筈が無い。
俺としても正義の味方に憧れているし、だからこそあの力を選んだんだし……でもだからと言って、自分から地雷原に突っ込む程キ○ガイじゃねぇし。
ちょっとした人助けくらいならするようになったが、前世のことなかれ主義は力を得たってそうそう変わりはしない。
何より、学園都市に行くと両親と離れ離れにならなければならない。
今更、(精神的にも)一人暮らしが寂しいなんて年頃でも無いが――それでも、此処まで育ててくれた親だ。
恩返しの一つもしてやりたいじゃないか……前世の俺からは考えられない感覚だけどな。
以上の考えから、学園都市に行って原作介入とか――テンプラで天丼なことはしないことに決定した。
……それなのに、だ。
進路先の資料として学園都市の資料があったワケで――頭の中を大根が走り回ったワケですよ。
あの力は無闇矢鱈と人前で使わなかったし、それとも気が付かなかっただけで力の訓練を誰かに見られていたのか!?
――気になって担任に聞くと、学園都市の資料は何処の中学でも普通に提示するそうだ。
学園都市に行くには幾つか方法があって、大まかに幼い頃や途中から急に能力が発現した者が強制的に向かわされるケース、能力は発現していないが幼少の頃から学園都市に向かうケース、そして一般で言う義務教育が終了して進学するケースだ。
学園都市では親元から離れて生活する。
だからこそ、ある程度の常識を身に付ける高校入学を期に進路先の一つとして提示する、と。
まぁ、最近では中学や小学から入る者の方が多いらしいが――。
単純に超能力に憧れたり、家庭の事情だったり――まぁ、色々あるんだろうな。
原作の主だった登場人物の殆どが、小中学校から学園都市で生活していた筈だし。
勿論、俺は学園都市なんてあり得ないって言ったさ。
まぁ、担任も軽く聞き流す程度だったし……心配する必要はなかったな、と。
そんな風に油断したせいなのか、俺はその日に両親からとんでもない話を聞かされてしまった。
――親父の海外への単身赴任である。
お袋は親父に着いていくそうだ――で、俺なんだが。
俺も親父に着いていくつもりでいた――英語の成績は良かったし、ヒアリングもそこそこ出来る様になってもいたし……何より、日本に残ると言うと嫌なフラグが立ちそうな気がしたんだ。
―――が。
親父は俺の同行に反対。
曰く、お袋だけじゃなく俺まで自分に縛らせるのは戴けないと――。
男子足る者、若い内の苦労は買ってでもしろと――。
まぁ、色々言われたが――要するに、お袋とイチャイチャしたいから俺はお邪魔だ――と。
親父ェ……。
ただ、流石にそのまま放り投げるつもりは無いらしく、転勤中は俺を信頼出来る知り合いに預けるつもりらしい。
一応考えくれてるんだなぁ……と、しんみりしながら詳しく話を聞くと――その知り合いはあの学園都市で教師を営んでいるらしい――ハイ、アウトー!!
それ、俺が学園都市に行くフラグですよね?
能力開発受けちゃうフラグですよね?
つか、学園都市に行くつもりは更々無いんですが!?
そう告げたら、あの糞親父はおっしゃりやがった。
学園都市は科学が進んだ街で、外とは比べ物にならないくらいセキュリティも進んでいるから、可愛い一人息子を預けても安心だ……と。
超能力なんて使える様になったら格好良いしな……って。
あの、パパうえ様?
学園都市って一般的にはそういうイメージかも知れないけど、実際にセキュリティやら治安維持組織なんかも充実してるけど、裏を返せばそういう組織やらセキュリティやらが必要なくらい、治安が不安定ってことだからね?
スラム街で暮らしたいっていうどこぞのセンパイも裸足で逃げ出すくらい、危ない場所なんだからね?
なんて説明しようとしたが、ママうえもすっかりその気になって――あれよあれよという間に学園都市行きが決まってしまいましたとさ。
――どうしてこうなった?
***********
――で、単身赴任という名のハネムーンに旅立ってしまった両親を見送り、不本意ながら学園都市に来てしまった俺は、無事に入学を果たしーの能力開発を受けーので――なんだかんだで学園都市に順応して今に至ると……此処までが、物語的なプロローグ部分になるのか……長ぇっつーの。
「お、こんな所におったんか〜。探したで〜オシヤン」
「おー、青ピにツッチーにカミヤン――デルタフォース(三馬鹿)が揃って何の用ですかねぇ?」
「おいおい、それを言ったらオシヤンも入れてスクウェアフォース(四馬鹿)の間違いじゃないかにゃー?」
――えー、この流れで分かるとは思うが……一応説明しておこうか。
俺が居たのは、我が学舎――とある高校の屋上。
そこでグースカ昼寝して、目を覚まして物思いに耽っていた俺の元にやってきた三人。
青い髪にピアスを着けた糸目の長身……通称・青髪ピアス――略して青ピ。
本名は―――だ。
ん?―――、何故だ?上手く言葉に表せない。
奴の名前は、世界の法則すら歪める名状し難き名前だとでも言うのか……?
まぁ、良い。
で、にゃーにゃー言ってる……これまた長身の金髪グラサンが土御門 元春(つちみかど もとはる)だ。
土御門とか、ツッチーなんて呼ばれたりしている。
で――。
「お前らと一緒にするなっつーの。で、カミヤンは何で黙りこくってるんですかねぇ?」
さっきから気だるげな様な、青ざめている様な――この中では一番身長が低い黒髪ツンツンウニ頭、我等がヒーローこと上条 当麻(かみじょう とうま)だ。
カミヤンとか、上条とかって呼ばれたりしている。
まぁ、カミヤンとかツッチーなんて、俺を含む三人くらいでしか呼びあわないが。
基本、上条さんは名字呼びだしな。
上条さんが名字なり名前なりで呼ばないのって、青ピくらいじゃないかしらん?
「それが、カミヤンまーた補習らしいんや」
「カミヤンはバカだから、しょーがないにゃー」
「何をぅ!?お前らだって補習だろうが!!」
「オレらは、成績が悪いから補習をするんじゃないんだぜぃ?」
二人にボロクソ言われる我らが上条さん。
カッとなって言い返したが、ツッチーがチッチッと人差し指を振りながらカミヤンの指摘を否定した。
「そうや!ボクらが補習する理由はただ一つ!そう、小萌センセイともっとお近づきになりたいからなんやで〜♪」
熱く、そしてニヤニヤと自分の想いを語る青ピ。
だがな――。
「どっちにしろ、馬鹿には変わりないだろうがよ」
「ふふん、そんなこと言っていて良いのかにゃー?後悔しても知らないぜぃ?」
「忍足く〜ん……ボクらが、何でこうして此処にやってきたと思う?」
と、ニヤリと悪い笑みを浮かべるツッチーと青ピ。
――あぁ、自己紹介がまだだったな。
俺の今生での名前は忍足 空悟(おしたり くうご)――能力はlevel4の『未来予測(ネクストアンサー)』――そして神様から貰った力は――忍者よりも速く、どんな格闘技よりも強いという力。
――そう、『忍空』である。
……って、ちょっと待てよ。
「俺は別に成績も悪くないし、能力テストだって余裕でパスしてるだろーが」
「……なぁ、忍足。今が何時だか分かるか?」
「お前は何を言ってるんだカミヤン、そんなもん昼休み中に決まって――」
何故か……凄い哀れみの視線を向けてくるカミヤンに、俺は反論を返そうとするが――嫌な予感がしたので、携帯を取り出して時間を確認した。
……マジかよ?
「16時とか……」
「小萌センセイからの伝言や。『授業をサボる悪い子な忍足ちゃんも、一緒に補習です!』――やて」
「だからこうして、オレらでオシヤンを探して呼びに来た次第ですたい。むしろ、感謝してほしいくらいぜよ」
ぐぬぬ……た、確かに不本意とは言えサボったのは事実だし、わざわざ呼びに来てくれたコイツらには感謝しなければなるまいが――。
それでも素直に礼を言えないのは、土御門のドヤ顔が腹立つからか青ピの小萌先生の物真似がイラッとするからか――多分両方。
「それじゃあ、バカはバカ同士――小萌先生の補習を受けに行きますか」
「なんか……物凄く釈然としぬぇ……」
笑顔で仰る上条さんに、不本意丸出しの表情で答えるしか無い俺ちゃんなのであった――。
――アレだ、カミヤンの不幸が移ったんだ……きっと。
***********
「ふへぇ……やっと終わった」
「お疲れさまだな……お互いに」
そう言って労いの言葉を向ける俺に、上条さんは力なく項垂れながらも苦笑いを浮かべる……という形で返した。
小萌先生の居残り補習という名の苦行(カミヤン限定)を終えた俺たちは、それぞれに別れた。
本当ならファミレスにでも寄るところだが、青ピはバイトらしくツッチーは何やら所用があるとか――。
青ピはああ見えてバイト戦士らしく、結構な数のバイトをこなしているそうだ。
まぁ、土御門の場合は原作の知識から察するに『裏』に関することである可能性があるので、深くは追求しないのが吉。
――で、計らずも残り物になった俺たちはこうして帰路に着いているワケですよ。
――正確には。
「いやぁ、しかし忍足が来てくれて助かったよ。あの卵、お一人様1パックだからさ」
「ったく、感謝しろよ?――暇だったとは言え、こんな時間まで付き合ってやったんだからな?」
上条さんの『スーパー、激安タイムセール巡り』に付き合わされた帰り――な、ワケだが。
卵Lサイズ1パック五十円ってのから、野菜類やハムなんかの安売りまで――スーパーのハシゴをしていたワケですよ。
ご存じかも知れないが、この学園都市には奨学金制度があって、この都市に在籍する学生は自身の能力のlevelによってその貰える奨学金に差異が生じる。
level0のカミヤンは、生活する分には困らない位の奨学金を貰ってはいるが、あくまでそれは最低限の物。
健全な男子学生が、楽しく生活するには非常に厳しいと言わざるを得ない程度のものだ。
……それこそバイトしろよってなものだが、いかんせんlevel0の中でも異端であるカミヤンだ。
どう足掻いても能力関連の補習のお世話になってしまう故、バイトをする暇がなくなってしまうらしい。
補習自体をすんなり終わらせられれば良いんだろうが……『すけすけみるみる』や『コロンブスの卵』等――能力の応用……というか、能力自体が役に立たない上条さんにとっては苦行でしかないという。
なので、スーパーで特売があるとこうして買い出しに行くというワケ。
学生メインの学園都市なので、オバチャンの熾烈な値引き品闘争は起こり得ない(学生同士の熾烈な闘争は起こり得るが)し、自炊した方が安上がりなのは学園都市も外も同じっつーことよ。
「そう言いながら、忍足だって滅茶苦茶買い込んでるじゃないか」
「知ってるだろう?俺は一度に20人前は食うんだ」
「あ、うん――そうだな……うん」
俺はlevel4という高level能力者である為、奨学金もかなりの額を貰っている。
少なくとも、余裕で生活した上に軽く遊べるくらいには。
ならば何故、俺が自炊なんかをしているのかというと……。
カミヤンに言ったように、20人前は食わないと腹が満たされないからだ。
これは俺が『忍空使い』になった影響だと思われる。
――前世では、こんなに食ったりしなかったし。
忍空の原作では、風助の大食いが目立っていたけど、藍鳥や橙治も普通に大食いだった筈だから、忍空使いは得てして大食漢なのやも知れん。
忍空ってのは自然の力を使うから、その反動かも?
――勿論、我慢出来ないわけじゃない。
自分が忍空使いになって知ったんだが……その自然から力を分けて貰うことで、空腹を満たすというか、エネルギーに変えることが出来るようだ。
そう考えたら、風助以外の二人に大食い描写が少なかったのも頷ける。
風助は……やはり育ち盛りだから、食べたい物は食べたかったのだろう。
さて、俺だが――俺も風助と同じだ。
余裕が無いなら話は別だが、余裕があるなら食えるだけ食っておきたい。
そして、出来れば美味い飯が食いたい。
俺は風助少年の様に、笑顔で不味い飯を完食出来る程、おおらかでは無い。
――どこぞの美食家や新聞記者みたいに、モンスターペアレントもビックリなクレームを出す程、剛胆でも無いが。
なので、必然的に自炊することになる。
自炊すれば安上がりだし、よっぽど下手な物じゃなければ美味しく頂ける。
――以前、カミヤンの不幸に巻き込まれて、そのお詫びに飯を奢って貰ったことがあった。
その時カミヤンに軽くトラウマ並みの不幸を刻み付けたワケですよ、ハイ。
カミヤンの歯切れが悪いのは、その時のことを思い出しているからであろう……うん。
「……に、しても忍足さんは良いですねぇ。材料を奮発しちゃって……卵も1パック300円オーバーの奴だし」
「まぁ、レベルという名の格差社会故、致し方無しでござる――諦めろ、試合終了だ」
「……不幸だ」
金に余裕があるなら、なるべく美味い物を食いたいだろ常識的に考えて。
卵にしても、半熟や生で食えないような卵は食いたくないし。
まぁ、腐っても学園都市なので安い卵を生で食べてサルモネラ菌で中毒――なんてことは無いのだろうが。
なんか、怪しい研究の末に開発された鳥の卵――なんて可能性も無きにしもあらず。
そんなわけで、只でさえ大食漢なのに拘りまで持っちゃっているので、level4の余裕なんて何処吹く風なのである。
「まぁ、冗談はともかくとして――しょうがないから、ウチで漬けた漬物とかを分けてやんよ。漬物なら保存が効くしな」
「おぉ!神さま仏さま忍足さまっ!いつもかたじけのうございます!」
「うむ、感謝して敬えよ?」
そう、もう御察しの方もいるとは思うが――俺は上条さんと同じ学生寮に住んでいる。
つか、同じ階層の部屋――ぶっちゃけお隣さんだ。
つまり、必然的に土御門ともご近所になるワケだが――。
そして上条さんの台詞から察して貰えると思うが、俺は時々……いや、かなりの割合で上条さんに料理を振る舞って差し上げたりしている。
……というのも、原作をご存じの方ならお分かり戴けるだろうが――カミヤンはトコトン不幸なのだ。
冷蔵庫が壊れて食材が駄目になったり、そもそも食材を無事に家まで持って行けなかったり――。
毎度、渇いた笑いと共に不幸を呟かれてみろ――泣きたくなる、つーか泣いたわ。
しかし、最初の頃はお隣さんにお裾分けなんて、お約束のシチュエーションなのに、それが野郎とか――互いに微妙な感情を抱いたことを覚えている。
――カミヤンに到ってはそういうシチュエーションに一種の憧れを抱いていただけに、落胆も一入だった様だ――こう、美人の管理人さん的に。
正にそげぶ状態。
――もう慣れたけどな。
「と、なんだかんだ話していたら着いたな」
「……」
「どうしたカミヤン?」
「――何事もなく家路にたどり着けた幸せを……噛み締めているんだ……!」
――そう言えば、いつものパターンだと無事に寮まで辿り着くのは至難だったな。
理由もなくスキルアウトに絡まれたり、スキルアウトに絡まれてる人を助けたり、逆恨みするスキルアウトを相手にしたり――うん、学園都市の治安悪っ!!
分かってたけどっ!
大体はカミヤンの『人助け』が切っ掛けのトラブルなのだが――。
本人は自分のことを『偽善使い(フォックスワード)』なんて皮肉っているが、俺から言わせてもらえばお人好しもいいところだ。
――まぁ、それに付き合う俺も大概なんだけども……。
「そんじゃあ、また明日な――目覚ましはしっかりチェックしておけよ?」
「おう、また明日な!」
そう言葉を交わし、俺たちは互いの部屋に消えていった。
――カミヤン、俺は一応、忠告はしたからな?
**********
『忍空』
忍者よりも速く、どんな格闘技よりも強い――。
僅か数十人の集団だが、その力は数で大きく勝る軍隊を壊滅寸前まで追い詰める程である。
「ふぅ……」
俺は風呂に入りながら、神様からの贈り物(ギフト)である忍空について考えていた。
忍空はそれぞれの系統ごとに別れ、それは十二支に当てはめられ――各々の隊長クラスは象徴される十二支から取って『干支忍』と呼ばれる。
『子忍』
干支の子――鼠に当てはまる忍空で風を操る。
そのスピードは忍空随一。
風助少年は子の干支忍だ。
『丑忍』
干支の丑――牛に当てはまる忍空。
大気中の元素を取り込んで、体を鉱物化することが出来る。
血液中の鉄分を操作して、体を鉛の様にすることも出来る。
腕力では他の忍空を凌駕する。
確か忍空狼の獏――アニメ版だと白虎だったか……?
コイツが当てはまる。
『寅忍』
干支の寅――虎に当てはまる忍空。
物に宿る精霊の力を借りて、物を操ることが出来る忍空。
……俺の知らない忍空だ。
『卯忍』
干支の卯――兎に当てはまる忍空。
光を操る忍空で、光情報から未来を予見したり、戦闘においても光を屈折させて姿を隠したり、光線みたいな技を使えたりする。
前述の寅忍と同じく、変わり種の忍空であり――やはり俺が知らない忍空。
『辰忍』
干支の辰――龍に当てはまる忍空。
大気中の酸素を利用して、炎を操ることが出来る忍空。
隊長は炎の赤雷で、副隊長は紅……だったかな?
『巳忍』
干支の巳――蛇に当てはまる忍空。
大地を操ることが出来る忍空で、地中に潜ったり崖を崩したり、大地を砂に変えたり出来る。
また、その忍空技の特性上、突き技を最も得意とする。
隊長はヒンデンブルグ号の橙次。
副隊長もいた筈だ。
『午忍』
干支の午――馬に当てはまる忍空。
空気中の水蒸気を利用し、氷を操ることが出来る忍空。
その力は、空気を液化するほどの低温を作り出すことが出来る。
忍空の中では最も防御に優れるが、攻撃力では他の忍空より劣る。
隊長は氷の黄純。
忍空狼の玄武も隊員だったか……いや、アニメ版だけの設定だっけ?
『未忍』
干支の未――羊に当てはまる忍空。
植物を操ることが出来る忍空。
これまた、俺の知らない忍空。
『申忍』
干支の申――猿に当てはまる忍空。
雷を操ることが出来る。
攻撃力においては、忍空でも一、二を争うだろう。
これも俺の知らない忍空だが、アニメ版のアジラダさんの雷鳴拳とは関係あるんだろうか?
『酉忍』
干支の酉――鶏(鳥)に当てはまる忍空。
脚力に優れる忍空で、空を飛ぶかの様に跳躍出来る。
空中からの攻撃を最も得意とする。
隊長は空の藍鳥――忍空狼の麒麟が副隊長。
『戌忍』
干支の戌――犬に当てはまる忍空。
忍空十二流派の中で最も『忍』を重視した流派で、動物を通して話したりも出来る。
隊長は紫雨……だったかな?
『亥忍』
干支の亥――猪に当てはまる忍空。
水を操ることが出来る忍空で、空気中の微量の水を集めて操ることも出来る。
しかし、一番の真価は水辺での戦闘であり、水辺での制圧力は他の忍空を凌駕する。
――これも、俺の知らない忍空。
――以上が忍空の全てである。
半分以上が俺の知らない忍空だが、それについて思考を巡らせることが出来るのは、これが神様から貰った力の一端だから。
正確には『全ての忍空技を扱う知識と才能』の内の知識の恩恵なんだが……。
――俺は、全ての忍空技を行使出来る。
風助たち忍空の師匠、お師さんこと『麗朱』と同じ域にいるワケだ――。
勿論、初めから忍空技を使いこなせたワケじゃなく、地道な修行の末に辿り着いた境地なワケだが――。
何より、学園都市行きが決まった時に、死に物狂いで修行した成果だな。
ゴキュッゴキュッゴキュッ……。
風呂からあがって、部屋着に着替えて風呂あがりの牛乳を戴く。
一リットルの牛乳をらっぱで一気飲みである。
「ふぅ……」
牛乳を飲み干し、改めて考える――もう何度も考えてきたことだ。
俺は神様から貰ったこの『忍空』の力を磨いて、極めることが出来た。
正直、チート極まりないと思う。
しかし――しかし、だ。
この力がこの世界の超能力者――あるいは魔術師に通用するのか?
通用するだろう――並大抵の奴なら軽く蹴散らせる自信がある。
忍空使いは隊長クラスにもなれば、軍隊の一個師団以上の戦力なのだから。
――だが、相手が並大抵じゃなければどうだ?
科学サイドのlevel5、魔術サイドの聖人――こう言った連中にも通用する力なのか?
答えは――通用する、だ。
こと、殺すという一点に置いては、余程のことが無い限り可能だとは思う。
しかし、セロリこと一方通行さんは例外だ。
正直、全盛期のあやつには勝てる気がしねぇ。
油断や慢心している所を突けば分からないが、多分それが出来るのは上条さんだけだろうし――後は汚いひ○し。
ビリビリこと超電磁砲さんは、正直電撃自体は恐くも何とも無いのだが――その代名詞足るレールガンを全力で放たれたら、防ぎきる自信が無い。
聖人にしてもそうだ。
【ねーちん】改め、神裂さんを例に挙げるが――身体能力で彼女に劣るつもりはない。
彼女のワイヤー技――七閃だっけか?
仮にもこちとら忍空使いだ……あの位なら幾らでも対処出来る――が、もし『切り札』を切られたら?
正直、不安感を拭えない。
不完全な氷華さんとかならともかく、力のある本物の『天使』なんかが相手となった日には、無理ゲー過ぎて宇宙へランナウェイしたくなること請け合いだ。
「……『天空龍』の力が使えれば、話は違ってくるんだろうけどな」
『天空龍』とは、アニメ版忍空オリジナルの要素である。
忍空は龍脈――大雑把に言えば自然の力を行使する。
その際に、龍脈を文字通り『龍』として見ることが出来、その龍に様々な形で触れることで忍空技を行使するに到る。
例えば子忍の技に空螺旋(くうねせん)という、自爆技の様な物があるが――これは風の龍の逆鱗に触れることで発動する――風の龍の逆鱗は風助少年曰く、『ケツ』にあたるらしいのだが。
で、天空龍だが――これは他の龍とは一線を画する存在だ。
その龍を見るだけで、忍空使いの秘める『空力(或いは忍空力とも)』は、数十倍にも跳ね上がるらしい。
ましてや天空龍の力を十全に使いこなせたなら、敵は居ないと言っても良い。
現に風助少年は天空龍の力を使い、強大な力を持つコーチンというラスボスを倒している。
さてはて、此処で天空龍とは何ぞや?という疑問が出てくる――。
これは俺の勝手な解釈だが、他の龍がこの星の万物に存在する龍脈だとして、天空龍とは『星の力』そのものなのではないか――と、考えている。
星の力そのもの故に、星の中の自然の力もまた強くなる――。
その力を使える者は、星の守護者と言っても過言ではないだろう。
――で、肝心の天空龍の力を使えるかと聞かれれば―――使えないと答えるしかないんだけどな。
そもそも、天空龍がこの世界にも存在するのか分からないし――まぁ、龍が見えたのだから存在していても可笑しくないんだろうけども……。
「考えすぎなんだろうけどなぁ……」
そも、今挙げた連中と戦わなきゃならない理由は無いし――。
何らかの理由で衝突した時には、その限りじゃないけど――殆ど上条さんが何とかしてくれるだろうし――。
俺がでしゃばって上条さん並みの結果を残せるかと聞かれれば、どこぞのスタンド使いな漫画家じゃねーが、俺はハッキリNOと答えるだろう――。
俺は溜め息を吐きつつ、ベットに横になる。
「まぁ、なんとかなるだろう――」
正直、不安は強いが――幸い学園都市に来たことで手に入れた武器もある。
俺の発現した能力――『未来予測(ネクストアンサー)』。
読んで字の如く、未来予測をする能力だ。
卯忍の能力でも、似たようなことが可能だが――アレはあくまで『未来予知』であって、『未来予測』ではない。
――この能力を使うことで、俺は戦闘では確実に優位に立てる。
……超能力開発(カリキュラム)を受けたのに忍空が使えるのか――って?
どうも、忍空はあくまでも忍空でしかなく、魔術でも超能力でもない為、そういう制限を受けないみたいだ。
――ご都合主義最高!!
冗談抜きで言えば忍空と、魔術や超能力ではその仕組みの根本からして違うので、さもありなんって感じだが。
……って、俺の能力がどういったものかの説明になっていないって?
――まぁ、その内詳しく語る時もくるのだろうさ――今は……。
「飯でも作るか!」
ベットから飛び起き、意気揚々と台所に向かって行った。
俺はもう、飯のことしか頭に無かった。
**********
「ふぅ、ごちそうさま――我ながら中々の出来だった」
飯は最新鋭のふっくら電子釜で炊き、わざわざお櫃に移してから頂いた。
おかずは和洋折衷、肉野菜魚のバランスが取れたご飯が進むこと間違いなしの理想的なおかず――ご飯を含め、量は相撲取りもビックリな感じだが――今の俺にはコレが普通なのである。
「さて、と――腹ごなしの修行といきますか――」
俺の修行は二通りある……能力の修行と忍空の修行である。
今回は部屋の中で行うので忍空の修行の一部と、能力の修行を行える。
と、言っても然程難しい内容じゃあない。
忍空の修行は座禅を組んでの瞑想、能力の修行は能力そのものを使うこと。
忍空技の中には、瞑想で自身を仮死状態に導く技もあるが――俺がやっていることは単純。
集中力を高め、龍を感じ、龍を視ているのだ。
龍は普通は見えないだけで、見える奴が見るとそこら中に確認することが出来る。
この部屋の中だけでも、複数の龍が行き来している――龍=龍脈。
龍脈は万物に存在する――風にも、空気にも、物にさえも。
俺が空力を込めてこの龍たちに触れれば、すぐにでも自然の力を顕現させられるだろう――本気でやったら部屋がエライことになるので、ゆっくりと体表を撫でる様に――。
それだけで、部屋の中に緩やかな風が舞い――空気の温度が変化していく。
――忍空は戦う為の力だが、こう言う訓練をすることで力の制御を行い精通し、より精度を高めていく。
ぶっちゃけ、間違って空螺旋ぶっぱなんてした日には目も当てられない。
まぁ、俺はどの龍にも『好かれている』みたいなので、余程のことでも無い限り力の暴走はあり得ないんだけど。
能力に関してはもっと単純で、ただ能力を限界以上に使うだけ。
――ぶっちゃけ、食後の運動にはならないが――こと能力の修行はその能力の特性上、集中力と演算の繰り返しが必要になってきて、下手な運動より疲れるが――やっぱり運動にはならないな。
――その後、その日の修行を終わらせて――やはり身体を動かしたかった俺は着替えて『散歩』に出掛け――帰って来て再び風呂に入って就寝した。
明日も学校だし、早く寝よう、うん――。
***********
学園都市には都市伝説が存在する。
どんな能力も打ち消す能力者――妖怪脱ぎ女――デュアルスキル――。
まことしやかに囁かれるそれらの噂は、ともすれば荒唐無稽で信憑性の薄いモノであると言わざるを得ない。
しかして、学園都市に住まう者の大半が年端もいかない少年少女なのだから、そういう噂が囁かれるのもある意味必定であるのだろう。
では、こんな噂はご存じだろうか?
『説教めいたニンクウツカイ』
曰く、デュアルスキルめいた術を使う。
曰く、口上が説教めいており、決して名を名乗らない。
――曰く、スキルアウトを恐怖のズンドコに叩き落とす存在であると。
とある日、太陽も沈んで良い子はお家に帰る時間となった。
そんな中、とある少年がスキルアウトの集団に絡まれていた。
スキルアウトとは、学園都市における不良ないしチンピラの総称である。
大体は能力開発をしたにも関わらず、level0の烙印を押された連中や、うだつの上がらない低level能力者が腐ってグレた集団であるが――。
しかし、中にはマフィア並に学園都市の裏社会に精通する組織や、高レベル能力者――または独自の価値観の元に行動している者たちも居るので一概には言えないのだが――。
少年に絡んでいるのは前者――チンピラ集団の方であった。
少年は補習を受け、遅くまで居残りを課せられた故に、普段は通らない様な裏道を通って家路を急いだ。
――ものすごいフラグ臭漂うそれを、少年は予想通りに踏み当ててしまった。
「おい、坊主――此処は俺らのテリトリーなんだよ。そこに無断で入り込んだんだ……通行料は払って貰わないとな?」
「そ、そんなの横暴じゃ――「ウラァッ!!」ひっ!?」
反論しようとした少年はしかし、スキルアウトリーダーの情熱的壁ドンにより黙らされた。
「テメーの意見なんざ聞いてないんだよ……払うのか払わないのか、さっさと決めやがれや――もっとも、払わないなら痛い目にあってもらうことになるけどなぁ……何せ俺らは血の気が多いからよぉ!!」
「「「ヒャアッハハハハハッ!!!」」」
チンピラ集団が馬鹿笑いをする中、少年は思った。
――あぁ、まただ、と。
この少年、日常的にイジメを受けたり、こうして不良に絡まれる生活を送っている。
本人の押しの弱い性格や、引っ込み思案な性格なども相俟ってターゲットにされることが多い。
少年は助けを求めた――しかし、誰も助けてくれない。
学園都市にも自警組織の様な風紀委員(ジャッジメント)や、警察組織の様な警備員(アンチスキル)等は存在する――。
しかし、彼らは事件が起きてから動き、未然に防げることは殆ど無い――と、彼は思っている。
例え能力者と言えど、事件が起きる前の捜査は不可能であり、基本後手後手に回るのは致し方ないと言える。
学園都市には、一月先の事象をも導き出すスーパーコンピュータも存在するが、当然ながら正規の生徒や教員には使えない代物だ。
「待てぃ!!」
「!?」
「な、なんだぁ!?」
――だが、そんな彼にも救いの手を差し伸べる者がいた。
路地裏に差し込む月明かり――その光を背に、ビルの屋上に奴は居た。
そして、やたらと届く声でこう言った。
「人の心を恐怖で踏みにじり、心に闇の帳を落とし私腹を肥やさんとする所業――人それを――【外道】と言う――」
そして、スキルアウトリーダーはメンバーを代表して言葉を口にする。
「なんだテメー、何モンだぁ!?」
その問いに、奴はこう答えた……。
「――お前たちに名乗る名前は無いッ!!」
そして奴はビルから飛び降り、ビルを足蹴にしたかと思いきや――。
「なっ、ギャアアァァァッ!!?」
「「「リ、リーダアアアァァァァッ!!!」」」
次の瞬間には弾丸の様に飛んできて、スキルアウトリーダー含む数名を殴り倒してしまった。
奴が着地した場所は軽くクレーターになっていたが、殴り倒された連中はピクピクしていたので上手く手加減された模様。
そして、少年を背に立ち上がった奴は――正体不明だった。
長身の男であるということは、何と無く分かるのだが――その顔や、頭はボロい布きれの様なモノで隠されている。
その服のデザインも相俟って、そのイメージはジャパニーズニンジャに近いモノがある。
「また……また、来てくれた!」
「あぁ、来たぞ少年。――しかし、君は少々襲われ過ぎだな」
希望に満ちた顔を浮かべ、謎のニンジャモドキの背中を見つめる少年。
実はこの少年、このニンジャモドキに助けられるのは初めてでは無い。
これまでも、幾度となく助けられている。
「テメェ!よくもリーダーを!!俺のエクスカリバーの錆にしてやるぁ!!」
怒りに駈られた一人の男が、警棒(エクスカリバー)を振りかぶってニンジャモドキに襲い掛かった。
「――『空手裏剣』!!」
だが、次の瞬間!!
「お、俺のエクスカリバーがぁっ!!?」
男のエクスカリバー(警棒)は、細切れ状態になっていた――それを為したのは、眼前のニンジャモドキ。
「このコスプレ野郎がぁ!!俺の魔剣の錆にry」
今度は別の男がニンジャモドキに襲い掛かろうとして――。
「爽やかな風をプレゼントしよう――『空圧掌』っ!!」
「「「ぎにゃあああぁぁぁぁぁっ!!?」」」
ニンジャモドキが手を扇ぐ様に振るうと突風が巻き起こり、スキルアウト連中は吹き飛ばされ、ビルの壁に激突していた。
「に、ニンジャの様な格好の……能力者……?ま、まさかコイツが噂の、『ニンクウツカイ』なの、か……!?」
気を失わなかった内の一人が、ニンジャモドキを驚愕の眼で見つめていた。
そう、眼前のニンジャモドキこそ、巷で噂の『説教めいたニンクウツカイ』その人である。
――ちなみに、彼はスキルアウトはおろか、助けた相手にも自分の名前は名乗らない。
ならば、ニンクウツカイなる言葉が何処から伝わったのかと言えば――以前に彼が助けた者の一人が、余りにも彼の正体をしつこく詮索してきたので咄嗟に『通りすがりの忍空使いだ!』と、言ってしまい――それが広まってしまった。
――人の噂に戸は立てられないのである。
自業自得、インガオホー。
「知っているなら話は早い」
ニンクウツカイ=サンは、威圧感を込めて――内心ヤケクソ気味になりながら、右手に炎を、左手に氷を生み出して問う。
「燃やされるのと、凍らされるのと――好きな方を選ばせてやろう」
「デュ、『デュアルスキル』……!?」
「じょじょ、冗談じゃねー!!」
意識のある者は恐怖し、我先にと逃げ出していく――。
「オタッシャデ〜……と、怪我はないか少年」
ニンクウツカイは炎と氷を消し、少年に向き合った。
「は、はい!ありがとうございます!!」
「――もう少ししたら風紀委員が来るみたいだから、後のことは彼女らに頼むと良い」
少年が勢い良くお辞儀をしたので、若干面食らったニンクウツカイ=サンは風紀委員が向かっていることを告げる。
しかし――。
「……あんな奴ら、来ても来なくても一緒だ」
「ぬ?」
「アイツらが来るのはいつも僕が被害に遭った後だ……いつもいつもいつも!!なのに偉そうにこの町の治安を守ってるなんて、偉ぶってさ……アイツら風紀委員も、他の奴らと一緒だ!!何も変わらないっ!!!……けど、あなたは違う……僕が望んだ時に助けてくれた……あんな口先だけの風紀委員なんかじゃなく、見て見ぬフリをするゴミどもじゃなく、あなたが、あなただけが……助けてくれた!」
少年は鬱屈した気持ちを吐き出す。
そこには狂気が滲み出ており、忍空使いは表情にこそ表さない――というか顔が隠れているので見えない――が、内心で頭を抱えていたりいなかったり。
「なぁ、少年よ――今回までは俺も運良く助けることは出来たが……いずれ助けられない時が来るかも知れないぞ?」
「そ、そんな……」
「責任転嫁とは言え、風紀委員にそこまで怨みつらみを吐けるお前さんは、俺の想像以上に陰鬱な日常を送ってきたのかもしれないな。けどな、誰かを逆恨みするくらいなら、その熱意をほんの少しで良いから戦うことに向けてみちゃどうだ?」
「アンタに……アンタに何が分かるって言うんだ!!そんな強い力が、能力があって――僕はアンタとは違う!!僕の弱い能力で歯向かったって、戦えるわけないじゃないか!!」
少年はニンクウツカイに対して、崇拝に近い感情を抱いていた。
困った時に助けてくれる、都合のいいヒーローとして。
そんなヒーローが『都合の悪い』説教をしてきた――裏切られた様に感じた少年は、ヒーローを見る眼差しから怨敵を見る様な眼でニンクウツカイを睨み、自分の想いを吐露した。
憧れの裏に隠れていたのは、嫉妬。
「けれど、能力はあるんだよな?だったら何でそれを磨かないんだ?」
しかしニンクウツカイは何処吹く風。
ただ不思議そうに、少年に問い返していた。
「この学園都市に在籍する半数以上は無能力者だ――お前さんは磨ける力があるのに、力の無い弱者を気取るのか?」
「そ、そんなの……」
「皆が皆、最初から強い力があったと思うのか?――勿論、中には例外もあるだろうが……俺を含めその大半は自分を磨き続けた結果だ――お前さんの能力がどんな能力かは知らんが、磨きもしない内から無駄と決め付けるのは早計だと思うがね」
そう言うなり、彼はその場から跳躍――手近にある建物の屋上へと着地する。
「あ……」
「少年。どうにもお前さんに足りないのは能力云々よりも、戦う覚悟みたいだな――後は一握りの勇気だけだ――もし、それでも足りないときは……」
背中を押すくらいはしてやんよ。
そう告げたニンクウツカイは、その場を後にした。
「僕は……」
その後、風紀委員の少女が現れるが既に少年もその場を去った後だった。
少年は考える――覚悟と勇気……自分には縁遠いモノだ。
それでも少年は想う……覚悟と勇気があれば、この状況を打開出来るのかと。
ヒーローである筈の者から突き放され、恨み言の一つでも呟くのが本来の少年の通例であるのだが――。
努力を怠っていたのは確かだし、恨み言を言う反面、諦めを抱いていたのも事実。
それなら――。
「頑張ってみても、いいかな……?」
周りから見れば微々たる変化かも知れないが、少年にとっては大きな大きな一歩だ。
この変化が、少年の運命を変えることになるかは……今は分からない。
ただ、燻りどす黒く染まる筈だった感情に、小さな光が宿ったことは間違いない。
少年の名は――介旅 初矢(かいたび はつや)と言った。
……ちなみに。
「アイエェェェェ!?何を説教なんてたれてるんだ俺わあぁ!?説教が許されるのは上条さんかモヤシくらいだろうJK?ガラじゃねーっての、身の程知らずだっての!!ぬわーーっ!!」
件のニンクウツカイ=サンは、自宅に帰宅した後に自らの行動を省みて悶絶していたといふ。
どっとはらい。
というワケで、『とある』世界への転生物です。
ハーメルンでSS書くなら、一度は扱いたい題材だったので……。
更新は亀ですが、また暇潰しにでも覗いて戴けたなら幸いですm(__)m