東方波響録 ~異能力者達の学園!?~ 作:月と風
「え?」
一体何が起こったのか全く理解できなかった。
カラン、と乾いた音が響く。
それに、体全体が何か生温いもので濡れているようだ。
ぎょっとして振り返ると、
「...っ」
無言で膝をついた鈴仙さんが目に飛び込んでくる。
腹からは出血しており、僕はその返り血を全身に浴びていた。
状況がようやくわかってきた。どうやら鈴仙さんに撃たれそうになった直前にフランが助けてくれたらしい。あの日々響、って言うのは空耳じゃなかったんだな。
鈴仙さんが光に包まれ消える。
どうやら気絶したらしい。
...ということは?
温かい音が聞こえた。
周りを見渡すと、先生たちが拍手をしている。
...どうやら勝ったんだな。
フランを見ると、唖然とした表情で固まっている。
「どうしたんだよ。死後硬直みたいに固まって。」
「え!?いや...なんでもない...」
どうやらまだ勝った実感がわいてないようだ。
改めてフランを見る。傷はついてないが、僕より大量の返り血を浴びていた。
先生たちが近寄って来た。
「まずは教室に戻ってください。」
ひとまず勝ててよかった。
期待、という言葉が心をよぎる。
期待はこうやって答えるのかな。
少しわかったような。
「フラン、戻るぞ。」
そういって僕らは激戦区をあとにした。
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「フラン、戻るぞ。」
日々響は私に声をかける。
私は今感じていたものに呆然とし、固まっていた。
私は木の影から飛び出すと、日々響の反対側に回った。
そこから、人の足を潰してきた。
物質には必ず目、というものがある。
私はその目を自分の手の中に移動させることが出来、その目を握り潰すことで、対象物を破壊するのだ。
人を殺すときは心臓を潰せばいいのだが、今は気絶させればいいので、足ばかりを狙っていた。
私が後ろに回ったことに気づいた人はいなかった。
だからあっという間に4人を気絶させた。
そこで私は何か違和感を感じた。
しかしそれを突き詰める暇はなかった。
爆音がしたからだ。
見るとうさみみ少女のペアの男子の足元に亀裂が入り、爆音と共に吹き飛んだのだ。
3人がその場で硬直し、倒れた。多分鼓膜が破れたのだろう。
その時、うめき声が聞こえた。
そこにいたのは、
銃を構えるうさみみ少女となんとも無様な姿で体を丸める日々響だった。
私は思わず日々響、と叫び、
うさみみ少女の足の目を潰そうとした。
しかし潰していたのは、腹だった。
うさみみ少女がその場で膝をつく。
私は日々響に駆け寄った。
どうやら傷はなさそうだった。
うさみみ少女をもう一度見た。
そして私は固まっていた。
自分が感じた気持ちに対して。
いつも私が目を潰す練習をしていた時、私がいつも感じていたのは、対象物に対しての謝意だった。
ごめんなさい。
その言葉をいつも唱えながらやっていた。
しかし、今感じた気持ちは全く違った。
それは、
喜びだった。
唖然とした。
全身の神経が麻痺しているようだった。
体もうまく動かない。
目の前が暗くなる。必死にそれをこらえた。
あの記憶が甦る。
槍で貫かれ、心臓が爆発し、うめく人々。
もっと血を...
「フラン」
違うよ。
日々響に迷惑をかけてはいけない。
もっと人を...
だから違う。
「フラン」
日々響に迷惑をかけたくない。
もっともっと殺したい...
ちがうちがうちがう!
「フラン!」
これ以上日々響に迷惑なんて...
「フラン!!!」
「え!?」
「大丈夫か?」
「う、うん。」
気がついたら教室だった。
ここまでどうやって来たのか全く覚えていない。
さっき感じた動物的な衝動も消えていた。
「大丈夫ならいいけど...」
「ちょっとほうっておいて。」
「あ、はい。」
こんなことを言うと日々響が悲しむ気がしたけど、今は一人の時間が欲しかった。
静まり返った教室の中で私はあの記憶のことをずっと考えていた。
ということで第四話でした。
今回はグロテスクな物語になってしまいました。
どうかお許しください。
フランちゃんは、大丈夫なのかな...