校門につくと不思議と雨は少しずつやみ始めた。
よかった〜!今日はせっかくの入学式だから雨はちょっと嫌だったんだ。
天気予報も雨が降るのは朝だけって言ってたから当たりだね!
そんなことを一人で思っていると、私が通う高校、山吹高校が見えてきた。
「今日からここで高校生活が始まるんだ…!」
私の気持ちは一気に高まり、次第に急ぎ足になる。
そして、そのまま校門をくぐろうとしたが、突然何かに引き止められたような気がして思わず一度立ち止まる。
「なんだろ?この感じ…。」
理由はわからない。でもなぜかこの一歩が私の運命を変えるような気がした。
これまでの生活が変わっていくような気が。
「ま、気のせいでしょ!」
たぶん、入学式だから緊張してるんだ。うん、きっとそうだ。
「よし!気にしない気にしない!」
そして、私は校門をくぐった。
しばらく進むと靴箱の前に人だかりができていた。おそらくクラス分けの看板があるのだろう。
人が多いのでとりあえず、離れた位置から自分の名前を探す。
「えっと、私のクラスは…」
「ガバッ!」
突然目の前が真っ暗になった。
「だーれだ?」
聞き覚えのある明るい、声が聞こえてくる。
「もー、また由貴ね。」
目隠しをしてきたこの子は
「えへへ、ごめんって。」
子どもっぽく無邪気に笑うその顔を見るとどうしても叱れない。
「私たちまた一緒のクラスみたいね!」
「うん!高校でもよろしくね!!」
お互い笑顔で挨拶する。そこへ、黒髪の一人の男子生徒が声をかけてきた。
「相変わらず元気だな。」
『瞬!!』
私たちは同時に叫んだ。
彼は
「瞬もまた同じクラスなんだ!」
私は嬉しくて声を弾ませる。
「おう、高校でもよろしくな。」
落ち着いた口調で瞬が答える。
「もう、瞬ってば、私と同じこと言ってる!」
「お前と一緒にされるのはごめんだな。」
「ええ!なんで!?」
二人のやり取りを見て思わず微笑んでしまう。
「もう、二人とも変わんないなー!」
すると、二人は言う。
『唯には言われたくない!』
綺麗に揃った二人の声を聞いてまた笑ってしまった。
そう《私》は昔からずっと変わらない。楽しいことが大好きだし、笑うことも大好きだ。
だからこれからも…。
「ズキッ!」
突然の頭痛と共に頭に映像が浮かんでくる。
泣いている一人の男の子。そして、それを見ている一人の女の子。
これは葬式…?
そこで映像は終わり、気づけば頭痛も治っていた。
「なに、今のは…?」
今の景色どこかで…。
「どうしたの唯?」
不思議そうに由貴が聞く。
「ううん!ちょっとぼーっとしてただけ!」
由貴は少し首を傾げたが、やがていつもの笑顔に戻った。
由貴の笑顔を見て、瞬も頷いていた。
大丈夫だと判断したんだろう。
「そろそろ時間だしとりあえず教室に行くか。」
瞬が時計を見ながら言った。
「りょーかい!ほら唯も行こ!」
「あー!もう!ちょっと待ってよー!」
(とりあえず後で考えよ。)
私は切り替えて二人の後を追った。それでもあの男の子の涙はずっと頭の中で引っかかったままだった。