魔獣創造って最強だよね   作:超高校級の切望

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今代の赤龍帝

「マイの様子がおかしい?」

「そうなんですよ。お父様何か知りません?」

 

 テレビゲームを仲良くする親子。赤甲羅をカーブで避けたミコトの言葉にミカドはふむ、と顎に手を当てる。

 

「恋をしたとか?」

「そんな!?だったら何でお姉ちゃんに相談してくれないんですか!」

「てめぇに相談しても何の意味もねぇからだろうよ」

「───(しん)姉さん、今日は早いんだね」

 

 乱暴な口調で部屋に入ってきたのは王神辰。戸籍上は帝の姉で、駒王学園の教師。こんな性格だが生徒人気は意外にも高い。

 シンはソファの縁に腰を下ろすとそのまま寝転がりミカドの膝に頭を乗せる。ミコトがあっ!と叫ぶ。

 

「様子がおかしいのはクソマイだけじゃねえぜ、ここ最近うちのクソアマ殆どが熱に浮かされたみてぇになってる。原因はあるクソガキ、ここ二、三日突然龍のオーラを出し始めた」

「龍の?あー………」

 

 ポン、と手を打つミコトに視線を向けるミカドとシン。ミコトが語りだした内容に、ミカドは呆れたように肩をすくめるのだった。

 

 

 

 最近、何かおかしい。夕麻ちゃんに殺される夢を見てからだ。あの日以来、夕麻ちゃんもどっかにいっちゃったし………。夢、だよな?松田も元浜ざまぁ、ふられてやんのー!とか言って来やがるし……。

 まあ、とにかく、夕麻ちゃんとのデートの翌日。女子の視線が変わった。松田と元浜と何時ものように覗き、しかし制裁を受けることはなかった。2人はボコボコにされたけど。

 遠目に俺を見てキャアキャア言ってるのが見える。まさか、夕麻ちゃんにも告白されたわけだし、モテ期!?いや、もう一度試してみよう。今回は茶道部の更衣室。はだけた着物とかが見れるスポットだ。ぐへへ、興奮してきた………!

 と、涎を拭いていると下駄箱に手紙が入っているのに気づく。

 

「?………!!」

 

 直ぐに隠した。

 

『放課後、体育館裏で待っています』

 

 間違いない、コレは、ラブレターだ!え?まさか、彼女がどっかいった翌週で第二の告白!?いやいや、俺には夕麻ちゃんが!でも、顔を出さないのは失礼だよな?決して夕麻ちゃんより可愛いこの可能性があるからとかじゃない、うん。

 

 

 

 放課後、体育館裏。ちょっと早く来すぎたか?あ、ここバレー部が見えるんだよな。うち基本的ブルマだし、どれどれ………。

 

「あ、あの……兵藤先輩、ですよね!?」

 

 振り返ると話したことがない、けど顔は知ってる少女がいた。一年生だ!名前は、確か王神マイちゃん!

 モジモジと顔を赤くした様子がたまらなく可愛い!

 

「お、おう、俺に用事、だよな………」

「はい、あの……最初は何だこの変態って思ってたんですけど、最近なんか良いなって思い始めて……だから、あの……つ、付き合ってください!」

「きたー!」

「え?あの……」

「あ、わ、悪い!付き合ってくだいだっけ?付き合って欲しいんだよな!?」

 

 もちろんOK!夕麻ちゃんはどうしたって?ばっか、お前!俺はハーレムを作る男だぞ!彼女なんて複数同時にいても──

 

──死んでくれないかな?

 

「───ッ!?」

 

 不意に、声が聞こえる。あの夢の声だ。刺された俺はこうして生きているんだから、間違いなく夢なのだろう。でも、夕麻ちゃんは俺をあざ笑うかのように姿を消したのは事実。

 この女も、そうなんじゃ……

 

「ご、ごめん、俺……夕麻ちゃんって彼女が居るから──」

「体だけの関係で良いんです!」

「───!?」

 

 ぶっ!と鼻血が吹き出した。

 か、体だけの関係で良いんです……?そんな、そんな素晴らしい日本語があったとは!

 つまり、あれだろ?何なら、今から卒業しちゃってもいいわけだろ?デートとか、そういうのもなしで。何てこった、俺は、やはりモテ期!?素晴らしい!

 

「な、何だったら今から───」

「すんなアホ」

「いだぁ!?」

 

 制服のボタンを手をかけたマイちゃん。ゴクリと唾を飲もうとした瞬間蹴り飛ばされる。

 

「お、お前、王神帝!?」

「きゅう……」

「たく、本当に快楽に弱い奴だなコイツ」

 

 そう言って気絶したマイちゃんをゲシゲシと蹴りつける。

 

「やめろこのクソヤロウ!」

「さっきまでバレー部覗いたり朝友人と覗きの打ち合わせした奴にクソヤロウ扱いされる日が来るなんて、人生解んねーもんだな」

 

 そう言って、王神は指を曲げ振るう。ザシュ!という音と共に急に力が抜け、俺はその場に倒れた。あれ、何だ、コレ……地面が、赤い──まるで、あの人の、リアス・グレモリー先輩の髪───

 

 

 

 傷が回復しはじめるイッセーを見てほぉ、と感心するミカド。

 何でもコイツの中にはあの赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)があるらしく、十秒毎に所有者の力の倍化、倍化した力の譲渡という能力があるらしい。

 そしてミコトの勝手な改造により未分化細胞を自動的に増やすことであらゆる傷をすぐさま治癒することができる体質になった。

 一瞬で死なない限り死ぬことはないわけだ。そして、うちに眠るドラゴンの力で増やした細胞のためその細胞にはドラゴンのオーラが残され、それに当てられて女を引き寄せていたらしい。

 

「ま、それも今日までだがな」

 

 ミコト特製の薬を刺す。何でもドラゴンのオーラが引き寄せる者は本人の性質に大きく左右されるのだとか。つまり、女にモテたいイッセーは女を誘引する。これはそのオーラの質を変え、戦いを引き寄せる方に変える薬だ。喧嘩が売られやすくなる。もちろん誘引オーラも消えたわけではなく、例えば貞操観念の薄い、男の前で平気で裸になるような痴女なんかはあっさり惹かれるらしい。

 

「まあそんな女そうそういねぇだろうが………ん?コイツのポケットの……」

 

 と、ミカドがイッセーのポケットに入ってるチラシに気づいた瞬間、眩い光があたりを包む。

 

「貴方ね、私を呼んだ………あれ、ここ、学校?」

「………お前を呼んだのはそこでぶっ倒れてる無傷の男だ」

「え?───っ!?な、なにこれ!?すごい血……え、無傷……?あら、本当………どうして……この子、調査してた堕天使の恋人よね?あ、良く見ると可愛い顔してるのね」

「可愛いと感じるのか、それを………ああ、なるほど」

 

 さて、帰るかと気絶したマイを背負うミカド。なんか後ろで悪魔が駒を気絶した男に入れてるが気にしないで良いだろう。

 

「あ、待ちなさい!貴方、少し聞きたいことがあるのだけど……その様子だと、此方側の関係者よね?なら、領主である私に確認もとらず領地にすんでいたことに、何か言い訳はあるのかしら?」

「ねぇよ、死ね」

「……え?今、死ねっていった?言ったわよね!ちょっと、こら!待ちなさい!」

 

 もちろんミカドは無視して歩く。追ってこようとする(推定)痴女だったがパキャリと何かを踏みつぶす感触があったので、見てみる。ゴキブリだった。しかも足下を数匹蠢いていた。慌てて、全てを消し去る黒いオーラを放つ。が、ゴキブリは何処からともなく現れる。全部消してから、ミカドが居なくなっていたのに気付いた。

 

 

 

「ただいま。ん?お客さんか……」

 

 家に帰ると見覚えのない靴があった。客かとリビングに向かうと、シスター服姿の少女がミコトの言葉を聞いてふんふん頷いていた。

 

「あ、お父様お帰りなさい。この子はアーシアちゃん。なんと私の弟子なのです!」

「あ、お邪魔をしております。私、アーシア・アルジェントともうします。この度ミコトさんの言葉に感銘を受け弟子になることを決めました。一つでも多くの命が救えるように、これから頑張ります!」

「……………そうか」

 

 ミコトの友達か。なら、学校通わせた方が良いのだろうか?そう思ったミカドはケータイの電源を入れる。

 

「もしもしソーナ?編入方法について聞きたいことが……」

『………ミカドさん、此方側の関係者だったんですね』

「なんだあの痴女から聞いたか?」

『ち……?ああ、リアスですか。ええ、まあ……彼女は憤慨してましたが、まあここは人の世界。文句を言える立場ではありませんから何も言いませんが、明日はお気をつけて………それで、編入でしたか?少々お待ちください。今、書類を──』




そういえばレイナーレ(元身体)は死んだけどレイナーレの脳は肉玉になって生きてるんだよなぁ。タグにレイナーレ生存と書くべきか

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