魔獣創造って最強だよね   作:超高校級の切望

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三大勢力会談

「天界とサーゼクスから漸く申請がきた。つー訳で明日の夜、いよいよ会談だ」

「それで、誰を連れてくんだ?俺は面倒ごとに巻き込まれるかもしれねぇなら断るぜ?」

「お前仮にもうちの最強の戦力だろうが………まあ、安全は三大勢力が保証してくれるみたいだから別に良いんだがな」

 

 取り敢えずコカビエルのその後を説明する必要があるからミコトは確定として、後は、と魔人達を見回しているとジッ、とオーフィスが見つめてきた。

 

「……会議なんてつまんねーと思うぞ?」

「われにかけられたかってなうわさけしたい」

「そうか、じゃあ良いぞ。代わりに気配は隠しとけよ?んで、取り敢えずペストもか……ゼノヴィアとイリナ、アーシアとフリードも来た方が良いよな。銀色ももういらねーし。後はグレイフィアもだな。んー……ゼノヴィア達を見つけてきたのはお前だったな、来るか?」

 

 と、金髪の女性をみる。その魔人は食べていたいなり寿司を食う手を止めて、にこりと微笑んだ。

 

 

 

 堕天使総督アザゼル、天使長ミカエル、魔王セラフォルー・レヴィアタン、同じく魔王サーゼクス・ルシファーの三大勢力に加え、日本神話主神天照大神の姪ウカノミタマと、日本神話同盟勢力の長、王神帝。

 計六人が席に着く。他は立って控えている。

 

「よ、サーゼクス久しぶり」

「ああ、久し振りだね。グレイフィアも……ひどい目に遭わされていないかい?」

「……………」

「グ、グレイフィア?」

 

 愛する妻に心底不愉快そうな視線を向けられ狼狽えるサーゼクス。リアスを含め混乱しているとセラフォルーがんー?と首を傾げ、あ、と気づく。

 

「もしかして、ユーグリットくん?」

「あ──?」

「あー、そう呼ぶとキレるぞ。こいつの中ではもう自分がグレイフィアだから」

「へー、拗れてる拗れてるとは思ってたけど、拗れるところまで拗れたねぇ。拗れすぎてまともな気がしてきた☆」

 

 セラフォルーが呆れたように言う。サーゼクスはまだ解っていないのか困惑している。

 

「てかお前よく気づいたな」

「マブダチだもん☆」

「そっちは夫だぞ?」

「サーゼクスちゃんはグレイフィアちゃんに一目惚れしたの。一目惚れってね、相手の容姿に惚れることなのよ♪」

 

 なるほど納得だ。姉のDNA植え付けて完全に見た目を一致させたもの、容姿に惚れてりゃそりゃ内面が違っても気付かないか。

 

「そ、それで本物のグレイフィアはどこに?」

「ほれ──」

 

 とん、と床を蹴ると魔法陣が現れ、ほんの一カ月程しか別れていなかったのに異様に髪が伸びたグレイフィアが現れる。キョロキョロと戸惑うような視線を向け、サーゼクスで止まる。

 

「あ、サ……サーゼクス……」

「グレイフィア?グレイフィアなのか?」

「………はい、ずっと、会いたかった」

「グレイフィア!」

 

 と、抱き締めるサーゼクス。メイド姿のグレイフィアの顔が不快気に歪む。

 

「………ミカド君、身勝手を承知で頼む。私の妻を、返してくれ」

「良いよ」

「だろうな、そうかんた───え、良いのかい?」

「もう実験終わったしな。なあ、ミコト」

「はい!」

 

 実験?とあまり穏やかとはいえない単語に訝しむサーゼクス。逆にミコトはどこか誇らしげだ。懐から小瓶を取り出す。

 

「………これは?」

「妊娠促進剤です。これで悪魔の数も安泰ですね」

「─────妊娠?」

「はい。貴方の妻の協力の下、造りました。あ、赤ちゃんも居ますよ」

「─────!?」

 

 ザワ、と魔力が溢れ出すサーゼクスを、セラフォルーが机に押さえつける。

 

「サーゼクスちゃん、やめてよね。私達魔王なんだから」

「ぐっ──き、君だって、ソーナ君が犯されたら町ごと吹き飛ばすんじゃないのか?」

「うん。私は悪魔だからね。守りたい者だけ守れればそれでいーよ☆今のはサーゼクスちゃんの行動で、日本神話と戦争になると()()困るから止めたの☆」

 

 利己的な言葉。王という立場にいながら民を思わぬ言葉は、リリスに言わせるところの彼女の因子の活性化──欲望に忠実な始祖(リリス)らしくなる原初返りの影響なのだろう。

 

「すまない。落ち着いた………」

「ん」

 

 机に押しつけつつ拘束のために張っていた氷を溶かし離れるセラフォルー。

 

「ついでにこれが実験結果で生まれた天使と悪魔のハーフ。名前はノアちゃん。いるか?」

 

 と、背中に天使と悪魔の翼がある幼子を取り出すミカド。天使と悪魔のハーフという言葉にミカエルが目を見開く。

 

「え、ど──な、は!?て、天使と?そんな、何故!?」

「昔襲ってきた天使のきん○ま取って虫に移植した。ほら、虫がいやらしい思いなんて抱くはずねぇじゃん?」

 

 だから堕天せずに交配して生まれた。と赤ん坊の頭を撫でる。取り敢えず時間操作の部屋に突っ込みまともに戦える年齢にしてからの方が良いのだろうか?とセラフォルーに問う。

 

「んー、それって天使、悪魔が子をなせるほどの近縁種っていってるようなものだから、うちで引き取ると殺されちゃうかな☆」

「そうか。じゃ、ミコト、お前が育てろ」

「はぁい」

 

 ミコトはミカドからノアを受け取ると頭を撫でた。

 

「さて、取り敢えず自己紹介といこうか。俺は今代の魔獣創造者、王神帝だ」

「魔獣創造者?『魔獣創造』(アナイアレイション・メーカー)の所有者ですか!?」

「なら、君の部下は君の創った?父上とは、そういう意味か──」

「へー。まあ私はミッくんが何者でも関係ないけどね☆」

「やっぱりか」

 

 ミカエルとサーゼクスが驚愕しセラフォルーはどうでも良さそうに笑い、アザゼルは諦めるように肩をすくめる。

 つまりペストなどは彼の力により創られた存在。だとするなら、彼は歴代最高峰の所有者ということになる。

 驚きながらもウカノミタマも自己紹介してきたので、サーゼクス達も改めて名乗る。名乗った後、天使長ミカエルはジッとフリードを見る。

 

「その、報告では彼はグラムを持っているらしいですがグラムは元々──」

「僕の物、ですよねミカエル様」

 

 と、ミカエルの護衛のフリードに良く似た男が言葉を続ける。

 

「久し振りだね、失敗作のフリードくん」

「───ジークフリート」

 

 失敗作?と、フリードとジークフリートと呼ばれた男を交互に見るアーシア。顔立ちは似ているが、兄弟なのだろうか?それにしたって、仲が悪そうだ。

 

「グラムは元々北欧の英雄シグルドのもんだ。んで、シグルドの死後お前等が勝手に持ち去って、剣自身がフリードを選んだ。文句言えるのは北欧だけだと思うがね?」

「グラムが失敗作を?笑わせないでくれないかな。真の英雄シグルドの末裔は、この僕なんだよ」

「あっそ。どうでも良いわ。それより会談だ会談」

「あ、ああ……」

 

 

 

 まずは今回の会談を行うに至ったコカビエルの暴挙。リアスはそれを説明する。説明した後、コカビエルを回収した魔人派閥に視線が集まる。

 

「それで、コカビエルは?」

「こんなか……」

 

 と、虫かごを取り出すミカド。空間を歪曲させているのだろう。中に小さな木々が生えた島が見えるが、おそらく本来はもっとデカい。そこで、殺し合いが行われていた。

 コカビエルが光の槍を放ち、()()()()()が貫かれる。10数名のコカビエルが殺し合い、地面に散らばった肉片の数が元々はその程度ですまない数だという事を教えてくる。

 

「コカビエルさんの願いは自分と拮抗する力を持つ者を打ち倒してその快感を得ることでしたからね。しかし、それを得るために多くの命を奪うなど以ての外ですし、仮にも堕天使幹部、そこそこの実力者ですから相手を集めるのも大変なんですよね~」

 

 と、ミコトが説明し出す。

 

「そこで考えたんです。コカビエルさん自身を増やせばいいんだって!」

 

 だってそれなら、実力はきちんと拮抗しているわけだから。

 なのでコカビエルに以前イッセーを改造した時にとった赤龍帝のデータを埋め込み細胞そのものを倍にして自動的に増える能力を与えた。溶けたような、混じったような肉塊になり増えると正真正銘のコカビエルが二人に増える。これを延々と繰り返し約百人になるように調整した。

 百人に増えた後コカビエル達は一斉に目覚める。目覚めたコカビエルは見覚えのない森で、自分の偽物を見つけ罠か何かかと思い攻撃し、攻撃されたコカビエルも敵と判断して、殺し合いが始まる。

 最後の一人になると再び分裂。先ほど()()()()()()()()()()を持つコカビエルは直ぐに自分の偽物と思わしき連中に襲いかかり、後はこれを延々に繰り返す。

 

「記憶を引き継げるのは生き残った個体のみですから、コカビエルさんは常に勝利した記憶のみが残りますし、まさに完璧な対応ですよね。堕天使幹部クラスの死体も、いろいろ使い道ありますしね」

 

 ふふん、と胸を張るミコト。三大勢力は、ドンびいていた。

 

「ほら、コカビエルさんもこんなに楽しそうに笑ってる」

「最初は違和感、でも数をこなしゃ、それが自分だって解ってくるからな。でも、殺されかかった恐怖や自分は殺そうとしたという記憶が馴れ合いを決して行わせず殺し合う。そりゃ、精神も可笑しくなるわな」

 

 楽しそうで何よりです、と笑うミコトに涎を垂らし虚ろな目で自分を殺し首を掲げて、別の個体に笑われながら胸を貫かれるコカビエルを眺めながらミカドはケラケラ笑った。

 その後も会談が進み、世界に影響を及ぼしかねない二天龍と魔獣創造者の意見も聞くことになった。まずはヴァーリ──

 

「うん、俺はKGEに勝ちたいな」

「KGE?」

「アザゼルにたまには鍛える以外にも趣味を見つけろ、と言われたろ?その時の通信ゲームで、俺が負けて、散々煽られた相手だ。俺がゲームにはまった理由でもある。確か、king god emperorの略だったか……」

 

 (キング)(ゴッド)(エンペラー)?とミカドを見るアザゼル。ミカドはあったなー、と言いたげな顔をしていた。

 

「ま、平和な願いで何よりだ。で、赤龍帝は?」

 

 暫く言いよどんでいたイッセーだったが戦争になればリアス・グレモリーを抱けないと言われれば和平が良いと叫び出した。

 

「最後にミカド、お前さんは?」

「俺は基本生きたいように生きるだけだ。美味い飯食って綺麗な女抱いてだちや子供達と騒いで楽しむ。それ以外にゃ特に何もいらねぇよ」

 

 と、その時だった。世界の時が止まる。上空に魔法陣が現れ、ローブ姿の───骨が校庭に落ちた。

 よく見るとローブは血だらけで、ローブから無数の虫が現れ空へと羽ばたく。魔法陣から現れたローブ姿の人間達は暴れ回るがあっと言う間に虫に食われ骨になって校庭に落ちる。

 

「────ミカド」

「ん?ああ、転移ってのは空間を歪めるだろ?よく紙を折り曲げて繋げる例えがされるが、逆に言えばこの重なる紙の隙間は存在するんわけだ。で、この町の外から町の中に俺の許可なく移動するとその隙間にすむ肉食の虫達に襲われるようにした」

 

 しかも術者ですら認識できない転移の際の空間の隙間から襲う虫達だ。完全なる不意打ち。まず防ぎようがない。 

 

「そうなると解らねえのが時間停止を行った奴だな」

「これは、ギャスパー君の神器だね」

「じゃあ其奴が裏切り者か、この中に裏切り者がいて許可が下りた自分に便乗させて何人か入ってきたってところか────」

 

 と、そこまでいってギィン!と金属音が響きわたる。発生源はミカドの顔の横。ジークフリートが振るった剣が、フリードの持つ魔帝剣グラムに防がれていた。


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