東方波響録 ~異能力者達の学園!?~   作:月と風

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第二十五話~黒幕は誰だ?~

「僕は......僕は......」

「灰谷!どうしたんだよ!」

「許サナイ......」

「ちょっとどうしたの?みんな固まって。」

 

鈴仙が近づいてくる。

 

「今近づかない方がいい。鈴仙。」

「何で?私達は灰谷を」

「許サナイ許サナイユルサナイ!!」

 

ヤバい。灰谷がおかしい。どうしたんだよ。

 

「灰谷......」

「コロス......」

 

灰谷はそのまま駆け出した。

 

「ちょっと!どこ行くんだよ!」

 

灰谷は体育館裏を回って消えてしまった。

 

「灰谷はどうしたの?」

「わからん。気が触れたのか。」

 

その言葉にフランはビクッと反応したが、

 

「ど、どうして?」

「さあ?誰かに呪いをかけられたのか?」

「私はそんな薬なんて盛ってないわよ。後能力も使ってないし。」

 

「誰だ?」

「え?」

 

突然草むらが動いた。

 

「出てこい!出てこないと草を全て吹き飛ばすぞ!」

 

出て来たのは元虐めっ子の仲間の少年だった。

 

「この子は?」

「虐めっ子の仲間だったやつだよ。」

 

途端にみんなの目が厳しくなる。

 

「こんなところでどうしたんだ?」

「す、すみません。先輩に言われて話を盗み聞きしていました......」

「ん?先輩?誰だそれは?リーダーなら灰谷に殺されたはずだぞ。」

 

すると少年は口ごもった。

なるほどな。その「先輩」って奴がこの虐めの黒幕か。

ならば問い詰めるだけだな。

 

「事情はあいわかった。先輩の名前を言うだけでいい。言わないと君のトラウマや封じた記憶を全て引き出すよ。」

「うぅ......」

「言うだけでいいんだ。いえば解放される。」

 

草むらが再び動いた気がした。

 

「今度は誰だ?」

「日々響。神経質すぎだよ。誰もいない。」

「コロス......」

「え?」

 

見ると、あの少年がこちらをにらんでいる。ヤバい、と咄嗟に判断、僕は手をその少年の額にあて、

 

悩殺【フォルテッシッシモ】

 

と叫んでいた。

 

「日々響!それは......」

 

フランが呆然と呟く。

その少年は音もなしに倒れた。

使ってしまった。これは使っては行けなかった。

霊力が使い果たされていく。

とりあえず保健室に運ばなければ......

足に力が入らない。見ると震えていた。

心臓の音がやけに大きく響く。視界が狭まって、地面が近づいてくるのを見たのを最後に意識が途切れた。

 

―――――――――――――――――――――――――

 

私達は保健室に居た。

目の前には2つのベッド。

一人は悩殺を受けた元虐めっ子らしい少年と、悩殺を撃ったことで霊力を使い果たして気絶した日々響。

永琳先生は、日々響は後少しで目覚めるが、少年の方は少し危険がある、といっていた。どうやらトラウマなどが引き出されているらしい。

私達は、ここで二人が目覚めるまで待つことにした。

 

「大丈夫ですか?この少年。」

 

妖夢が心配そうに呟く。

鈴仙は、本を取ってくる、といって先ほど出ていった。

 

「大丈夫だよ。この学園に来た人なんだから、きっと強い。」

 

普通の人なら、脳が麻痺して、植物人間状態になっていただろう。

 

そろそろ日々響は目覚めるかな......

とそのとき。

 

絶叫が上の階から上がった。私達は咄嗟に身構える。

 

「何が......起こって?」

「わからない。まずは見に行かなければ!」

 

妖夢の冷静な判断で私達は上の階を見に行くことにした。

階段をかけ上がる。嫌な予感がしていた。

もし予感が的中していたとすれば、死なないうちに......

嫌だ。私何考えているんだろう。そんなことあるはずが......

 

しかし、予感は当たっていた。上の廊下は辺り一面血でおおわれていた。真ん中にいたのは、

 

鈴仙だった。

 

「鈴仙!」

 

私は既に気絶しているらしい鈴仙に近づく。

間違いない。これは灰谷の仕業だ。

辺りを見渡す。灰谷の気配はもうなかった。

 

「フラン!何ぼうっとしているの?早く保健室に......」

「あぁ、うん。ごめん......」

 

鈴仙を運ぼうとして私は震えた。肌が冷たい。

 

「まだ、生きて...いるの?」

「わからない!とにかく保健室に運ばないと!」

 

 

 

数分後、私達は再び保健室に居た。

鈴仙は奇跡的に生きていた。どうやら薬のようなものを飲んでいたらしい。それにしても灰谷は何でそんなことを?しかも元恋人じゃん。

 

「......っ............ん?」

「あ、日々響。起きたんだね。」

「まだ体がだるいけどねって、そこの血塗れの人は誰?........................れ、鈴仙!?」

「そう。灰谷に襲われたらしいです。」

 

震えて話せなかった私の代わりに、妖夢が言葉を紡ぐ。

 

「灰谷が?何でそんなことを?」

「知らないわよ。灰谷に聞きたいわ。」

 

そういうと、日々響は考え込んでしまった。

私の中に何かが浮かんだ。

コロス、と口走った少年や灰谷が浮かぶ。

灰谷に虐めていた、虐めっ子たちが浮かぶ。

その理由は何だ?灰谷は虐められるようなことなどしていない。だとすれば......

 

「えっ?」

「ちょっ、フラン?どうしたの?」

 

私の中で、その思考が一つにまとまった。

だとしたら鈴仙は......

いや、そんなはずはない。そんなことをするはずがない。でも、それしか考えられない。

そう考えて、私はその思考をゆっくりと言葉にしていった。

 

「灰谷は、虐められるようなことを何もしていないでしょ。でも何か虐めっ子達の気にさわるようなことをしていないと虐められることはなかったはず。また、灰谷とか、日々響が悩殺したこの少年のあの狂い具合は、自発的に起こったものではない。だから、2つとも何か要因があるんだよ。で、特に虐めっ子たちが灰谷を虐めるようになった要因として考えられるものは......」

 

「嫉妬、だな。」

 

と日々響は言った後に、目を見開いた。

 

「えっ?て言うことは、お前は、あの人が犯人だって言うのか?」

「だってそれしか考えられない。嫉妬を操る能力を持つ『先輩』はただ一人。水橋先輩だよ。」

「しかも水橋先輩は、嫉妬の程度を強くすることも出来る。それで灰谷や、この少年を狂われたとしか......私には考えられない。」

 

 

保健室には静寂が重く垂れ込めていた。

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