途中一人称が変わったり、三人称視点になったりと場面がコロコロ変わります。
実験的に書いた部分が多いので見ずらいと思うかと思いますが。
指摘や感想などで言ってくれると幸いです。
アームの手を閉じたり開いたり、装甲を見て異常がないかを確認する。レッグの稼働範囲や、カスタム・ウイングを動かし展開するかどうか、一つ一つ見ていく。
「よし、大丈夫そうだな」
ここはアリーナのピット。もう少しで、俺と楯無の対戦が始まろうとしていた。
「・・・ふぅ」
いやに緊張するな。お腹のそこから込み上げるようなこの緊張感、いつも慣れない。
試合が始まるのを、ソワソワしながら待っていると、一夏達がピット内に入って来た。
「薪先輩、応援しにきましたよ」
「おお、一夏と篠ノ之か、それと・・・」
「セシリア・オルコットですわ」
一夏のケンカ相手のオルコットはいい所の出のお嬢様の如く綺麗なお辞儀をする。というか本当にお嬢様らしい。ウェルキンが言ってた。
「始めましてオルコット。昨日の試合見せてもらったよ。一年のクラス代表おめでとう」
「始めまして、風見野先輩。それと、クラス代表は一夏さんにお譲りしましたわ」
「え、勝ったのに?」
一夏の方を見るとえへへと頭の後ろを描いていた。
「そうなんですよ先輩、オルコットがクラス代表やった方が強いのに」
「し、紳士に、花を持たせるのも、淑女の嗜みですわ!」
なんだそりゃ・・・
「まあ、一夏はトラブルメーカーだ。よろしく頼むよ、オルコット」
「はい!」
「先輩、俺の事トラブルメーカーって何でですか!?」
「初日からケンカ吹っ掛ける奴をトラブルメーカーと言わずなんと言う?」
「うっ・・・」
一夏がなんとも言えない顔をしている、まあ、それ以外にも思い当たる節があるのだろうが。
「先輩のIS・・・」
先ほどまで会話に入らずジッとこちらを見ていた篠ノ之が口を開く。
「・・・変な形ですね」
「確かに、変ですわね」
「変だな」
そんなに変か・・・俺のIS・・・
「・・・うっせ」
そう毒づいていると、放送が入る。
[まもなく、風見野 薪 対 更識 楯無 の試合が始まりますですよ。両者はアリーナに出撃して下さい]
王先生の声だ。俺はISを浮遊させて出撃体勢をとる。
「一夏、緊張ほぐれた、助かった」
「いいえ、先輩応援してますよ!」
「ああ、アリーナ席に戻って見ててくれ」
ブースターを吹かし、飛んでいく。
「やるか」
アリーナ中央
多くの観客がいるなか飛行していく、アリーナの中央に目をやると既に楯無が待っていた。
「よ〜し、逃げずに来たわね」
「流石に逃げれないだろ、せっかく訓練してくれた、ウェルキンやクリスさん、そしてお前に申し訳が立たないからな」
「あら、薪君って以外に律儀」
ブースターを吹かして、楯無の正面に着地する。
「朝に言った通り、一撃でも、私に入れられたら、貴方の勝って事で」
「正直ボコボコにされる未来しか浮かばないんだが」
「まあ、チャレンジあるのみよ、成せば成る、成さねば成らぬなんだから」
そういって構えをとる楯無。
全く無茶を言う、相手は一国の代表、こっちはISに乗り始めてたかだか一週間の素人。
「まあ、やってみるさ」
それだけ楯無には期待されているという事だ。
こちらもいつでも武器を取り出せるように構えをとる。
「・・・・」
「・・・・」
試合開始のカウントダウンが始まる。
3・・・2・・・1・・・
「ッ―――!」
ブザーが鳴り響く。
俺はその合図と共にマークスマンライフルを持ち出して楯無の頭に向かって狙撃した。
しかし。
「よっと!」
楯無は軽く、首をずらしただけで銃撃をかわした。
「ッな?!」
「綺麗な早撃ちね、サラちゃんの教育の賜物かしら?」
「うっせ!」
当たらなければ意味などないのだ。というか狙撃を首を捻っただけで回避するとかなんなんだよ!
「ッ!」
狙いを頭から胴体に切り替えて三連射する。
「よっ、はっ、よいしょ」
しかし、それらも楯無は右へ左へとISをスライドさせ、最小限の動きだけで回避する。
「・・・当たんねぇ」
「薪君、ハイパーセンサーを使った狙撃だから、こっちのアラートが鳴りっぱなしよ」
「なに?」
「上手い人はハイパーセンサーを使わずに撃って、相手のアラートを鳴らさないわ。これから撃ちますよって合図を相手にしているようなモノなんだから、そりゃ、私なら避けるわよ」
成る程・・・いや、ハイパーセンサー使って俺は始めて銃を撃てるのに、使わずにって絶対に無理だろ。
(狙撃での戦闘はほぼ無意味か、なら・・・)
俺はマークスマンライフルを収納し、打鉄のブレードを構える。
「行くぞ!」
ブースターを吹かして加速する。楯無に近づく直前に一度右に体をずらした後、急激に左へ加速してから、下からの斬撃を入れる。
「うんよいしょ!」
楯無は持っていたランスでその斬撃を受け止める。
「敵に補足されないように、予測不可能な起動を描く事はいい事ね、クリスちゃんの教育もしっかり受けてるじゃない」
つばぜり合い、ブレードとランスの間で火花が散る。
「ああ、そしてこの距離ならどうだ!」
一度距離を開け左手にサブマシンガンを展開しそのまま発砲する。
「む!?」
直撃を受ける楯無。今のはハイパーセンサーを使わずに撃ってみたサブマシンガンだ、無論、弾はバラけるがこの距離なら・・・
そのまま距離をとり楯無を見つめるが。そのISは無傷だった。
「残念だったわね、薪君。私のIS、ミステリアス・レイディはナノマシンで構成された水をベールのように纏えるの、しっかり狙ってないサブマシンガン程度の攻撃ならへっちゃらなのよ」
「たっく、厄介だな第三世代ってのは・・・」
イメージインターフェースによる、水の防御か・・・。マークスマンライフルの直撃か、ブレードによる斬撃しか俺の手持ちでは突破出来ないな。
そう、攻めあぐねいていると今後は楯無が水のベールを解除に水球を二つ作る。
「さあ、今後はこっちから行くわよ!」
楯無は一瞬でこちらとの間合いを詰めてくるとランスによる突出攻撃を繰り出してくる。
「くッ!?」
一撃、二撃、三撃と立て続けに撃たれるランスの突きによりこちらにダメージが入る。
風見野 薪 700→560
「ッらぁ!」
力任せによるブレードの横薙ぎ。しかし楯無に当たることもなく空振りに終わる。
攻め込まれたら確実に負ける。常に攻撃し続けるんだ俺!
そう思い、再び楯無に切り込みを入れていく。
「はぁぁぁ!」
「よいしょ、ほいと、やっと!」
だが、その全てがかわされ、いなされ、受け止められる。
そして終いには・・・
(ッ・・・霧?)
何時の間にか俺の周りには霧が立ち込めていた。
「はい!プレゼント上げる!」
バックステップで霧から待避する楯無。その行動に気づいた時にはもう遅く。
爆発
「がぁぁあ!?」
霧が突如として爆発を引き起こしたのだ、煙の中から抜け出した俺は息も絶え絶えに楯無を見据える。
「
「ハァ・・・ハァ・・・このヤロウ・・・」
(つまり置き爆弾かよ・・・下手に近接戦闘を挑んだら一瞬で爆死するなこれ・・・)
風見野 薪 560→320
残りシールドエネルギーはもう半分を切っている。だがいい打開策が見当たらない・・・、サブマシンガンの弾倉をリロードしてから、再び楯無に突っ込む。
「お!臆さずに突っ込んでくるのね!」
今度は右手にブレードを左手にサブマシンガンを持ち、突っ込む。
「水のベールを纏ったままでは霧も使えないだろ!」
サブマシンガンを連射しながら楯無との距離を詰める、勿論、楯無はベールを纏いサブマシンガンの銃弾を防ぐ。
ブレードによる上段からの振り下ろし、楯無は横へのステップでそれをよける。それを追うようにサブマシンガンでの追撃をおこなう。
楯無はランスをポール回しのように回しながらベールを纏っていない場所への被弾を防ぐ。
「うぉぉぉお!」
何度目かになる突撃、楯無は今度は避けずに受け止めてきた。
「この至近距離ならどうだ!」
ランスを受け止めるブレードとは反対側のサブマシンガンを楯無に押し付けて射撃を行おうとするが。
「甘い!」
楯無は肘を使って俺のサブマシンガンを持っている右手を跳ね上げ、ランスの持ち手による腹部への打撃、そしてそのままサマーソルトの蹴り上げをモロに喰らい、体勢を崩される。
風見野 薪 320→300
(ッしまった!体勢を崩されたらアレがくる!)
そう思った時には再び辺りが霧に覆われていた。
「ッく、らぁぁ!」
爆発
しかし、横方向へのバレルロールをしたことによって被弾を最小限に回避する。
「ッ・・・!」
バレルロール後の軌道が安定しない、そもそもまだ慣れていないのと急な姿勢変換をしたため俺自身バランスがとれていないのか。
武器を急遽収納し、回転している中、手を地面に付き、アリーナの地面を削りながら急停止する。
風見野 薪 300→210
「残りシールドエネルギーも半分以下、そろそろ諦める?」
「嫌な事いうぜ、そんな事言われたらますます諦められねぇだろ」
しかし、銃撃と近接による、攻撃も意味がなかった。こりゃ、もう手詰まりか・・・
次をどうするか考えていた時、視界の端から来た砂塵が目に入った。
(砂塵?・・・、さっき急停止した際に出来たヤツか・・・)
その時、俺はとある事を思いついた。
(流石に無理だったかしらね)
目の前にはもうシールドエネルギーが半分以下になっている薪君。
未だに諦めてない辺りは評価するけど、やっぱり一週間である程度まで戦えるようになっただけでも上出来か・・・。
基礎は大分覚えて来てるし、もう終わらしてあげて今後の成長に期待した方が・・・。
そう考えていた時、薪君が変な行動に出た。
「?」
薪は地面に手を置き回り始めたのだった。
「一体、何を・・・」
手を軸に、レッグのブースターを吹かしてベーゴマのように高速回転をしているのだ。
「これは、砂塵?」
薪が回転をした際に出る砂塵、それは徐々に巨大になっていき、薪君を覆い隠す程までに成長していく。
「薪君?、スモークのつもり?」
「まあ、そんな所だ・・・」
砂塵の中から薪君の声がする。どうやら、回転を止めたらしい。
全く、変な事を考える。
「薪君、目眩ましをして奇襲とか考えてるなら、それは誤算よ」
砂塵の中にいる薪君に向かって言う。
「ハイパーセンサーっていうのは元は宇宙での行動を視野に入れて開発されたの」
「操縦者の射撃の補助だけではなく、遥か遠方にある物体も、視界外から接近するモノも感知出来る位にね」
「無論、今の薪君みたいに見えない場所にいても、ある程度の場所ならすぐにわかるわ!」
水のベールを解除して攻撃体勢に移り、ランスを構えて薪君に突撃する。
「ああ、それはこっちも同じだ」
薪君はその場から微動だにしない。
「だが、俺が何をやっているかまでは解らないだろう」
ッ―――!
「アラート、まさか!?」
直ぐに水のベールを展開する。
直後、正面からの衝撃が走った。
「ぐッ!」
「くそっ!防がれたか!」
砂塵が晴れ、薪君が現れる。その手にはブレードやサブマシンガンではなくマークスマンライフルが構えられていた。
薪君は体勢を崩した私にブレードによる追撃をしてくる。
(あっぶな〜!、完全に不意を突かれたわ)
ブレードをかわしつつ、先ほどの事を考える。
(さっきのアラートは反応が遅かったって事は、薪君はハイパーセンサーの補助を使わずに撃ってきたって事・・・)
(まさか、ハイパーセンサーの感知を頼りに手動でも外さない位置まで、私を誘い込む罠だったとわね・・・薪君、このまま成長していったら・・・)
薪君の上段からの切り込みを受け止める。
(かなりの曲者になるかも・・・)
「えぇ!?、今の先輩の攻撃、ダメージになってないのかよ!?」
「むぅ、たしかに当たったはずだが・・・」
アリーナ席、そこには一夏達の姿があった。
「今のはマークスマンライフルの適性距離ではありませんでしたわ]
セシリア、一夏、箒と並ぶ形で座っている。
「セシリア、解るのか?」
「ええ、マークスマンライフルと言っても構造はスナイパーライフルと余り変わりません」
「恐らく、あの水のベールに直撃したにもかかわらず、ダメージが入らなかったのは、弾が最大速に到達する前に着弾してしまった為ですわ」
「成る程・・・・箒、今の説明で解ったか?」
「いや、全然わからん」
「えっと、ですから・・・」
セシリアが今一度説明しようとした時、後ろから声がする。
「つまりは、弾の威力が十分では無い時に着弾したのよ」
後ろからの突然の声に一夏達は振り向く、そこにはサラ・ウェルキンとクリスティーナ・ハイマッシブの二人がいた。
「サラ先輩!」
「ごきげんよう、セシリア」
「うぉ!?キング・コング!?」
「誰がキング・コングよッ!二年のクリスティーナ・ハイマッシブよ、覚えて置きなさい!」
「す、すません」
サラがフフっと笑った後、一夏達に説明する。
「今の風見野さんの射撃がダメージにならなかったのは、簡単に言うと威力不足」
「本来、遠い場所にいる相手にダメージを与えるマークスマンライフルやスナイパーライフルは近すぎると弾の威力が乗りきらず、ああして水のベールに防がれてしまうのですわ」
「成る程・・・近すぎて駄目だったのか」
ようやく納得した一夏、そしてサラが続けて言う。
「ハイパーセンサーを使用して射撃すると敵にアラートで弾道予測されてしまいます」
「しかし、まだ風見野さんはハイパーセンサーの補助無しでは的確な射撃はまだ無理でしょう」
「だから、風見野さんは今の技量でも当てられる距離まで楯無さんを誘き寄せたつもりでしたが・・・」
そこで、サラは一度言葉を区切り、ため息をつく。
「はぁ、これなら、風見野さんに銃の仕組みまで教えて置くべきでしたわ」
後悔している、サラ。そんな彼女を見ながら、一夏は昨日の事を思い出す。
「へぇ、ハイパーセンサーか・・・だから、セシリアとの戦いの時もピーピーなってたのか」
そう呟いた一夏、しかし、サラはその言葉を聞き逃さなかった。
「昨日もピーピーなっていた・・・?」
サラは一度考えた後、セシリアに顔を向ける。
「セシリアまさかあなた。代表候補生ともあろう人物がまだハイパーセンサーの補助に頼っていますの?」
「ッい、いえ。それはですねサラ先輩、ッえっと、えっと・・・もう!一夏さん!!」
「えぇ!?、俺せい!?」
ですわよ、ですのよというお嬢様口調が飛び交う中、箒がクリスティーナに向かって言う。
「キンg・・・ハイマッシブ先輩、風見野先輩の逆転の見込みはありますか?」
それを聞いたクリスティーナは、薪の戦う姿を見てからキッパリと答えた。
「無理ね」
「そんな・・・」
「まず、操縦者の技量の差があるのは明白ね、次にISの性能差も離れ過ぎているわ」
「ISの性能差?」
クリスティーナの言葉を聞いて一夏も会話に参加してくる。
「薪君のISは第一世代型と第二世代型の混合機体、ジャンクパーツとスペアパーツの有り合わせよ」
「先輩、そんな機体で戦っているんですか!?」
「ええ、そして織斑君の白式の零落白夜ようなジョーカーカードがあるわけでもないし、逆転所か一発入れるのも難しい所ね・・・」
クリスティーナの言葉を聞き、今一度試合を見る一夏。
「薪先輩・・・」
その目には楯無に肉薄する薪が映っていた。
「ッ!」
ブレードを両手で握りしめ、楯無に振りかぶる。
「中々しぶといわねッ、薪君!」
しかし、ランスで弾かれる。
(くそっッ!)
弾かれた勢いでもう一度ブレードによる攻撃を行うが楯無がランスで受け止めてから、体を上下反転させて自身の足を俺が持つブレードと腕の間に入れてきた。
「なッ!?」
「ISの戦闘は武器だけで戦うもんじゃないのよ!」
間に入れてきた足を折り曲げ、もう片方の足でブレードの腹を蹴る事によって、俺の手からブレードが弾かれてしまった。
「ブレードがッ・・・」
そして呆気にとられていた所を・・・
「しまっ!・・・」
(また、霧が!)
爆発
衝撃によって力が抜け、地面へと落ちてしまう。
風見野 薪 210→10
(痛ッて〜)
もう、体力的にも限界を迎えている体をゆっくりと起こし、楯無の方を向く。
「もう終わりね、次で決めるわ」
楯無がランスを構える。
確かにもうシールドエネルギーも僅かしかない。だが、俺には一つの賭けがまだ残っていた。
「フッ・・・」
「何?」
「いや、勝負はまだ終わっちゃいないってな」
再び、俺はベーゴマのように回転し砂塵を巻き起こした。
「呆れた・・・、私に二度も同じ事が通用すると思ってるの?」
「そう思うなら来いよ、楯無・・・」
「・・・・・・ッ!」
砂塵に阻まれていても解る、楯無がこちらに接近してきているのが。
俺はただ、その時が来るのを待つ。
楯無が完全に近づく、その時を。
「・・・ッ!」
ここだ―
「楯無、
「!?」
俺はその瞬間に持っていたマークスマンライフルを楯無に投げつけ、瞬時に砂塵から抜け出した。
「きゃ!?」
砂塵から抜け出した俺は楯無を見る、そこには予想した通り、マークスマンライフルを警戒して水のベールを纏った、楯無がいた。
そして。
(ここだ!)
楯無と俺の間、そこには先ほど俺が落としたブレードが地面に突き刺さっていた。
(ッ!)
一瞬体を縮めて、アレを使った。
―瞬時加速ッ!!―
加速する、視界。
楯無との軌道上にあるブレードを手に取り、地面を抉り続けながらそのまま加速する。
「ッ!?」
楯無が気づいた時にはもう遅い、霧による爆弾も間に合わない。
「ッらぁ!!」
俺はそのままブレードで楯無を切り上げた。
「・・・・」
「・・・・」
「・・・置き爆弾の次は置きランスかよ・・・」
楯無にブレードによる切り上げを行ったが、俺の腹には代わりにランスが突き刺さっていた。
風見野 薪 10→0
「・・・・」
「だか、ついにやった」
俺の最後の攻撃、それは確かに・・・
「・・・学園最強に傷はつけた」
更識 楯無 650→640
刀身の先が触れただけ、たった10ちょっとのダメージ。
だが、確かに楯無にダメージは与えたのだ。
「試合に勝って、勝負に負けた・・・貴方の勝ちよ、薪君」
試合の終わりを告げるブザーが鳴り響く、そして徐々に観客席から拍手が聞こえ始める。
それを聞いた瞬間、疲れがドッと溢れ出てきた。
「・・・はぁ、疲れた」
「本当によくやったわよ、薪君。一週間でここまでやるなんてビックリよ」
観客席に手を振りながら答える楯無。
「ほら、貴方も手を振りなさいって」
「俺負けたんだけどな」
「いいから、いいから」
そう言って楯無は俺の手を取り、勝手に手を振らされる。
そうすると、一際大きい拍手がまた鳴り響く。
「ねっ」
「・・・・」
笑顔の楯無、全く勝手な事をしてくる。
どこかで先輩ー!と声が聞こえてくる。恐らく一夏だろう。
「はぁ・・・」
再びのため息、だがどこか清々しい気分でもあった。
俺の初陣は黒星からのスタート、だがこれから成長していけばいい。
今はただ、そう思い青い空を見上げた。
「ほぅ、いい試合だったな」
拍手が鳴る、アリーナ席。そこで、四人の女子達が今の試合を見ていた。
「楯無が目を付けるのも解る、男というだけでなく、彼は多少キレ者のようだ」
ブロンドの髪の女子は足を組ながらそう薪を評価した。
「そう思わないか、舞姫?」
彼女の右隣にいる黒い髪の顔に傷跡がある女子が答える。
「あんなん、ただの素人イジメやろ。まあ、昨日の一年の試合よりかは、オモロイ物見せてもらったわ」
腕を組んでふんぞり返った状態で椅子に座って、アリーナの中央にいる二人を見つめる舞姫と呼ばれた女子。
「ふん・・・では、フォルテは?」
今後は左隣にいる、小柄で三つ編みを一つ垂らしてしる女子に聞く。
「ん〜、いいんじゃないっスかねぇ」
椅子に座ったまま、スマホをいじっているフォルテと呼ばれた女子。恐らく試合もほとんど見ていなかったようだった。
「何がいいのか全然わからんぞ、・・・よし、霞はどうだ?」
今度はフォルテと呼ばれた女子の隣に座っている白髪のメガネを掛けた霞という女子に聞く。
「・・・・」
「・・・霞?]
「え゛!?・・・あ゛・・・えっ・・・」
「霞はずっとあの転校生の事、目で追ってたっスよ」
「むぅ・・・そうなのか。して、どう思った?」
「えっ・・・あ・・・」
繋がらない会話、暫くだってから霞が口を開く。
「い、いいと・・・思い・・・ます・・・」
「うむ、そうか」
終了した会話。霞は少し戸惑ってから、再びアリーナ中央に目を向ける。
「・・・ご執心だな」
「んで、おまんはどう思ってるねん。ソル」
「ん、私か?」
ふと、突然言われてソルと呼ばれた女子は少し考える。
「まあ、まずは私も楯無と同じように彼と接触してみるさ。次のチーム戦までには彼の事を知っておきたいからね」
両手を口元に持っていき、添える。
「風見野 薪、面白い男じゃあないか・・・」
フフっと笑った、その顔は新しいオモチャを見たような顔だった。
うん、見ずらい。
途中の戦闘の説明する所とかめっちゃ書きづらい。
初心者感丸出しでお送りする小説ですが、頑張って技量を上げてきます!