魔獣創造って最強だよね   作:超高校級の切望

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オーディン

「ふむ、成る程なぁ。二神に魔の始祖。その器か。よくもまあ、人間風情に押し込めたものだ」

「その辺は聖書の神の凄さ、と正直に賞賛するしかありませんね」

「封印術だけは一級品じゃったからなぁ、あのクソガキ」

 

 ミカドの現状を聞き興味深そうに見つめるオーディン。2柱の祖神に、悪魔の祖。その規格外の力を三つも封印した神器を宿し平然とこれまで生きてきた人間。先代達は直ぐに殺されていたが、これなら実は放っておいても魂が勝手につぶれて死んでいたのでは、と思えてくる。

 まあ、目の前のこの男は仙術を()()()()で極めかけている。寿命の死も外的要因の死もあまり期待できそうにないが。

 力に溺れやすい、我を持ちやすい知的存在にしては異質だ。幼少期から神をして化け物と思わせる三体とともにいたからだろう。己の矮小さを理解しすぎている。

 だからこそ仙術の真価を心得ている。

 

「あ、そうだ。実は私の部下に、貴方に会いたいという者が」

「ほう、誰じゃ?」

 

 ミカドが壁際に立っている部下をみる。その中からフリードが出てきて、剣を抜く。護衛のヴァルキリーが槍に手をかけるがオーディンがそれを制する。

 フリードは剣を両手で持ちその場にひざまづいて剣を頭上に掲げた。

 

「グラムか……」

「はい。これはオーディン様が戦士の王真なるシグルドの父に下賜されたもの。シグルドの死後、教会により持ち去られた北欧の魔剣。私の中のシグルドの因子に反応し私の下にやってきたグラムを、北欧にお返しします」

「いらん」

「…………は?」

「その剣は確かに儂がシグムンドにくれてやり、儂がへし折りその後打ち直された魔剣。で、あるならそれはシグルドの子孫であるお前のものじゃ」

「し、しかし!私は因子こそ受け継がれていますが、人間ではない、デザイナーベイビーです!改造されてシグルドの因子を濃くしただけの者に、何故北欧の魔剣を扱う資格がありましょう……」

 

 そういうフリードの卑屈な態度にくくく、と喉を鳴らすオーディン。

 

「奴とは大違いじゃなぁ。奴めは自身の力に信頼を寄せておったぞ?まあ『勝ち続けた己が卑屈になっては負けた相手も浮かばれない』と言う理由もあったがのぉ。お前ももう少し自信を持て……そんなんでは見限られるぞ?」

「見限られる?」

「グラムは未だお前を認めておらん。見定めている途中じゃ……故に、お主がグラムの力を真に使えたとすれば、お主がグラムに認められたという事。そうなった時、返すなどと言うなよ?」

「…………私がこの魔剣に認められたのなら………」

 

 うむ、と笑うオーディン。

 

「では悪魔達のレーティングゲームを観戦するとしよう」

「おー、ソーナがどの程度強くなったかみたいしな」

 

 

 

 レーティングゲームの結果、ソーナが勝った。

 小猫は結局仙術を使う決心が付かず兵士に負け、聖魔剣を持ってた木場が何人か倒したが椿姫にやられた。イッセーはおっぱいおっぱい言いながら禁手を使い匙と戦い勝利するもソーナの操る水に息を止められ、仙術で水の支配権を奪うもその間に圧縮した水球から放たれた高圧水流に貫かれた。朱乃はイッセー君の前でこの力を乗り越えたかったのに、許しませんわ、と雷光を放とうとしたが真水は電気を通さない。溺れさせられた。

 ギャスパー?序盤でやられたしリアスは一騎打ちを挑み負けた。

 

「ふぅむ、あの赤龍帝は何故おっぱいとしか発さなかったのじゃ?」

「ああ、なんか悟りを開いた結果おっぱいとしか発音しなくなった」

 

 あれには驚いたな、とあの時を思い出す。仙術を覚え込ませるために座禅を組ませていたら突然『おっぱーい!』と叫び禁手《バランスブレイク》に至ったと思ったら、その後『おっぱいおっぱいぱいおぉっぱい……』と語りかけてきた。

 何なんだろうね、あれ。

 

「しかしあれがヴリトラねぇ……シヴァとやりあったインドラをして条件を満たさなければ倒せなかった主神クラスのドラゴン…………あれが?」

「魂をバラバラにされたとはいえ、酷いもんじゃのぉ。使い手が未熟すぎる。主の知恵でなんとか、と言ったところか?それにしても、やけに先行しておったが………会話を聞く限り学校を建てるのと主に認めてもらうだの何だの」

「ああ、彼奴ソーナを孕ませたいらしいからな、ここで良いとこ見せようと思ったんだろ」

「それにしてはお主を越えるとも言っておったが?」

「俺ソーナのセフレなんで」

 

 お互い既に砕けた口調ではなすオーディンとミカド。遥か年上とはいえ一勢力の長同士だ。ましてや三大勢力のように下手に出る理由もない。セフレと聞いてオーディンの護衛のヴァルキリー、ロスヴァイセが顔を赤くしてパクパクしてる。

 

 

 

 

「いやぁ、北欧の主神様は意外と話が分かる。突然殺し合おうとかじゃなくてマジ良かったわ」

 

 オーディンと別れホテルに戻ったミカド。観光に疲れて寝てる皆を起こさぬように防音結界を施した自室で寛ぐ。

 

「それは、何よりです……あなたと北欧が争う事になれば、悪魔達にも少なくない被害が及ぶでしょうから」

「否定できないところが怖いところにゃ………」

 

 ソファに座るミカドの前の床にへたり込み動かしていた舌を止め口を動かす銀色と黒歌。銀色の呟いた言葉に黒歌が顔を青くする。

 

「俺は基本的には争う気はねーよ?戦争なんて何が楽しいんだよ。シヴァが動いたらどーする……後、あれ………ミルたんをして封印しか出来なかったこの世界に住みながらこの星の神話群に居ない奴」

 

 過去片目を失うことになった神との追いかけっこと、ふとしたきっかけで友人とともに行った宇宙冒険旅行で起きたイベントを思い出し肩をすくめるミカド。あの二柱に比べたらメルグヴィゾアなどかわいいものだ。前者はただ怖い。あり方が、神性が、力が。後者は単純に強かった。それでいて不気味だった。ミルたんの協力の下ブラックホールに突っ込んでやったが。

 

「争いごとを起こせば強い奴が目立つからにゃー。争いが終わった直後でも、強さは求められるにゃん。或いは、ほかの所に行かないよう排除されようと動くか……私も覚えがあるにゃ……」

「え?お前が?」

「私これでも強い方なんだけど?」

「喰われかかった相手に子種をせびるお前が?」

「どーぶつだもん。強い雄と子を残したいのは本能にゃん」

 

 そういってザラザラ舌で舐める黒歌。ふーん、と笑みを浮かべるミカドはその額を指で押して床に転がす。

 

「ま、子を残すのは今の家族に謝ってからにしろよ。我が子が出来てそっちに愛情注ぐと、別れた妹と二度と縁を戻せなくなるかもしれんぞ?」

「───へ?」

 

ミカドがクローゼットに視線を向けると、クローゼットが開き顔を赤くした小猫が現れた。

 

「え?な、何で白音がここに───っ!?」

 

 不意に力が抜ける。何かの術か?仙術で直そうと体の気を整えようとすれば、己の気がミカドに流れているのが解る。

 

「塔城よ~、お前そいつに思うところあるんだろ?なら貸してやるよ。それ俺の所有物だから、俺が許可すれば何したって構わないからな」

「………何を、しても?」

「そうそう。事前にお前に貸してた玩具を使おうと、お前があの時見た顔をもう一度見ようとも。姉を許すためだ、仕方ないだろ?」

「…………」

 

 ゴクリと唾を飲み近づいてくる妹。本来なら直ぐにでも胸に抱き寄せ再会を喜びたいのだが、今それをすれば何か失う気がする。と言うか逃げなければ何かを失いそう……。

 

「え?あれ、まさか……発情期?行為見て、早めに来ちゃった?でも、あの……白音……白音さーん、何で私を見てるのかにゃぁ………?」

「許すため………姉様を、許すためだから………仕方ないことなんです。酷いことをするのは、仕方ないこと」

「やめて、私に乱暴する気でしょ!」

 

 

 

 

 

「よー赤虫、帰りは同じ電車だな」

「王神帝───ッ」

「様をつけろよ虫螻女」

 

 人間界行きの電車に乗ろうとすると人間界に向かおうとするミカドと遭遇したリアスは忌々しげな顔をする。

 

「おっぱおっぱいおっぱぱい」

「うん、何言ってるかわかんねーや」

「貴方がこうしたんでしょう!」

「いや、なんか勝手に悟り開いたぞ此奴……」

 

 修行をつけてやったおかげか以前のような敵意が消えたイッセーが独自の言語で語りかけてきた。そのうちおっぱいの神霊とかと交信を始めるんじゃなかろうか。

 

「おっぱいいっぱい夢いっぱい」

「今いっぱいとか夢とか言ったわよね!?」

「おっぱいおっぱい」

「本当は普通に喋れるんでしょ!?」

「おっぱいぱい」

 

 なんか痴話喧嘩を始めた。痴話喧嘩、なのだろうか?無視して高級車両に向かおうとすると黒歌の服をつかむ小猫が見えた。黒歌に耳打ちすると黒歌の顔が赤くなる。姉妹仲がよろしいようで何よりだ。

 

「あはは、黒歌さんったら完全にしつけられてますねぇ。私としては妹ちゃんがそのうち刃物とか使い出してくれると嬉しいんですが」

「んー、まー………ありゃ痛みによる支配じゃなくて快楽に喘えぐ様を見て支配欲満たしてるし、無理だろ」

「残念です……」

「それよりもだ。帰ったら式あげるぞ式」

「式?」

「われとぐれーとれっどのしきあげる?あげる!」

 

 昨晩ルフェイと新しいキャラづくりに励んだらしいオーフィスがピョンピョン跳ねるとグレートレッドが顔を赤くする。

 

「だから、結婚する気はないと言っているだろう!」

「残念ながらお前等じゃねーよ。冥界のホテルで、フリードとアーシアが愛でたく恋仲になった。まあまだキスしただけの初な関係だがな。とりあえずパーティーだ!」

「いや、主、それは流石に恥ずかしいのですが………」

「ふ、フリードさん………いや、何ですか?」

「む、いや……あ、その………いや、ではないが………」

 

 完全にリアスの事などきれいさっぱり存在ごと忘れ去った一同は、そのまま電車に乗り込んだ。

 

 

 

 

∞:嫁が冷たい

 

夢:∞ドラゴンさん嫁とかいたのか

 

嫁:ガハハハ!浮気でもしたか?なぁに、少し呪いを放てば落ち着いてくれるさ!

 

O:そもそも浮気をするな

 

──狼パパさんがチャットルームにログインしました──

 

──独身戦乙女さんがチャットルームにログインしました──

 

狼:ばんわー

 

独:こんばんわ( ^^)/

 

狼:上司に参加させられました狼パパです。よろしく

 

独:私は上司に参加を命令されたあげくネームまで勝手に決められました(;´д⊂)

 

狼:何処の誰か知らんが、上司に苦労してるな

 

独:でもめげません!どうせならここでいい男を見つけてみます!p(`Д´)q

 

嫁:よし、ではワシの住所を教えてやろう!

 

独:あ、嫁付きはNGで乂-д-)

 

三:強いか、お前は?強いのなら考えよう。夫婦となれば、毎日高めあえる

 

∞:我も嫁と高め合いたい。嫁冷たい、どーすればいい?

 

狼:いっそ子でも産ませろ。そうすれば後二人産んでくれる

 

∞:子供………

 

独:なんて古都教えてりんですか!

 

破:動揺してるね。変換間違えてるよ

 

嫁:良いてだな!

 

プライベートモードON

 

∞:OUGONバット、嫁に抵抗させないためサマエルの血頂戴

 

O:何言ってだお主

 

プライベートモードOFF

 

∞:我はもう落ちる。嫁を出来るだけ落とす。ばいばい

 

嫁:頑張れよー

 

独:えっと、そういうのは事前知識がないと危ないですよ。 

 

独:さようなら(^_^)ノ

 

──∞ドラゴンさんがチャットルームからログアウトしました──

 

 

 

「みかどみかど──」

「ん?何だ」

「われぐれーとれっどにたまごうませる?うませる!から……みかどはわれにたまごはらませてほしい?ほしい!」

「ごめんちょっと何言ってんのかわかんない」

「ぐれーとれっどわれのこ……うませる、から……こうびのちしき、ひつよう?るふぇい、みかどがいちばんしってるっていってた?いってた!」

「ふむ、なるほどグレートレッドを孕ませたいと。え、何で?」

「われのよめ、われのこをうむのとーぜん?だからー……おしえてくれたら、われみかどのたまごうむ」


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