大洗のボーイッシュな書記会計   作:ルピーの指輪

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大学選抜戦の序盤はほぼ原作通りに玲香を絡ませる感じですが、徐々にストーリーは変わっていきます。
その点に注目して頂けたら嬉しいです。
それではよろしくお願いします!


大洗女子学園VS大学選抜チーム その2

 現在、大所帯となった大洗女子学園チームの作戦会議中。

 

「このとおり3個中隊の編成でいきたいと思います」

 

 現在は30両を3つの中隊に分けたところだ。

 

 大洗からは隊長の西住さんと生徒会長である角谷先輩、そして作戦会議の書紀は私がやっている。

 

 また、各校の隊長や副隊長も作戦会議には当然参加している。

 

 

【チーム編成】

 

1:あんこうチーム、カモさんチーム、アリクイさんチーム、アヒルさんチーム、レオポンさんチームとグロリアーナと継続とアンツィオの車両。

 

2:カバさんチーム、カメさんチームと黒森峰とプラウダの車両。

 

3:ウサギさんチームとサンダースと知波単の車両。

 

 つまり私はプラウダや黒森峰と同じ中隊だな。

 

「オッケー」

 

「中隊長は?」

 

 ケイさんがニコリと微笑み、ダージリンさんは相変わらず紅茶を飲みながら質問をする。

 

「それぞれおねえちゃ…西住まほ選手、ケイさん、それから私で」

 

 まぁ、各校の隊長のみなさんが仕切るのは当然だろう。しかし、それだと――。

 

「西側ばかりじゃない」

 

 カチューシャさんあたりはやっぱり不満だろうなー。

 資質としては十分だし……。

 

「ご不満?」

 

 知っているくせに、ダージリンさんはそんなことを聞く。

 

「隊長やりたいんですか?」

 

 ノンナさんまで、そんなことを聞く。

 

「私がやらなくてどうするのよ!」

 

 カチューシャさんはヒートアップする、仕方ないな。

 

「カチューシャさんは、もちろん副隊長だろ? やっぱり、頼りになるし、頭の回転も早い。副隊長をやってくれたら盤石だ」

 

 私はカチューシャさんを褒めつつ西住さんにパスを出す。

 

「えっと、そうですね、副隊長はぜひカチューシャさんにと、考えてました」

 

「あ、そう? レイーチカはやっぱりカチューシャを尊敬してるだけにわかってるわね。仕方ないから、やってあげるわ」

 

 急に機嫌を良くしたカチューシャさんは快く副隊長になってくれた。

 

「ダージリンさんと西さんも副隊長をお願いします」

 

 さらに西住さんはダージリンさんと西さんを副隊長に指名した。まぁ、妥当な人選だろう。みんな隊長だし。

 

「よろしいわ」

 

「誠心誠意努力します」

 

 ダージリンさんと、西さんは承諾してくれた。

 

「大隊長はみほだな」

 

「あなたについていくわよ」

 

「大隊長、部隊名の下知をお願いします」

 

 当然のように西住さんが私たちのトップである、大隊長になる。そこは、大洗女子学園の隊長だからね。

 

 そして、3つの部隊の名前を西住さんに決めるように、西さんはお願いをした。

 

「みほ、ここはやっぱり、シヴァ、イフリート、ラムウなんて……」

 

「――じゃあ、西住まほチームは《ひまわり》、ケイさんのところが《あさがお》、うちが《たんぽぽ》でどうでしょう?」

 

 いつもは反応してくれる西住さんはネーミングの時だけ私を無視する。悲しくなんてないんだからね……。

 

「よろしいんじゃない」

 

 ダージリンさんが肯定して、ひまわり中隊、あさがお中隊、たんぽぽ中隊が誕生した。

 私たちカメさんチームはひまわり中隊に所属で、まほさんが隊長で、カチューシャさんが副隊長だ。

 

「作戦はどうする!」

 

 アンチョビさんのひと言でようやく作戦を考えることになった。

 

「行進間射撃しかないんじゃないかしら。常に動き続けて撃ち続けるのよ」

 

 ダージリンさんがまずは提案する。

 それはどうかな? まともに当てられるのノンナさんとナオミさんくらいじゃ……、会長や五十鈴さんでも結構キツイんだよね、行進間射撃だと……。

 

「楔を打ち込み浸透突破で行くべきよ!」

 

「優勢火力ドクトリンじゃない? 1両に対して10両で攻撃ね!」

 

 続けて逸見さんとケイさんが意見を出した。

 うーん、いまいち勝てるイメージが沸かない……。

 

「二重包囲がいいわ。それで冬まで待って冬将軍を味方につけましょう! 殲滅戦は制限時間ないんだし」

 

 それは、本気で言っているのかな? カチューシャ先輩、冬には卒業寸前ですけど大丈夫ですか?

 

「私、さまざまな可能性を鑑みましたがここは突撃するしかないかと」

 

 西さんはもう戻ってこれないな。脳内メーカーやったら、【突撃】の文字で埋め尽くされるだろう。

 

「とりあえずパスタを茹でてから考えていいか?」

 

「そうですね。お腹空きましたし、アンツィオのナポリタン美味しかったですよ」

 

「そうか、あとでペパロニにも言ってくれ、喜ぶと思うぞ」

 

 私は作戦が当分、纏まりそうになかったので、アンチョビさんと雑談してた。

 

「みんなみほに従うと言っただろう?」

 

 見かねて、まほさんが助け舟を出す。やはり、お姉さんは妹に甘い。

 

「まほさんもこう言ってるんだし、みほの意見は私も聞きたいよ」

 

 すかさず、私は援護射撃する。この機は逃さない。だって終わりそうにないし……。

 

「はい、判りました。ひまわりチームを主力としてあさがおとたんぽぽが側面を固めてください。また、連携がとれる距離を保ちつつ離れすぎないよう注意してください」

 

 なるほど、意外とオーソドックスに攻めるのだな。まぁ、この面子は高校選抜って言っても良いほどの集まりだ。

 下手に奇策を使うよりも、力を出しやすく動いたほうがいいかもしれないね。

 

 

「で、ここからが肝心なんだけど……。――作戦名はどうします?」

 

 なんか、楽しそうなダージリンさんがウキウキしながら作戦名を考えようと提案した。

 

「三方向から攻めるんだから三種のチーズピザ作戦!」

 

「ビーフストロガノフ作戦がいいわ。玉ねぎと牛肉とサワークリームの取り合わせは最高よ!」

 

「フィッシュ&チップス&ビネガー作戦と名付けましょう」

 

「グリューワインとアイスバイン作戦!」

 

「フライドチキンステーキ、ウィズ、グレービーソース作戦」

 

 各校の隊長や副隊長が意見を出すが、なんか分からないけど、食べ物の名前ばかりだ。

 

「とりあえず、グリューワインとかは嫌だなー」

 

「うっさいわね! あんたにセンスを否定されると何かムカツクのよね! じゃあ、どんな作戦名がいいのよ!?」

 

 私がつぶやくと、逸見さんの地獄耳が反応した。どんな作戦名が良いかと言うと……。

 

「あんこう干し芋フォアグラ作戦!」

 

「こういう、作戦名かな? さすが会長」

 

「大洗の生徒会って大丈夫なの!?」

 

 会長のセンスを否定するとはいい度胸だな。

 

「間をとってすき焼き作戦はどうですか」

 

 そんな中、西さんはマイペースに意見を出していた。

 

「好きな食べ物と作戦は関係ないだろう」

 

「えっ、まほさんのことだから、人参とじゃがいもと牛肉カレー作戦とか言うのかと思いましたよ」

 

「玲香、最近、君は私のことをただのカレー好きだと思ってないか?」

 

「そんなこと、思ってるはずないじゃないですかー」

 

 私はまほさんから目を逸らした。すみません、思ってました……。

 

 

「埒があかない。大隊長、決めてくれ」

 

 私の反応を見てまほさんは諦めたようにそう言った。

 

「じゃあ、こっつん作戦で。相手を突き出して、えいって攻める作戦なので」

 

「何それ。迫力ないわね」

 

「グリューワインとかアイスバインとか言ってたくせに、何言ってんだ?」

 

 私は逸見さんの作戦名を復唱した。

 

「もういいわよ、こっつんで。だんだん恥ずかしくなってきたからそれは忘れて頂戴!」

 

 顔を真っ赤にした逸見さんは顔を背けて、こっつん作戦に納得した。

 

「こっつんですか。なるほど」

 

「いいんじゃない?」

 

 概ね、西住さんの作戦名は受け入れられ、《こっつん作戦》の開始の段取りが話し合われる。

 

「では右側面がたんぽぽ、左にあさがお、中央にひまわりでお願いします。こっつん作戦開始します! パンツァー・フォー!」

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 さあて、作戦開始だ。いやー、今回はさすがに会長も最初から本気モードで自ら砲手席に座ってくれた。こんな当たり前のことが嬉しいなんて……。

 

「しかし、憧れてた、まほさんやカチューシャさんと同じチームで戦えるなんて嬉しいですよ」

 

 私はキューポラから顔を出してまほさんやカチューシャさんに挨拶した。

 

「レイーチカはカチューシャの側に居なさい。いろいろと勉強をさせてあげるわ」

 

「玲香、君は空間把握能力が優れている。偵察や陽動では君の力が我々以上に役に立つはずだ。よろしく頼む」

 

 まほさんとカチューシャさんからそんな言葉をいただき、私はとても嬉しかった。

 よし、私は出来ることを十全に出して、勝利に貢献するぞ。

 

 

 そして、警戒して動いていたのだが、ひまわり中隊は高地ふもとにあっさりと到着した。

 

 とりあえず、私たちカメさんチームは偵察に出る。うーん、敵は見当たらないんだけど……。

 

「小山先輩、一度ふもとまで戻ってください。気になることもありますから」

 

 私はそう指示を出してふもとまで戻り状況を説明する。

 

「まったく、敵の気配を感じませんでした。不気味なほどに……。この高地を取ろうと動かないのに作為的なものを感じます」

 

 私は率直な意見を出した。アリシアさんはしたたかな人だった。それに愛里寿さんも無能のはずがない。

 

「レイーチカ、慎重なのもいいけど、M26なんて登るの遅いし、ここはいくしかないわよ!」

 

「とれば戦術的に優位に立てますね」

 

 カチューシャさんとノンナさんはこのまま登る方が良いという意見だった。

 

「確かに優位だが、玲香の報告を聞くとわざと山頂を空けている可能性も捨てきれない」

 

「大丈夫よ。あなた、なんだかんだ言って妹のこと信じてないのね。ノンナなんてどれだけ私のことを信じているか……。私が雪が黒いと言えば黒いというほどよ」

 

「はい」

 

「信じることと崇拝は違う」

 

 カチューシャさんの挑発的な言動にまほさんは持論を展開する。

 

「そうですね。私も尊敬し尊重しているからこそ、間違っていたら正そうと意見は言いますよ。みほにだって、会長にだって、小山先輩にだって……」

 

「こらっ! わざと私を飛ばしたろ! 聞こえてるぞ!」

 

 私がまほさんの言葉に同調したら、河嶋先輩に怒鳴られた。こういう時だけ耳が良くなるんだから……。

 

「そっそう? でも、ノンナは……」

 

「まぁ、カチューシャさんとノンナさんみたいな一心同体って関係も素敵だと思いますけどね。大丈夫です。今日はカチューシャさんが間違っていたら私が注意してあげますよ」

 

「ふふっ、相変わらず生意気なんだから。でも、そのときは頼んだわよ、玲香」

 

 私とカチューシャさんは小さな約束をした。

 

 そして、冷静に意見を出し合った結果、やはり不確定な予感だけで有利な地点を捨て置けないということで、細心の注意をして私たちは高地を登ることにしたのである。

 

 

 登っている最中にあさがおとたんぽぽは交戦を開始したという知らせを受けた。

 くっ、私が変に迷ったせいか。早く上にたどり着かなきゃな。

 

 

 そして、ようやく高地頂上に私たちひまわり中隊は到着した。

 

「こちらひまわり。高地頂上に達した」

 

 まほさんが、大隊長の西住さんに連絡をする。

 

『ひまわりは二手に別れて、上からあさがおとたんぽぽの援護をお願いします』

 

「了解、北に敵集団確認、警戒しつつ支援にあたる」

 

 まほさんが西住さんの指示を受け止める。よし、みんなを守るぞ。特に、あさがお中隊はピンチみたいだ。

 敵集団があさがおを突破してこちらに向かっているという報告が来ているからだ。

 

『あさがおを援護するわよ。蹴り落としてやる! 準備はできた?』

 

 

『準備完了です!』

 

 

『射点につきました!』

 

 

 カチューシャさんが確認したとき、私たちは全ての方位を取り巻いて攻撃できるようにしていた。

 

 私たちの車両はカチューシャさんのT-34の隣である。

 

 

『――撃てー! うわぁぁぁ!』

 

カチューシャさんが砲撃の指示を出した刹那、あり得ないほどの大きさの爆発音がして、周囲に土が舞い上がった。

 

 はぁ? 今、上からとんでもない大きさの砲弾が……。あの大きさは普通じゃない。

 

「こちらひまわり。みほ、優花里に聞いてくれ! 規格外の大きさの砲弾に心当たりはないかと? おそらく500mmは下らないデカさだ」

 

『えっ? わかりました。優花里さん――』

 

 

 私は感じたままの大きさを西住さんに伝えて、秋山さんに確認してもらうように依頼した。

 

 そして、また轟音が響き渡り、気付けばパンターが2両、白旗を上げていた。

 

 くっ、2発目か……。

 

 

 これ以上ここにいるのは的になるようなものだ。下らなくては……。

 

「前方の敵、砲撃開始!」

 

 エリカの悲痛な叫び……。そりゃあ、罠に嵌めたんだ、タダで済むはずがない。

 

ひまわり中隊はすでに包囲されていた……。

 

『前方斜面をこのまま降りる、中隊全速前進!』

 

 当然、まほさんは撤退を指示する。急いで逃げなくては……。

 

 あれっ? カチューシャさん、顔を出して何か言いたげだぞ?

 

「カチューシャさん、早く逃げないと……。どうしました?」

 

「ウチの砲手がさっきの衝撃のショックで気を失ってしまったのよ……。私は代わりが出来ないし……」

 

 何ということだ、それじゃあ撤退戦は無理だ。しかし、カチューシャさんの車両を失うわけには……。

 

「会長、私の居ない間、ヘッツァーの指揮を頼めますか?」

 

「ふぅー、仙道ちゃんの頼みごとを断るわけないじゃーん。ちゃんと、後で帰ってくるんだよ」

 

「もちろんです。では、お願いします」

 

 私はヘッツァーを織りてカチューシャさんのT-34に乗り込む。

 

「レイーチカ、貴女……」

 

「ははっ、ノンナさんほどじゃありませんが、私も多少は砲撃に自信があります。一緒にこの場を切り抜けましょう」

 

「やっぱり、貴女は最高よ。ありがと、レイーチカ……」

 

 私は急遽、T-34に乗り込み、撤退戦を開始した。

 まさしく、死闘が始まろうとしていた――。

 




まさかの玲香がカメさんチームから離脱するという序盤戦。
カチューシャの車両の砲手となった玲香の撤退戦はどうなるのか?
次回もよろしくお願いします!
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