東方波響録 ~異能力者達の学園!?~   作:月と風

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第二十話~信頼関係は簡単に構築できない~

その夜、僕はなかなか寝つけなかった。

灰谷がいじめられている。

あいつはいじめられるような奴じゃないはず。

性格こそあんまり社交的じゃないけど、あの顔だよ?

もっも友達をもっていいはず。

 

少しうとうとしたのだが、また目が覚めてしまった。

んじゃちょっと起きて居間に行こう。

フランは安らかな顔で眠っている。吸血鬼じゃないの?

妖夢も寝ていた。しかし、

 

「あれ?鈴仙は?」

 

鈴仙の姿がなかった。

まだ起きているのだろうか?もしかして勉強してるとか?

 

居間には鈴仙が座って何かを書いていた。こちらからは見えないが、何を書いているのだろうか。

僕は見たい、という誘惑に負け、音を吸収することで気配を消して、鈴仙に近づいた。

上から書いている物を覗き込むと、

手紙を書いていた。

なんだよ。勉強してるかと思ったらラブレターかよ。

どうせまた水橋先輩が好きとかなんとかだろ......って

 

「ええっ?」

「きゃあ!!」

 

やべ。ばれた。

 

「どうしてここに?」

「い、いや、な、なんか鈴仙が書いてたから、ふ、不思議だな、と思いまして......」

「見たの?」

「い、いや何も見ていないです......」

「正直に言いなさい。」

 

鈴仙が銃を構える。

命の危険がある。

 

「正直に言いなさい。見ましたか?」

「じ、実は全て見てました。」

「じゃあ誰宛?」

「灰谷あt......」

 

問答無用で鈴仙が引き金を引く。

 

「ちょっ!危ないな!ってやめろ!」

「死になさい。」

「鈴仙!落ち着いて!ごめんってわかったから!」

 

いなすことは出来るのだが、少しでも間違えれば死ぬ。

ヤバい!

 

「鈴仙!どうしたの?」

「落ち着いて!」

 

どうやら二人も起きてきたようだ。

 

「鈴仙!!落ち着いて!」

 

二人で止めにかかる。

 

「はあ、はあ、あいつ......!!」

「わかったから!ごめんって!」

「絶対許さん!」

「日々響。何があったの?」

「いや、実は鈴仙の書いてた手紙を......」

「それ以上言ったら、この目の能力で、あなたを植物状態にするわよ?」

「ちょっとそれは危ない!もう言わない。」

「なんかだいたい察したわ。日々響。貴方が悪いのね?」

「は、はい。すいません。」

「ということで私からお仕置きね~」

 

にっこりと笑うフラン。なんでですか?

 

「痛っ!!!」

 

指が全部吹き飛ばされる。意識が途切れる。

まったくサイコパスが多いな。

 

 

 

目が覚めると、保健室のベッドの上だった。

 

「あら。起きたのね。貴方の指はしっかり治しておいたからもう大丈夫よ。」

「ありがとうございます。」

 

そう礼をいって、永琳先生と保健室に別れを告げる。

 

「おーいフラン。」

「ん?どうしたの?」

 

昨日の事などまるでなかったような振る舞いだ。

ひどい。

それより、今日は大切なことをしに行かなくちゃ。

 

「森近と灰谷に僕等も協力するって伝えなきゃ。」

「え?森近と灰谷に?」

「そう。」

「なんで?」

「僕等であいつを助けたいからだよ。」

「え、ええ......まあいいけど......」

「良し!そうと決まったらすぐ行こう!」

 

 

今日も灰谷は虐められていた。毎日なのかな...... 

 

「おい、金は持ってきただろうな?」

「い、いや持ってきてない......」

「は?調子のってんのか?」

 

ドス、とまた蹴る音。フランの顔は蒼白だ。

ちょっと能力が使えるか試してみよう。

一番行動が恐ろしい背の高い奴の耳に高い音波を送り込む。

......どうやら効いてないみたいだ。あいつの能力は本物だ。

 

「誰かいるのか?」

 

その男子が鋭い声を出す。

嘘、ばれた?

 

「ちょっ!フラン!こっち!」

 

フランを隣の教室に連れ込む。

 

「誰もいないのか......」

 

どうやらばれなかったみたいだ。

 

「あいつ、こっちが能力使うとそれがわかるみたいだ。」

「ええ?それって強くない?」

「うん。ほぼチート。」

「ねえ、このままいじめを放っておくの?先生に報告したりしないの?」

「たぶんもう報告してるだろう。きっと取り合ってくれなかったんだよ。」

 

「ほんっとあいつムカつくな。」

「死んだ方がいいっすよね。」

「調子のってるよな。」

 

虐めっ子たちが教室からでてくる。

そして。

 

「灰谷。今日もやられたのかい?」

「フラン。行くよ。」

 

そうして僕は森近の前に出ていった。

 

「きっと大丈夫......って君達は?」

「僕等は、灰谷と同じクラスだ。灰谷を助けたい。だから仲間に入れてくれないか?」

 

森近の顔に明らかな警戒の色が浮かぶ。

 

「どういう魂胆だ?」

「そのまんまだよ。僕等は灰谷を助けたい。」

「それじゃあ信じられないな。」

「ど、どうして?」

 

いきなり疑われている。どうしてだ?

 

「今、灰谷をいじめてるのも灰谷と同じクラスの奴だ。だから信じれないんだよ。」

「私達は絶対に裏切らないよ!」

 

フランが言う。その通りだ。

 

「今までも何度もその言葉を聞いた。だけどみんな裏切った。僕達を捨てていった。」

「......」

 

何も言えなかった。そんなに苦しんでいたなんて早く気づけば良かった。そしたらもう少し心の傷が浅かったかもしれない。

そんなに信じてくれないとは......

 

「信じてもらえないからやめようよ......」

 

フランが言う。そんなことするわけあるか?

 

「信じてもらえないなら、信じさせればいいじゃん。」

「わかった。今日から僕は、灰谷を虐めている奴らの仲間になった振りをして、君達に色々と伝えよう。それがもし成功したら、みんな信じてくれるな?」

 

みんな呆気にとられていた。

 

「日々響。正気なの?あいつらは危ないよ。少しでもばれたら日々響の命が......」

「そんなんにびびっててどうすんだよ。信じられてないんだろ?じゃあやるしかないじゃん。」

 

森近と灰谷は、僕等の会話を呆然と聞いていたが、

 

「わかった。それができたら信じよう。ただ、それであいつらの味方につくようなことがあったら君達を見捨てる。」

「わかってるよ。」

 

 

これからは、先生に怒られる以上のサバイバルだな。

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