仗助にもしも双子の姉がいたら?ネタ   作:蜜柑ブタ

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無謀にも、吉良吉影sideを書いてしまった!






吉良のキャラがおかしいです。
















それでも良い! って方だけどうぞ。


惑う殺人鬼(side:吉良吉影)

 

 植物のような平穏な人生の生き方。それが私の生き方であったはずだ。

 

 しかし、私がかつて体験した、“私自身”を、“私自身”にする衝撃をも塗りつぶすような出会いをしてしまった。

 

 まず、澄み切った青空とも、海の青とも違う、澄んだ青い両の眼が、私の人生を決定づけた衝撃を揺さぶった。

 

 最初は、彼女の手だけでよかったはずじゃないかと自問自答する。けれど、得られる答えは、『考えが変わった』としか出せない。

 

 気まぐれで始めた文通の手紙に、ある日付与されていた野良猫の小猫と、若い瑞々しい女の手の写真。

 

 会うつもりなどこれっぽっちも無かったのだが、写真に写った手がどうしても欲しくなった。

 

 手紙の文面からするに、おそらくは一回りは年の違う若い少女だろうと予想できた。自分の正体を悟られぬよう背伸びをしているのが分かってしまう程度には懸命に書いているのだろう。彼女との文通は、それなりに楽しんでいたさ。

 

 しかし写真を送ってきたのが良くなかった。なぜなら、私自身を抑えられなくなってしまったからだ。

 

 ついつい、手を褒める文を書き、衝動でポストに入れていた。ハッと我に返って手紙を回収すべきだったが、時すでに遅かった。

 

 返ってきた返信は、私の文章をただの冗談だと受け取ったと見られる文章だった。…危なかった。

 

 しかし、本当に写真はいけない。抑えが利かなくなってしまったではないか。

 

 このままでは、寝不足になってしまう。昼も夜も彼女のことばかり考えてしまう。だから、会えないかと文を送った。

 

 そして、合意の返信を得て、待ち合わせ場所に、人の少ない隠れ家のような喫茶店を指定した。

 

 会うべきではなかったのだろう。私は、あらゆる意味で判断を間違えてしまっていたらしい。

 

 十代とは思えぬ、発育の良い体は、少々成長しすぎな感を感じさせたが、そこはさほど問題ではない。

 

 私は、あろうことか、彼女の目に、私自身を、私自身たらしめた、モナリザの手を見た時の衝撃を塗り替えそうな衝撃を受けた。

 

 あの青い目を引き立てる、白人の血の濃さが浮き出ている日本人離れした美しい顔立ちも。最初こそ、成長しすぎな感を感じさせた体も、どれもこれも欠けてはならない重要なピース(欠片)だと理解した。

 

 年齢のせいか、子供の頃のように勃起しなくてよかった…っと、心底安心した。

 

 だが、いつまでも見つめ合っていても何も始まらないし、何より彼女の『手』を手に入れられないと思考を切り替えることに成功し、ミナミさんかと聞いた。すると、噛んだのか、微妙な返事を返された。しかし、本人だということが分かればそれでいい。

 

 それにしても、自分に向けられていたあの『青』が、冷めかけているカフェオレに注がれている。それが妙に気になった。

 

 今思えば、やはり会うべきではなかっただろう。

 

 たわいもない会話の末に、こちらを見てくれたことにホッとしている自分がいたことに内心かなり焦ったものだ。顔に出ていなかったようで、ミナミは私の内心に気づいていないようであった。運が良い。

 

 私は、声を聞くべきではなかった。そもそも会話をしたのが間違っていた。

 

 そもそも、なぜ彼女の目を褒めているのだろう?っと自分の意思に反して喋り続けている自分の口が信じられなかった。

 

 すると、あろうことか、私の声が綺麗だと、ミナミは言ったのだ。

 

 そんなことを言われたのは、生まれてこの方一度も無い。思わず思考が停止しかけてしまった。

 

 このままでは、いけないと思考を切り替えることに成功した私は、店のマスターが奥に引っ込んだ隙にと、ミナミの手に触れたが……。

 

 なぜか私は、彼女の手を捥ぐ気になれなかった。

 

 僅かに荒れていたからか? 触ってみないと分からない程度だが、僅かに手の表面が荒れていた。

 

 洗剤が合わなかったのだろうと言っていたので、思考を切り替え、手に優しい洗剤を選んであげようと言っていた。

 

 ふむ…、それは間違っていなかったはずだ。どうせならば、とびきり美しい状態で手に入れたい。

 

 それにしても、甘い香りがする。それがミナミの前にあるカフェオレからだろうっと思い、それを皮切りにたわいもないつまらない日常会話をしていた。

 

 あの香りは…、砂糖をたっぷり入れたカフェオレの香りではないと気づいたのは、鞄の中の携帯電話が鳴ったときだった。

 

 香水では決して実現できないであろう、瑞々しい少女の自然な香りだ。

 

 そして急用ができてしまった私は、いまだかつてない状態の自分に焦るあまり、ミナミのカフェオレ代も含めて支払い、また、会ってくれるかと、聞いてしまった。

 

 返事は、はい…、Yesだ。

 

 店を後にした後、会社に向かいながら、私はグチャグチャな思考をまとめようとした。

 

 なぜ、殺さなかった? あれほどに欲した『手』がそこにあったというのに。そうだ、あの『青』がいけなかったのだ。ミナミという人間を構築している全てのパーツがいけないのだ!

 

 私は、脳から離れぬミナミのすべての形に、発狂しそうな気がした。

 

 仕事を終えて、自宅に帰り、シャワーを浴びて思考を正常に戻そうとした。

 

 本来の予定だったミナミの『手』を手に入れるため、一度は『手を切った』前の『彼女』を拾い上げ、私は思考した。

 

 ミナミという存在を越える手を見つけなければと。

 

 そうしなければ、私の人生は破綻する。私は、そう予感した。

 

 いや、違うっと、切り替え、私は、次こそはミナミの『手』を手に入れるためにミナミに次に会う約束をつけるため返事の手紙を書くこととした。

 

 学生である彼女を、一回りも歳の離れた私が連れて歩けば、不信を周りに振りまくようなものだ。用心しなければ。

 

 しかし、一文字一文字書けば書くほど、脳内を埋め尽くすのは、ミナミの存在そのものだった。

 

 ……私は、本当に、どうしてしまったのだ?

 

 私は、次に会うための約束を取り付けるための手紙を書き切れず、思考の海に一時沈んだ。

 




33歳、吉良吉影、モナリザの手に匹敵する衝撃に出会ってしまう。

ちなみに、この吉良の話は、初出会いの時の後ですね。

たぶん、色々とゴチャゴチャ考えて、頭のどこかで初めて『全部』が欲しくなった人物っと認識し、仗助が後付けた話に繋がるかな?

このままだと、人生が破綻する……。伏線です。一応。

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