大洗のボーイッシュな書記会計   作:ルピーの指輪

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短いシーンなのに、オリ主がでしゃばってしまい長くなってしまいました。
よろしくお願いします。


黒森峰の隊長と副隊長

『大洗女子学園8番』

 

「「やったーっ!」」

 

 抽選会でクジを引いた隊長の西住さん。ふーむ、1回戦はサンダースか。

 サンダース大学付属高校の子たちが喜んでいるな。気持ちは分かるがマナー違反だろ。

 

「ふぅ、初戦はサンダース大学付属高校か。みほは、クジ運が良いのか悪いのか……」

 

 私は抽選結果を見て感想をもらした。

 

「サンダース大学付属高校って強いのー?」

 

「優勝候補の一つですよー」

 

「えっ、それって大丈夫なのー?」

 

 秋山さんが武部さんにサンダースについて教えてあげてる。

 

 サンダース流の物量で押す戦術は中学時代も苦戦したなー。あの時の隊長、アリサさんは中々の切れ者で素直だった当時の私とは相性が悪かったんだよねー。

 

 今の3年で気をつけるのは有能な隊長のケイさんと砲手で副隊長のナオミさんだろうな。

 

 特にナオミさんは大会ナンバーワン砲手争いをするほどの人だから要警戒だ。正直言って、ファイアフライは勘弁して欲しい。

 

 とか色々と考えていたら抽選会は終わっていて、私はAチームのみんなと一緒に戦車喫茶ルクレールでお茶をするっていう女子高生っぽいことをすることになった。

 

 なんだろう。すごく嬉しい……。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「ご注文はお決まりですか?」

 

 スイッチから砲撃の音が流れて店員さんがやってくる。てか、店員が来るスピード早くない? 見聞色の覇気でも修得してるのかな?

 

「ケーキセットでチョコレートケーキを3つと、いちごタルト、レモンパイにニューヨークチーズケーキを1つずつお願いします」

 

「承りました。少々お待ちください」

 

 あー良かった。ボーッとしてたけど、五十鈴さんがみんなの分を代表して頼んでくれたんだ。てっきり、全部五十鈴さんの分かと……。

 

「わっ、何これ?」

「ドラゴンワゴンですよー」

「かわいいー」

「ケーキもかわいいー」

 

 ケーキも注文してすぐに届いた。やたら、みんなって可愛いって言葉使うよねー。まぁ、確かにケーキは可愛いけど……。

 

「1回戦から強いところにあたってごめんね」

 

 しょんぼり顔の西住さん。いや、割と高確率で4強のどこかにはあたるから。

 

「まぁ、強豪の中ではラッキーな方だよ。初戦でサンダースは。ねぇ、秋山さん」

 

「はい、サンダースは確かに強豪で優勝候補ですが、それはとってもリッチな学校だからなんですー。なんせ、戦車の保有台数が日本一ですから」

 

「それが1回戦ってことと何か関係あるのー?」

 

 秋山さんのセリフに武部さんが質問する。

 

「つまりこういうことだ。レギュレーションで1回戦に使用できる戦車の数は10台までって決まっている。つまりね、たくさん戦車があるって優位を1番活かしにくいんだよ」

 

 秋山さんに代わって私が説明する。

 

「それでも、我が校の2倍ですねー。タイマンで2つずつ倒さなくてはなりません」

 

「ははっ、大丈夫。全国大会はフラッグ戦というルールだからフラッグ車っていう1台を先に撃破したチームが勝ちなんだ。だから、2倍くらいの戦力差なら何とか覆せるよ。大変なのは間違いないけどね」

 

「玲香さん……。うん、私もサンダースに勝てるように頑張るよ」

 

 西住さんは決心したように頷いた。

 

「なぁ、玲香さん、負けたら単位はどうなるんだ?」

 

「えっ、えっとねぇ。とりあえず、勝ったら保証するから。ねっ? 冷泉さん。ははっ」

 

 負けたら単位どころじゃない予感がしている私は笑って誤魔化した。

 

「ふーん、後で詳しく聞かせてもらうぞ」

 

 冷泉さんはムスッとしてケーキをパクついた。

 

「ねぇねぇ、全国大会ってテレビ中継されるんでしょ。モテちゃったらどーしよー」

 

「生放送は決勝戦だけですよ」

 

「じゃあ決勝目指して頑張ろー」

 

 無謀とも言える武部さんの発言は知らないからこそだろうな。

 

 まぁ、知ってて優勝を目指すバカがここにいるが……。

 私はケーキをおいしく食べていた――。

 

「副隊長? ああ、元副隊長でしたねぇ」

 

 通路の方から女の人の声が聞こえた。こちらに話しかけてるのかな? ていうか、この人たちって、まさか……。

 

「おっお姉ちゃん……」

 

「まさか、まだ戦車道をしているとは思わなかった」

 

 現れたのは、西住まほさんと逸見エリカさん。戦車道の王者、黒森峰女学園の隊長と副隊長。西住まほさんは、西住みほさんの姉である。

 

 西住さん、ああ、妹の方ね。気まずそうな顔してるなー。

 ていうか、生の西住まほさん凛々しくて、カッコイイー、サイン貰えないかな? ファンなんだよね、実は……。

 

「お言葉ですが、あの試合のみほさんの判断は間違ってませんでした!」

 

 おおっ、秋山さん。立ち上がって抗議するとは思わなかったぞ。

 

「部外者は黙ってて」

 

 逸見さんの無慈悲なひと言。

 

「すみません……」

 

 あっ、座っちゃうんだ。うーん、このまま言われっぱなしはねー。

 

「部外者じゃないさ。私たちは、ね。黒森峰の()()()()の逸見エリカさん」

 

 通路側に座っていた私が立ち上がった。

 こういう時って背が高いと無駄に威圧感出るよねー。

 

「なっ、何よあなた。というか、誰よ」

 

 逸見さんはギョッとした顔をした。あっ、ごめん。怖がらせてるね。これは……。

 

「いや、すまない。私は仙道玲香。大洗女子学園の副隊長でみほの友人だ。みほは、あの試合が原因で大洗にきた。それで、私たちと知り合い再び戦車道を始めた。つまり、この2つの出来事は繋がってるんだ。だから、友人である私たちは部外者ではないんだよ」

 

「知らないわよ。そんなこと……。あなたが元副隊長の友達だから何なの! 私は弱小校でのうのうと温い戦車道やってるこの子が許せないって言ってるの」

 

「そっか、なるほど。そりゃあ、悪かった。まぁ、貴女の気持ちもわかるよ。すまないね、私たちがみほを取ってしまって。でもさ、1つだけ訂正させてもらえるかい? 大洗女子学園は弱小じゃないよ。優勝を狙ってるからさ」

 

 私は逸見さんが何に対して怒っているのか理解した。だけど、弾みとはいえ弱小呼ばわりしたことにはカチンときてしまった。

 あーあ、昔から損な性格だよなー。

 

「へぇ、優勝? ジョークの大会じゃないのよ。待って、あなた、どこかで見たことあるわ……」

 

 逸見さんは首を傾げている。まぁ、対戦したからね。結構前に……。

 

「仙道玲香、白髪鬼(ホワイトヘアーデビル)だな。後輩を苦しめた君は覚えている。上層部に君を推薦するように進言したのは私だからな」

 

「あっ――あのときの白髪の……。いや、あの女は私より小さかったような……」

 

「エリカも撃破されていたな」

 

「あれは、油断というか――今なら負けません!」

 

 黙ってたまほさんが口を開いた。おおっ、まほさんが私のこと知っててくれたなんて感激だな。

 

「お姉ちゃんが玲香さんを……」

 

「ねぇ、みほ、すごくない? あの西住まほさんが私のこと覚えててくれたんだって。うわぁ、嬉しいなー! いやぁ、まほさん、その節はすみません。すごく黒森峰に行きたかったんですけど怪我をしまして……」

 

 私は感激して、まほさんにペコリと頭を下げた。

 

「ふん、隊長にちょっと覚えられてたからっていい気にならないでね。どうせ、黒森峰に来れば楽に大会を勝ち上がれるとかしか、考えてなかったんでしょ」

 

「うーん、いや、黒森峰でやりたかったのは、みほと戦車道することだから――」

 

「なっ――この子と?」

「そんな、玲香さんが私なんかと……」

 

 私は逸見さんの言ったことを訂正した。正直、みほが居なかったら、サンダースかグロリアーナを選択肢に入れてた可能性もある。プラウダは――ほら、寒いとこ苦手だから。

 

「あー、やりたいことって、もう一つあったか。別に黒森峰じゃなくても出来るけど……。西住まほさん、貴女に勝ちたかったです。戦車道で……。黒森峰行ったら2年で隊長になろうって目標を立ててましたから」

 

「ほう、私に勝ちたいか。ふふっ、後輩からまっすぐそんな事を言われたことは無かったな。みほにも、エリカにも……。良いだろう、大洗女子学園を対等なライバルだと思っておこう。みほ、逃げ出した惰性で戦車道をやってるのではないのだな?」

 

 まほさんは凛々しく微笑み、西住さんを見つめた。やっぱり、この人は妹のこと――。

 

「うん、お姉ちゃん。私はもう逃げ出さないよ。玲香さんと一緒に勝ち上がるつもり。私の戦車道を見つけて!」

 

 西住さんはまっすぐにまほさんを見つめ返した。いつものオドオドした感じではなく、覇気に満ち溢れていた。

 

「あなた――本当にみほなの?」

 

「そうか。では、私は西住流の名をかけて叩き潰そう。行くぞ、エリカ……」

 

 まほさんは逸見さんを連れて出ていった。あー、熱くなって西住さんに余計なことをしてしまった。

 

「ごめんね、みほ。私がベラベラと話すべきじゃなかった」

 

 私は西住さんに謝罪した。あー、思い出したら恥ずかしくなってきた。

 何、西住まほさんに喧嘩売ってるんだ私は……。

 今気づいた、会長の煽り癖が感染ってしまってる。性格が悪くなってるー。私、大洗に来る前はこんなキャラじゃなかったのに……。

 

「ううん、玲香さんのおかげで私は踏ん切りがついたよ。私は大洗女子学園の西住みほとして頑張るから――」

 

「そっか、でもさ、落ち着いたら、まほさんや逸見さんともちゃんと話した方がいいよ。多分、みほのせいで負けたから怒ってるとかじゃないから」

 

「えっ? そーなの?」

 

 実はさっきの会話でわかったことがあった。

 

 西住姉妹と逸見エリカ、この3人には共通点がある。それは――。

 

 コミュニケーション能力が低いということである。これは大した話じゃなくても拗れるやつだ……。

 

「それにしても玲香殿は豪胆ですよねー。あの西住まほ殿を相手に優勝宣言とは――」

 

 秋山さんが目をキラキラさせながらそんなことを言う。

 

「えっ? 私はそんな大それたこと言ったっけ?」

 

「はっきり言ってたぞ。副隊長とかいう子に弱小校じゃない、優勝を狙っているって――」

 

 冷泉さんはケーキをパクつきながら言った。

 

「なるほど、それは確かに優勝宣言と取られても仕方ありませんね」

 

「よーし、みんなで優勝目指して頑張ろー」

 

 五十鈴さんと武部さんが優勝を目指すことに同調してくれてこの話は終わった。

 

 今回の教訓は間違いなくこれ、《口は災いの元》。おしゃべりは控えようっと。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 さてさて、抽選会から戻って次の日、私は授業を休んである人に会いに行っている。

 

 案内によればこの部屋に居るみたいだけど……。

 

 私は部屋に入った。すると、聞きなれた人の声が聞こえた。

 

「第六機甲師団オッドボール三等軍曹であります」

 

「偽物だぁー!」

 

「「ざわざわ……」」

 

 なんでサンダースの制服着た秋山さんがここに居るんだ? しかも、走ってこっちに来てるし。

 

「やぁ、優花里。なんでここに居るんだい?」

 

「ええっ? 玲香殿こそなんで堂々と大洗の制服でここにいるのですかー?」

 

「なんでって、隊長のケイさんにサンダースのこと教えてもらおうと思って――携帯で電話したらこっちに会いに来てくれって言われたから来たんだけど……」

 

 そう、私はサンダースの隊長であるケイさんの客としてここに来てる。

 秋山さんはポカンとした顔で私を見ていた――。

 




サンダースとの戦いも原作とは違う感じにしようと思ってますが、これからの展開が受け入れられるか不安です。
次回もお願いいたします!
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