このオリキャラの子は関西弁を喋る子なんですけど、筆者は関西人でもなんでもないのでガバガバな所があります。
その辺りは配慮して見て下さい。
土曜日の午前の授業も終わり、午後は自由な時間、各生徒達はそれぞれの時間を過ごす。勉強する人、ISの訓練をする人・・・私、更識 楯無は・・・
ピット内の休憩室、座れる椅子や自動販売機などを完備している部屋、余り使う人はいないけど、ちょっと休憩したい時とかはここで休んでまた訓練を開始した方がいちいち、教室楝まで戻らなくてもいい。
アリーナ内で休む子もいるけど、座れる椅子もないし、何より危ないからね。
私はそこで自動販売機で買ったばかりのスポーツドリンクを二個持って、休憩室にあるアリーナが見渡せる窓辺にいる相方に近づく。
「はい、舞姫ちゃん」
「ああ、すまんのぅ、楯無、おおきに」
舞姫ちゃんがスポーツドリンクを受け取り、そのまま飲み始める。
私と同じ日本人だけど、舞姫ちゃんはまさしく日本人らしく日本人形みたいに綺麗な女の子。身長は薪君と同じくらいの女子にしては高身長で、黒くて長い髪に黒い瞳、決め細やかな肌、ただ・・・左目から口元にかけての切り傷の跡が目に入る。
「なんや、人の顔見て」
「いいえ、ただ、綺麗な肌だなって」
「毎度、毎度、かわらんなぁ、おまんは・・・」
「ええ?本当の事よ?」
「こんな、切り傷の跡があったら誰も綺麗とは思わんやろ・・・」
そう言って、顔の跡をなぞり舞姫ちゃんはその話を区切る。まぁ、余り触れて欲しくもないような話しなんだろうけど、私的にはもうちょっと自分に自信を持って欲しい。
「所で、どうやった?うちのIS「雷神」の新装備は?」
「避雷針を打ち出す、レールガンのこと?確か名前は・・・」
「「穿ツ・雷双」や、火力も弾速も申し分ないし、うちとしてはええもん、もうたと思うんやけど」
「いいんじゃない、「雷神」に今まで無かった中遠距離の武装。相も変わらず帯電機に頼ってしまうのはいただけないけど、戦闘の幅が広がるのはいい事ね」
鴉堕 舞姫 日本代表候補生。
今、もっとも日本代表に近い女の子。関西弁を使うけど関西人かどうかは知らない。専用機は倉持技研が作った第三世代機の「雷神」、その名の通り、電気を使った攻撃を主体とした機体を所持している。
「せやな、後は、楯無とのイメージインターフェースの連携が出来るかどうかって所やな」
「そうね、ロシアの機体と日本の機体だけど、もしかしたら面白いコンビ技が出来るかもしれないし」
「おもろいってだけで、うちに声かけたんか?」
「それもあるけど、風見野君の為でもあるわ」
「しょうもない、また、アイツか・・・」
舞姫ちゃんが怪訝な顔をする。
「楯無・・・風見野をこのまま育てぇどなんすんねん?」
「それは単純に、彼一人で自分の事を守れる力をつけさせる為よ」
「んな事ゆうてもなぁ・・・風見野の今の勝率って、なんぼや?」
そう言われて、ここ最近のクラス内の模擬戦の結果を思い出す。
「4月から6月にかけての勝率なら・・・0勝ね」
「もちろん、国家代表候補生以下との戦いでもやろな?」
「・・・ええ」
「めっちゃ負けてるやん」
やっぱり、始めて二ヶ月ちょっとじゃあまだまだ、クラスの子にも負けるわよね、こればっかりは訓練してきた時間が物を言うし・・・しかし、今回の私には作戦がある。
「でも、薪君はしっかりしてる子よ。ソルの時とは違ってあえて今回は突き放す事にしたの。今頃、突然手を引いてくれる人が居なくなって、そろそろ私に泣きついて来てくるはずよ!もう、練習がキツイとか言わせない!」
「なんやねん、それ・・・」
舞姫ちゃんの呆れた顔が目に移るが、私は薪君のあのすまし顔を崩したいの!その為ならあの手、この手で・・・
「ん?・・・ほんまや、楯無の言う通り、風見野の奴しっかりしとるな」
「そうなのよ・・・薪君たら、案外器用で・・・」
「フォルテと組んだんか」
「え!?本当に!?」
舞姫ちゃんが手すりに寄りかかりながらアリーナを見ている。その視線の方向には確かに薪君の「オール・フォー・ワン」とフォルテの「コールド・ブラッド」がいた。
「本当だ・・・」
「ほぉ・・・相方にフォルテを選ぶなんて、けったいな事するやんけ」
「フォルテ・・・マイペースな子だから、案外、合わせるのが難しいのはわかるけど・・・薪君、何だって」
「おお、おお、手まで繋いどるで」
「ええ!?」
アリーナを見ると確かに手を繋いで、何かをやっている。
「な、な、な・・・」
「なんや、楯無。そこに男と女がいるならそんな事不思議やないやろ」
「薪、君・・・私という、女の子が、いながら・・・」
更識 楯無のプライドにかけても薪君を釘付けにしなければ。
メキャっと音をたて、手に持っていたスポーツドリンクが歪む。
「これは、一肌、脱ぐ時が来たようね・・・」
「はぁ・・・」
舞姫ちゃんがこちらを見ながらため息をついた後に何かをボソッと呟く。
「アイツ・・・負けて、辛くないんやろうか・・・」
アリーナ内
サファイアが突然俺の左手を握ってマジマジと凝視している、突然の事だが、ずっと無言で見てくる、好きにはさせているが・・・もう、かれこれ3分位たっている。
「どうしたんだ、サファイア?俺のISの左手になにかあるのか?それとも壊れてるのか?」
「いやなんでもないッスけど・・・このアラクネの腕は・・・風見野、確かこれ離れた所にあるISの倉庫から発掘したんッスよね?」
「ああ、第二世代機で、程よい状態で保存されてるのはこれ位しか無かったからな」
オール・フォー・ワンの左腕はアメリカ製の第二世代機、アラクネと呼ばれるISの物を使用している、左腕全部って訳ではないが、肩部分は打鉄の物だ。
「そうッスか・・・じゃあやっぱりダリル先輩の元の専用機のパーツッスねこれ」
「え、そうなの?」
「そうッスよ、ダリル先輩が一年生の時の専用機はアラクネッスし、機体が壊れたからって理由で今のISに乗り換えたって言ってたッスし」
ダリル先輩・・・確か、前に整備倉庫で見かけたあの金髪の人、そして、サファイアの相方か・・・。
「へぇ、奇妙な縁もあったもんだ、先輩のおさがりを俺が使うなんてな」
「そうッスね、風見野が持ってるなんて・・・ダリル先輩・・・やっぱり安心するッス・・・」
ギュっと更に俺の左手を握りこむ、サファイア。やっぱり相方に対してはそういった安堵感などが芽生えるのか、そこまで行ってようやく相棒と呼べる存在になるのだろう。
安心しているサファイアの顔を見ていると、そんな考えが浮かんでくる。
その瞬間―
ゾクッ
「ッ!?」
突然殺意のようなものを感じた。
「どうしたんッスか、風見野?」
「あ、いや、なんでもない・・・」
辺りを見渡してもこちらを向いている人は誰もいない、あえて言うなら遠くで一夏達、後輩が練習しているのが見えるくらいだ。
「へんな、風見野ッスね」
「すまん・・・というか、もういいだろ、とっとと訓練を始めよう」
サファイアの手をふりはらうと浴びせられていた殺意も消えていく。
「あ・・・まあ、そうッスよね・・・」
名残惜しそうにサファイアは俺の左手を見ている、どんだけ先輩が好きなんだかコイツは。
「じゃあ、訓練に移るッスよ」
「よし、今日は何を教えてくれるんだ?」
「今日はポジションどりッス」
「ポジションどり?」
サファイアは空中ディスプレイを操作してISの射撃用の的を空中に二個用意する。
「やることは簡単ッス。あの的がランダムに動きながら風見野に接近してくるから、私とあの二個の的も視界にいれつつ逃げるッス」
「は?」
意味がわからん。
サファイアが一度ため息をついた後、噛み砕いて説明してくれる。
「2or2、タッグ戦の場合はとにかく、相方と敵の行動を見ながら戦闘は動いて行くッス。今まで、風見野は1or1
、シングル戦しかやった事がないから自分の事しか考えなくて良かったッスけど、これからは戦況を考えながら動いて欲しいッス」
「ああ、なるほど、周りを見る練習か」
「そうッス、案外簡単ッスよ、移動するだけならッスけど」
「わかった、とりあえずやって見よう」
射撃用の的が浮き、俺とサファイアも同時に浮く。
「いいッスか?とにかくまずは感覚を掴む所からッス」
「おう」
そう言って全てが動きだす。
的がこちらに接近してくるのでサファイアと俺は後退しながら二人で移動する。
不規則に軌道を描く二個の的、その両方を視界に入れながら、サファイアも視界に入れて置く。
なるほど、確かにこれなら相方がいま何をしているかもわかるし、突然の攻撃にも対象出来る訳か・・・
しばらく、空中で軌道を描いているとサファイアからプライベートチャンネルが入ってくる。
[いいッスね、風見野。初歩としては上出来ッス]
[そうか、確かに案外簡単だな]
[そう、思ってるならレベルを上げるッスよ]
サファイアがそう言った後、突然片方の的が大きく軌道を逸れて俺に接近してくる。
な!?
急な的の動きに俺は対処出来なくなり、サファイアを視界に捉える事が出来なくなってしまう。
[風見野!何やってるんッスか!もっと大きく下がって視界を広げるんッス!]
[んなこと!言われたってな!]
バーニアを吹かして、後退するがサファイアとの距離が離れて、結局目の前にいる的しか見れなくなったしまった。
[ああ!もう!中止!中止ッス!]
的が目の前から消えて、地上に着いたサファイアの元に急ぐ。
「すまん・・・」
「まあ、最初は無理ッスから、グチグチ言わないッスけど、接近戦を得意とする敵もいるんッスからあれくらいはなんとかして貰わないと困るッス」
おっしゃる通りで・・・
確かに、戦闘ではよりスピーディーに、より過激に戦闘は進んでいく、タッグ戦では周りが見えなくなった時点で負けか・・・
「いいッスか、風見野。タッグでは相方にいかに負担をかけずに敵にダメージを与えるかが肝ッス」
「ああ、被弾を避けて、お前も守ると」
「そうッス、私と風見野のISの相性を考えると、基本的には受けッス、敵の攻撃をいかに凌いでダメージを与えるか、それが重要になってくるッスよ」
「わかった、じゃあ、もう一回・・・」
再度、ポジション訓練をやろうと思った時、アリーナ内が騒がしくなる。
「ねぇ、ちょっとアレ・・・」
「ウソっ、ドイツの第三世代機だ」
「まだ本国でのトライアル段階だって聞いてたけど・・・」
アリーナ内の視線を集める場所に目を移すと、そこにはソルの乗るISに酷似した、ISがいた。
「ありゃなんだ?」
「多分、一年生の転校生の子ッスね、ソルの乗る「シュヴァルツア・シュトゥルム」の完成形って前にギリシャの研究所で聞いたッス。まさか、IS学園に持ってくるとは思わなかったッスけど・・・」
サファイアも現れたISを見て、そんな感想をもらす。
そう言えば、楯無がちょっと月曜日に一年生に転校生が二人いるとは言っていたが・・・そうか、ソルの後輩だったのか。
長い銀髪の低身長の少女、なにより目立つのはその左目にある眼帯が目につく、雰囲気自体もトゲドゲしいっていうか、誰も近寄らせない・・・そんな、空気を放っている。
そう思っていると、その銀髪の子が一夏に話しかけている。
「おい」
「・・・なんだよ」
またか、またなのか一夏・・・お前はそうやって直ぐ女の子にちょっかいをかけられるんだ?
オルコットの時もそうだが、一夏は時間をかけずに直ぐに女の子を堕とす。
まったく、罪作りなヤツだ。
いつもの事、そう思って見ていたが、何やら不穏な空気が二人の間に出始める。
「貴様も専用機持ちだそうだな。ならば話しが早い。私と戦え」
「イヤだ。理由がねえよ」
「貴様にはなくても私にはある」
一触即発という四字熟語が当てはまる、まさにそんな感じだった。
まさか、いきなりこの場で戦闘とかおっぱじめないよな?
「貴様がいなければ教官が大会二連覇の偉業をなしえただろうことは容易に想像できる。だから、私は貴様を――貴様の存在を認めない」
聞いている限りではいまいち話しの全容が見えて来ないが。どうやら、あの二人にはそれなりの因縁があるらしい。
少し嫌な予感がする、野暮かもしれないが首を突っ込んだ方がよさそうだ。
「風見野、どこ行くッスか?一年生のいざこざなんて放って置いて訓練を再開するッスよ」
「ん?ああ・・・まあ、そうだな・・・」
一夏の元に行こうとした瞬間サファイアに呼び止められる。
確かに、いきなり戦闘なんて流石にしないか・・・、下手に出て更に事態を悪化させるかもしれないしな。前に楯無が言ってた通り、後輩達の間で起きた事は後輩達の間で・・・
ドンッ!
ゴガギンッ!
「ブッ!?」
大きな音が二発鳴ったと思ったら俺の頭に衝撃が走った。
突然の事に理解出来ないのと揺さぶられた頭のせいで俺は地面に倒れる。
「風見野!?だ、大丈夫ッスか!?」
サファイアが驚いた顔をしてこちらに寄ってくる。
「血とかは・・・良かったッス、出てないみたいッスね」
「な、なんとか・・・シールドエネルギーがちょっと減ったくらいだ・・・」
「IS様々ッスね、戦闘状態で展開してなかったら、頭がふっ飛んでたかもしれないッス」
クラクラする頭を押さえながら何が起こったのかと辺りを見渡すと足元をコロコロと転がって行く、歪んだ大きな弾丸を見つけた。
「まさか・・・」
最初に音が鳴った方、一夏達の方を見ると、一夏、銀髪の子、いつの間にか一夏の前に立ってシールドを構えているシャルル三人が唖然としてこちらを見てくる。ついでにアリーナにいた全員が俺を見ている。
そして、銀髪の子のISの肩についているカノン砲がシャルルと一夏に向けられているのを俺は見逃さなかった。
「おい、そこの銀髪一年」
「な、なんだ・・・」
「お前の撃った弾が跳弾して俺に当たったんだが・・・」
そう、跳弾したのだ。
銀髪の子が撃った弾がシャルルのシールドに当たり、跳ね返った弾はあらぬ方向に飛んで行くまでは良かったのだろうがそのあらぬ方向に俺が居たのだった。
「はぁ・・・たまたま俺がISを展開してたから良かったが。もし、他の子に当たってたらどうすんだ、ケガじゃすまないぞ」
「ぅ・・・」
「私闘をやるのは構わないが、せめてアリーナの使用ルールと安全は守れ、事故が起きてからじゃ遅いんだから」
俺自身、前に事故を起こしかけた事があるし、その時はソルに助けられたが今は絶対にルールは守るようにしている。ISってやっぱり兵器だし危ない事だらけだ。
「わかったか?」
「・・・・」
無言。
だが、その銀髪の子の顔からは申し訳ないという感じは読み取れる事が出来た。
『そこの生徒!何をやっている!学年とクラス、出席番号を言え!』
突然アリーナにスピーカーからの声が響く。騒ぎを聞きつけてやってきた担当の教師だろう。
「今回はもうとやかく言わないが、次は気をつけろよ。ほら、面倒事になる前に行け」
銀髪の子は一度俺を見た後、一夏に向き直る。
「・・・ふん。今日は引こう」
言うだけ言ってアリーナゲートに去っていく。その向こうでは怒り心頭の教師が待っているであろうが、俺への態度からして見ても恐らく無視を決め込むんだろうな。
「おお~、風見野。なんだか大人の対応ッスね。つい、あの子の胸ぐらでも掴んで争いに発展するもんだと思ってワクワクしてたんッスけど」
「ワクワクすんじゃねぇ、サファイア。まぁ、跳弾が当たるなんて俺の運が無さすぎるっていうか、あの子もわざとじゃあないしな」
「そうッスね、あんなデカイ跳弾が当たる事なんて人生でそうないッスからね、むしろ貴重な体験するができたと喜ぶべきッスかね?」
「あのサイズの跳弾に当たった、人生そのまま終わるだろ本来・・・まあいいや、ちょっと待ってろサファイア」
サファイアのマイペースな会話を一度区切り、一夏達の元に飛翔する。
「あ、薪先輩」
「おう、シャルル、ケガはないか?」
「薪先輩!大丈夫でブァ!?」
駆け寄ってきた一夏にげんこつを食らわす。
「何するんですか!?」
「一夏、お前、何やったか知らないが女の子に恨まれてるのを自覚してるなら、お得意の小粋なトークでとっとと解決しろ!」
「無茶言わないで下さいよ!ボーデヴィッヒのヤツ向こうからいきなり!」
「言い訳は聞きたくないねぇ!」
「ちょっと、ボーデヴィッヒの時と対応違くありません!?」
「女の子には甘いんでね、お前には厳しくしてやる」
「最悪な先輩だ!」
一夏に少しムシャクシャした感情を叩きつけた後、サファイアとの訓練を再開しようとした時にはアリーナの閉鎖時間が来てしまった。
一年生達のいざこざ、これ以上悪化しない事を祈るばかりだ・・・
『どうし、ッザ・・・ァイア?俺のISの左
ッザ・・・かあるのか?それと、ッザザ・・・てるのか?』
『いやなんでもな、ッザ・・・ど・・・このアラ、ッザ・・・の腕は・・・風見野、確、ッザ・・・所にあるISの倉庫から発掘したんッスよね?』
『ああ、第二世代機で、ッザ・・・で保存されてるのはこれ位しか無かったからな』
アリーナ観客席
トントンと耳に当てた盗聴機を叩きながら、双眼鏡でアリーナ中央付近にいるフォルテと風見野を見る。
「クッソ・・・不良品じゃねえかこれ・・・」
一度双眼鏡を外し、盗聴機のイヤフォンを見てみる。
だが、ただのイヤフォン。恐らく問題なのはフォルテのISスーツに忍ばせた盗聴機本体の方だろう。
「はぁ・・・な〜に、やってんだがオレ・・・」
オレこと、ダリル・ケイシーはIS学園の三年生で、アメリカの代表候補生で専用機持ち。そして、二年生のフォルテ・サファイアとタッグを組んでいる「イージス」の片割れである。
いや・・・組んでいたか。
オレにはもう1つの顔がある。
それは。
ようは、この世界の敵。
「いやなもんだぜ・・・」
イヤフォンをクルクルと弄りながら空を仰ぐ。
今までは、その活動の頻度は高い訳ではなかったが、あの織斑 一夏と風見野 薪が世界に知られた頃からその活動は徐々に勢いを増し始めている。
恐らく、遠くない未来に私もその活動に大々的に参加する事になるだろう。
だから、そうなる前に。
愛しの恋人との縁を切る事にした。
「アイツには・・・無理させる訳にはいかねぇしな・・・結構泣き虫だし・・・気が弱い所もあるし・・・可愛いし・・・」
最後のは関係ないな。
いつまでも、楽しい日々が続く訳じゃない・・・そう、わかってるからこそ、フォルテをこっちの世界には来させたくなかった。
もう、フォルテと五日間も話してない・・・ちょっと前までは考えられなかった事だ。
「オレから別れ話を切り出しといて、なんで傷ついて、未練タラタラなんだか・・・」
自分の今とっている行動に呆れてしまう。
フォルテとの別れ話をした後、フォルテが突然新たなパートナーを組んだと言う情報を掴んだ。
それを実際に確認して見ると驚く事にまさかの風見野 薪を選んだとは思わなかった。
フォルテお前バイだったのか!!
最初こそ少し焦ったが、調べて見ると、次の行事に行うタッグ・マッチ戦の為の一時的なパートナーという事だった。
だが、それでも・・・
「元恋人としては気になっちまうんだよな・・・」
体を起こして、再びイヤフォンを耳にして双眼鏡を覗きこむ。
未練だなんて無いつもりでも、気になっちまう。オレらしくないが、フォルテが落ち着くまでくらいだったらこうして・・・
『へぇ、奇妙な縁もあったもんだ、ッザ・・・ザザ・・・うなんてな』
『そうッスね、風見野、ッザザ・・・ザザザ・・・やっぱり安心するッス・・・』
フォルテが風見野の手を握り、安堵したとびっきり笑顔を見せた。
その瞬間。
バキャ
「風見野・・・テメェ・・・フォルテから離れろ・・・」
左手で耳にしていたイヤフォンは砕け、右手の双眼鏡にはヒビが入る。
我ながら、未練タラタラとか言っている場合ではない。恋人がどこの馬の骨かもわからない男に笑顔を振り撒いているのである、それも・・・手を握りしめて・・・
『風見野・・・安心するッス・・・』
「とか言っちゃってまぁ・・・」
フォルテはそんな軽い女じゃねぇ・・・風見野 薪・・・お前の事はこの私が徹底的にしっかりと調べあげてやる。
その観客席に他にいた生徒たちからは鬼が観客席にいたと騒ぎになった。
どうしよう、ダリル先輩がキャラ崩壊を起こしかけてる気がする。というか起きてる。
・・・まっいっか。