魔獣創造って最強だよね   作:超高校級の切望

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獣の王in冥界

 冥界。悪魔や堕天使達の住まう世界で、悪魔達の領地で堂々と歩く悪魔ではない者達。

 もちろん王神一家だ。

 

「うん、ここがいいな。じゃ、皆それぞれ護衛をつけて解散」

 

 ミカドがパンパンと手をたたく。家族はそれぞれ別れた。シンは酒の臭いをたどりミコトは冥界の医療について調べにいきマイはミコトについて行く。

 ミカドに付いてくるのは妲己とペスト、そして白い髪に白い肌、白銀の瞳をした白衣に身を包んだラヴィーナと言う名の魔人。そしてグレイフィアだ。銀色?今頃夫とイチャイチャしてるのではないだろうか?

 

「ふんふーん……お、本場地獄カレーだってよ!」

「悪魔のくせに人肉おいてないんですか?しけてますねぇ……」

 

 日本に地獄はない。なんか勝手に想像されているが、日本の死後は黄泉の国があるのみだ。しかし地獄が存在する神話は多い。キリスト教もその一つで、悪魔や堕天使が住む冥界はまさに地獄。その地獄で存在する地獄カレーとはきっと相当辛いのだろう。

 本場インドだけどな!とカレー屋に突進していく主を見て部下達は仕方ないというように肩をすくめる。やがて出てきた赤いカレーをオーフィスがツブヤイターに投稿して店員がタイムを計り始める。

 五秒で終わった。オーフィスはタイマーを持った店員と撮影して再びツブヤイターに投稿する。

 

「はぁ、悪魔達も退屈になったものですねぇ。欲望のまま犯し、壊し、喰らう。それこそが魔性の本質でしょうに」

「好き勝っていきられないのがこの世の中だからなぁ。でもその代わり、娯楽は増えたろ?」

「私が欲しい娯楽と違いますぅ。もっとこう、せめて罪人だけでもお肉として提供できる国に住みたいです」

 

 ぶー、と膨れる妲己。さすが、息子を実の父に食わせた女の台詞は重みが違う。

 

「魔王あたりに交渉してみるか。旧魔王派のテロリストの死体提供してもらえるか」

「悪魔は悪魔で美味しいんですけどね。でも私はぁ、儚い命を、必死にいきる命を摘み取って食べるのがだぁい好きなんです♡」

「英雄派は人間。で、テロリストに人権はない。なるだけ生け捕りにしてやるよ」

「やぁん!ミカド君大好き!」

 

 ぎゅ!とミカドに抱き付く妲己。あまりの嬉しさに彼女の本性である狐の尻尾と耳が現れる。そう、彼女は九尾の狐の大陸での姿を名乗る、白面金毛九尾の狐その人───人?……狐である。

 殺生石から因子を集め魔人としてこの世に復活させた。ミカドを父と呼ばない数少ない魔人である。

 

「あ、でもあの、ほら、あれ………せいそう?は残しといてね。彼の仲間全部ぶっ殺して、彼が復讐に燃えてくれりゃ、少しは主人公っぽくなるだろうし」

「期待してるんですか?」

「だって最強の神滅具持ってるんだろ?俺のより強いって、そりゃ期待するさ」

 

 ケラケラと楽しそうに笑うミカド。そういえばあの槍最強の神滅具だった。けど、実際どうなんだろ?だって扱うのは生身の人間なのだ。ぶっちゃけ鎧を纏える二天龍達のほうが神器として格上のような……。

 

「お父様………」

「ん?」

 

 と、不意にラヴィーナが声を出す。彼女の視線を追えば路地裏から出て来て倒れる少女の姿があった。

 

「た、たす……助けて、お願い。おうちに、帰りたいの」

「……………ご主人様、手は出さない方が良いかと」

 

 と、グレイフィアが路地裏の奥を睨みながら言う。貴族悪魔がいる。おそらく、目的は嫌がらせ。ミカドが助ければ眷属を盗まれたと声高らかに叫び、助けなければミカドの心に罪悪感が残る、とでも考えたのだろう。バカな奴だ、ミカドは例えスカイツリーから落ちそうになっている人間の手をうっかり踏んで落としたとしても「あ……」で済ませる外道だというのに。

 

「助けてほしーの?」

「ご主人様!?」

 

 だけどこの外道。身内の忠告なんてこれっぽちも聞きやしないと言うことを忘れていた。

 

「でもねぇ、お前助けると俺眷属泥棒になっちゃうんだよね」

「わ、私、無理やり……眷属に、なりたくないのに、化け物になりたくないのに」

 

 こういう事例は良くあるのだ。

 

「こうしきせってい」

「………ん?あれ、オーフィス様?」

 

 オーフィスの声が聞こえた気がしたがどこにもいない。気のせいだろうか?

 まあ、取り敢えず、無理やり眷属にされる事例は珍しくない。それこそ、上手く利用すれば各地で同時多発的に暴動を起こせるほどだ。

 魔王が何もしないからなぁ。本当、無能だ。ゴミだ。クソ、カス、ムシケラ。惚れる要素が何処にある。いや、無い。だからこそ自分は完璧なルキフグスだ。あの時から何も変わらない、美しく完璧な──と、若干トリップしかけ慌てて主を止めようとする。主なら別段悪魔と事を構えようと問題はないだろうが、余計な火の粉をつかないようにするのも完璧なる従者の役目。

 

「お嬢ちゃん花は好きかい?」

「え?あ、うん──大きくなったら、綺麗な花になりたい」

 

 なんとも子供らしい夢だ。人間が花になれるわけないだろうに。普通なら──

 

「桶把握」

「へ?───あ」

 

 メキ、と少女の顔が、身体が歪む。メキゴキと生理的嫌悪感を誘う音と共に形を変え、一輪の美しい花が出来上がる。

 

「さて、行くか」

 

 その花をとり歩き出すミカド。隠れていた悪魔達は慌てて飛び出してくる。

 

「ま、待て!」

「あん?何、集合時間も近づいてきたし戻りたいんだけど」

「私の眷属をよくも!」

「眷属?」

「貴様が今花に変えた眷属だ!私の隙を見て勝手に逃げ出して、漸く見つけたと思ったらその瞬間貴様が………!これは国際問題だぞ!」

「なるほどお前の眷属か!なら、慰謝料寄越せ」

 

 はい、と手を出すミカドに、は?と固まる悪魔。

 

「いや、いきなりぶっ殺してやるとか言われてな。説得したんだけど聞き入れてくれそうにないから花に変えた」

「は?え、な……何を………ふざけけるな、そんな嘘───!」

「えー?じゃあ証拠を示せよ証拠をよ。今きたお前に解るとは思えないけどな」

「う、ぐ……」

「つーか俺様国賓様。たかだか貴族風情がタメ口利くな。不敬罪」

「き、貴様ぁ!人間の分際で、許さ───」

 

 と、魔力を片手にため放とうとした瞬間、凍り付く悪魔。ラヴィーナが口を細めておりその口からキラキラと細かな氷の結晶が風に流される。ミカドがそのまま蹴り砕く。

 

「んじゃ、早く合流しようぜ」

「はい」

「ええ」

 

 

 

 集合場所に行くと既に全員集まっていた。

 

「お待ちしてましたミカド様。本日は私が皆様を案内させていただきます」

 

 ペコリと頭を下げるソーナ。今はミカドを国賓として扱うらしい。ミカドはよろしくー、と軽く流す。

 

「ルフェイも来たか」

「はい!」

 

 そう元気良く挨拶するのはルフェイ・ペンドラゴンというアーシアの持つエクスカリバーの初代にして先代所有者アーサー・ペンドラゴンの子孫だ。ミカドと肉体関係を持つ女の一人でもある。

 後で合流する予定だった人物だ。エクスカリバーの現所有者であるアーシアとは仲良くはなしている。どうやら最初に彼女に合流して、そのまま仲良くなったらしい。

 後、予定してない人物も増えていた。ミカドはオーフィスの隣にいるオーフィスより見た目年上の赤髪の少女に視線を向ける。

 

「オーフィスの友達か?」

「ん。我はオーフィスの友達。よろしくミカドさん」

「ぐれーとれっどはわれのよめ!」

「そうか、挙式は何時だ?」

 

 

 

 

 物足りない。

 漸く解放され、心だって落ち着きを取り戻した。夫と肌を重ねる回数も、前より増えた。けど、物足りない。

 夫は前より優しくなったし、夜の時間も増やしてくれた。望まぬ子を産まされた自分を哀れんでくれているのだろう。つらい記憶を、忘れさせてあげるなどという台詞も言っていた。

 忘れられない。胸を揉みしだくあの指が、肌をかく爪が、敏感な場所をなぶる舌が、己の中を押し広げるあれが───

 

「─────っ」

 

 スカートから湿った指を抜き、火照った身体を冷まそうと息を整える。

 戻ってきてから一度も達せていない身体は日増しに自慰に耽る時間が増えた。どうして、夫の所に戻れて幸せなはずなのに、満たされない。満たされたい。

 でも、自分には夫が──

 

でも気持ちよくしてくれない

 

 声が聞こえる。

 

気持ちよくなりたいだけ。別にかまわないでしょ?

 

 それは、駄目だ。夫を裏切るなんて──。

 

虫に犯され、孕まされ、その子供が虫の子じゃないって言い訳が欲しくて、貴方が取ったあの行動は裏切りじゃないの?

 

 あれは、あの時は、自分は、壊れてて。

 

なら、きっとまだ私は壊れている。大好きなはずのあの人と居て、満たされないんだもの

 

 壊れて?

 

そう、だから仕方ないのよ

 

「………仕方、ない。私は、まだ、壊れてる。だから、これは仕方ないこと」

 

 彼女の足は、屋敷の外へ向かって歩き出した。




やはり十八禁も書くべきか

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