東方波響録 ~異能力者達の学園!?~ 作:月と風
僕は虐めっ子たちのグループに入ることにした。
怖い。めっちゃ怖い。
でも僕は灰谷たちに信じてもらうために入るのだ。
僕は灰谷と約束した。
「もし、僕が虐めっ子たちのグループに入ったとしたら、君を傷つけるかも知れない。その時は、黙って、僕を許してくれ。」
と。
まず僕は、灰谷が嫌い、という趣旨の手紙を書いて、虐めっ子の一人の机の中にいれておいた。
すると、放課後に体育館裏に来い、という手紙が置いてあった。
今は体育館裏に向かっている最中だ。
体育館裏は、じめじめしていて気持ち悪かった。
これは誰も来ないわな。
「お、来たか。」
「あ、はい。」
「樹神日々響だな?」
「はい。そうです。」
目の前にはごっつい男子が三人。暑苦しすぎる。
ゴリラ1、2、3って呼ぶか。
「まず、お前の度胸を試す。ちょっとついてこい。」
「逃げないでしっかりリーダーについてくんだぞ。」
どうやらゴリラ1がリーダーらしい。
まあ一番ごついしね。
校舎内に入るにつれ、僕は嫌な予感がしてきた。
どんどん弓道部室に近づいてないか?
その嫌な予感は的中した。
たどり着いたのは弓道部室。
なかには灰谷がいた。
灰谷は怯えたような目でこちらを見たあと、僕と目があった。
僕は、ごめん、と目で伝える。
「じゃあこの雑魚を手で押さえろ。動かないようにな。」
「はい。」
僕は怖いのがバレないように、声に抑揚を着けず答える。
僕は灰谷の腕を掴んだ。
一度腕にぎゅっと力をいれる。
これがせめてもの謝意。ごめん。本当にごめん。
拷問が始まった。
「おい、早くこの前の金出せよ。」
「出さねえのか?」
「出さないとどうなるか、身をもって教え込まないと駄目みたいだな。」
ドスッ、とゴリラ1の蹴りが炸裂。
「痛っ......っう」
灰谷が呻く。ここからはもう理由関係なしだ。
とにかく灰谷を蹴りまくって殴りまくっている。
僕は手が震えるのを押さえられなかった。
何度も心の中であやまった。ごめん、ごめん、と。
虐めっ子を体術でぼこぼこに出来ない自分を悔やんだ。
でも、僕は灰谷に信じてもらうために、この過酷な任務を遂行して見せる。
いつか灰谷が笑えるように。みんなで笑い会えるように。
いつしか灰谷は気絶していた。
顔は血塗れで、所々から血が出ていた。
「よし、もうそろそろ先生が来るしな。帰るか。」
「そうっすね。」
ゴリラ1の掛声に、ゴリラ2、3が追随する。
僕もそこについていった。
教室を出る直前、僕は灰谷をもう一度みた。
音波回復【不死鳥の歌】
心の中で呟き、効果を確認する。
すると、灰谷の目が開くのがみえた。
どうやらゴリラ1の能力は範囲有りみたいだな。
「おい、樹神。何をしている。早く行くぞ。」
「す、すいません。今行きます。」
また体育館裏に向かっているようだ。
「樹神。わかったか?俺らがやっていることが。お前はそれに耐えることができるか?」
「はい。」
「ならば良い。俺らの仲間になれ。ただし、一度でも抜けたいとか言わなくてもそういうことを行動で示していると俺らがとれば、お前は怪我ではすまなくなるからな。そこらへんはわきまえろよ。」
「わかりました。」
「じゃあ今日はここで解散だ。」
「はい。」
そう言ってみんなが散っていく。
僕も寮に戻ることにした。
僕は何をしているんだろう。
何のためにこんなことをしているのだろう。
灰谷を助けるため?
でもやり方が間違っている気がする。
こんな助けかたは嫌だ。
だってどちらも傷つく。
灰谷の心の傷は、もっと深くなる。
そんなの嫌だ。
頬をなにかが伝う。
もっといい解決方法は......
「日々響。」
「......!」
フランだった。
「みて......た?」
「うん。」
「大丈夫。何でもないよ。」
「日々響。頑張って。」
ただそれだけだった。
でも僕の心に響いた。
「うん。頑張るよ。」