魔獣創造って最強だよね   作:超高校級の切望

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愛の魔王

 空気そのものが、空間そのものが、一つの命令を持ったかのように変わる。堕落せよ、溺れよ、発情せよ、貪れ、満たせ。そんな命令に耐えられず自らを慰める者達を虫でも見るように見回したパールヴァティー似の美女はまだ現状が掴めないのか部屋を見回しリリスやイザナミ、ティアマトとシンを警戒するように見て、パールヴァティーとミカドを見てゲッ、と顔をしかめる。

 

「誰かと思えばパールヴァティー。貞淑を司るあなたが何故ここに?オマケに………仙人?はあ、やだやだあの男と同じく自らに苦行を課して俗欲を捨てるマゾヒストじゃないですか………んん?まぞひすと?」

 

 口に出た知らぬはずの単語に首を傾げる女。

 改めてもう一度周囲を見回し、真っ白な肌の己の体を見つめる。

 

「………………あれ?」

 

 ピシリと凍りついたように固まり冷や汗を流す。顔は笑顔を貼り付けたまま、錆びたブリキ人形のようにギギ、と振り返った。

 

「なんですかこの体!?私、死にましたよね?蘇ったら、女?は!?」

「さっきまでの魔王オーラは何処へやら。いや、まだ影響は出てるが。鏡ならそこだぞ」

「!!」

 

 壁の姿見の前に立ち、白い女を鏡の中に見る。困惑しながら頬を触り、パールヴァティーを見て、また姿見を見る。

 

「なん、なんですかこの姿!よりによって、その女と同じ!?頭アーパーなお花畑女神と一緒の姿とか………うわぁ、最っ悪」

「アーパー?」

 

 言葉の意味がわからず首を傾げるパールヴァティー。嫌味が通じなかった女はチッと舌打ちする。

 

「その様子だと、記憶はしっかりあるみたいだな」

「ええ、ええ。はじめまして。私はカーマデーヴァ。どうぞカーマとお呼びくださいな………それにしても、俗欲を捨て去って苦行を歩む仙人様。私のような女といては同胞様方に顔向けできませんよ?」

「ああ?何言ってんだ。親父は近親相姦どんと来いの色情狂だし気に入った菓子のためなら殺そうとしてた奴殺さなかったりする世俗にまみれたダメ人間だぞ?」

「おいこらシン」

 

 夫を侮辱する娘の言葉に叱るべきか、それとも最近相手が増えたせいで相手される回数が減った不満をぶつけるべきか迷うティアマト。

 

「はあ?じゃあ何で仙人なんか目指して……」

「いや、気付けばなってた」

「………………へぇ〜?」

 

 と、その言葉にニヤニヤ笑うカーマ。

 

「ぷっ、あっははは!俗欲まみれのくせに、いつの間にか仙人にぃ!?悟り、とはまた違いますが苦行を行ってたどこぞの坊主に聞かせたい話ですねえ」

 

 ケラケラと楽しそうに笑うカーマ。魔王マーラとして仏陀を堕落させようとしていたのだったか。

 

「カーマ」

「…………なんですかぁ?」

 

 パールヴァティーに名を呼ばれ苛立ったように振り返るカーマ。パールヴァティーはそんな彼女に頭を下げた。

 

「我が夫のしでかした事、夫に代わり謝罪いたします。申し訳ありませんでした」

「謝られたところで焼かれた過去は消えませんよ。とってもとってもとっても痛かったんですよお?愛されて甘やかされてる貴方には分からないでしょうけどねえ」

「………………」

 

 その言葉に気まずそうな顔をするパールヴァティー。まああのシヴァが頭が上がらない相手がシヴァの妃達だからなぁ。

 

「けど、なんで私あなたなんかのそっくりさんになってるです?」

「復活……というかまあ、創造なんだが。それに使った材料の中で一番力があったのがパールヴァティーの頭髪だからじゃねえの」

「………再創造?」

「俺、『魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)』の力使えっから」

「アナ……?なんですか、それ………」

「………………」

「彼……彼女は神器(セイクリッド・ギア)作成前に亡くなってましたから」

「あー………」

 

 パールヴァティーの事は嫌いっぽいのでミカドが話すことにした。

 

 

 

 

「なるほどなるほど。人の血に宿る異能を与える道具。その中でも神を殺せる神滅具(ロンギヌス)………えっと、貴方の場合は魔王という側面においては私以上のそこの女とシヴァと性質こそ違えどほぼ同格のそこの女神、死の概念と融合してる女神を宿していた、と」

「全員休眠状態の所を魂だけ封印されたみたいでな。イザナミの本体は黄泉の国で腐ってた」

 

 その説明を聞きカーマは観察するようにミカドを見る。

 

「………道具?」

「ああ、俺の場合力を十全に発揮出来るようにする為に融合したから神器はもうない。つまり俺は最後の魔獣創造者って訳だ」

「逆に言えば、人間に耐えれる程度の力に抑えられてると…………神舐めてんですか神殺しって」

「聖書の神を殺すには十分なんだろ」

「ああ、なるほど」

 

 納得ですね、と肩を竦めるカーマ。

 

「それで、私はその力を使って悪魔の骨と私の遺灰とそこの女の髪で復活した訳ですか。でも何で女?」

「俺の弟子に女性の胸で進化するやつがいてな。愛の神の胸揉ませたら多分進化する」

「はあ?胸で進化するなんて妙ちきりんな生き物がいてたまりますか」

「女神が脱皮したら新しい神が生まれるインド神話からしてもやっぱ異常か」

「だ、脱皮ってもっと言い方を………」

 

 黒い肌を脱ぎ去り金の如き肌を得た女神(かつて黒い肌をしていたパールヴァティー)は脱皮という表現になんとも言えない顔をする。因みにその黒い肌から生まれたのがカーリーで、肌が黒いからと断っていたシヴァは何故かカーリーも妻にしてる。

 

「どうも照れ隠しだったみたいです」

「あのショタが?」

「ショタ?」

「今は子供の姿なんだよ」

「………貴方の趣味ですか?」

 

 うわぁ、と言いたげな目を向けるカーマ。どうやら昔のシヴァはショタではなかったらしい。

 

「だから私の性質魔王よりなんですね。神性は保ててるけど……」

「ああそうだ。そろそろ垂れ流しの淫気消してくんねぇ?俺等は平気だけどゼノヴィアとイリナが慰め合い始めたし」

 

 舌や脚を絡ませ抱き合うイリナとゼノヴィアを見ながらカーマに頼むミカド。カーマは「新しい体だから勝手がわかりませんねえ」と体の感覚を確かめながら目を閉じる。イリナ達に向ける視線は、どうでも良さそうだ。

 

「虫程度にしか見てねーな」

「虫は好きですよ私?私を殺せませんし……」

 

 やがて空気が正常化していく。とは言え発情した者達は収まりが利かないようで己を慰めたり慰め合ったりしてる。

 

「まあ、私の現状は解りましたよ。蘇らせてもらいましたからねえ、あなたに従ってあげます。ていうかインド神話に戻りたくありませんし……不満があるとするならこの体じゃラティを抱けないことですかねえ」

「シヴァは姿変えてんだろ?お前も似たようなこと出来ねーの?」

「……………あ、生えた」

「アルダナーリーシュヴァラみたいですね」

 

 とか言いながら夫以外のは見る気がないのかパールヴァティーは目を手で覆っていた。

 

「ああ、でも私の復活ってかなりイレギュラーですし、ラティの復活はまだ先ですかね?」

「そうじゃね、知らんけど」

「その時はぜひ、彼女も神としての復活を。多分人として蘇ると思うので寿命に差ができちゃうでしょうし」

「ああ、それぐらいなら構わない」

「では、私は貴方に従ってあげますよ。こんな体ですし、どうぞ好きに使ってください」

「………シヴァの妃似のお前を?殺されない?」

「彼奴見た目は気にしないから大丈夫ですよ」

 

 

 

 

「ところで神格持ってるなら魔人じゃなくて魔神の方がいいか?」

「いいですね、それ。悪魔と一緒くたにされたくないですし」

 

 

 

 

 与えられた部屋で自分を慰めるイリナ。

 カーマの淫気に当てられ、体が火照り、熱が引かない。先程まで慰めあっていたゼノヴィアは道具だけ渡して部屋から出ていった。おそらくはミカドの部屋に向かったのだろう。何時ものように体を重ねているのだろう。

 

「あ、あっ……はぁ、ん!く、ふぅ……」

 

 涎を垂らし、汗を流し、シーツを様々な液体で湿らせるイリナ。足りない……何度いっても収まらない。

 

「あららぁ、苦しそうですねえ」

「っ!?」

「ああ、別に今更取り繕わなくていいですよお」

 

 不意に聞こえた声に振り向くと、何時の間にかカーマがイリナを見下ろしていた。重力の縛りなど存在しないとでも言うようにその体は浮かんでいる。

 

「カ、カーマ……しゃま?」

「ええ、はい。カーマです。マーラでも可……それにしても、苦しそうですねえ。まあ魔王としての私は煩悩の化身ですからねえ。一人で慰めてスッキリなんて出来ませんよ?ご近所さん達も子宝に恵まれるでしょうねえ」

 

 人という存在を見下し嘲笑う魔王がそこにいた。理性だの何だのを踏み躙るように獣の如く疼きを収めようとする人間を嗤う魔神がそこにいた。

 

「こ、これ……戻し、て……お願い、しますぅ」

「え?嫌ですよ。今の私はカーマであると同時にマーラとしての側面が強め。堕落する人間を見るのがだぁい好きですからねえ。それに、聖書関連の人間なんですってねえ貴方………強欲、傲慢、暴食、嫉妬、憤怒に怠惰。果には色欲を罪として七大罪とする宗教。あの男思い出して嫌いなんですよねえ……人間創ったなんて嘘に、知恵の実を食べなければあらゆる欲が無いなんて嘘まで記しちゃうから人間として持つべき当然の感情も持ったら罪になっちゃうんですよ」

 

 聖書の教えを馬鹿にされ、追放されたとはいえ未だ信者のイリナは文句を言いたげにカーマを睨む。

 

「ま、あぶ……油ハム、でしたっけ?美味しそうな名前の聖人とかは神に盲目的に従い続けて我が子を殺すのに躊躇いがなかったそうですし?それぐらいの強い信仰心があれば耐えられますよ」

「た、耐えてみせ、ます………わた、私は元でも、教会の………」

「へぇ〜。どうせ無理でしょうけどねえ………ほぉら、堕落し(おち)ちちゃえ堕落し(おち)ちゃえ」

「はっ、はっ!や、あ………!」

 

 臍に指を突っ込まれクリクリと弄られる。体の上から女の大切な場所を押し潰されビクビク震えるイリナ。舌を突き出しながらもカーマの腕を掴み引き離そうとする。

 

「私の力は心の底から抗えるなら効かないはず何ですけどねえ。貴方みたいなの、ムッツリって言うんでしょう?」

「ち、ちが……!そんな、ことぉ………」

「じゃあ試してみましょうか♪」

「…………ん?」

「へぇ……?」

 

 部屋が変わる。入ったことが無い部屋……だけど知ってる。何度も覗いていた部屋。ミカドの部屋……。

 

「ああ、カーマの仕業か?」

 

 イリナに気付いたミカドはゼノヴィアをベッドに横たわらせると立ち上がる。

 

「ちょっと待ってろ、今それ鎮めてやるよ」

 

 そう言って、頭に手を伸ばしてくる。

 

「……あ」

 

 その手を反射的に払うイリナ。鎮めてやると言う言葉の意味を、深読み…………した訳ではない。

 期待と欲望に濁った瞳を向けて、言い訳を探すように自分からは言い出さない。

 

「あ、えっと………あの……わ、私は……だ、駄目だから………か、神に身を捧げて。だから、その………」

「なら部屋に戻れよ」

 

 とん、とイリナの額を中指で軽く弾くミカド。頭の靄が晴れていく。

 

「淫気は体から追い出してやった。熱もじきに引く……部屋に戻りな。それとも………お前はどうしたい?」

「───!」

 

 ハァハァと息を荒らげ潤んだ瞳を向けるイリナ。そして………

 

 

 

 

 

「……………………!」

 

 朝日が窓から差し込み、イリナは目を覚ます。

 服は、着ていない。昨晩の出来事を思い出す。

 

「わわ、私何て罪深いことを!?ああ、主よお許しください!」

 

 祈りを捧げるイリナ。まだ自分は聖書の神の信徒のつもりだ。いや、未婚の身で戸籍上は独身でも妻のいる相手と関係を持つという姦淫の罪を犯してるが。

 

「うう、あと少し我慢すれば収まったはずなのに………私の馬鹿ぁ………主にも一誠君にも顔向けできないわ」

 

 あんなにはしたなく声を荒らげ、恋人でもない男に四肢を絡めて………。

 

「………で、でも………すっごく、気持ちよかったなあ」

 

 昨晩のことを思い出しフニャ、と頬を緩めるイリナ。慌てて首を振り服を着替え部屋から出る。

 

 

 

 

「アーシア……その、昨日はすまない」

「謝らないでください!その、私が我慢できなかったから………」

「違う!我慢できなかったのは、俺の方だ!君が……魅力的で」

「フリードさん………」




感想お待ちしてます


………………やはりそろそろR18を書くべきか?

やはりそろそろR18を書くべきか

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