勇者オルガ~オルガ・イツカは勇者である。~ 作:御れんじさん
「というわけで、お前さんたちは死んでしまったんじゃ」
「何!?」
俺は……さっきクリュセの郊外で、団員を守って死んだはず……だが、どういうことだ? 今は、雲の上の、レトロな家財道具が置かれた、謎の空間で、謎の老人とちゃぶ台を挟んで向かい合っている。
つまり、ここは死後の世界で、ことか? 正直ピンと来ない。……勘弁してくれよ。
……ん? そんなことより……待ってくれ! 今コイツ、お前さん
「……は? アンタ何言ってんの?」
俺の背後から、懐かしい声が聞こえる。
この声は……
「ミカァァ!!!」
「うるさいよ」
「すみませんでした。……てか、ここが死後の世界なら、ミカお前……」
「オルガがいなくなった後の鉄華団のことは、後でゆっくり話すよ。それより今は……」
ミカが、目の前の老人を睨む。相変わらず、獲物を狙う鷹のような、鋭い眼だ。すげぇよ、ミカは。
「ああ。あんたが俺たちをこんな場所に呼び出した要件を聞こうか」
「ていうか、あんた誰?」
「すまんのう、自己紹介がまだじゃった。ワシは神じゃ」
「俺は……鉄華団団長……オルガ・イツカだぞ!」
……!? なんだ今の。体が勝手に……!?
「それでのう、実は、お前さん達のいたのとは違う世界の技術、それも、その世界の神が司どっていたシステムの一部を、うっかり下界へ落としてしまったんじゃ」
他の世界の……システム?
そんなモンが、俺たちの世界に?
「どういうことだ?」
「阿頼耶識システム。お前さん達のいた世界では、そうよばれていたのう」
待ってくれ!?
阿頼耶識の手術は、CGSの加入条件だった。つまり、CGSに入ろうとする、行き場のない俺たち見てぇのは、みんな受けた。だが、そんでも手術が成功するとは限らねぇ。ひでぇときだと、命だって落とす。実際そうやって、俺たち鉄華団の家族だったかもしれねぇ奴らが、どんどん死んでった。
「アンタのせいで死ななくてもいい仲間が死んだ。この落とし前、あんたどうつける?」
「すぐにお前さん達を生き返らせよう」
……何!? そいつぁありがてぇ。俺はアイツらを残して逝っちまったからな。もう一度戻って顔見れるなら、俺は何だってする。
「だがのう、同じ世界に戻すわけにはいかんのじゃ。そういう決まりでな」
「アンタ何言ってんの?」
「俺は落とし前を付けに来た。俺たちを元の世界に生き返らせられねぇ場合、どうなるかわかってんだろうな?」
──カチャ
ミカが銃口を、神と名乗る老人へ向ける。その眼に、相手を打つことへの、一切の迷いはない。同時に落とした火星ヤシはちょっと気にしてるみたいだが。
「……まっ!?」
──パンパンパンパン
「……さてと、帰るか」
神の力なんて借りなくても、きっと俺たちなら、前へ進める。今までだってそうやってきた。
決して散らない鉄の華。俺たち鉄華団は、離れちゃいけねぇんだ。早く、アイツらのもとへ戻らねぇと。団員を守んのは、俺の仕事だ。
「あ、待ってオルガ。火星ヤシ拾う」
「勘弁してくれよ……」