大洗のボーイッシュな書記会計   作:ルピーの指輪

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アニメだと数分間の描写が文字にするとエライことに……。
二次創作って色んなことに気付かせてくれるんですねー。
登場人物の説明は不要かもしれませんが、一応少しだけ出してみました。
磯辺典子さん、好きです。玲香の顔の系統も似た感じでイメージして頂けたらわかりやすいかもしれません。178cmの磯辺さんってバレー選手の適性ありすぎですよねー。


これが私の洗車道

「はぁ、まさか戦車を洗車するハメになるとは……」

 

「おっ、上手いねぇ。座布団1まーい」

 

「洒落じゃないですよ……」

 

 今、戦車道履修者の全員で戦車を洗っている。相変わらず会長はダラダラして干しいも食ってるけど……。つーか、この人いつも干しいも食ってるな。

 

「会長がだらけてるのは、まぁいいとして――」

 

「えっ? いいのー? さすがは、仙道ちゃん。諦めが早いねー」

 

「それ、褒めてないですよね? せめて戦況の見極めが良いと言ってくださいよ。――あと、なんで、小山先輩は水着なんですかー? えっ、あれですか? 私に対してあてつけてるんですか?」

 

 私はセクシーな水着姿で洗車をしている小山先輩を指さした。何あの、豊満なボディ。泥んこプロレス大会のときも思ったけど、ズルいと思うんだ。

 

「にゃはは、仙道ちゃんは壁だもんねー。まさか、あたしより無いなんてさー」

 

「やかましいです。さすがに会長よりは、よりは……」

 

 クソっ、背ばっかり成長しやがって。女性ホルモン仕事をサボるな!

 

「こら、玲香っ! 馬鹿なこと言ってないで仕事しろ!」

 

 恨めしそうに、小山先輩のバストを眺めてたら河嶋先輩に叱られた。そんな河嶋先輩もスタイルだけは良い。性格とかは置いといて……。

 そんなことを思ってたらポカンと顔面に河嶋先輩がチョップしてきた。

 

「痛っ、何するんですか!」

 

「黙れっ! お前がその顔をしているときは大抵、私の悪口を考えている時だ!」

 

「いっ、いっ、言いがかりですよー」

 

「あからさまに動揺するな! 先輩を敬え!」

 

「玲香、ちょっと……。こっち側をお願いするね――」

 

 私と河嶋先輩がじゃれてたら、小山先輩がニコリと笑って私に指示を出してきた。

 寒っ! こっこれは殺気? 小山先輩から重戦車もびっくりなくらいの強烈なプレッシャーを感じて、私は洗車作業に戻った。

 小山先輩、会長とじゃれてても何にも言われないんだけどなー。解せぬ……。

 

 

 

「仙道ちゃーん、Aチーム以外がちょっと洗車に手間取ってるみたいだからさぁ。みんなとの交流がてら教えちゃって来てよ」

 

 私が作業を開始してしばらく経ったとき、会長は他のチームを手伝えと指示を出してきた。

 ふむ、確かに戦車道履修者の人となりは知っておく必要もあるし、行ってくるか。

 

 そんなわけで、私はB、C、Dチームに出張してきた。

 

 

 最初に訪れたBチームは簡単に言うとバレー部だ。正確には元バレー部メンバーだけど……。

 

 他のメンバーからキャプテンと呼ばれる小柄なショートカットが特徴の磯辺典子さんは2年生。なんか、身長以外はちょっと私と似た系統なのでシンパシーを感じる。

 

 他は1年生で、近藤妙子さん、河西忍さん、佐々木あけびさんの3人。みんな、バレー部らしく高身長だ。

 まぁ、私よりは低いけど……。あれくらいなら、まだ可愛い女の子って感じだもんなー。

 なんせ、みんなスタイルがいい。1番控えめな河西さんだってスレンダー美人って感じで十分だ。はぁ、磯辺さん見て落ち着こうっと。

 

 

 Cチームはあれだ、そのう、面白コスプレ軍団もとい、歴女チームだ。全員が2年生。

 私の2年生の苗字を全部覚えた努力を無駄にした人たちでもある。

 

 さっき、名前を呼んでも反応しないから不思議に思っていると、赤いスカーフを身に着けた、本名鈴木貴子さんが、こう言った。

 

「我々はソウルネームで呼び合っている。願わくば、そちらで呼んでくれ。私はカエサルだ!」

 

 そのセリフに私があ然としていると、一通りソウルネームとやらで自己紹介を受けた。

 

 ローマ風の格好をしてるのが、カエサルさん。

 ドイツ軍人風の格好のエルヴィンさん。

 真田幸村風の格好の左衛門佐さん。

 坂本龍馬風の格好のおりょうさん。

 

 あーっ、きっと、この前のポスターのときってこんな風に見られてたんだろうなー。

 とまぁ、こんな感じ……。

 

 Dチームは簡単明快。可愛いらしい仲良し1年生チームだ。全員で6人いる。

 

 一応、リーダーっていうか1番しっかりしてそうな子が澤梓さん。感じが良くて、西住さんに似たタイプの子に見える。

 

 以下、スタイルが1番いい山郷あゆみさん、頭がちょっと弱そうな大野あやさん、「はい」が「あい」になる謎の癖がある阪口桂利奈さん、すげぇエロそうな声にびびった宇津木優季さん、そして何考えてるのか全く読めない無口な丸山紗希さんだ。

 

 ちなみに、丸山さんの名前は阪口さんに聞いた。一人だけぼーっとどこか違うところを見てたのでなんか怖かった。いやマジで。

 

 

 そんな感じで皆のことを知るために洗車のやり方を教えながら各チームと交流してたら、小山先輩がグロッキーになっていた。

 

 ほとんど任せてしまって申し訳ない。でも、私も戦車道チームを少しでも強くするためにみんなの人となりを知らなきゃと思って時間を敢えて長くとったんだ。

 

 おかげさまで、丸山さん以外とは全員と話すことが出来て、想像以上に濃いキャラが集まったということが分かった。

 戦車道ってもしかしたら変わり者ホイホイなのかもしれない。

 ――いや、私はいたって普通だし、そりゃあないかー。

 

 ていうか、さっき河嶋先輩が後は自動車部にメンテナンスを任せると言っていたけど、明日までに間に合うのかな? 自動車部のメンバーって4人しか知らないんだけど……、他に人数いるのか?

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「はぁ、港はどっちかなぁ?」

 

「ああ、そろそろ陸に上がりたい。アウトレットで買い物もしたいしー」

 

「今度の週末は寄港するんじゃ?」

 

「どこの港だっけ? 私、港みなとに彼が居て、大変なんだよねー」

 

「それは行きつけのカレー屋さんでしょ」

 

「へぇ、武部さん、カレー屋に詳しいんだ。今度、美味しいところ教えてよ」

 

「もう、華のせいで、彼氏とカレー屋さんでダジャレ言ってるみたいになっちゃったじゃん」

 

 海を眺めながらAチームのメンバーと私で雑談をする。久しぶりに生徒会で居残りせずに済んだな。

 

「あっあの!」

 

 そんなとき、意を決したように秋山さんが言葉を出す。

 

「良かったら、ちょっと寄り道しませんか? 駄目――ですかね?」

 

 いや、構わないけど、どこだろう?

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 秋山さんが寄り道したかった場所は“せんしゃ倶楽部”っていう戦車関連の品が置かれているお店だった。久しぶりに来たなー。

 

 中にはズラリと戦車グッズが陳列されている。そんな様子を見て、武部さんはポロッと本音をこぼした。

 

「でも、戦車ってみんな同じに見えるー」

 

「ちっ違いますー、全然違うんです。どの子もみんな個性というか特徴があって、動かす人によっても変わりますし」

 

「華道と同じなんですね」

 

「うんうん、女の子だって、みんなそれぞれの良さがあるしねー。目指せモテ道!」

 

 必死で戦車の魅力を語る秋山さんに対して華道も通ずるところがあると感心する五十鈴さん。

 ここまでは会話は成立してた気がしなくもない。

 

 最後のモテ道ってなんだ。サムズアップしてキランと決めているけど、よくわからないことになっているぞ。

 

「会話が噛み合っているような、ないような……」

 

 西住さんは困惑気味で苦笑いしている。安心してくれ、それが正常な反応だから。

 

 

 戦車のバーチャルゲームをしている秋山さんとそれを見物している武部さんと五十鈴さん。

 

 私と西住さんは、ふとテレビで放送されていた戦車道の話題を見ていた。あれって、西住さんのお姉さんじゃ……。

 西住まほ選手――高校戦車道の最強と称される選手だ。

 黒森峰に行ってたら、一度手合わせしたかったんだけどなー。

 

 インタビューに答えてるみたいだな。どれどれ。

 

『戦車道の勝利の秘訣とはなんですか?』

 

『諦めないこと、そして、どんな状況でも逃げ出さないことですね――』

 

「あっ――」

 

 キリッとカメラ目線で最後のセリフを決める西住まほさん。いやぁ、取材慣れしてるんだなー。

 

 ありゃ、西住さん、お姉さんのインタビュー聞いて落ち込んじゃったみたいだな。しょぼんとしてて分かりやすい。

 

「私はたまには逃げても良いと思うけどなー」

 

「えっ? 玲香さん?」

 

「大体さー、戦略的撤退って言葉もあるし、名将ってのは引き際こそ大事にするものじゃない? それにね――」

 

 私は西住さんの顔にグイって自分の顔を近づけた。

 

「これだけ前進すると、ほら、何にも見えなくなるでしょ」

 

「ふぇっ、あっあの、玲香さん、息が当たってるよ?」

 

「ああ、ごめん、ごめん。何が言いたいかと言うとさ。ほら、こうやって後進すると、さっきまで見えてなかったものも見える。うん、ここからならみほの全体が見えるよ。――だからね、後ろに引くのも新しい発見があるかもしれないし、悪くないって思っても良いんじゃないかな?」

 

 私は何歩か引いて、西住さんに持論を展開した。気休めかもしれないけど、私は逃げることを悪だなんて思えない。

 

「うっうん。ありがと、玲香さん」

 

 なぜか真っ赤な顔になっている西住さんは上目遣いでお礼を言った。ちょっとは元気出たかな。

 

「あっあと、不謹慎だけど、これは私の本音。みほが逃げ出してくれたから、私はみほと友達になれた。それがすっごく嬉しいんだ。ははっ、ごめんね。自分勝手で。また、逃げたくなったらいつでも言いな、私くらいはみほの逃げ場になるよ」

 

 私はちょっと照れながら本音を言ってみた。だって、中学時代に戦ってさ、黒森峰の推薦で進学しようと思ったのは、西住さんと戦車道がやりたかったからなんだもん。

 大声では言えないがラッキーとまで思っている。

 

「あら、みほさん。熱があるのではないですか? 凄く顔が赤くて煙が出そうになっていますよ」

 

 五十鈴さんがいつの間にか近くにいて西住さんの顔を眺める。えっ? 風邪? 大変、早く帰らなきゃ。

 

「西住殿、市販の薬でよければ風邪薬持っていますよー」

 

 秋山さんがどこからか風邪薬を出してきた。すごいな、薬を持ち歩いているんだ。

 

「ぽーっ……。えっ? 風邪じゃないよ……、大丈夫だから」

 

 ぼーっとしていた西住さんは、ふと我に返って、いつものようにアワアワとした動作で否定した。

 良かった。風邪だったらどうしようかと思ってた。

 

 そのあと、なんやかんやあって武部さんの提案により、西住さんの家で食事会が開かれることになった。

 

 あー、放課後に友達の家に行くなんて何ヶ月振りだろう。あれ? 今の発言って女子高生らしくないなー。生徒会って結構なブラックな職場なのかもしれない――。

 

 うん、考えないようにしよう!




原作の二話が終わる気がしない。ラストの方から始まる模擬戦の描写がちゃんと出来るのかがめっちゃ怖いです。
次回も頑張ります!

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