Side一誠
「必ず仇は獲ってやる!」
「ほざけ!もう一つ不可思議な力を持っていたとは予想外だったが弱小な転生悪魔如きになぞ!」
アーシアを殺され俺は彼女の神器を奪ったオッサン堕天使を睨みつける。
「見ろ!貴様に殴られた傷など【聖母の微笑み(トワイライト・ヒーリング)】で瞬時に回復出来るわァ!」
「クソッ!…」
今の形態のままでは奴に満足にダメージが通らないか…。
俺のもう一つの力、その辺の石ころを禍々しい宝石に変化させ自身に取り込む事でアーマーを形成し纏う。
だがこの段階では不完全でもしもドライグが俺の中で取り込んだ石を彼が力をぶつけて抑制してくれなきゃ暴走してしまうリスクが高い。
倍加した俺の力も注ぎ込んで早い所浄化して次の段階に進まなければ!
だがオッサン堕天使の猛攻のせいで倍加が出来てない。
其処に
「プロデューサー!」
『ガオーン!』 『バオオー!』
「何っ!ぐはあああー!?」
舞さんの声が聞こえてきたかと思うと氷を纏った狼と青いドラゴンがオッサン堕天使を攻撃しブッ飛ばしていた。
「アーシアちゃんは?!」
榊さんが紅いエレキギターを抱えながら聞いてくる。
ン?…彼女はエレキなんて持ってたか?
『相棒、彼女のそのギターから不可思議な力を感じた。
恐らく野々宮舞と同様の力だ!』
という事はあの狼と青ドラゴンは二人が召喚した事になるのか。
「すまない…術式の解除には至らなくて…」
「そう…」
俺がそう告げると榊さんは静かに確かな怒りを燃やしている事を感じた。
「馬鹿な…カラワーナが人間の小娘如きにやられたのか!?それにそのドラゴン達は一体何だ!?」
「アタシらの心強い相棒だよ!」
カラワーナってあのケバイ女堕天使だよな?という事は二人が倒したのか!
先程までの余裕な態度は崩れ、目に見えて目の前の存在に恐怖しているオッサン堕天使だったが…
「ええい!私はこんな所で退く男、ドーナシークではない!」
無駄なプライドが先立ちドーナシークと漸く名乗ったオッサン堕天使は向かってくる。
「プロデューサー、瑞樹!アーシアちゃんとあそこの二人の救助はアタシに任せてその気色悪い髭ツラのオッサンをブッ飛ばしちゃえ!」
「「ええ!/ああ!」」
舞さんに三人の身の安全の確保を任せ、俺は榊さんに告げる。
「榊さん、匙!少しの間時間を稼げるか?」
「分かったわやってみる!」
「了解だ!」
榊さん達に時間稼ぎを任せ、俺は残りの倍加準備に入った。
Side瑞樹
「いって!」
『バオー!』
「ぐおっ!?…」
私はギターを再び弾き始めドラゴンに堕天使を攻撃させる。
「こ、この程度など!」
先程まで戦っていたあの女堕天使は呆気無くドラゴンの発する音波にやられたけどこの中年堕天使はアーシアちゃんから奪った力で鼓膜を回復しているようだ。
だったら!
「これならどう?!」
「何っ!?」
速弾きしたギターを中年堕天使に向けて翳す。
二乗攻撃だ。
「ぐ、ぐおおおおー!?」
中年堕天使にとって予想外のダメージだったようで回復する間もなく地に叩き伏せられていた。
「あらよっと!」
「くお!?…力が吸い取られているだと!?…」
匙君だっけ?が黒い手を伸ばし中年堕天使の力を吸い取っているようだった。
【BOOST!】×七
「よし!」
「!」
長澤君が準備を終えたようなので私はドラゴンに指示する。
「拘束して!」
『バオー!』
「ひっ!?…」
中年堕天使は逃げる暇もなくドラゴンの巨体に巻き付かれた。
Side一誠
推奨戦闘BGM「BladeofHope」♪
「ナイスだ!」
榊さんがドラゴンに指示したのかドーナシークは拘束され身動きが完全に封じられていた。
【EXPROSION!】
倍加を完了させた音声と共に俺が纏っていた漆紅のアーマーは紅白のアーマーへと変化する。
「ば、馬鹿な!?なんだその上級にも劣らない魔力の奔流は!?」
「【お前をブッ飛ばす為の力】さ!」
『たかが小僧と侮ったお前の負けだ!
相棒は歴代の何者よりも強い!』
「今の声、それにその宝玉の龍の篭手…ま、真逆!?貴様は今代の赤龍て!?…」
「<セイクリッド・ドラゴナックル>!ブゥッ飛びやがれええええー!!」
「ぐわああああー!?」
『バオ!』
榊さんのドラゴンがタイミング良くドーナシークを勢い良く放り投げ、俺は渾身の技を叩き込む。
そして…
「コイツでトドメだ!<セイクリッド・ドラゴンバースト>!!」
「ぎゃあああああああー!?至高なる堕天使となるこの私がこんな小僧なんぞにィィー!?……」
中に取り込んだ石のエネルギーを一気に放出しその一撃を浴びたドーナシークは跡形も無く消滅した。
後にはアーシアの神器のエネルギー体だけが残された。
「終わったの?」
「ああ…」
「「うう…?」」
戦い終わり一息つくと張り付けから舞さんに助けられた二人が目を覚ます。
「そうだアーシアは?!」
「すまない…」
「そんな!?…」
黒ロングの堕天使がアーシアの身を案じていた。
「アーシアの件も含めて我が主からお話があります」
「分かったわ…」
しばらくしてソーナ会長達がやってきて堕天使の二人、レイナーレとミッテルトに話をしていた。
元々はアーシアを保護するつもりが元部下の暴走を招いてしまった事、それでアーシアの命が一度は失われてしまいレイナーレ達は不甲斐無さを感じていたようだ。
アーシアは会長が僧侶の駒で転生悪魔として蘇らせ神器も彼女の下へと戻った。
レイナーレ達も報告の為堕天使領へと帰っていった。
それと後からずかずかとやってきた愚レモリーに難癖を付けられたが榊さんがドラゴンにこっそり指示して会長を残して俺達は離脱した。