魔獣創造って最強だよね   作:超高校級の切望

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会談終了

 剣と剣がぶつかり合う。片や一本。片や()()。その全てが伝説級の魔剣という異様な光景。

 

「ちぃ!この!」

「────」

 

 三本の腕を持つのはジークフリート。その三本目の腕は『龍の手』(トゥワイス・クリティカル)というドラゴン系神器で、本来は籠手型だが三本目の腕として独立した亜種。

 振るう剣はバルムンク、ノートゥング、ディルヴィング。

 対するフリードが持つのは魔剣の頂点、魔帝剣グラム。

 左から迫る剣を刀身で弾き、右から迫る剣を柄頭で手首を打ち止める。最後の一本は身を逸らして躱し剣を引き戻して切りかかる。

 

「──ッ!!」

 

 とっさに飛び退き致命傷は避けるが浅く切られる。ドラゴン系の神器を持つジークフリートは、それだけで虚脱感が襲う。

 

「くっ、何故……例えグラムを手に入れたとしても、僕は後四本の魔剣に選ばれたんだぞ!」

「そうだな。私は、選ばれたというより誤魔化しているだけにすぎない。ああ、お前と違い失敗作なのだろうさ」

 

 フリードはグラムを構える。オーラが溢れ出し、地面がひび割れる。

 

「だが、だからこそ、私自身を祖に誤魔化す以上は、この剣が誤魔化せれてくれている以上は、祖に、この剣に恥じぬように極めるだけだ」

「ふりーど(さんかっけい)

 

 と、ヤジが聞こえてきたが無視して突っ込む。

 

「ば、禁手化!」

 

 慌てて禁手を発動。腕が更に三本増え六刀流。内四本が伝説の魔剣であり、二本は光の剣。それらのオーラを総動員して、フリードの一撃に剣が弾かれる。

 

「───ッ!!」

「終わりだ」

「させないよ」

「───ッ!?」

 

 とどめを刺そうとした瞬間、槍が首をめがけて伸びてくる。とっさに躱し距離をとると漢服を着た男が立っていた。

 

「あれは、黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)!?」

「しっているのからいでん」

「誰ですからいでんって──」

 

 また外野がうるさい。フリードは警戒しながら男を睨む。男は楽しそうに笑い周囲を見回す。

 

「はじめまして、三大勢力の長。日本神話のウカノミタマ殿、そして、俺と同じ神殺しの力を宿す者達よ。俺の名は曹操」

「ひゃっはー!レアキャラだ、皆の者かかれぇい!持って帰って改造実験のオンパレードだぁ!」

「ゲオルク!」

 

 と、大量の霧が曹操達を包み込む。霧が晴れると曹操達の姿は無かった。

 

「ち、逃げたか。いや、虫が反応してないという事はこの町内での転移の筈───ま、いっか。テロリストだし何時か会えるだろ」

「そーそーまじこしぬけ」

「え、あれ曹操?ああ、そういや名乗ってたな」

「ちゅーごくのえいゆうそうそう、きりすとのせいそう、ばらんすぶれいかーのもでるはいんど、まじかおす」

「成る程。実質カオス・ブリゲードの支配者は自分であると言いたいわけか」

「ワロスwww」

 

 せっかく何か面白そうな相手を見つけたが逃げられ舌打ちするミカド。まあ切り替えが早いあたり珍しい石程度に欲しい、というだけなのだろう。

 

「そーそーなのにきんぱつろーるのつんでれろりじゃない。おわこん」

「そりゃ終わってるな」

 

 

 

 

「えーっと………つまり、お前は組織を立ち上げるつもりなんてなく、勝手に周りに集まった奴らが組織を名乗っていた、と」

「そうそう」

 

 アザゼルの言葉にオーフィスがこくこく頷く。何というか、こいつってこんな感じだったっけ?と疑問に思う。しかし事実として彼女はこんな感じになっている。

 

「かってになまえつかわれてあくのそしきのおさにされた、そんがいばいしょーをようきゅうする」

「損害賠償って、何を要求するんだよ」

「くび、おいてけ」

「……………」

 

 アザゼルは転がっているカテレアの首を見る。先代レヴィアタンの末裔で、内乱に負け冥界を追われた真なる魔王の血筋。その実力はまあ、最上級ぐらいは多分あるだろうからそれを瞬殺するこの幼女は間違いなくこの中でもトップクラスの実力者。

 

「しかし、何も殺さずとも……まだ、話し合いの余地が」

「ないよ?あいつらそもそもはなしきない。ばかだから」

「だ、だが、それでも」

「そもそも、にほんしんわもおそったれんちゅう、あくまのつごうでゆるしていーの?」

「い、いや、それは………だが、彼女から情報を聞き出して司法取引を行う手だって」

「ん……」

 

 と、オーフィスがミカドを指さす。ミカドはなにやら複数の虫からでる管を剥き出しの脊髄につけていく。

 

「禍の団の構成は?」

「はぐれ堕天使数名、旧魔王派全て。魔法使い複数、アーサーチーム、英雄派です」

「きゅうまおうはいがいkwsk」

「不明です。お互い不干渉なので。旧魔王派は現在、現貴族悪魔の数名と関わりがあります」

「ほう、どんな?」

「ディオドラ・アスタロトを始め、フェニックス家の使用人、各地の領民複数、等です」

「だってよ。セラ、これやるよ」

「お、とと……」

 

 ポイッと投げられたら首を受け止めようとするセラフォルー。首についていた虫達がブブブと羽を振動させ宙に浮いたので受け止める必要はなかったようだ。

 

「これも虫か」

「虫は何かと便利だぜ?何より生物としてもっとも繁栄している。虫すごい」

「むしすごーい。えいようかもたかい。はんしょくりょくも………みらいのえいようげん」

「む、虫………繁殖………」

 

 と、銀色がカタカタと震えだした。

 

 

 

 

 

「転校生のヴァーリ・ルシファーだ。アザゼルは総督としての仕事が忙しくてな、俺が代わりに君達を鍛えに来た。何、安心しろ。神器や特技を鍛えるのはゲームのキャラ育成とそう変わらん」

『久しいな白いの』

『赤いのか。なにやら覇気を感じぬが』

『今回の所有者を見比べて、な……あの剣の担い手に会い、少し昔を懐かしむと、本当、どうしてこれが今代なのかと泣きそうになる』

 

 転校生としてオカルト研究部にやってきたヴァーリ。ルシファーという単語に悪魔達が固まる中ドラゴン達が話し込む。

 

「る、ルシファー?貴方ねぇ、いくら何でも不敬よ」

「不敬も何も俺は旧魔王ルシファーの血筋だ」

「…………へ?」

 

 

 

 

───∞ドラゴンさんがチャットルームに入室しました──

 

∞:バンワー

 

───金髪魔女っ娘さんがチャットルームに入室しました──

 

金:あれ、何か変わりましたね

 

∞:あれじゃあ2ちゃんスレと知り合いに言われた。新しく設定してもらった。

 

───眼帯おじいちゃんがチャットルームに入室しました──

 

眼:バンワー

 

眼:何か名前を入力してくださいとでたんじゃがこういう事か。うむ、解りやすくなったな

 

───OUGONバットさんがチャットルームに入室しました──

 

O:ふむ、して三大勢力会談とやらはどうなった?

 

───アローハーさんがチャットルームに入室しました──

 

ア:其奴は俺も気になるな。ま、どうせ表面上ばっかでうまくいくとは思えないが 

 

───嫁が怖いさんがチャットルームに入室しました───

 

嫁:バンワー

 

嫁:お、集まっておるな!で、何の話を……おお、三大勢力か。何でもアザ坊が敵に回しちゃやばい奴が居るからと潜んだ不穏分子を大量粛正しているそうだ

 

O:身の程をわきまえたというわけじゃな。しかし、呼び方で個人を特定されることもある。そのくせ直せ

 

嫁:堅いことを言う****

 

嫁:ん?なんだ?

 

∞:本名バレ防止

 

───破壊神さんがチャットルームに入室しました───

 

破:彼が敵に回したがらない………もしかして、彼かい?

 

眼:知っておるのか破壊神

 

破:知っている。英雄の卵。

 

ア:英雄の卵ぉ?このご時世に?へぇ、そんなの居たのか知らなかったなぁ

 

破:英雄、というのは正確ではないかもね。彼は、何かを救う気はない。彼にとって全ての命が失っても取り返しがつく。少なくともそう思っているから、わざわざ救ってやる気概がない。楽しめればそれで良い

 

O:それは寧ろ悪役ではないか

 

破:もし彼が歴史に大きく名を残すとしたら、殺しても良い相手、テロリストで遊ぶだろうからね。まあ、ようするに英雄になろうとすれば出来るだけの才覚を持つ

 

ア:けどよぉ、魔王の血筋だの英雄様だのがいらっしゃるらしいぜ?

 

破:血は所詮血だ。血は争えないなんて、祖先に恨みを忘れられない奴の言葉。僕は何の興味もないよ。今興味あるのは、僕が殺す気でかかり、片目のみを失い逃げた彼だ

 

───三日月ドラゴンさんがチャットルームに入室しました───

 

三:強いのか、其奴は?

 

破:少なくとも、私が知る人間の中では最強だろう

 

三:そうか

 

───三日月ドラゴンさんがチャットルームから退室しました───

 

 

 

 

「………あ、場所を聞くのを忘れていた。いや、こういう場所で個人情報はどの道聞けなかったな」

 

 もぐもぐとバナナを喰いながら、男はケータイをポケットにしまった。


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