アーシアに使い魔の代わりとなる護身具を渡して数日。
球技大会だ。種目はドッジボール。ミカド達はSF部というミコトの趣味全開のオーバーテクノロジーな薬を作る部活として参加する。
科学部がすでにあったからこの名になった。ソーナがセ(S)ックスフ(F)レンド部ですか?と割とマジな顔で聞いたという逸話もある。
アーシアは危険の少ない外野。
イッセーがボールを取れず外野になる。
「くっ、停学にされず練習期間があれば!」
「イッセー君の仇ですわ!サンダーショット!」
「あわわ、あぶなーい」
「────」
ミコトが放電するボールを避けマイが受け止める。ミコトは戦闘は得意分野ではないのだ。まあ、別にだからといってグレモリー眷属程度には負けないのだが。
何だ今の、魔球だよ魔球!と盛り上がる観客達の脳天気さにあきれながらも、これなら多少人外じみた力を使おうと大丈夫そうだと兵藤一誠が停学にされて以来敵意を向けてくるオカルト研究部にボールを投げつける。高速回転したそれを受け止めようとした朱乃だったが弾かれ腹に当たる。そのまま壁まで吹っ飛びボールはテンテンと床を転がる。アーシアがパスしてきたので今度はなにやらボーッとしてる木場。リアスが叫ぶが反応せずぶち当たる。当たったボールは角度を変えリアスも吹き飛ばした。小猫は外野。勝者はSF部。
「ふぅ、さすが先生。さっきは見事な手術でした」
「いやいやアーシアちゃんも良くやってくれたよ~?今回の手術、縫合痕がどうしても一週間は残っちゃうはずだったのに直ぐに治しちゃうんだから」
ミコトは裏社会で医者をしていた。人外達の、というわけではない。いや、ライザー・フェニックスの眷属達を蘇生して以来そちらからも要請が来るようになったがまあ、人間と嘗められているので偶にだ。普段はやくざ、マフィア政治家、芸能関係が主な依頼人。稀に名を上げたい病院や製薬会社。彼等の資金源は主にそういった客達から出ている。
今回はそういった客からの帰りだ。と、その時──
「やあやあお嬢ちゃん達、ここは良い町だね。簡単に侵入できるし悪魔とかと切りあえたし神父ぶっ殺せた」
「………貴方は?アーシアちゃん知り合い?」
剣を持った白髪の少年神父が現れた。神父服から元教会所属のアーシアの知り合いかと尋ねるがアーシアは首を傾げて否定する。
「いえ、あんな普段のご飯をジャンクフードですませてそうな不健康な兎に心当たりはありませんけど………あ、もしかして患者さんですか?」
「あー、確かに残りの寿命普通の人に比べたら少なそう。あれ?ていうか貴方
「そりゃ俺ちゃん元悪魔祓いですもんよ!」
「………教会が、神の御技の真似事?アーシアちゃんどう思う?」
「えっと、普通に考えて粛清物では?でも、そんな話聞いたことがないですけど」
「汚点だから隠したとか?」
「ええ!?そんな、それって良くないことです!信者達に隠し事なんて、私、許せません!」
「俺を無視して何くっちゃべってやがんだ!」
と、話し込む二人に切りかかってくる少年神父。アーシアは空間に現れた波紋に手を差し込み、
「ああん?教会の使者?」
「はい、リアスが貴方達のことを話したらしく、『異教の神の信徒か、事件に首を突っ込まれても面倒だから忠告しておこう。何処にいる?』と発言していました……リアスが住所教えようとしてたので改めて後日くるように命じました」
「命じたのか」
「はい。だって、たかだか教会の悪魔祓いと魔王の妹である私では立場の差という物がありますから。私のせいで悪魔が下に見られるなんてことはあってはなりませんからね………明日、予定が合えば生徒会室にきてください。そこで教会の使者、リアスとその眷属、私達も交えて彼女達の目的を聞きますので」
「聖剣を渡されるほどですから、ある程度の実力はあるのでしょうが」
ソーナと椿姫の言葉を聞き聖剣ねぇ、と昨日アーシアが運んできた急患を思い出す。なかなか面白いものだったので少し改造したが……。しかしあれ、ホムンクルスってだけであり得ないのに調べてみたらもっとあり得ないことに、キリスト教的には異教……ちょっと遡れば異端審問される邪教扱いの他神話の因子が入っているというよけいあり得ない存在だった。
と、その時ドアがノックされる。ソーナと椿姫が慌ててシーツで体を隠すとミカドが入れと許可を出す。
「ご主人様、お食事の用意が出来ました。お二人の分も用意しております。よろしければどうぞ」
ぺこりお辞儀して出て行く銀髪のメイド。ソーナは驚いたようにその背を見送る。
「………意外ですね。あの後、てっきり子宮を取り出されたり脳内分泌物を調べるという名目で脳だけにされてるのかと」
「お前は俺の娘を何だと思ってるんだ」
「しないんですか?」
「いや、普通にするだろうな。まあわざわざバラす必要はねぇから今は時間を早めた部屋で頭蓋貫いて脳の反応読みとる機械つけて精巣虫共に犯させてるが………」
「え、でも……」
今普通にいましたよね?と目で訴えかけるソーナ。
「あれは弟だ。いや、元弟か?ぶっ殺したつもりだったが意外としぶとく生きててな。睾丸とった時に目覚めてその事教えたら『つまり私は姉さんに近づいたということですか!?』とか言い出して喜んでたから、姉からとった生態情報を植え付けてみた目改造した。姉弟だけあり良く馴染んだ………」
「それは、気持ち悪いほどシスコンですね………その、姉がそんな目に遭ってるのに何も言わないんですか?」
「彼奴の中ではもう
「………まあ、あれも精神壊れてる気がしますけど」
「取り敢えず
翌日、教会の使者というゼノヴィア・クァルタと紫藤イリナ、オカルト研究部とソーナに椿姫と王神一家とアーシアを交えて会談が行われた。
「貴方が異教徒ね?今からでも改信しない?大丈夫、主は寛大よ。例えもと異教徒でも受け入れるわ」
「よせ、イリナ。異教徒は異教徒なりに自分の信じる神がいて、それで満足しているんだ」
喧嘩売ってんのか此奴等?とミカドは思ったが雑魚の戯言だと見逃してやることにした。
彼女達の話によると、教会所有のエクスカリバーが三本ほど盗まれた。エクスカリバーは先の大戦で砕かれ、今は破片を使い七つの聖剣になっていて、自分達はその内二本を所有しているから派遣された。
盗んだのは堕天使幹部コカビエルで、教会の上層部は悪魔達が堕天使と組んで聖剣を破壊する気なんじゃないかと疑ってるから手を出すな。後異教徒の助けなんて恥だから手を出すな。もしお前等組んでたら殺すからな、とのこと。
「なあソーナ、コカビエルってどんくらい強いんだ?」
「会ったことはありませんが、仮にも最上級堕天使です。魔王様に匹敵するかも……」
「魔王ってーとこの前の奴等か………なんだ、教会上層部とコカビエルってのが繋がってるだけか」
「なんだと?どういう意味だ……!」
バン!と机をたたき勢いよく立ち上がるゼノヴィア。イリナはキョトンとしていた。ミカドはそんな事もわかんねーの?と耳をかく。
「お前等程度じゃ例え世界がひっくり返ってもコカビエルってのに勝てねーだろ。なら、教会上層部が弱い奴に聖剣持たせるんで殺して奪っちゃってって言ってるようなもんだろ」
「私達が負けると言いたいのか!?」
「だって弱ぇじゃんお前等………そんなお前等に朗報。聖剣一本回収したからこれもって帰んな。堕天使幹部相手だ、上も強くいえねーだろ。悔しがるぜ」
と、異空間に収納していた剣を取り出す。それは、どうみても聖剣だった。ゼノヴィアが己の聖剣に巻いていた布を取り払いミカドの首筋に当てる。
「貴様、堕天使と組んでいたか………奴は今どこにいる!?」
「…………そう判断するか。ま、それは此奴に聞け」
面倒くさそうにため息を吐くと床をトン、と軽く蹴る。そこを起点に魔法陣が広がり、一人の少年が姿を現す。
「初めまして、私の名前はフリード・セルゼン。好きな言葉は健康第一です」
「「「…………誰!?」」」
ゼノヴィア、イリナ、ついでに木場が現れた人物を見て叫んだ。
ところで皆、知ってる?アーサー王に湖の乙女が渡した剣て