世は現代。
急激なネットワークの普及により誰もかれもが電子的なものに触れることができるようになった時代。
情報は溢れ、流れ、そして消えていく。
どんな凶悪な事件であろうとも、しばらくすれば新しい情報によって流れ消えていく現代社会。
たとえそれが、世界の危機だったとしてもいともたやすく流れていくそんな時代。
だが、そんな時代でも残る情報があった。
これはその一つ、流れる情報が文章としてみることのできる掲示板という物に、まるで傷跡のように残された情報があった。
それはとある噂話である。
内容という物は、ありきたりではあったがこういう物だ。
怪物に襲われたらバケツを被ったような姿の人間に救われたというもの。
これだけ聞けば、寺生まれのTさん似たものが存在する。
これらは掲示板に投稿されたいわばネタようなもので、ネット文化の一つとして残されている。
だが、この存在に救われたという情報はそう言うカルチャーとして受け入れられるということはなく、現実にあったと強く認識されている。
それはなぜか? それはテレビに出ている芸能人やアイドル、果てには政治にかかわる者たちでさえもこの存在に助けられたことがあると証言しているからだった。
ネットでは、『バケツの守護神』『コスプレした変な人』『謎の組織が生み出した超人兵士』『寺生まれのBさん』
などなど、さまざまな呼び方で覚えられている。
人々は主にこの存在を自分たちを守ってくれるなんか変な人、という認識を共通のものとしていた.
だが、その存在を危険な者と認識している者たちがいる。
それは昔から日本という国を霊的に守っている組織の人間たちだった。
このような存在がいるということは、今もなお霊的な存在が現代に根付いているということだった。
さて、そんな彼らがなぜこの存在を危険視しているのか、それは単純にこの存在が強いということだった。
そう強いのである。
その気になれば都市一つは落としてしまいそうな力を持っている予測されるからだった。
過去の組織にはそれほどの力を持った人物がいた。
だが、その人物はもうはるか過去の人物で、現代にいたるまで彼に追いついた人物というのは一人も存在していといえば。その人物がやばいということがわかってもらえるだろうか。
まあ、日本刀と拳銃そして霊的存在たちを従えて人型巨大戦艦をぶった切るなどというおかしなマネをしでかしているのだ。
そうポンポン出てくるわけがない。
もちろん現代のそのお役目を担っている人物が弱いわけではない、過去のその人物が頭がおかしいだけだ。
閑話休題
さて、組織はこの存在とのコミュニケーションを取る方法を試みることにした。
触れば危険なその存在をわざわざ触れる必要はないのだが、放っておけば何が起こるかわからない。
せめてコントロールできる方法がないかを模索することにしたのだ。
そしてその役目は、現代におけるお役目――ライドウを担った人物が行うことになった。
ライドウは日本中を探し回るという苦労の果てにやっとその存在を見つけることに成功する。
その存在は報告通りバケツのような物を被った存在だった。
だが、そんなふざけた格好だというのに、その身から出てくる強大なマグネタイトと呼ばれる者の波動は強大なものだった。
緊張の中、ライドウが声をかけしばらくすると、その存在はゆっくりと言葉を発した。
『すいません、ここどこですか』
「はい?」
超常的な存在の第一声は、ひどく締まらない物だった。
気が付けばバケツ装備で変なところをさまよう羽目になっていました。
うん、何を言っているのか自分でも意味がわからない。
気が付く前は学校から帰ってきて、急に眠気に襲われたからそのまま眠ってしまったはずだったのだけどなぁ……。
まあ、いいや。
今はこの状況を何とかすることにしよう。
今おれの足元には悪魔と呼ばれる存在が横たわっている。
うん、悪魔なんだ。
それも女神転生に出てくるあの悪魔、とりあえずなんか出てきた銃で迎撃したり直接殴ってみたらなんか倒せてしまったというのが現状だった。
どうやら今おれがいるのは異界のようで、歩き回ってもいろんなところに飛ばされてしまうようで、いろんなところを歩き回る羽目になってしまった。
飛ばされる先はどうやら日本の中のようで、言葉に困ったりはしなかったのだけど、人と会話ができないというのがつらい。
というのも、飛ばされる場所はたいてい悪魔がいて、人が襲われているという状況ばかりだったのだ。
で、悪魔を倒して助けたりしてたんだけど倒した瞬間にまたどっかに飛ばされるから困ったもんだった。
それで、今回も飛ばされたらやっぱり悪魔がいたので倒した時だった。
「少しいいですか」
そう言って女の人が話しかけてきた。
腰にポン刀と拳銃、あと試験管みたいなものをぶら下げた人だった。
俺はどうせまた飛ばされるんだろって思って無言を貫いてたんだけど、待っても待っても飛ばされもしない。
これは解放されたかのか? なら話しかけても問題ないな!? とやっと話せるという喜びをもって返事を返そうと思ったんだけど、この時俺には重要な問題があった。
――俺、女の人と話したことない
彼女いない歴=年齢の童貞である。
どんな気のいい返事を返せばいいのか全く分からない。
だが、このまま無言を貫いてしまえば腰に下げてるポン刀と拳銃で攻撃されるかもしれない。
だから、とにかく何か返答を返そうと思い言葉を返した。
『すいません、ここどこですか』
「はい?」
……返す言葉を間違えたかもしれない。
あとこの人、装備的にもしかしたらライドウじゃなぇか!? 下手したらフルボッコにされるんじゃないだろうな……どうしよう……
いったいどうすればいいんだよおおおおおおおおおおお!?。