インフィニット・ストラトス DEEP   作:右左右 右左

13 / 24
終幕(エンド・ロール)

 

「ッ!?ソル!!」

 

突如として空から放たれたその閃光はソルを直撃した。

 

煙を上げながらこちらへと落ちてくるソルを受け止め、即座に距離をとる。

 

すると、二撃目の閃光が今俺がいた場所を撃ち抜いていく。

 

「ソル!大丈夫か!?」

 

「ッ・・・すまない、薪、不覚をとった・・・」

 

ソルを抱き抱えて、空を見上げる。

 

そこにいたのは異様な形の暗いグレーの色をしたISだった。

 

全身装甲(フルスキン)体で胴体と頭は完全にくっついている、頭からは二本のコードのようなものが後ろへと伸びていて、その腕は足元まで伸びた長い腕だった。

 

「くッ・・・パージ・・・」

 

ソルが使えなくなった、ISの右カスタム・ウイングと右のアーム、そして右のレッグを空中へと外す。

 

「薪・・・私の腕と足はついているか?ほとんど感覚がないんだ・・・」

 

「・・・ああ、大丈夫だ、しっかり五体満足だよ・・・」

 

空からの閃光を浴びたソルの右手と右足の皮膚は赤く焼けただれていて、見ただけで痛々しいものだった、正直見るも堪えないような状態だ。

 

「ッ!ハァ、ハァ・・・」

 

ソルの顔が悲痛に歪む。大量の汗を浮かべながら、無事な左手で俺の背中を掴んでいる。

 

「ソル・・・大丈夫だ、しっかりしろ!」

 

ISの絶対防御を貫通して操縦者にダメージが入ったか・・・アリーナの観客席を守る為のシールドも絶対防御と同じような仕組みになっているはずだが、それを両方とも撃ち抜く火力・・・レーザーじゃなく、もう、ビームの類いか。

 

上空からゆっくりと降りてくる異形のIS、俺と同じ高度まで降りてくると、両手をこちらに向けてくる。

 

やっばっ!!

 

ソルを抱きしめ、回避行動を取る。

 

そのISの手のひらが一瞬光ったと思うと強烈な熱線が、さっきまでいた場所を通る。

 

あの、ビーム。両手から撃てるのか、いくらなんでも高火力過ぎんだろ。

 

そこで、王先生からの通信が入ってきた。

 

[風見野君!、ソルちゃん!大丈夫です!?]

 

「王先生!、俺は無事ですけど、ソルが怪我をしています、というかあのISは一体・・・」

 

[ソイツの正体はわかりません!今第二、第三アリーナにソイツと同じISが出現しています!とにかく風見野君達は今直ぐその場所から逃げて下さいです、直ぐに先生達が鎮圧に向かいます!]

 

「了解!」

 

一夏達がいるアリーナにもいるのか・・・だが、今は後輩達の心配もしてられない、ソルもこんな状態なら今はとにかく逃げるしかない!

 

ソルをしっかりと抱きしめて、ブースターを吹かし、敵を見失わないようバックで加速しながらピットへと逃げようとするが。

 

「なっ、閉まってる!?」

 

こんな非常事態にも関わらず、逃げる先のピットの入り口が開いていなかった。

 

そして・・・

 

あの異形のISの両手が再びこちらに向いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ピット内―

 

「ちょっと!なんでアリーナに出れないの!?」

 

外の爆発音を聞きながら、アリーナへの入り口に楯無が叫んでいた。

 

その横で藍理がパソコンのキーボードを高速で叩きながら荒んだ声で説明する。

 

「今、謎のハッキングを受けていて!アリーナのシールドレベルがレベル4まで引き上げられているんです!こちらがアリーナに出撃することはおろか、薪さん達がピット内に入る事すら不可能になっています!」

 

「まさか、あのISがこんな事を!?」

 

「わかりません!今なんとか解除しようとは試みていますが・・・」

 

「解除なんて待ってられないわ!」

 

そう言って、楯無はISを展開し、ランスを大きく構える。

 

「ミストルティンの槍ならッ!」

 

「うぁ!?バカバカバカ!止めろ!ピットごと吹き飛ばすつもりか!!」

 

楯無が行おうとした行動を朱理が止めにかかる。

 

「んな事言っている場合!?薪君とソルの命がかかってるのよ!!」

 

「ミストルティンの槍は自爆技に近いものだろ!!こんな狭所で使って見ろ!私達を吹き飛ばす所か、ダメージを負った状態で戦っても返り討ちに逢うだけだぞ!!」

 

「くッ・・・」

 

楯無は構えていたランスをおろす。

 

「・・・藍理!どれくらいかかるの!」

 

「10・・・いえ、5分もあれば!」

 

「2分でやりなさい!!」

 

「無茶言わないで下さいッ!・・・いったい誰がこんなプロテクトを・・・」

 

藍理の高速のブラインドタッチを見てから、再びアリーナへと顔を向ける、楯無。

 

「ッ・・・薪君・・・」

 

楯無の目には正体不明のISの熱線をかわす、薪の姿が映っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ックソ!・・・」

 

立て続けに撃ってくる熱線をなんとかよける。

 

「薪・・・」

 

「なんだ、ソル!?」

 

抱えていた、ソルが痛みを堪えながら、俺に向かって話してくる。

 

「私を置いて、早く逃げろ・・・」

 

「悪いが、逃げ道がないもんなんでな、それにお前を置いていけるかよ」

 

「ッ・・・フフッ・・・君は強情な奴だな・・・」

 

痛みが体をかける中、それでも笑みを絶やさないソル。

 

「好きに言ってろ、ッ!?また!!」

 

再びの熱線、回避する事に成功するが今度は足元を掠める。

 

異形のISとの距離をとりながら考える。

 

ソルにああは言ったが、どっちにしろジリ貧だ・・・ソルを抱えたまま、いつまで持つか・・・

 

どうすればこの状況を打開策出来るかを考えているとソルがこちらの背中を強く握りしめてくる。

 

「薪・・・一つ案がある・・・」

 

「なんだ!、お前を置いていくのは無しだからな!」

 

「フフッ・・・大丈夫だ・・・それは薪の頑張り次第だがな・・・」

 

「・・・なんとかなんのか、この状況」

 

「ああ・・・私のISの、単一仕様能力を使う・・・」

 

「単一仕様能力?」

 

単一仕様能力、それはそれぞれのISが持つ特殊能力のようなものだ、基本的にどれも強力な能力ばかりだが、それを習得するためには、ISとその操縦者の相性が最高の状態になった時に起こる二次移行(セカンドシフト)をへて会得出来るものだ。だが、場合によってはそれでも会得しない時もあり希少なものだが、ソルはそれを会得してるのか。

 

「どうするんだ?」

 

「まず、この状態では単一仕様能力は使えない、一度私を地面に下ろせ」

 

「なっ・・・んな事したら!!」

 

「そこは、薪がなんとか注意を惹き付けてくれ・・・そして、私の単一仕様能力で敵の隙を作る、その後は・・・」

 

「・・・その後は?」

 

「薪、君が奴を倒すんだ・・・」

 

ソルから言われたその言葉に思わず、顔を見る。

 

「無茶いうな!あんな奴倒せるわけ・・・」

 

「薪、私の目を見ろ・・・」

 

グイっと寄せられ、額が当たる。

 

「大丈夫、薪なら出来るさ・・・」

 

痛みに堪えながらもめいいっぱいの笑みを浮かべる、ソル。

 

「・・・全く、お前は簡単に言ってくれるな」

 

前に指導してくれた時にも言われた言葉だ。

 

その笑顔を見て、決心がついた。

 

「わかった、やって見よう」

 

「フッ・・・それでこそ薪だ・・・」

 

一度急降下し、ソルを地面へと下ろす。

 

そして、異形のISの元へ飛翔する。

 

接近してくる事に気づいたのか、こちらに熱線を放ってくる。

 

「くッ・・・」

 

バレルロールでの回避、楯無の戦いの時とは違い、スラスターを吹かして、速度を落とさないように移動する。

 

「俺を見ろ!」

 

右手にバズーカ、左手にマークスマンライフルを持ち、その両方を撃つ。

 

二発、三発と続けて、撃っていくが敵は綺麗に回避して当たらない。

 

だが、これで俺に注意は向いている。

 

射撃による、攻撃は効果が薄い。それに、あのビームの射程内に居続けるのはまずい。

 

カスタム・ウイングのブースターを最大限まで上げ、更に加速する。

 

近接戦闘に持ち込むしかない!

 

両手にあった武器の残弾が切れたのを確認したら、それらを仕舞って、ブレードを展開する。

 

「オラッ!」

 

加速が十分に乗った重い一撃。

 

だが、それを物ともせず、そのISは片腕を使って受け止める。

 

「くっ、なんつぅ馬鹿力なんだよ・・・」

 

ギチギチと音を立てて、つばぜり合いを行う。

 

少しでも力を抜いたら弾かれそうだ。

 

攻めきれない・・・

 

そう思っていると、そのISの残ったもう一つの手がゆっくりと動いているのが視界の端に映った。

 

「やっば!?」

 

足を上げてその手を蹴りあげる。

 

その直後、その手のひらから空へと向かって熱線が放たれる。

 

今のは危なかった・・・

 

安堵したのもつかの間、体勢を崩してしまったこちらに、拳が飛んできた。

 

「がっ!?」

 

風見野 薪 500→470

 

視界が暗転しそうな中、食い縛り、なんとか距離を離されないように食いつく。

 

「なめるな!!」

 

今度は右からの斬撃、それもそのISは片腕で軽々しく受け止める。

 

そして、逆の手が迫ってくる。

 

だが。

 

「フッ!」

 

そのISから見たら、俺は一瞬で目の前から消えたと思われるだろう。

 

異形のISは俺の事を一瞬見失った。

 

追加スラスターをフル活用しインファイト状態のまま、敵の側面に回りこんだ。

 

「これでも!食らえ!」

 

手元に呼び出したのは対IS用手榴弾。

 

その持ち手を持ち、異形のISの頭部を横から殴りつける。

 

体勢を大きい崩した、IS。

 

そして、その場所から離脱しながら手を離した手榴弾に向かって、サブマシンガンの弾をばらまいた。

 

爆発する、異形のIS。

 

「流石に、なにか応えてくれないと困るんだが」

 

少し距離をとり、頭から煙をあげる、ISを見る。

 

空中で姿勢を立て直した、異形のISがゆっくりとこちらを見る。

 

「なっ・・・」

 

その爆発した頭部を見て驚いた。

 

何せ、本来、人の頭部があるはずのその場所は、機械だったからだ。

 

「無人機・・・なのか・・・?」

 

ISに無人機と言うのは存在しない、以前楯無の座学中に教えてもらった事がある。

 

ISは本来、人がいなければ起動しないもの、なので機械だけでISを動かす事は不可能。

 

何人もの科学者達がこれに挑戦したが、成果は一度たりとも上がっていない。

 

そう楯無から教わった。

 

目の前の光景に驚きつつ、そのISが放ってきた熱線をよける。

 

その時、俺はあの武器の事を思い出していた。

 

無人機なら・・・あれを使っても、心配ない!

 

二発、三発と放たれる、熱線を回避し、地上にいるソルを見る。

 

「ソル!、準備は出来たか!?」

 

アリーナの壁に手をつき、ヨロヨロと立ち上がるソル。

 

[・・・ああ、これくらいあれば隙くらいは作れるだろう・・・]

 

ソルの周り。

 

そこには、無数の黒い鱗のようなものが浮かんでいた。

 

その数、50個。

 

「こんな形で薪に見せるつもりなどはなかったのだがな・・・右手と右足のお返しだ・・・受けとれ・・・シュトゥルム!!」

 

ソルが怪我をした右手を掲げた後、その手を振り下ろす。

 

その合図と共に50個にもおよぶ、黒い鱗が一斉に射出された。

 

発射された、黒い鱗は弧を描がき、高速で異形のISへと突進していく。

 

それに気づいた異形のISはブーストを吹かして回避するが、黒い鱗は全て追尾するように接近していく。

 

「あれ・・・全部、追尾ミサイルかよ!!」

 

50個にも及ぶ追尾ミサイル、それが一斉に向かってくるのだ。

 

俺なら避けきれる自信など一切湧かない。

 

もちろん、その異形のISを例外ではなく。

 

右足・・・

 

左手・・・

 

背中・・・

 

胴体・・・

 

一発つづ徐々に数を増やしていきながら、被弾していく数は増していく。

 

そして。

 

運悪く、ブースターの所に当たったのが運の付きか・・・死肉に食らいつくハイエナ達のように体勢を崩した異形のISに残りの追尾ミサイルが全て被弾した。

 

「・・・・すげぇ」

 

モクモクと煙を上げる、異形のIS。

 

だが、まだ空中に浮いている。

 

無事な左腕を残し、それ以外は火花を散らしながらなんとか宙に浮いているような状態だ。

 

ギギッとぎこちなく左腕を上げ、追尾ミサイルを放ったソルに向かってなんとか標準をあわせて熱線を撃とうとしている。

 

「させるか!!」

 

ソルが作ったこのチャンス、無駄にはしない!

 

朱理が言った事を思い出す。

 

「安全性ど外視の出力を持っているが為、公式戦で使うような物だったら。まず、相手はミンチより酷い状態になる。そして、オール・フォー・ワンは半壊して、最悪、薪の左腕はふっ飛ぶ・・・」

 

それでも、アイツを倒せるのならッ!

 

俺は目に映るのモニターの武器スロットの中にある一番下の武器を選択した。

 

 

 

―OSW「エンド・ロール」起動ッ!―

 

 

 

武器の起動と共に左翼のカスタム・ウイングが左腕へと移動し接続される。

 

そして、バーニア口が4つに分かれ、それぞれが少し後ろに下がったと思うと赤く熱を帯ながら、高速で回転し始める。

 

画面上に映る大量のエラーコードを無視して、異形のISに標準を合わせる。

 

「このままッ!!」

 

残ったテンペストのカスタム・ウイングのブースターを吹かし、ボロボロになった異形のISに急速接近する。

 

こちらの接近に気づいたのか、ソルに向けていた左腕の銃口をこっちに向けてくる。

 

まずい!直撃・・・いや、このまま、ぶち抜く!!

 

放たれる、熱線。

 

それを真っ正面からOSWで貫く。

 

「くッ!!」

 

衝撃、そして激しい閃光、この世のものとは思えない音をたてながら当たる。

 

・・・これはエンド・ロールの音か?

 

耳をつんざくような音を立てながら赤い電撃、熱もはやそれすらもわからない高エネルギーを撒き散らしながら凄まじい火力で熱線を弾いていく。

 

風見野 薪 470→390→310→230

 

エンド・ロールそのものの攻撃の余波をモロにうけ、こちらのシールドエネルギーが削れていく。

 

左腕の骨か軋む、オール・フォー・ワンと俺自身の身体全体が悲鳴を上げている。

 

踏ん張れ、俺ッ!!

 

「うおぉぉぉぉぉ!!」

 

異形のISにビームの剣の先端が刺さる。

 

 

 

そして――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

痛みで目を覚ます。

 

「・・・・ベッド?」

 

アリーナに居た筈なのに・・・

 

ボーっとする頭を抱えながら起き上がる。

 

「ここは・・・保健室か・・・」

 

薬品の匂い、区切りをつけるように遮られたカーテン。

 

この場所にいるという事で、終わったという事実と安堵感と疲れがどっと押し寄せてくる。

 

確かソルとの戦いの時に、正体不明のISが襲ってきてそれで・・・

 

上手く回らない頭を整理しながら、少しずつ思い出していく。

 

気絶したのか俺・・・

 

頭を抱えていた左腕を見ると腕全体にいつの間にか巻かれていた包帯が目に入った。

 

腕は吹っ飛ばずにすんだか・・・良かった・・・

 

再びの安堵感を噛みしめながら、ベッドへと身体を落とす。

 

すると左隣に誰かがいる影を見つけた。

 

その影もこちらの気配に気づいたようで、ゆっくりと動く。

 

「薪か?・・・」

 

「!・・・ソル」

 

遮られたカーテンを開けるとそこにはベッドに座っているソルがいた。

 

「無事だったのか、ソル」

 

「ああ、薪のおかげでな」

 

夕日に照らされたソルがゆっくりと身動ぎするとその右うで全体に包帯が巻かれているのが見える。

 

「ソル・・・その腕・・・」

 

「ん?ああ、少々派手な火傷だが心配するなじきにな治るさ」

 

異形のISの放った熱線によって焼かれたソルの右腕と右足、その巻かれた包帯を痛々しく思っているとソルのいる方の窓から誰かが入ってくる。

 

「ヤッホー、薪君、ソル。無事みたいね」

 

窓から入って来たのは楯無だった。

 

「おい、楯無、何だって窓から入ってくるんだよ」

 

「だって、保健室の入り口にはソルファンクラブの皆や一夏君を心配して押し寄せてきた女子生徒で一杯だもの、今は保健室の先生が食い止めているけど、入れないったらありゃしない」

 

だからと言って随分、簡単に窓から入ってきたな、ここ二階だぞ。

 

「って、一夏も怪我したのか!?」

 

「ええ、多分前のベッドに・・・」

 

楯無がカーテンを締め切られている開けようとした時、バーンッ!と保健室のドアが思いっきり開け放たれる音が聞こえる。

 

「一夏さん、具合はいかがですか?わたくしが看護に来て・・・あら?」

 

声からしておそらくセシリアが保健室に入ってきたらしいが、様子がおかしい。

 

「どうしてあなたが?一夏さんは一組の人間、二組の人にお見舞いされる筋合いはなくってよ」

 

「何言ってんの?あたしは幼なじみだからいいに決まってるでしょ。あんたこそただの他人じゃん」

 

「わ、わたくしはクラスメイトだからいいんです!それに、今は一夏さんの特別コーチでしてよ!」

 

セシリアの他に聞きなれない声が聞こえる、箒では無い、ならば例の酢豚の子か・・・

 

「取り込み中みたいだしやめときましょ」

 

「だな、開けないほうがいい」

 

触らぬ神になんとやら、後輩達の騒ぎを耳にしつつ楯無がソルのベッドに座る。

 

「とりあえず、状況報告するわ」

 

「ああ、頼む、私達が寝てる間にどうなった?」

 

「まず、あのISだけど完全な無人機だったわ、一夏君達、一年生の機体の方は上半身と下半身を真っ二つにされて機能停止。薪君とソルが戦った機体は木っ端微塵所か跡形もなく消えたわ」

 

「え、そんな凄い攻撃だったの?」

 

「使った本人がそんな事言わないで頂戴・・・エンド・ロールでの攻撃の余波はアリーナの地面を半分消し飛ばす破壊力だったのよ、今後の使用は禁止ね」

 

なんと・・・とんでもない武器を使ってしまったものだ。

 

内心冷や汗をかきつつ、人的被害が出てない事に安堵する。

 

「楯無、あのISは誰の差し金だ?あんなフォルムと武器、各国の技術ではまだ作れそうもないが・・・」

 

「ソル・・・ごめんなさい、それは未だにわからないの。藍理達、システムエンジニア科の子達が総動員しても逆探知も出来なかったわ」

 

「そうか・・・」

 

「でも、二人とも無事でよかったわ」

 

「無事か・・・随分と派手にやられたがな・・・」

 

包帯の巻かれた手に目を落とすソル。

 

その姿を見て、俺はなんとかソルを励まそうとする。

 

「あー・・・ソル。右手と右足は気の毒だが・・・それでも、今の医学だったら動かせる程度には回復させることが出来るだろ?俺も付き合うからリハビリを一緒に頑張ろう」

 

「・・・・薪」

 

俺の言葉を聞いてキョトンとした顔をするソル、そしてすぐに申し訳なさそうな顔になる。

 

「いや、さっきも言ったが直ぐに治る」

 

「え?」

 

「ナノマシン治療というものがあってな、これくらいの火傷でも、まあ、二週間もあれば元通りになるさ」

 

「まじ?」

 

「ああ、まじだ」

 

「・・・・」

 

えぇ・・・

 

俺の知ってる現代医学と違う・・・

 

「なんだよ、心配して損したじゃねぇか」

 

「そうか、心配してくれていたのか・・・それは、それで嬉しいぞ」

 

少し顔を赤らめるソル。

 

全く、ナノマシン治療ってある程度傷なら直ぐに治せんのかい。

 

はぁ・・・とベッドに横たわり保健室の天井を見つめる。

 

「なぁ・・・楯無・・・」

 

「なに、薪君?」

 

「今回みたいな事・・・また、起きるのか?」

 

「・・・・」

 

楯無が一度黙り、真剣な顔になる。

 

「可能性はゼロじゃないわ」

 

「今度あったら、今回以上にヤバい事になるのか」

 

「恐らくね、数が増えるかもしれないし、敵そのものが強くなるかもしれない。もしくは・・・その両方かもしれないわ」

 

「・・・俺は・・・どうしたらいい?」

 

楯無が力強く言う。

 

 

 

「強くなりなさい、薪君。今よりも・・・ずっと、ずっと強く」

 

 

 

楯無の言葉が心に響く。

 

強くか・・・

 

気だるげな身体を起こし、楯無とソルを見る。

 

「楯無、ソル、俺は強くなりたい・・・だけど、俺一人じゃ無理だ。だから手を貸してくれ、頼む」

 

「私は構わないさ、というか薪には助けられたからね、よろこんで手を貸そう」

 

「私は元から薪君の専属コーチみたいなものだし?今さらよ薪君」

 

二人して承諾してくれた。

 

弱い自分だが、こうして誰かが引っ張ってくれるととても嬉しい。

 

「よし、ならまずはこの傷を治さないとな」

 

左腕を出しそれを楯無とソルに見せる。

 

「ナノマシン治療って俺も受けれるんだろ?この腕、ソルほどは酷い傷は負ってないはずだから、早く治んだろ?」

 

「たしかに、それくらいだったら1週間も経たずに完治するが・・・いいのか?」

 

「ああ、痛いのは我慢する」

 

男に二言は無い。

 

張り切っている俺を見て、ソルは笑う。

 

「そうか、そうか、わかった。なら・・・楯無、出番だぞ」

 

「ええ、そうみたいね!」

 

「え?」

 

横を見るといつの間にやらナース服に着替えていた楯無が立っていた。

 

そして、その手元にはマンガにでてくるようなデッカイ注射器があった。

 

「・・・いや、その・・・楯無・・・さん?」

 

「ほら、治したいなら早くケツを出しなさい!」

 

「えぇ!?痔薬的なノリなの!?」

 

「直腸から入れ込んだ方が一番効果的なのよ!」

 

「いやいやいや!ちょ!バカ!ズボンを下ろそうとするな!」

 

「もう!早く楽になった方が身の為よ!」

 

「ちょ、ちょっと!怪我人だぞ!パンチは無しだって!パンチは・・・あ、ちょ!?」

 

 

 

 

 

 

イヤーーーッ!

 

 

 

 

 

 

保健室にてなんとも情けない男の声が響いたと言う。

 

 




とりあえず、リーグ・マッチ編はこれにて終了です。

この後は日常パートを挟んだ後、タッグ・マッチ編になります。

さて、組む相手は誰でしょう?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。