「ふうむ……」
赤黒い魂のようなエネルギー、それはマガツヒと呼ばれる物だ。
それが部屋中に動き回る赤い部屋に金の髪の少年はいた。
そこは別世界ではアマラ深海と呼ばれている場所を限定的に展開されているという通常ではありえない空間であった。
当たり前だが、この世界はボルテクス界ではない、もっと言えばあの創世の光を放つ無尽光カグツチは光り輝いてなどいない、世を照らすのは相も変わらず赤い太陽だ。
では、なぜこのような部屋が生まれているのか? それは少年が持つ強大な力にほかならない。
「ただの悪魔では面白くはない……なら何がいいか」
少年はコロコロと表情を変えながら、思考を繰り返していく。
その姿は愛らしくも見えるが、その影は世にも恐ろしい強大な何かが映っているようにも見える。
「よし、決めた」
少年は立ち上がった。
少年の顔は禍々しくも美しい笑みが浮かべられており、手にはノルンの鍵が握られている。
「ちょうど今代のライドウもいる。なら、あの事件の再来と行こうか?」
少年は、嗤いながら儀式を始める。
手に持つノルンノカギは、少年の紡ぐ言霊に呼応するように光り始めた。
「底なしの穴より来たるは、虫の群れ。 ありとあらゆるものを食らいつくさんとする者よ、呼応せよ、我が呼び声に答えよ」
少年の前に、周囲のマガツヒが集まり小さな穴を成す。 その穴は深淵のように暗く、深く、底が見えることはなかった。
「ふむ、とりあえずこれでいいか」
そう言うと、少年は穴を置いて部屋から出た。
部屋には暗い穴が一つ、奥底からは羽虫のような音が鳴り響いていた。
あの悲惨な事件から早くも一カ月がたった。
あのあと、ライドウさんの所属している組織の手によって事態は隠蔽されて事態は何とか……なんとか? 収拾することに成功した。
内容は地面のガス管が経年劣化でガス漏れを起こし、何らかの拍子に大爆発を起こし、多くの被害を出したという内容だそうだ。
周囲にいた人間や、ネットの対応の方もなんとかなったそうな、人間はわかるんだけどネットはいったいどうやったんだろうか、気になって聞いてみてもライドウさんは知らない様だしなぁ……まあどうでもいいか。
で、事件の犯人というか原因というのはガス会社のせいになった。
ガス会社がかわいそうだと思ったけれど、そこら辺の対処もやっているらしいから安心していいと言っていた組織の人の顔は疲れ切っていた。
ブラックやでぇ……。
ちなみに今自分が何をやっているのかというと? 。
「朝だぞライドウ、早く起きないと学校に遅れるぞ」
「うーん、あと五分‥…」
「なんとベタな寝言だ‥…」
ライドウさんを毎朝起こしている。
気分は完全に使用人のそれだと思うけど、なかなか楽しいものだった。
さて、どうしてこうなったのか、それは少しばかり深い事情がある。
というのも、自分はこの世界には存在していない人間らしく、当然戸籍もない、さらには強大な力を持つ存在を放置しておくのもだめだとなると、誰かが監視しないといけない、誰がやる? では私が、と言ったのがライドウさんだったわけだ。
今いるこの場所は、ライドウさんの住居がある大きな探偵社の中だ。
この探偵社、実はなんと、あの十四代目のライドウが世話になっていた鳴海探偵社なのだった。
正確には鳴海の子孫が立て替えたらしいが、それが今もなお残っていて、かつまたライドウが世話になっているというのはすごいものだ。
そして現在、自分は鳴海探偵社で働かせてもらっている。
戸籍がないのにどうやって働くのかって? 組織の人たちが一晩で
閑話休題
「……」
さて、二度寝を始めたこのライドウ、どうしてくれようか。
このライドウ、年齢は十六歳だそうで現役の高校生らしい。
つまり、彼女はライドウと探偵社の手伝いと高校生という三足の草鞋を履いているのだ。
本当によくやるものだとは思うのだが、私生活の方はあまり頓着しない性格のようでよく学校をさぼっているそうだ。
まあ、ライドウの仕事があるのだからしょうがないとは思うが、二度寝はどうかと思う。
「起きないのならこちらにも考えがあるぞ」
そして一カ月前までは空白だった仲魔を選び召喚する。
召喚するのは手の平サイズの小さな羽のついた小人、妖精ピクシー。
召喚されたピクシーはライドウさんの傍によると、
「きゃあ!?」
ちょっと強い静電気レベルまで落とした魔法を食らったライドウさんはかわいらしい声を上げて飛び起きた。
しばらく何が起こったのかと首を回していたが、自分を見つけると首を止めてこう言った。
「……おはようございます」
「はい、おはよう。鳴海さんが待ってるから早く支度してくれ」
俺がそう言うと、顔を赤くしながらも小さく「……はい」と答えた。
自分はその返事を聞いた後、ピクシーを戻してから部屋から出た。
これが今の自分のよくある朝の出来事だった。
「はは、相変わらず朝は弱いみたいだねぇライドウちゃん」
「めっ面目ございません」
広間にて、食卓を囲むのは白いスーツを着た男と私服姿のライドウ、そしてバケツの男だった。
「まあ、彼が来てからはちょっと減ったかな」
スーツの男は笑いながらそう言う。
ライドウは顔を赤くしながら身を縮め、バケツの男は苦笑いだった。
そして、食事を終えて一息ついた頃、スーツの男は顔を真剣なものへと変えてこう言った。
「さて、二人に組織からのお仕事だ」
スーツの男、鳴海は茶封筒をテーブルの上に出した。
日常は影に落ち、非日常が顔を出す。
こっから不定期になります
アイデアが降ってくれば早くなりますし、こなければほかの書いたりしますご容赦ください