魔獣創造って最強だよね   作:超高校級の切望

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九尾の姫

「イッセー、行こうぜ!」

「覗きだ覗きだ!」

「………………」

 

 覗きに行こうと言い出す松田と元浜。しかし、イッセーは目を伏せる。

 

「イッセー?」

「甘いな、元浜。俺は師の教えを受け、真理へと至った」

 

 その結果翻訳機がなければおっぱいとしか喋れなくなったけど。

 

「おっぱいとは、見るものではない。感じるものだ!」

「「!?」」

 

 カッと目を見開いて叫ぶイッセーに、松田と元浜は固まり、そして直ぐに涙をポロポロ流す。そのまま土下座した。

 

「「どうか我々を、弟子にしてください!!」」

 

 

 

 

「何か面白いことが起こっている気がする」

 

 部屋の備え付けの風呂に妲己と酒呑童子と入っていた帝は面白いことセンサーに何かが反応したのを感じ取る。見過ごした!

 

「くく。我等を前に他に面白いこととは、我等が主様は連れない方だ」

「解りきってることでしょう? なら、無視できない程相手してもらいましょうか?」

 

 セラフォルーは妖怪への対処で来れなくなった。

 

 

 

 

 翌日。スケジュールに従い清水寺に向かう駒王学園2年生。バス停から周囲を探索しながら歩く。

 

「ここ、三年坂って言って、転ぶと3年以内に死ぬらしいわよ」

 

 と桐生が言うとアーシアが顔を青くしてフリードの腕に抱き着く。

 

「はぅぅぅ! 怖いです!」

 

 ゼノヴィアもイリナの腕に抱き着いた。

 

「………日本は、恐ろしい術式を坂に仕込むのだな」

「もうゼノヴィアったら………」

 

 それを見たルフェイも帝の腕に抱き着く。松田と元浜とイッセーがフリードと帝を睨む。桐生は面白がって帝の反対の腕に抱き着いた。

 

 坂を登りきると、大きな門。仁王門が現れた。

 

「見ろ、アーシア! 異教徒の文化の粋を集めた寺だ!」

「は、はい! 歴史を感じます!」

「異教徒万歳ね!」

 

 元教会トリオの言葉にイッセーがギョッとする。

 

 

 

「銀じゃない!?」

 

 銀閣寺にたどり着いたゼノヴィアは、銀色ではない銀閣寺をみてショックを受けた。

 

「ゼノヴィアったら、お家でも『銀閣寺が銀で、金閣寺が金。きっと眩しいんだろうな』って楽しみにして写真も見なかったものね………」

「げ、元気出してくださいゼノヴィアさん! きっと金閣寺は金色ですよ!」

 

 震えるゼノヴィアの肩を優しく叩くイリナとアーシア。ちなみに金閣寺は金色でゼノヴィアは大喜び。

 途中で痴漢騒ぎがあったような気もするが、不思議と反応したのは裏に関わるものばかりで一般人はなんの反応もしなかった。

 

 そして茶屋で茶を飲む一同。イッセーは電話で離れ、その間に松田達一般人が次々眠り始めた。

 困惑しながらも構えるゼノヴィア達を尻目に、帝は狐耳と尻尾を生やした店員にお茶のおかわりを頼む。

 

「って、何であんたは落ち着いてんだ!?」

 

 と、戻ってきたイッセーが叫ぶ。どうやら帝が普通に茶を飲んでることに困惑しているようだ。だが、昨日襲撃した妖怪達にすぐに対応しようと篭手を出そうとして…………

 

「待ってください」

 

 ロスヴァイセが現れた。

 何でも、誤解が解けたらしい。姫君達も謝罪したいからついてきて欲しい、との事だ。帝は狐面を付けた女に近付くと仮面をひったくる。

 

「え? ……………え?」

 

 ぽかんと困惑する妖狐を無視して仮面を被る。

 

「よし、行くぞ」

「え、あ、あの…………か、返して…………」

「後でな」

 

 

 

 

 そして、一同は異界へと訪れる。

 金閣寺にひっそりと存在した鳥居をくぐった先には、江戸時代のセットのような昔の建物が並ぶ街が存在した。

 扉や窓の隙間から異形の者達が覗き込み、大通りもカッパや二足歩行の狸、1つ目の大男に車輪に顔だけのヒゲオヤジ。

 

 本で見るそのものの妖怪達が興味深げに帝達を見つめていた。

 

「………人間か?」

「いや、悪魔もいるらしい」

「龍だ。龍の気配もあるぞ………それに、鬼だ」

 

 酒呑童子、妲己は特に気にせず堂々と歩く。イッセー達は視線にさらされ少し居心地が悪そう。帝はパカッと開き舌を出してケタケタ笑う提灯に『古臭い。5点』。泣いていた子供に『今どき話しかける奴なんて殆ど居ない。12点』。睨みつけてきた1つ目の巨人に『息が臭い。死ね』と書いた紙を貼り付ける。

 

 全然驚かないどころか酷評され、妖怪達はショックを受けていた。

 

 そのまま屋敷に案内された。セラフォルーとヴァーリがいた。

 

「来たか」

「やっほー、皆☆」

 

 その間に、昨日の金銀姉妹。昨日の巫女装束ではなく、時代劇のお姫様が来ているような豪華な着物を着ている。

 

「九重様、九久様、皆さまをお連れしました」

 

 そう言い残すとドロンと消える狐の女。仮面を返してもらって無い狐娘はまだ居る。

 

「私は表と裏の京都に住まう妖怪を束ねる者………八坂の娘九重と申す」

「九久ともーす」

 

 自己紹介すると、頭を下げてくる。

 

「先日は申し訳なかった。お主達を事情も知らずに襲ってしまった。許して欲しい」

「ゆるしてほしい」

 

 イッセーは困ったように頬をかく。

 

「ま、良いんじゃないか。誤解が解けたなら、私は別に良い。折角の京都を堪能できれば問題ないよ。もう二度と邪魔しないならね」

「そうね。許すことは大切だわ。主もおっしゃるはずよ、汝の敵を愛しなさいって」

「平和が何よりですから」

 

 と、元教会信徒3人が許し、フリードとイッセーも許す。一同の視線は帝達に集まる。

 

「ん? 俺? 俺はまあ、もう少し事情を聞いてからだな」

「我は主が許すなら構わん」

「ですね。許さないならその時は………」

 

 酒呑童子はどうでも良さそうに、妲己は面白がるようにそう返した。これが眷属仲間なら兎も角、他派閥のトップで悪魔の超偉い人の後夫である帝には何も言えないイッセーは黙り込む。

 

「うむ、当然だ……事情を話そう。ついてきてくれ」

「きてくれ」

「ははは、姉の真似か? 感心感心。どれ、いなり寿司をやろう」

 

 なんか九久に甘いなこの人? と首を傾げるイッセー。

 

 

 

 この京都を取り仕切る妖怪の長、八坂が須弥山の帝釈天から遣わされた使者と会談するために数日前この屋敷を出た。

 しかし、八坂は時間になっても会談の場に姿を表さなかった。不審に思い妖怪達が調査すると八坂に同行していた警護の烏天狗が瀕死で保護された。

 烏天狗は死に際、八坂が何者かに攫われたことを告げ、妖怪達はその下手人を探す中、イッセー達を見つけた。

 

「ま、総大将が攫われたのはそちらの不手際で、私達がその結果襲撃される謂れも、許す道理もないけどね☆」

 

 キャハッと嗤うセラフォルーに九重達の隣に控えた大天狗はグッと唸る。セラフォルーは気にせず膝枕している帝の頭を撫でた。

 

「……………魔王殿、どうにか八坂姫を助けることはできんのじゃろうか? 我等に出来る事なら、幾らでも力をお貸し申す」

 

 天狗がそう言って一枚の絵画を取り出す。何処となく九重達に似た美女が描かれており、イッセーは絵の胸元に目を向けた。

 

 もうイッセーの中では、それだけで助ける理由ができた。

 

「俺はアザゼルの名代として、この地に派遣されている堕天使派閥を動かしている。そちらは?」

「まだな~んにも、だってする理由ないしね☆」

 

 と、セラフォルーの言葉にイッセーが思わず立ち上がる。

 

「セラフォルー様! そんなこと………!」

「えい☆」

 

 チョーカーについている翻訳器が凍りつき砕けた。

 

「おっぱい! おっぱいおっぱいぱいぱい!」

「あはは。何言ってるか解んない☆」

 

 事情を知らない妖怪達は突然どうしたとイッセーを見る中、セラフォルーは目を細める。

 

「まあ言いたいことは解るよ。手を組むんだし、助けてあげようとか言いたいんでしょ? でもねえ、妖怪()()と手を組むのは、面倒事をなくしたい、程度の理由なんだよ?」

 

 九尾の狐のその実力は、最強が魔王級と呼ばれる五大龍王に迫るとされる。ただ、魔王級……そう称される悪魔は実はそれなりに居る。現レーティングゲームの王者など、若い世代にもチラホラと。

 その上で最強の女悪魔であるセラフォルーは、下級悪魔に視線を向けた。

 

「龍王と同等程度がトップ一匹の組織が、無礼を働いた上で力を貸せなんてさ、なめられてると思わない? だから、こちらが納得出来る対価を差し出すまで手は貸しません☆」

「おっぱい!」

 

 と、イッセーは八坂の絵と九重達を指差す。

 

「あははー。子供の笑顔と、九尾の御大将の胸? そんな木端悪魔しか喜ばない物のために、この魔王に動けって? サーゼクスちゃんが優しいから勘違いしちゃった? あのね、赤龍帝ちゃん。君は冥界の人気者だけど、私からしたら何時でも殺して良い下級悪魔なんだよ☆」

 

 放たれるのは殺気ですらない威圧。

 イッセーは身をすくませヴァーリは身構え、アーシアは気を失いフリードが支え、イリナやゼノヴィアは固まり、狐の姉妹は思わず後ずさり大天狗がその身を巨大化させる。

 

「……………あはは。うっそー! 驚いた? でもね赤龍帝ちゃん。君の眼の前に居るのは魔王様。自分の身分を忘れないようにね☆」

 

 さて、とセラフォルーは妖怪達に振り返る。

 

「それで、自分達の不甲斐なさで主を攫われ、勘違いで襲ってくる勢力に手を組んでまで総大将を助けてあげるメリットを提示してね。お金でも恭順でも人材でも土地でも、何でも良いよ〜。無礼をチャラにして、力を貸してもらえると思えるだけ差し出して☆」

 

 それは言外に、払うものが少なければ妖怪達が悪魔をなめていると判断する。そう言われたようなものだ。固まる大天狗に、オロオロと助けを求めるような視線を向ける九重。と、不意に帝が片手を上げた。

 

「何なら俺が提示してやろうか?」

「ミッ君!?」

 

 帝に逆らえる者は冥界には居ない。厳密には逆らう奴はいるが、表向きに逆らって良いだけの地位が存在しない。

 初代ルシファー亡き今、リリスの夫というのはそれだけ特別なのだ。というかインド神話のシヴァからも「彼が魔王と関係を持っているんだろ?」という理由で同盟を結ばせてもらっている。

 

 あらゆる神話の中でも最強。闘神が数多居るインド神話の中で頂点に坐す()()()であるシヴァに目をつけられている。そんな帝に手を出そうとする者などインドラぐらいしかおるまい。

 

「え〜…………」

 

 当然セラフォルーも逆らう気はない。ないが、それはつまり帝がどんな要求するかによって妖怪達に悪魔相手にはこの程度の対応でいいと思わせてしまう。

 

「殺生石と先代達の九尾の遺骨、生きてんなら隠居した奴等を殺してその死体と………京の気脈を一日使わせろ」

「わお☆」

 

 思ったより大きな要求に、こっちが罪悪感を感じるレベルだった。

 

「それだけあれば九久も安定する」

「あんてい?」

「!? 九久に何をする気じゃ!!」

 

 首を傾げる九久と妹を守ろうとする九重。帝は起き上がり、九久を指差す。

 

「安定させなきゃ死ぬぞ、その半妖」

「!?」

「…………おっぱい?」

 

 恐らく、イッセーは半妖と言っているのだろう。困惑する三大勢力の面々に対して、大天狗は目を見開く。

 

「は、半妖? 九久が………?」

「そうとも。そんで父親の顔は、こんな顔」

 

 と、仮面を取る帝。何時の間にかその背が縮み、10になったばかりの子供になっていた。

 

「貴様!!」

 

 大天狗が取り出した錫杖の石突が帝を叩き潰す。畳がめくれ上がり、下の木も砕ける。狐の面も砕け、妖狐があー! と叫んだ。

 セラフォルーは表情を消し冷気を纏い………

 

「おいおい、ガキの前で父親を殺すなよ」

 

 と、錫杖の輪形に座る帝。

 

「何が父か!! 八坂姫を孕ませ、そのまま姿を消したくせにどの面を下げて吠えるか!」

「それは誤解だ鞍馬山の大天狗。そもそも襲われたのは俺だぞ?」

 

 妖怪とは人を喰らい、脅かし、畏れさせ、犯す者。それは京を守護する九尾とて例外ではなかった。

 稲荷神の化身を騙り死体を貪る野干の王の血筋は、シヴァの一撃を喰らい、神の気配を纏う極上の贄に我慢出来ず弱っていた帝を貪り喰らった。

 

「俺がお前達の総大将を誑かし孕ませたんじゃない。お前達の総大将が俺を拐かし犯して孕んだんだろう。まあ俺も、傷を癒やしてもらった恩もあるから、何もせずに宝とか奪うだけで済ませてやったがな」

 

 正直に言えば、傷の癒えた帝なら妖怪を皆殺しにだって出来た。だけど見逃した。

 

「だから子供が居るなんて、そもそも知らなかったんだよ。しかしなるほど、長女は辰だと思っていたが」

 

 トン、と降りた帝が九久の前に立つ。

 

「……………あなたが、わたしのおとうさん?」

「そうなるな」

「………でも、どうしてごせんぞさまのほねが、ほしいの?」

「ん? だってお前、このままじゃ死ぬからな」

「…………?」

 

 深海で修業を終え仙術と闘気を覚えた帝がシヴァに見つかったのは、神器に封印された力を取り込もうとしていたから。

 

 その為悪魔の始祖、祖神の力を取り込もうとして気配が不安定になった帝は気配を隠せずシヴァに見つかったのだ。まあ、その頃の帝は何からも隠れる必要がないと調子に乗っていたのもあるが。

 

 とにかく、九久はその不安定だった頃の帝の子。故にその存在も非常に危うい。母体が九尾の狐程度というのもバランスを乱した。

 

「だから九尾の力と京の力を使って安定させる」

「う〜ん。それって、結局妖怪側に得が多くない?」

「それもそうか。じゃあ京の妖怪共は俺に従え。殺さないでやるから」

「なめるなよ小僧!」

「正当な評価だ。お前等まさか、本気で俺達に勝てると思っているのか?」

 

 帝の影から青い炎を纏った龍が現れる。酒呑童子と妲己もその身から膨大な妖気を放った。

 

「俺に娘の家族を殺させるなよ。別に、上に立ったからってこうしろああしろとも言わねえよ。面倒だからな」

「……………八坂姫を救わぬ事には、答えはだせぬ」

「まあ、それもそうか…………仕方ない。娘のためだ、騙されてやろう」

 

 その言葉に九重達は顔を上げる。

 

「何気に俺の初めての相手でもあるからなあ。良いぜ、お前等の母親を助けてやる」

「ほ、本当か!?」

「嘘はつかん」

「あ、ありがとう……おと、おとう…さん………」




感想お待ちしてます

やはりそろそろR18を書くべきか

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