この小説に出てくるオリジナルの専用機持ち達は基本的にバケモンみたいなスペックもちだと思って下さい。
じゃないと、薪が育たないからね。
リーグ・マッチまで後数日、最後の追い込みをかけるチームが多くいる中、俺は一人、食堂に昼食をとりに来ていた。
多くの、女子高生が賑わう食堂の中を抜け食券を握り絞めて、注文カウンターへ向かう。
が、複数ある注文カウンターの中でひときわ、行列ができている場所があるのを見つける。
「なんだこりゃ?」
ちょっとした大名行列に驚いていると後ろから声をかけられる。
「やぁ、薪」
「おお、ソル・・・って、こっちにも大名行列!?」
後ろから現れたのは沢山の女子高生を連れたソルだった。
「ん?ああ、みんな、ここに固まっていると他の人の邪魔になってしまうから、一度、散らばって注文しよう」
「「「「「はい!ソルお姉さま!!」」」」」
圧巻。
ソルにそう言われた、ファンクラブの子達は一瞬で各、注文カウンターに並んでいく。
「よし、薪、私達も並ぼう」
「・・・ああ」
ソルにそう催促され、一緒に一番空いている列に並ぶ。
「なぁ、ソル、あれは何の列なんだ?なんか限定パンとか売っている列なのか?」
「ん?ああ、あの列か」
ソルファンクラブの子達が、他の注文カウンターに並んでも、それでも最初に見たあの長蛇の列には及ばない。
「ある意味、IS学園では君のように珍しいからな。ほら、一番前を見て見ればわかるさ」
「一番前・・・、ん?」
長い長い、列の先にいたのは。
「ありゃ、男か?」
注文カウンターで注文を取っていたのは男性だった。
「IS学園では珍しいだろう、一様、
「へぇ、名前は?」
「確か・・・
「有里さんねぇ・・・おっと」
何時の間にか自分の番が回って来ていた。
カウンターで料理を注文し、料理ができ上がったらアラームが鳴るブザーを受けとる。
「なぁ、薪、一緒に食事でもどうだ?」
「ソルとか?ああいいけど・・・」
ソルの後ろを見る、そこにはズラッとならんだ女子生徒達、ソルファンクラブの皆さんがいた。
「いいのか?」
「ああ、構わんさ、いいだろ、皆?」
「「「「「はい!ソルお姉さま!!」」」」」
良かった、こういう子達ってもっと、異分子を嫌うもんかと思ってたから、これはソルの人柄がファンクラブの子達にも出てるのかもしれない。
しかし、この人数が一辺に食べれる席なんて果たして、このお昼時の食堂にあるのだろうか?
そう思っていると、席がある方から女の子が数人よってくる。
「ソル姉様!席確保してあります!」
「足りない分の椅子も持ってきました!」
「人払いはすませてあります!ほぼ、密室です!」
「いつも、すまないな、皆」
人海戦術とでも言えばいいのかあれよあれよと言う間に、座る場所が決まってしまう、というか最後の子は一体何をしようとしてるんだ。
ソルとそのファンクラブの皆さんに連れられて、確保されている席に座る。
「さて、薪とこうやってゆっくり話すのは始めてだな。時にはIS以外の話しもしたいものだ」
「そんな事、急に言われてもな」
「何、クラスの事でもいいんだ」
「クラスの事ね・・・」
座った席は四人席で、俺とソルは奥に座って対面している状態で通路側にはファンクラブの子が座っている。
「先生の事やクラスメイトの事でもいいぞ、楽しい話しでも悩み事でもいい」
「悩み事・・・」
そう思って真っ先に浮かんだのはオウアランダーの事だった、あの握手をし損ねた時から、オウアランダーとはほとんど会話などしてないのだ、したとしてもオウアランダーは簡単な相づちくらいしかせず、クラスの事は基本的に俺が決めるという状態だ。というか会話になってない。
これだな、あのフレンドリーな楯無も会話が出来ないと言っていたオウアランダーだが、このように人に好かれる、ソルならばあるいは。
「オウア・・・
「そうだ!せっかくだ、薪に聞きたい事があったんだ!」
「え?」
こちらが、話しを切り出そうとした時、ソルに上から被せられる。顔をニコニコさせながらソルが笑顔で聞いてくる。
「楯無は好きか?」
プロ野球選手もビックリするような豪速球ストレートが俺の胸を貫いた。
「・・・ソル、そういうのは・・・はっ!?」
見てる。
ソルの発言が聞こえていたのか、この辺りにいたソルファンクラブの子達を含め、食事をとりに来ていた女子生徒達が全員黙ってこちらを見ている。
ほら、はよ言えや。
会長と風見野君って確かに仲良しだよね。
言わんと男じゃねぇぞ。
待てよ、ソルさんが風見野君にそう聞くって事は、まさかの三角関係!?
男見せたれや。
女の子だしね、やっぱりそういった話題は気になるよね。
様々な思惑が交差する食堂の中、冷や汗をかきながら、何かこの状況から逃げれないかと考える。
「どうだ、薪?どうなんだ?」
「あのなぁ、ソル、お前も女の子なのは分かるが人の恋愛事情をそう・・・
「いいじゃないか、私と君の仲だ、前にも楯無を称賛したが楯無にはあの時言った事以外にもまだ沢山の素晴らしい所があるぞ」
「まだ出会って、一ヶ月だぞ、そういった判断は全然・・・」
「愛に時間は関係ないさ、それに転校してきて真っ先にに声をかけてくれたんだろう、楯無は?なんだか運命を感じないか?」
「・・・・」
ドイツ人だろ!情熱のイタリア人男性かお前は!
ソルのグイグイと来る、質問に中々言い出せないでいると早くもソルが諦めてくれた。
「ふむ、そうか、言えないか」
「突然過ぎんだよ」
「そうだな、やっぱりこういう話しは・・・」
ソルの目がキラリと光る。
「学校行事で外での宿泊をした時とかだな!」
「・・・・」
外に泊まると寝れないからテンション上がって、ベッドに潜ってよく恋話に発展するあるある。
もうコイツ本当にドイツ人なのだろうか?
突然過ぎた恋話も終わり、回りの目線も散っていく、早くアラームがならないかと手元のブザーを見ていると、再びソルが話しかけてくる。
「そうだ、薪互いに頑張ろうな」
「え、なにが?」
「何って、見ていないのか、対戦表?」
対戦表なんていつの間に張り出されていたのだろう、全然確認してなかった。
「すまん見てない、初戦は誰と誰がやるんだ?出来ればもう楯無と当たるのは勘弁・・・
ソルがこっちに指を指している。
「えっと・・・まさか・・・」
嫌な予感がする。
「君と私だ、お手柔らかに頼むよ、薪」
「・・・・」
ピー、ピーと料理が出来た合図のアラームが俺の手元で鳴り響く。
何だって俺は、こんなにも国家代表と初戦で当たるんだよ!!
俺の心の叫びは意味もなく、ただ料理を早く取りに来いとブザーに急かされ続けるだけだった。
「薪。遺書は書いたか?」
「ああ」
「ハンカチ持ったか?」
「もちろんだ、歯磨いてきた」
「よし、上出来だ」
「姉さんも薪さんもバカみたいな事いったないで、早くスタンバイして下さい」
リーグ・マッチ当日、ピット内にて、もはや初戦敗退を悟った俺と朱理はもはや意味のわからない事を言っている。
そこで、ピット内に入ってくる、人影が一つ。
「そうよ、薪君、ボロ負けしたら、お仕置きなんだから」
「楯無・・・」
入ってきたのはISスーツを着た楯無だった。
「わかってるよ、無惨な姿はさらさない、俺が諦めの悪い奴ってのはお前が一番知ってるだろ」
「そうね、薪君の粘着質な戦い方は嫌でもわかっるわ」
「粘着質・・・」
酷いいいようだ。
「まあ、いい、お前と戦ってから少しは俺も成長してるはずだ、ドイツの国家代表にどれほど通用するか試してくる」
「それでこそ、薪君ね!」
そういって、手に持っていた扇子を広げる楯無。その扇子には挑戦の二文字。
「よし・・・行くぞ、オール・フォー・ワン!」
利き腕の右手に付いているミサンガを前に突き出し、ISを展開する。
一瞬、体に電気が走る感覚がした後にはISを装着した状態になっていた。
そこに―――灰があった。
「ん?薪君のISのカラーリングが変わってる」
「いい加減にカラフルな色合いは目だち過ぎるからな」
今まではパーツ元々のカラーリングを使用していたが、朱理にお願いして色を変えてもらった。
今のオール・フォー・ワンのカラーリングはメインカラーはグレーになっている。
「追加スラスターも付けて新しくなったオール・フォー・ワンだ、どこまで出来るかは俺にもわからん」
「そう、じゃあ、期待してるわよ、薪君」
「まかせろ」
ISを発進させる為、ピット内にある滑走路に足を添える。
「システム・オールグリーン。いつでもいけます、薪さん」
「よっしゃ!行ってこい!薪!」
親指を立てる二人。
楯無の方を見ると、楯無も親指を立ている
「ああ、行ってくる!」
俺も親指を立て、飛行を開始する。
そして、アリーナに飛び出した。
「気をつけてね、薪君」
ピットに残った楯無が呟く。
「ソルの機体はただの第三世代機じゃあないわ」
遠くに見える、薪の背を見る。
「あの機体は第三世代機の中でも、希少な・・・
アリーナ中央にソルの姿が見える。俺はソルの前に降り立ち、正面から対峙する。
「ソル、待たせたな」
「ああ、来たか、薪」
挨拶をしながらソルの機体をまじまじと見る。
黒いソルの機体、両肩にセットされている、二門の大型レールガンと腰とリアアーマーにあるワイヤーブレイド、そして手首のプラズマ手刀。
そして、第三世代機特有のイメージインターフェースの、AICによる敵機の足留めか・・・
楯無の時とは違い今度は情報的に有利がある、一緒に練習もしたし。一度だけ助けてもらった時だがAICによる一瞬の機体停止も肌で感じている。
だが・・・楯無のようにソルも本気なんてそうそう見せてはくれないだろう。
まだ、ソルの底はこんなもんじゃないか。
そんな風に、ソルの機体を観察していると、ソルが顔を少し赤くしながら手で胸を隠すようにする。
「薪、その、そんなにジロジロ見られては・・・恥ずかしいのだが」
「違う、お前は見てない、機体を見てただけだ」
「そうか・・・いや、それはそれでショックだな」
少し、ションボリとしたソルを見た後、回りを見渡す。
「しかし、すげぇな、客席」
「ん?ああ、あの子達か・・・」
客席の一角をソルファンクラブの子達がひしめいている。垂れ幕や旗などを振っていて、時折、「ソル様ー!」なんてのも聞こえる。
「なんだか、アウェイ感出てきた」
「そういうな、薪、皆いい子ばかりなんだ。なんならあの子達に薪の応援でもさせようか?」
「遠慮しとくわ」
ソルと軽い会話をしている時にふと隣にあるアリーナを見て思い出した。
そいや、ここは第三アリーナだったけか、一夏達、一年生は第二アリーナでの戦いか、一夏・・・結局、あの酢豚の子とどうしたんだろ。
「薪、そろそろ始めるぞ」
「ん?ああ」
一夏の心配をする前に自分の心配だな。一夏・・・お前も頑張れよ。
思考を振り払い、目の前のソルを見据える。
静まりかえるアリーナ。
3・・・
2・・・
1・・・
試合開始ッ!――
その合図と共に俺は手元にバズーカを取り出した。
「ッ最初に!」
肩に担ぎ、そのままソルの足元を撃つ。
「この距離はちょっと遠すぎだな、薪」
そのまま、フワリとPICを使って浮遊するソル・・・だが。
地面に着弾と同時にボフンと辺りが煙で覆われる。
「ッ!?」
「読みが外れたな、ソル。このバズーカは弾の種類が選べる、マルチプル・バズーカなんだ」
「ふふ・・・楯無との戦いで味を占めたか薪?」
「そう思うなら、そこにいてくれ!」
続けて、バズーカを撃ち込もうとする。
「・・・煙、マルチプル・バズーカ・・・ッ!、そういう事か!」
発射と同時に、ソルが煙から抜けだす。
その瞬間――
大爆発!!
ソルが先ほどまでいた場所は大穴が空きそこからは黒煙が立ち上っていた。
ソルが出てきた先にブーストを吹かせて飛ぶ。体勢を立て直される前に叩き込む!
「くっ・・・今のは危なかった。粉塵爆発のつもりか?、いや、匂いからして化学物質が気化したものか・・・まさか、楯無を模倣していたとは」
「そういった所だっ!!」
打鉄のブレードを使った斬撃。
しかし、ソルはものともせず、プラズマ手刀でいなしていく。
「やはり、君は面白い人間だよ、薪、興味を持った甲斐があったと言うものだ!」
「ッく!?」
風見野 薪 700→670
やっぱり、近接戦闘になるとインファイトしてくるか。こうなると刀身が大きいブレードを持つ俺の方が不利か。
少し間を開けて・・・そこからッ!
ブレードを大きく振り払い間合いをあけ、再び迫ろうとした時。
「なっ!?」
そこにソルがいなかった。
[ここだよ、薪]
いつの間にかソルは俺から大きく距離を取り、アリーナの端まで移動していた。
「まさか、間合いを開けた時に瞬時加速で!」
[瞬時加速はなにも攻めるだけの為にある物じゃない、こうやって相手との距離を広げる為にだって使えるのさ]
ISのコア・ネットワークを通じてプライベート・チャンネルで話しかけて来るソルを見る。
「なら!こっちは距離を詰めるだけだ!」
カスタム・ウイングが大きく開き、エネルギーを出した後、それを吸い込み、爆発的な加速を産み出そうとする。
瞬時加っ・・・
[させないよ]
「ぐっ!?」
ガクンと一瞬、体が止まる。
クソっ!AICか!
体勢を立て直し正面を見た時には遅かった。
「ガッ!?」
体に何かが当たった衝撃、グルグルと回る視界を元に戻しすぐに横に加速する。
ヒュンと何かが体を掠める音がした。
今のは・・・大型レールガンか!
ソルを見ると両肩にある大型レールガンが二門ともこちらを捉えてた。
[今のシュヴァルツアシリーズに採用されているレールカノンよりかは低火力だが、私としてはこちらの方が使いやすい。弾速も早いし、リロードも早いからな]
「その機体、ロングレンジ機体か・・・」
[・・・まあ、そう思ってくれて構わん]
AICとレールガンによる確実な狙撃か・・・さっきの直撃でまたシールドエネルギーが削られちまった。
風見野 薪 670→590
瞬時加速によるショートカットはさせてくれないか。上手く、防いで行くしかない。
そう思って、再びソルに迫る。
[さて、どうする、薪?]
右手を突き出す、ソル。
来る!
機体を横にずらすが、再び捕らえられてしまう。
一瞬だけ止まる俺のIS。だが、さっきもやられた通り確実にソルはこの一瞬を当ててくる。
なら、当てられるなら・・・
二門のレールガンが火を吹く。
「おらっ!!」
俺は機体をAICの拘束が解けた瞬間、直ぐに機体の左肩を前にする。
「くっ・・・よし」
着弾、しかし俺のISの左肩パーツはここだけ打鉄の肩部シールドがついたパーツだ。
なんとかシールドで防ぐ事ができた。
[当たったそばから再生すると言われている、打鉄の肩部シールドか、上手く防いだものだ、なら・・・今度はどうする?]
今度は、腰とリアアーマーから出されるワイヤーブレードが襲いかかってきた。
「ああ、もう!!」
様々な角度から襲いかかってくるワイヤーブレード、俺は直ぐに追加スラスターをフル活用して、避け始める。
[ふふ、よく、避けるじゃないか薪]
「クソ、遊びやがって!」
[さあ、どうする、薪?]
再び右手が前に突き出される。
「こんのっ!」
一瞬だけ停止させられる、機体。そこにレールガンとワイヤーブレードが襲いかかる。
「―――ッ!」
どうすれば全て防げるか、どうすれば反撃出来るか、その選択に頭が奪われる。
着弾―――
「流石に無理があったか・・・意地悪し過ぎたかもしれん」
ふぅ、とため息をつく。
「しかし、レールガンが当たった時の煙でなにも見えなくなってしまったな、大丈夫だろうか薪・・・」
ん、煙?いや、煙なんてあんなに立たないだろ普通・・・
その発想になった時には遅かった。
「ッ!?」
突如として体を襲う衝撃、確かに右肩を撃ち抜かれていた。
ソル・エンゲルベルト 650→590
「なッ・・・!?」
「・・・ようやく、一発入れ込んだぞ。ウェルキンにしごかれた成果だ」
「煙からのマークスマン・ライフルによる狙撃か・・・」
煙の中から薪は狙撃してきたのだ、こちらの場所を頼りにハイパーセンサーの補助を受けずに。
「煙は・・・そうか、レールガンは肩で受け止めて、迫る、ワイヤーブレードにバズーカを当てて自分の回りに煙を撒いたか・・・空中でよくそんな事を思い付くものだ」
「おかげで、ワイヤーブレードはモロに受けちまったけどな」
風見野 薪 590→500
「ふふ、流石だ薪・・・やっぱり君は凄い」
これは―――
「よし!薪来い!君に国家代表の持つISの力をみせてやる!」
「AICにレールガンにワイヤーブレード・・・こんどはなんだ?」
私は右手を真上に掲げる。
「君に
そうして私が
空から光の柱が私を襲った―――
見せんのかい!
頑張れー、薪、次はゴーレム戦だぞ