わたしはハッピーエンドは嫌いだ。
どうもつじつま合わせでみんなが喜ぶ内容を書いているようにしか思えないからだ。
そんなになんでも最後が上手くいくはずがない。
楽しいことばかりなんてありえない。
わたしはハッピーエンドが物語の全てだとは思わない。
本当の真実。トゥルーエンドが必ず隠されている。
「ねえ、お父さんとお母さんは?」
「……」
「まだ帰ってこないの?それなら二人が帰ってくるまで唯、いい子にして待ってる!」
「唯…お父さんとお母さんはお星様になったんじゃ。」
「……え?」
「だからもう帰ってこない。これからはわしらと一緒に住むんじゃ。」
「それはどういうことなの…?」
「はぁ…またこの夢か。」
わたしは
やはりトラウマというものはなかなか拭えないものらしい。未だに同じ夢ばかり見る。最悪の目覚めだ。それに加えて…。
「まるでわたしの今の気持ちのようね。」
自虐気味にわたしは言った。外を見ると激しく雨が降っている。今日は入学式というのに縁起が悪い。
「とりあえず起きて準備しないと。」
準備がひと通り終わり少し時間に余裕が出来たので、普段は見ないテレビの電源をいれる。すると、アナウンサーの元気な声が聞こえてくる。
『 今日の一位は〇〇座。〇〇座のあなたは今日運命を変える出会いがあります!ラッキーアイテムは…』
すぐにチャンネルを切った。
「そんなこと起こるわけない。」
占いなんて当たらない。運命なんて変わらない。
わたしがそれを一番知っている。
「そろそろ出ないと。」
そしてわたしはため息混じりに言う。
「また《私》になるのか…。」
人間というものは不思議なもので無意識でやっていたことに自分が気づいてしまうと急に違和感が生まれる。
学校にいる時の《私》と家にいる時のわたしで性格が違うことに気づいてから、学校の時の自分の姿が演技のように、無理をしているように感じてしまう。
正直、学校の時の私は好きではない。
そしてタチの悪いことに学校の私は性格の違いにはおそらく気づいていない。
そんなことを悩む暇がないくらい明るいから。
わたしはそっと呟く。
「わたしの気持ちにもなってよね。」
ドアを開けると少し肌寒く感じた。恐らく雨の影響だろう。
そんなこともお構い無しに目の前を歩いている小学生達は元気いっぱいだ。色とりどりの傘をさして、恐らくクラス替えで新しく出来たであろう友達と仲良く話している。
その姿を見てわたしは少し心苦しい。
小学生に嫉妬しているわたしは大人気ないのだろうか。
いや、恐らく嫉妬の相手はあの子たちではない。
私自身だ。
友達が多く、みんなに知ってもらっている私が羨ましくてたまらない。
でも、誰にこのことを相談すればいい。誰に助けてもらえばいい。
「わたしを見つけて…。」
目の前を駆け足で通り過ぎていく小学生の姿を見つめながらわたしは一人呟いた。