斯くして、一色いろはの小悪魔生活は終わりを迎える。   作:蒼井夕日

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7話 おーるおっけー。

 ────朝。

 

 本日俺が最初に頭に浮かんだ言葉がそれだ。

 閉じた瞼越しから差し込む日差しが煩わしく、数秒前まで寝ていた脳が覚め始める。

 昨日カーテンあけっぱで寝たせいか。くそったれ!と昨日の俺を軽く恨む。

 ついでにちゅんちゅんうるさいスズメも恨んでおく。

 

 「…………んがっ」

 

 しかし目覚ましなしで起きる朝というのはそんなに悪い気がしないもので、普段なら寝ながら二度寝に挑む俺も自然と瞼が開く。

 

 「ふぁぁ……」

 

 頭をがしがし掻く。無事起床。

 一週間の中で学生人気No.1の土曜日の朝8時。

 

 欲を言えばもう少し寝ていたかったが、せっかくの貴重な休日だ。

 最近何かと忙しくて消化できなかったアニメもあるしな。

 慎重すぎる勇者とか、勉強できない奴らのアニメの2期とか数えたらキリがない。早起きバンザイ。

 

 顔を洗い、リビングへ行くと、先に起きていたらしい小町が下着エプロンという超破壊力コスで朝飯の用意をしていた。

 

 「あ、おにいちゃんおはよー」

 「おはよ。小町ちゃん、風邪ひくから服着なさい」

 「はーい」

 

 小町は一度フライパンの火を止め、ソファにかかっていた俺のジャージに着替える。

 どう見てもサイズ合ってないんですけどね。 

 こういうのを彼カジっていうんだっけ?

 いつか小町も彼氏を家に連れてきたりするのかしら。ッチ。考えただけで虫唾が走るぜ。

 

 浮かんだ小町の彼氏を脳内でぼこぼこにしつつ、ソファに座る。 

 

 「ふぁぁ……」

 「なにその地底怪獣バラゴンみたいなあくび」

 「ひでえな。その例え方はさすがに見過ごせないんだが」

 

 てかなんで知ってんだよ、バラゴン。親父ですら世代じゃねえぞ。

 いや、平塚先生なら知ってそうだな……。

 あの人少年向けの作品ならかなり精通してるからなぁ。

 へたしたら親父より親父くさいし。

 

 再び調理場へ向かった小町は、「そういえば」と包丁の手を止めた。

 

 「お兄ちゃん、こないだは誰にお弁当食べてもらったの?」

 

 ギクリ。 

 そんな擬音が背中で響く。

 

 振り返ること二日前、弁当を忘れたという一色に俺のを少しわけてくれと頼まれたのだ。

 しかし何故だ。何故バレたんだ?

 一色と小町は接点ないはずじゃ…………。

 

 「なんのことだ?」 

 「トマト」

 

 しかし小町のその一単語で、俺の懐疑は確信へと変わる。

 そうでしたね。どこかの後輩ちゃんがペロリと平らげてましたもんね。

 

 まあでも、別に疚しいことなんてないしぃ?

 後輩から頼まれただけだしぃ?

 だからやめて小町さんそんな目で見ないでっ!!

 

 「もしかして、前いってたイッシキさんってひと?お兄ちゃんのお弁当食べれるなんて、肝座ってんね」

 「いや、言わんとしてることはわかるが作ったのは小町だろ?なら問題ないでしょ」

 「イッシキさんのことは否定しないんだ?」

 

 「かかったな」というように、口角をにぃっと上げる小町。

 な、なんだと…………? 

 この俺が小町の策謀に嵌められただと……?

 くそっ、俺としたことがっ……!

 なんか小町が一色に見えてきたんだけど。病気かな。病気だな(確信)。

 

 「ま、小町にとっては吉報だからいいけどね~♪」

 「そもそも一色が女だとは一言もいっていない」

 「最近お兄ちゃんから女のにおいがする」

 「こえぇよ……女子こわい……」

 

 ほんと、女子の嗅覚ってなんでそんな発達しちゃったの?ウルフなの?

 

 「でもお兄ちゃんさ、他の新しい女と仲良くなるのも否定はしないんだけどさ。結衣さんと雪乃さんとも仲直りしなきゃだめだからね」 

 「その言い方だと誤解招くからやめてくれ。…………まあ、言うほど仲違いしてるわけじゃないと思うんだがな」

 

 実際、この間部室でも話したし、傍からみても確執があるようには思わないだろう。

 表面上、特に問題があるようには思えないが、しかし小町は人差し指をぴっとこちらへ向け指摘してくる。

 

 「あのねお兄ちゃん。女の子ってのはそういうのに敏感なの。ちょっとしたことでも夜も眠れないくらい気にしちゃうんだよ」

 「…………そういうもんなのか?」

 「そういうものなの」

 

 “そういうの”の解釈がもしかしたら違う可能性もあるのだが、小町が言うならそうなのだろう。

 しかし言われても俺に何ができるだろうか。

 今更改めて「ごめんな」なんて言うのも気恥ずかしいし。

 

 「ま、それはいいとして。お兄ちゃん、ちょっと買っといてほしいものがあるんだけど」

 

* * *

 

 小町に頼まれ、俺はとある駅近くのショッピングモールに来ていた。

 受験を控えた小町に変わり、食材の買い出しなどをすることが増えたのだが、土曜日にまで外に出るのは俺にしては珍しかった。

 いやほら、休日の駅周辺とか知り合いに会う可能性が高いし。

 それが普通に話せるレベルの友人なら問題ないのだが、顔だけは知ってるみたいな奴とばったり遭遇した時の気まずさったらない。まあ戸塚しか友達がいない俺にとっては関係ないんだがな。

 むしろ戸塚なら毎秒会いたいまである。エブリデイ戸塚!!

 

 そんな休日の可動限界が近所のコンビニまでである俺は、早速人酔いしていた。

 軒を連ねたように並ぶ小売店舗や飲食店を出入りする人々に、「貴様らは止まったら死ぬ、まるでマグロのようだな」と意味不明な悪態を心の中でつぶやきつつ、歩を進める。

 

 と、そんな人混みの中から一人の見知った顔を見つける。

 あれは、一色か……?

 射程距離20メートル、進行方向は俺とは逆方向の西南西、敵はこれから雑貨店に入る模様。仲間は…………一人だな。

 よし、ステルス機能を発動していれば、見つかることはなさそうだ。

 っふ、俺のボッチセンサーマジ有能。

 

 こんな休日にまで学校の後輩に会うなんてごめんだ。

 まして一色とか超めんどくさそうだし。

 

 さて、気にせずショッピングを楽しもう────

 

 「あれ~?先輩じゃないですかぁ」

 「ひぃッ!!!」

  

 ──としたところで、先ほど雑貨店に入ったはずの一色が目の前に現れた!

 いっしきは「逃げられるとでも思ってるんですか?」といいたそうにこっちをみている。

 

 いやビビッた。ホラーかよ。びっくりしすぎて変な声出ちゃっただろうが。

 

 「先輩ってたまに気持ち悪い声出しますよね。そんな驚かれるとさすがに傷つきます」

 「急に話しかけるなよ……。最初の村でデスタムーアに出くわしたら誰でもこうなるでしょ」

 「ならないですよ……。ていうか、わたしをそんな変なのに例えないでください」

 

 言って、むすっと眉を顰める一色。

 なんだと……ド〇クエネタが通じねぇ……。

 

 後ろを見ると、一色の同級生と思わしき男が手提げ袋両手に駆けてきた。

 こいつのことだから、荷物持ちにでもされてるのだろう。

 まあ、さっきから一色にデレデレしてるから本人は嬉しいんだろうけど、気の毒だなぁ……。

 

 「なんで気づいたんだよ」

 「知りたいですか?」

 「い、いや、やっぱいいです……」

 

 怖っわ!女子こっわ!小町といい、ほんと嗅覚どうなってるのん?いやマジ怖いから……。

 しかし悟られるわけにはいかん。 

 まあ折角声をかけてくれたんだし、二言三言の会話はしておいた方がいいか。

 あくまで先輩としての威厳を保つため、俺は深い深呼吸で一色に対峙した。

 

 「買い物か?」

 「はい。先輩は一人で買い物ですか?」

 「一人でのところ強調しなくていいからね。まあそんなとこだ」

 「ふーん…………」

 

 え、なに?なんで全身じろじろ見てくるの?

 何かを見定めているのか──というより品定めに近いが──ふんふんと人差し指を顎に当てる一色。

 なんか背中ムズムズするからやめてほしい。ボッチは見られることに慣れてないんですよ?

 

 やっと何かを決断したかのように、一色はくるりと同級生君の方に振り返った。

 

 「ね、井坂君。タピオカクレープ?が話題のお店が近くにあるんだけど、買ってきてくれないかな?」

 「え、それって確かこのモールにはなかったような……」

 「いさかくぅん、だめ……?」 

 「い、いえっ!!今すぐ買ってきます!!!」

 

 韋駄天走りで去っていく同級生君を見送り、「さて」と一色が振り向く。

 

 「どうかしましたか?男って単純で扱いやすいな、と思う可愛い後輩の内心を知ってしまったみたいな顔してますけど」

 「まさにその状況の最中なんですけど……」

 「やだなぁ。そんなこと思ってるわけないじゃないですかぁ」 

 

 内面に反してなんでこんな笑顔できるんですかね。むしろ尊敬するわ。

 しかし同級生君よ、気持ちはわかるぞ。

 2年前の俺であれば確実に落とされていただろうしな。

 強くなれよ…………。

 

 「…………んで、なんであんなことしたわけ?」

 「先輩の方が一緒にいたら楽しそうかなーって」

 「え、ついてくんの?」

 「はい」

 「やだよ。知り合いにでも見られたらどうするんだよ。それこそ葉山にでも見られたら困るのはそっちでしょ」

 「それに、昨日先輩がなんであんなことを言い出したのかも聞いておきたいですし」

 「いやそれは…………まあ、何の説明もないってのもあれか……」

 

 一応依頼主にも関わることだし、仕方なくそう返事を返す。

 昨日葉山と話してるところを一色に問いただされ、お茶を濁したままだった。

 こうなるから休日の外出なんてしたくなかったんだよなぁ……。

 

* * * * *

 

 先輩の買い物を終え、ショッピングモールを出て数分。

 わたしの「駅にパンケーキが美味しいカフェがある」という発言に、「まだ解放してくれないのかよ……」とぶつぶつ悪態をつく先輩と街を歩いていた。

 

 今日は同級生の男子にちょっとしつこく誘われてモールまで来たけれど、正直退屈だったんだよね。

 なんというか、接待されてるような気分。

 男子からちやほやされるのは嫌いじゃないけど、そこに必死さが見えちゃうとちょっと引け目感じたり、面倒だったりする。

  

 だからそんなときに先輩を見つけたのはラッキーだった。 

 先輩っておもてなしとは程遠い人間だし、わたしの裏の性格を知ってる数少ない男子の一人だから一緒にいて楽なのだ。

 でも、もうちょっとわたしに興味を持っていいと思うんですよー?

 ちょっとしたボディタッチとかおねだりとかには頬を赤らめてはくれるけど、それは先輩が女子慣れしていないだけで、先輩の心にまでは響いてない。

 

 今日先輩を連れまわそうと思ったのも、それがちょっとだけ悔しかったからだ。

 だから、葉山先輩を落とす前の前座なんだから。

 ちょっぴり興味があるだけ。

 先輩なんてお通しなんですから。

 

 「さっきの男はどうすんの?男子の恋心とか簡単に拗れるからな。あとになって刺されても知らんぞ」

 「脅されてついていくしかなかったって言っておくので大丈夫ですよ」

 「それだと刺されるの俺になっちゃうんだけど」

 

 「これで訴えられるのが男側とか、世の中どうなってんだよ……」とため息をつく先輩。

 

 そんなことを言いながらも、ヒールを履いたわたしの速度に合わせてくれるところがあざとい。おまけに、さりげなく道路側にうつってくれたこともわたしは見逃してないんですからね。

 たぶん、先輩の場合はさりげなさすぎて、その優しさに誰も気づかないんだと思う。

 奉仕部の二人は気づいてるからこそ、心を開いてるんだろうなぁ。

 結衣先輩とか、バレてないとでも思ってるんですか?って言いたくなるくらい好き好きアピール全開だもん。鋭い先輩なら、結衣先輩の気持ちに気づきそうなものだけど。

 

 「あ、やばっ……」

 「なに、どしたの?」

 「井坂君です、こっちに来ます」

 

 と、前方に先ほど別れた井坂君を発見。

 両手にはわたしがさっき頼んだタピオカクレープらしきものを持ってるから、これからモールに戻るんだろう。

 このままでは見つかってしまう。どうしよう。

 

 ────ええい、こうなったらしょうがない。

 見つかって面倒なことになるよりは……!

 

 「うぉっ、お、おい?」

 「先輩、しー!」

 

 とっさの判断でとったわたしの行動に、先輩は思わず動揺したご様子。

 それはそうだろう。

 だって、先輩に抱きついたもん、わたし。それも正面から。

 わたしだって自分にビックリしてるよ。

 

 でも、先輩の大きい体のおかげで、わたしの目立つ髪の毛は井坂君の死角だ。

 先輩も背中を向けてるから顔を見られることはないし、傍からみればただ路上でいちゃついてるカップルにしかみえないはず。

 

 「ちょっとだけ我慢してください」

 「…………」

 

 胸に顔をうずめてるせいで上手く喋れなかったけど、どうやら伝わったみたい。

 井坂君の走る音が近づくにつれ、緊張感が高まる。

  

 ────何これ。先輩の胸の中意外とあったかくて、結構落ち着くんだけど。

 匂いも、嫌いじゃない。というかむしろ……──。

 

 「あのー、一色さん?」

 「ふえぁっ!?」

 「変な声出すなよ……。もう行ったぞ」

 「え、あ、んとー、はい?」

 「だから、井坂?もう行ったぞ。ったく、もっと他に方法あったでしょ」

 

 わたしとしたことが…………先輩なんかにドキドキしてどうするのさ。

 よく考えればわたし、男子の胸に抱き着いたこととか一度もなかったっけ。

 いつも男子に囲まれてたから、てっきり慣れてるものだと思ってたよ……。

 というか、先輩も先輩です。なんであんな落ち着く匂いするんですか、先輩のくせにっ!

 

 「ま、まぁとっさでしたし。というか、先輩も超胸どきどきしてましたよ?」

 「……してねーよ」

 

 そんな赤くして言っても説得力ないですよー。

 先輩はふいっとそっぽを向いてまた歩き出したけど、耳まで真っ赤になってるのがわかった。

 かくいうわたしも、まだちょっとだけ胸が鳴ってる気がする…………気がするだけ!

 わたしのこれは井坂君の出現にびっくりしただけだから。断じて先輩に胸キュンしてるわけじゃないから。

 だって、わたしには葉山先輩がいるんだし。

 

 「先輩って体温高めの人ですか?」

 「そうだな、確かに高めかもしれん」

 「なるほど。じゃあ先輩は心が冷たいんですね」

 「それ手じゃないの?」

 

 よし、いつもみたいに会話できてる。問題なし。おーるおっけー。

 一時は動揺しちゃったけど、歩いているうちにいつものわたしに戻ってきたみたい。

 

 「ここか?」

 「あ、ですです。どうですか?外観かわいくないですか?」

 「そうですね」

 

 と、先ほどの事件から3分ほど、目的のカフェに到着。

 

 心底興味なさそうな先輩が、装飾が施されている木製の開き戸を引いて──

 

 「…………?」

 「入んないの?」

 「っ……!」

 

 あーもう、せこいなこの先輩は……!

 ちがうちがう。ドキッとしたのはさっきのがあったせいで、他意は全くないんだから。

 

 にしても、こういうのを素でやっちゃうあたり、先輩は天然のすけこましだきっと。

 いや、敏感な先輩だから、本当は狙ってやったとか…………?

 

 「寒いからはやくしてくんない?」

 

 あ、ないわー。この人に限って狙うとかないわー。

 おかげでわたしも素に戻れたので良かったですけど!でももうちょっと余韻に浸らせてくれてもよかったんじゃないですかねー!いやよくないからっ!!

 なんかわたし、おかしくなってきた……。

 

 先輩のペースに合わせちゃだめだ。

 いつも通り、わたしのペースだ。

 

 心の中で自分でツッコみ(喝)をいれつつ、店内に入る。

 外が寒かったこともあって、店内の心地いい暖かさが体を撫でる。

 お昼時も過ぎ店内の客はまばらで、控えめに流れる瀟洒な音楽が心を安らがせる。

 実はこのカフェはまだ二回目だったけど、店内の内装も結構好きだし、リピート確定かも。

 

 「それで先輩。昨日のことを聞かせてもらってもいいですか?」

 「まあ、話しておいた方がいいか」

 

 窓側の席でホットコーヒーとミルクティーを注文し、昨日から気になっていたことを改めて問いただす。

 まあ、実際は気になってるどころの騒ぎじゃないんだけどね。だって──

 

 「先輩が生徒会長になるとか言い出すなんて、信じられないですもん」 

 

 そう、直接きいたわけじゃないけど、昨日先輩が葉山先輩にその話をしていたところを偶然見かけたのだ。

 放課後にそのわけを聞こうとしたんだけど、何故かはぐらかされたままだった。

 

 だって、この先輩が生徒会長だよ?

 いや確かに出会った当初に「先輩が生徒会長になるとかどうですか?」とか言ったけど、まさかそれが現実になろうとしてるなんて。

 というか、勝算あるのかな……。

 

 「まあなに、俺が生徒会長になろうとしたきっかけはともかく」

 「そこっ!そこが一番気になるんですけど!」

 

 ともかくって、まさか話さないつもりだったの?

 雨どころか惑星が降ってきてもおかしくない大事件なんですよこれは。

 

 「…………」

 

 わたしの指摘に、居心地悪そうに口を噤む先輩。

 このままでは一向に話してくれなさそうだったので、一つだけある心あたりを口にしてみた。

 

 「もしかして、一昨日の昼休みに話してた雪ノ下先輩の言葉がきっかけだったりします?」

 「……っ。それも聞いてたのかよ……。盗聴魔なの?漆黒のスパイかなんかですか」

 「気になっちゃいまして、てへ」 

 

 こんっと頭に手を置くわたしに、先輩は「はあ……」と観念したかのようにため息をつく。

 一昨日の雪ノ下先輩の言葉。

 「私たちの部活、守ってね」と言っていたけれど、あれがどういう意味を含んでいたのかはわからないし、先輩がそれを受けてどう感じたのかもわからない。

 それに、雪ノ下先輩のあの期待に焼かれるような表情は、わたしがこれまで聞いていた冷酷な雪ノ下先輩のイメージとはかけ離れていた。

  

 そんな場面に出くわして、気にするなと言う方が無理な話だ。

 

 「まあ、あれだ。端的に言えば、出ていったきり帰ってこないカマクラ的な話だ」

 「かまくら?何の話……?」

 

 この先輩、全然伝える気ないぞ……。

 そもそも千葉はカマクラ作れるほど雪降らないし。

 ていうかカマクラが出ていくってどういうことだろう。

 

 「自分の居場所くらいは自分で守るってことだ。これでいいか?」

 「……へー、ふーん?」

 「な、なんだよ?」

 

 先輩は恥ずかしそうに頬かいてそっぽを向く。

 こんな人でも、奉仕部のことをちゃんと思ってるってことかな。

 こういうことはわたしじゃなくあの二人に言ってあげてください。

 結衣先輩とか顔真っ赤にして喜ぶと思いますよ。

 

 「まあいいです。それで、どうやって戦うんですか?先輩、わたしに勝てるんですか?」

 「ああ、応援演説を葉山に頼んだ。まあ、勝算はそれだけじゃないけど」

 

 先輩は、運ばれたホットコーヒーにミルクと砂糖を大量に入れながら、その勝算とやらを話した。




更新が毎度毎度遅くてすみません。
いや違うんですよ?とあるネトゲのレベリングとか緊急クエとか色々ありまして……。期間限定イベとか始まっちゃったらやめるにやめれなくてですね。

・・・さて、言い訳はこのくらいにしておきますか( ^ω^)
次話もよろしくお願いします。
感想待ってます!!
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