(…………ん?)
呼ぶ声がする。
さっそく?ようやく?
ここは時間の概念も意識も曖昧だからよくわからん。
『我が……は…が……。聖…の……』
さて、拒否も出来そうだ。
なんなら、今応じると絶対に良くない、そんな気がする。不安定な召喚によるペナルティ…みたいなものが起きそうだ。直感持ちではないんだがなぁ。
(けど、それは出来ないよな)
この声は救いを求めてる。なら、救わなければ。
俺の名前は藤丸立香。気がついたらカルデアという場所にいて、あれやこれやと流されるままに今はここ、炎上(物理)している過去の冬木市に来ていた。
レイシフト…という技術らしいのだが、よくわからない。
「先輩、召喚サークル形成完了です!」
この娘はマシュ・キリエライト。何故か自分を先輩と呼ぶ少女。現在はシールダーというクラスのサーヴァントとなっている。
現在、俺とマシュ、そしてもう一人、所長であるオルガマリー・アニムスフィアという少女はこの冬木から脱出するために行動していた。
骸骨の兵隊みたいなのが所々にいること、今は対応出来ているがサーヴァントになりたてのマシュだけでは危険ということでサーヴァントの召喚をしようということになった。
『この土地の様子から召喚出来るのは一回だ。危険な賭けではあるが頑張ってくれ』
通信してくるのはDr.ロマン。医療関係の責任者とのことだが、今は代理でカルデアをまとめてくれてるようだ。
「告げる──」
所長とドクターから教えられた詠唱を口にする。
「汝の身は我がもとに。我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。
誓いを此処に。我は常世総ての善となる者、我は常世総ての悪を敷く者。」
ここで詠唱を追加してバーサーカーを呼ぶ案も出たが、サーヴァントの中にはマスターへと危害を加える場合もなくはないこと、この状況では意志疎通が取れるほうがいいということで却下された。
「汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ──!」
じんわりと手の甲に浮かんでいた令呪に熱がこもる。
沸き上がる突風。それが止んだとき、目の前にいたのは一人の男性だった。
「サーヴァント、ランサー。ここに召喚に応じた」
片手には槍、左の腰には剣と短剣。鎖帷子だったか、それに似た鎧を着てそれらを覆うように右半身を赤い布を纏っていた。
「召喚に応じたのはいいんだが、酷い状況だな」
周囲を見回し彼はそう言う。確かに周囲は、建物は崩れ、至るところから煙が上がり夜空を赤く染めている。
酷いとしかいえない様子だ。
『よし、成功だ!それも三騎士のクラスを引くなんて!』
ドクターの声色から良い引きだったと思われる。
しかし、彼の顔は困ったように曇った。
「あー、どこの誰かは知らないが当たりではないぞ俺は。マスター、俺のパラメーターを見てみろ」
マスターはサーヴァントのパラメーターを確認出来るという。
【ランサー 真名□□□□□
筋力 E 耐久E 敏捷 E 魔力 E 幸運 E
宝具 EX】
「えっ…」
「ちょっと、どうしたのよ」
思わず漏れた反応に所長が反応する。そして、見たものを伝えた。
「はぁ!?宝具以外最低ランクしかないってどういうことなのよ!」
「いやはや、俺もそこまで高いスペックだった訳ではないがやっぱりこんなことになったか」
なんでも不安定な召喚によるペナルティ…なのかもしれないとのことで、本人もわかっていないと。
「ついでに言うと、宝具に関してはもっと期待しないで貰いたいな。限定的な状況でなければ意味をなさない宝具だ。条件が揃わなければ何も出来ない」
「使えないわね、こいつ!」
所長の一言に苦笑いだ。
何ともいえない空気の中、ふとランサーは表情を変えた。
「スケルトン…でいいのかな、14体接近中。方角は…南東方面だな」
『えっ、本当だ。まだ距離はあるけど接近中!召還の魔力に釣られたのかな』
「よくわかりましたね」
「いや、気配感知は得意でね」
さて、と彼は続けて、
「じゃあマスター、指示をくれ。何、簡単なものでいいさ。話の続きは後にしよう」
しばらく冬木が続くかと。
というか、いつオリ主の真名がバレるか。別に困ることはないけども。
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