章と章の間に何個か書いていきます。基本日常物として仕上げていく予定です
篠ノ之 箒という少女
早朝、まだ目覚まし時計のアラームがなる前にふと目が覚める。
暖かい布団から見えるのはもはや慣れ始めた景色。自分の右隣にベッドが2つあるのが見えるが、そのベッドは後輩二人が使用しているので俺は床に敷いた敷き布団で寝ているわけだ。
「んん・・・まだ、寝れる・・・」
ベッド派と敷き布団派がいるが、ベッドはマットレスを個人に合わせて調整すれば最高の寝具になるだとか、敷き布団の方が床の固さも相まって、寝相がよくなるとかないとかウンタラカンタラ。
そんな事が頭をよぎるが眠気が直ぐに思考を曖昧にする。
まあ、まだ、起きる時間ではない。この人肌で温められた、暖かい布団を感じながら、二度寝をする。
最高じゃあないか。
二度寝をした後、目覚まし時計に起こされてから、俺の朝は始まるんだ。
俺の朝は二度寝をした後の一杯のコー・・・
「ぐぼはぁ!?」
「あ!?す、すいません!先輩!」
今日の俺の朝は一発の蹴りから始まる。
おはよう太陽、今日も世界を照らしておくれ。
篠ノ之に踏みつけられ目が覚めてしまった俺は外に出て篠ノ之の早朝の練習を見ていた。
竹刀を振るう篠ノ之。朝日に照らされて弾ける汗が輝く。なんと言うか素晴らしきまでの日本人女性って感じだ。
「あの、先輩・・・」
「ぬぁ?」
「何ですかそのマヌケな返事は。じゃなくて、別に先輩は私の練習に付き合わなくてもいいんですよ」
竹刀を振るうのを止め、こちらを見てくる篠ノ之。
「いや、やる事もないし目が覚めちまったし、二度寝するにも気分が悪くてな」
「す、すいません」
「気にすんな、流石に三人も同じ部屋だと狭いからな」
「はい・・・」
お腹を擦りながらそう答えると篠ノ之は再び竹刀を振るい始める。
朝のなだらかな時間、こうしてボケッと朝日を浴びるのも悪くない。そう思っているとあるモノが目に入る。
「フッ!・・・」ブルン
「・・・・」
「フッ!・・・」ブルン
「・・・・」
篠ノ之・・・胸デケェな・・・
竹刀を振るう度に揺れる胸。スイカサイズとでも言うべきそれに目を奪われる。
一夏が以前、間違って掴んでしまった篠ノ之のブラジャーがあったのだがあのサイズを考えると中々の大きさだ。
「フッ!・・・」ブルン
「・・・・」
「フッ!・・・」ブルン
「・・・・」
これは朝からいいモノを見させてもらった。踏まれた甲斐もあったものだ。って、俺は後輩に対して何を考えているんだか。
己の煩悩をぬぐい去る為に太陽を見る。うぉ!眩しい、心の卑しい部分が光によって浄化されていくようだ!。
朝光は人にも重要なモノだ、朝にはしっかり太陽を浴びるんだぞ。体が朝って認識してくれるんだ。
そんな植物の如く光合成をしていると再び篠ノ之から話しかけられる。
「あの・・・先輩・・・」
「ふぁ!?ふぁい!?」
「何ですかそのフ抜けた返事は、じゃなくて・・・その・・・」
「?」
「先輩は・・・家族の事とか心配じゃあないんですか?」
「・・・・」
家族か・・・
俺の家族は今、政府の要人保護プログラムによって名前を変えてこの日本のどこかに住んでいるらしい。
俺自身がISを動かせる様になってしまったが為に、家族が離ればなれになってしまった。
だがまあ、俺の家族は、みんな臨機応変に対応出来る、マイペースな人達だ恐らく、いきなり北海道やら沖縄に飛ばされても楽しくやってるだろう。
「そうだな・・・まあ、案外元気でやってるんじゃないか?」
「当の本人は、やっぱりお気楽なんですね・・・」
やっべ・・・なんか地雷踏んだかも。
篠ノ之がしかめっ面になる。
そう言えば篠ノ之は・・・。篠ノ之 束という姉を持つんだっけか。
篠ノ之 束 世界最強の兵器 ISを作った天才。
一人でISの基礎理論を考案、そして実証して、今ある全てのISのコアを作った正真正銘の天才。
ISの産みの親と言った所か。
「ひょっとして、お前も政府の要人保護プログラムを?」
「・・・はい」
成る程・・・恐らく。家族をバラバラにした原因を作った、姉である篠ノ之博士と、ISに乗れてしまった事で家族と離れにした俺を重ねてる訳か・・・
「あ、でも。姉がISなんかを作らなければ先輩も家族と離ればなれにならずにすんだんですよね・・・」
怒った顔をしたり申し訳ないなさそうな顔をしたり・・・コロコロ表情が変わる奴だ。
「まあ、ISが無かったら今頃日本は。ミサイルの雨で木っ端微塵だろうよ」
「あっ・・・」
「だろう?」
「・・・・」
「お前の姉は確かに、日本を救ったんだ。そんな姉を誇らしく思わないか?」
白騎士事件
今から10年前に起こった大事件だ。
日本を射程距離内とするミサイルの配備されたすべての軍事基地のコンピュータが一斉にハッキングされ、2341発以上のミサイルが日本へ向けて発射されるも、その約半数を搭乗者不明のIS「白騎士」が迎撃した上、それを見て「白騎士」を捕獲もしくは撃破しようと各国が送り込んだ大量の戦闘機や戦闘艦などの軍事兵器の大半を無力化した事件。この事件での死者は皆無だった。
by ウィキペディア
そんな事件で活躍したISを作ったのは篠ノ之の姉である篠ノ之博士だ。
そう言った偉業を為し遂げた姉に親しみが持てないのは、他にも事情があるようだが・・・
「・・・・」
まだ、思い詰めているようだ。
なら、もう一押し。
「俺達はISによって人生を狂わされたが、ISがなければここには居なかっただろう」
「・・・ISがあったからですか?」
「ああ、ISがあったから俺達は出逢う事が出来たし。お前も好きな人とまた出逢う事が出来ただろう?」
篠ノ之の顔の上に?マークが浮かび上がるが一瞬にして顔が真っ赤になる。
「ち、違います!一夏の事なんて好きじゃありません!!」
「あれぇ?毎日見てたけど好意を抱いているようにしか俺には見えなかったが・・・」
「違いますよ!!あんな貧弱!」
竹刀をブンブン振り回しながらおもいっきり否定してくる。まあ、本人が目の前にいないから好きじゃないとか大声で言えるんだろうな。逆に本人がいたら好きとも言えないんだろうけど。
「一夏。ちょっと会わないうちにあんなに弱くなって!昔は私以上に強かったのに!」
「確かクラス代表決定戦の時もお前が指導してたんだろ、やっぱり気にしてんじゃん」
「アイツが弱いからです!」
「ああ、自分が好きな相手にはやっぱり強くあって欲しいからな」
「だから!違います!好きじゃないです!」
「ええぇ?本当に?じゃあ、好きか嫌いかで考えたら?」
「っえ?あ、・・・えっと・・・ッがぁぁぁぁぁぁ!!」
顔を真っ赤にしながら竹刀をビシビシとこちらに叩いてくる篠ノ之、心なしかその攻撃は余り痛くない。
というか話しの本題がずれてしまったのだが・・・ま、いいか。本人が思い詰めるような顔はもうしてないし。
「はぁ・・・はぁ・・・」
「リラックスできたか?」
「どこがですか!!」
おお、吠える吠える。やっぱり後輩弄りは楽しいな。
篠ノ之の呼吸が落ち着くのを待ってからそばにあった水の入ったペットボトルを渡す。
「・・・先輩は意地悪です」
「意地悪のしがいがあったからな」
「むぅ・・・」
再びしかめっ面になった篠ノ之だったが顔を振るい、水を飲み始める。
「まあ、でも。昔に離ればなれになった人間にもう一度会えるってのは嬉しい事だろ」
外から見える自分の部屋を見て言う。恐らくまだ一夏は寝てるんだろうけど。
篠ノ之は飲んでいたペットボトルから口を話し少し考えてからゆっくりと言った。
「・・・・はい」
その返事は確かに真っ直ぐで彼女の心の声だった。そんな気がする。
「よし、そいつは良かった。じゃあそろそろ食堂が開くだろうし、俺は戻るぞ篠ノ之」
そう言って、その場から立ち去ろうとした時、後ろから話しかけられる。
「あの、先輩・・・」
「ん、今度はなんだ?」
「あの・・・その・・・」
後ろを振り返ると篠ノ之がなんだかモジモジしている。
「篠ノ之とは言われたくないので、箒と呼んで下さい・・・」
名字・・・まだ、姉へのコンプレックスがあるからそう呼ばれたくないのか、それとも親しみを持ってなのか・・・
わからないな、だが。心の距離は縮まったらしい。
「わかった箒。俺も薪でいい」
「はい、薪先輩」
朝から見た彼女の笑顔はとびきり素敵な笑顔だった。