ラグナロクオンライン~剣士少女との冒険~   作:ヴィヴィオ

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ラグナロクオンラインの世界

 

 

 

 

「……に……さん……にい……さん……」

 

 声と共に身体を揺さぶれれてだんだんと意識が覚醒していく。それと同時に声もだんだんと大きくなっていく。

 

「兄さん、兄さん!」

「ん……」

 

 目を開けると綺麗な美少女の幼い顔が映る。その長い髪の毛は青く、こちらを覗いている人いは大きくて赤い。俺はよく見ようとその少女を抱き寄せる。

 

「っ!? に、兄さんっ!!」

 

 少女の甘い匂いと共に彼女の髪の毛が俺に触れる。俺は顔を首筋に押し当て……

 

「いい加減に起きてください!!」

「ぐべっ!?」

 

 耳元で叫ばれた事で完全に意識が戻った。

 

「あっ、ああ……」

「ようよく起きましたか?」

「お、おはよう……」

「そっ、それで……何時まで抱いているんですか?」

「ご、ごめん!」

 

 少女を離してあげると直ぐに離れた。その顔は少し赤く、そっぽを向いている。だが、その姿は幼くなっているが、正しくイグニゼム=セニア。いや、セニアが正しいか。まあ、格好は普通にツギハギがあるワンピースだが。

 

「兄さん、起きたら早く食堂に行きましょう」

「あ、ああ……」

 

 俺は改めて考える。もちろん、あのヴァルキリーの事だ。本当ならここはVRではなく、ラグナロクオンラインの世界となる。だが、それが事実かはわからない。

 

「よし、ステータスオープン」

 

 名前:コウヤ

 種属:人間

 加護:確率変動

 職業:なし

 ベースレベル:1

 ジョブレベル:0

 HP:200

 SP:50

 

 レベル1なのは仕方がないにしても、加護は凄いな。確率変動1日1回だけ自由に確率を変える事ができるみたいだ。素晴らしい。って、そんな事じゃない。ログアウトボタンを探さないと……MAPとかアイテムボックスとか装備項目とか色々とあるが、どこにもログアウトボタンがない。

 それから色々と試してみたが、どうやら不可能みたいだ。どうやら本当に転生という奴らしい。記憶まであるのだから納得だ。つまりこれは憑依転生とかそういうジャンルだという事だ。

 

「兄さん、まだ?」

「今行く」

 

 俺はセニアの声に急かされて一緒に移動して食堂へと向かっていく。そこによどみはない。何故なら俺にはここで数年間過ごした記憶がちゃんとあるからだ。

 食堂に着くと、施設のおばちゃんが作った料理を受け取って食べる。ここは孤児院だ。俺とセニアはここで出会って仲良くなり、俺がセニアの面倒をみていたようだ。

 

「それで、兄さんはこれからどうするか決まった?」

「ああ……やっぱり冒険者になるのが一番だろうな」

 

 現在12歳の俺達は再来年にはここを出ていかなくてはならない。この孤児院はプロンテラ国営で、14歳になると追い出されるのだ。正確には15歳になるとだが。これは冒険者組合(アドベンチャーズギルド)への登録が14歳からと規定があるからだ。まあ、例外も存在するがな。それが保護者がつく事だ。つまり、養子システムだな。

 

「初心者修練所に行く事にする……」

「初心者修練所は廃止になって冒険者アカデミーに統合されたはずですよ」

「えっと、そうだったか……」

「変な兄さんですね。初心者修練所が廃止になったのは結構前ですが……」

 

 小首を傾げて不思議がるセニアは可愛い。

 

「間違えて覚えていたかも知れない」

「そうですか……まあ、ノービス(初心者)になるまで何するか問題ですが……」

「そうだな……修行でもするか」

 

 ノービス(初心者)は、新規キャラクターがゲーム開始時に就いている職の事だ。ここから色々と変わっていく。だが、今はノービスにすらなれないなら特に大変だ。

 

「確かに可能ですが、大変ですよ? オーディンの加護が受けられないですから」

「ヒットポイントとかか……」

「はい。ポリンとかに大怪我させられる場合があります」

 

 ヒットポイント……生命力。ダメージを受けると減少し、0になるとキャラクターは倒れる。一部に、これを消費して発動するスキルが存在する。職業による係数にベースレベルとVITの値をかけたものに、その他装備品による補正を加えることで決まる。

 

 まあ、簡単にいってしまえばバリアだ。これが無いと本当に怪我をしてしまう。ちなみに他のステータスはこんな感じだ。

 

 スピリチュアルポイント……精神力。スキルを使う際にはこれを消費する。職業による係数にベースレベルとINTの値をかけたものに、その他装備品による補正を加えることで決まる。

 

 STR……腕力その他の「力」に相当。弓・楽器・鞭以外の武器もしくは素手の時の物理攻撃力に影響する。弓・楽器・鞭を装備している間は基本的に関係ないが、弓のスキルにSTRの値によって威力が大きく左右されるものが存在する。また、STRを上げることによってアイテムの所持限界量が増える。

 AGI……素早さに相当する。これを上昇させると攻撃速度や回避率が上昇する。また、出血・睡眠に対する耐性も上昇する。

 VIT……体力に相当する。最大HPが上昇する他、HP回復アイテムの効能が高まったする他、スタン・毒・猛毒に対する耐性がつく。また、僅かではあるがダメージ軽減の効果もあるが、これが高いと逆にダメージが増えてしまうようなスキルや武器が存在する。

 INT……賢さ、魔力に相当する。SPの回復速度、SP回復アイテムの効能、魔法攻撃力、魔法に対する防御力、沈黙・暗闇に対する耐性が上昇する。また、(DEXより効果の度合いは低いが)スキルの詠唱時間を短縮する効果もある。

 DEX……器用さ、精密性に相当する。命中力が上がる他、これが高いほど武器の扱いに習熟していることになる(ダメージのばらつきが抑えられる)。弓・銃器・楽器・鞭を使う場合、ダメージの安定だけではなく、STRではなくDEXによって攻撃力自体が上昇する。また、一部を除いた魔法やその他スキルに存在する詠唱時間を短くすることができる。

 LUK……運の良さ、もしくは信仰心に相当する。クリティカルヒットや完全回避などの「偶然」の産物とされている発生確率が上昇する他、ATKやMATK、FLEEやHIT等のステータスも僅かずつながら全体的に底上げされる。また、混乱・呪いに対する耐性にもなる。

 もちろん、これによってATK、HIT、DEF、MATK、MDEF、FLEE、ASPDなどがあるが……この世界ではどうなっているかはわからない。

 

「とりあえず、訓練はしようぜ」

「……兄さんがそういうならわかりました」

 

 食事を終えた俺達は動きやすい格好に着替えた後、庭に集合する。庭では他の子供達も遊んでいる。

 

「じゃあ、先ずは準備運動からだな」

「? 最初から動かないんですか?」

「ああ。いきなり激しい運動をすると身体に悪いからな。それに準備運動をして身体を温めた後の方が効率がいいそうだ」

「そうなのですか……聞いた事はありませんが、兄さんがそういうなら分かりました」

 

 小首をしきりに傾げて不思議そうにしていたセニアと共に二人で準備運動をしたり、柔軟体操をしていく。その後は柔軟体操だ。お互いに背中を押しあったりする。

 

「こ、こうですか……?」

「おっ、おうぅ、そっ、そうだ……」

 

 セニアの膨らみかけの小さな胸や柔らかい身体があたったり、良い匂いがしたりして至福の時間だ。

 

「えい」

「いだだだだだっ!!」

「あ、ごめんなさい」

 

 だが、やり過ぎはよくない。まあ、ちゃんとセニアにはしてあげた。なんだか顔が赤い。慕情だし、仕方がないよな。好きな異性にこんな事されたんだからな。

 

「じゃあ、次はランニングから入ろうか」

「はい」

 

 それからプロンテラの街を一緒に走っていく。プロンテラはルーンミッドガッツ王国の首都だ。ゲーム内での最も中心的な都市でもあった。町の南側ではプレイヤーによる露店が多数出店されており、プレイヤー同士の取引の中心的な場所でもあるが、それはこちらでも変わらないみたいだ。

 

「このまま内壁を何周かしよう」

「南が混雑していますが……」

「それを避けながら走るのも訓練になるだろう」

「……それもそうですね」

 

 ちなみに俺達が居る国、ルーンミッドガッツ王国は平地や森が多い自然の豊かな国で、異国や異民族との交流も盛んだが、国土南部には魔王モロクの力によって荒廃した広大な砂漠が広がる。主神オーディン信仰が盛んで魔法が発展している反面、科学的な知識や技術は乏しい。一般市民は概ね牧歌的でおおらかで、異国の文化も容易に受け入れるが、迷信や偏見にとらわれる者も少なくない。だが、首都だけあって人が非常に多い。

 

「はぁはぁ……駄目です、かなり危ないですね」

「た、確かに……」

 

 仕方無いので走るのは庭を何周かにする。孤児院は元剣士転職所の跡地に作られていて結構広いし、十分だ。子供達も遊んでいるからそれを避ける練習にもなる。

 

「そういえば兄さんは何の職業になる気ですか?」

「俺か? 俺は……考えてない。セニアは?」

「私は剣士です。兄さんが進めてくれましたから」

「うん、セニアには剣士があっているよ」

 

 前の俺、グッジョブ!

 っと、流石に腕立て伏せをしながら会話は辛いな。

 

「しかし、剣の修練もした方がいい、な……」

「木剣なら、孤児院にも、あり、ます、から……」

「なら、それを使う、か……」

 

 それから、木剣を借りてお互いに訓練していく。そして、直ぐにセニアの片手剣の扱いが水を得た魚のように上手くなっていく。俺じゃ相手にならないくらいにだ。

 

「せ、セニア……スキルとか覚えてない?」

「ちょっと待ってください……あ、剣修練(ソードマスタリー)のスキルが習得されています」

「れ、レベルは……?」

「10ですね……どうやら、私は剣の才能があるみたいです。前に聞いた話では才能を持つ人はその職業に着く前にスキルを覚えられるそうですから」

 

 才能どころのレベルじゃねーんですけどね。しかし、あのヴァルキリーはスキルポイントを1点使うだけで前のキャラクターが覚えていた同じスキルなら最大レベルで習得が可能と言っていたが、まさか訓練すればスキルポイントを消費しなくてもスキルを覚えられるのか?

 そうじゃないとセニアが覚えたのはおかしいよな。それにセニアにはロイヤルガードの力が入ってる訳だし……ちょっと待てよ。つまり、俺も覚えられるって事だよな。

 

「せ、セニア、もう一度だ」

「いいですけど……行きますよ」

「ああ」

「って、兄さんは馬鹿ですか……? 何故剣を捨てるのです?」

「素手でいく!」

「わ、分かりました……」

 

 今度もボコボコにされたが、今度は俺の加護を使う。これによって確率を変動させて俺は鉄拳を習得しようとしたが失敗した。その代わり、HP回復力向上が習得できた。どうやら、前提条件は無視できないようなのと、それに伴った行動を取らないと駄目みたいだ。しかし、俺のこれはチートになれるな。ちゃんと他人に与える前にできる限りスキルを習得するとしよう。

 

 

 

 

 

 

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