魔法少女リリカルなのは ~ Silver of Paladin ~   作:アルフォンス

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prologue

「というわけで、今日でお前18になったから、嫁さん見つけてこい」

 

「はぁ~~~~?」

 

 

 

いきなり何を言っているんだ。うちの親父は?

トチ狂ったかとうとう。

 

 

今俺に言った男はディーザ・ラーディッシュ

俺の父親。

 

筋肉質で身長も180以上もある典型的なガテン系の男性だ。

正直この親父は、俺が何度、挑んだけど勝った試しは一度もない。

 

とにかくまさに化け物。

 

 

そして俺はその息子のケイン・ラーディッシュ。

俺は親父には似ず、亡くなった母親似で中肉中背。

 

本当に良かったよ。こんな親父に似ないで……。

 

 

 

「はぁーじゃねえだろ。忘れたのか。うちの家訓を?」

 

「もしかして、あの家訓のことか?」

 

 

 

ラーディッシュ家の家訓。

それは、18になったら、家を出て20までに嫁さんを見つけてくること。

 

それは先祖代々続いてきたことであり、この親父も例外ではなかった。

 

っていうか、お袋はこの親父のどこが良くて結婚したのかは、いまでも分からない。

 

 

 

「本当にいきなりだよな……」

 

「なにがいきなりだ!! 前々から言っていただろうが。可愛い嫁さんを見つけてくるまで帰ってくるなよ」

 

(何言ってるんだよ。いつも無茶苦茶なことばかり言いやがって。でも、まっ、いいか)

 

 

と心の中で思っていたら……。

 

 

「まぁ、俺も鬼じゃねえ。だからこいつを選別にくれてやる」

 

 

そう言いながら、親父は棚から一本の剣を取り出し、俺によこした。

 

 

 

「って、これ、まさか『凍牙』!? い、いいのかよ? 親父!?」

 

 

 

 

これまで、親父は一度たりとも『凍牙』を鍛錬で使わせてはくれなかった。

昔、親父が寝ている隙に一度だけ『凍牙』に触れようとしたことがあったけど、気配を察知した親父が、あと少しというところで目を覚ましてしまい、大目玉を食らった思い出があるのだ。

 

 

 

「ああ、そのかわり、いい女、連れてこいよ」

 

 

 

凍牙を手にした俺は嬉しさで浮かれていた。

でも、これが俺の運命の始まりとは、この時点の俺には予測もしていなかった。

 

 

 

*    *    *

 

 

 

「ったく、嫁さんを見つけてこいっていってもな。この世界でどうしろっていうんだよ。可愛い女の子はみんな、ミッドに行っちゃってるし、いっそのこと俺もミッドチルダに行ってみるか?」

 

 

 

この世界、管理外世界280番 惑星シーリウスは、文明も発達していなくて、町も都会とは違い華やかさもない。

俺の生まれた町も、若い連中はみんな出稼ぎや勉強のため、管理世界やミッドチルダに行ってしまったりしていた。

 

この惑星は管理外世界だけど、管理局とのコミュニケーションはあり、トランスポーターで行き来したりは出来るのだ。

 

しばらく歩き、山の中にはいると、霧がかかっていて前が見えない状態で、いつの間にか迷子になっていた。

 

 

 

「完全に……迷ったぞ。今更ぐだぐだ言っても始まらないし……んっ?」

 

 

少し大気の動きがおかしく、周りを探ってみると、人間とは違う明らかな魔物の気を感じた。

 

 

その時……。

 

 

突然炎が俺に向かって来たが、何とかさけることができた。

すぐに戦闘態勢を整え、辺りを見渡してみると……。

 

 

「あ、あれは、ファイアーゴーレム!? 何でこんな所にいやがるんだ!! しかも一体じゃねえ」

 

 

しかも、20体以上のファイアーゴーレムに囲まれていた。

 

 

「くそったれが!! こうなったら、かたっぱしから片付けるだけだ!!」

 

 

 

俺は凍牙を鞘から抜き、その刀身に自分の魔力を伝わらせ、氷結の剣を作り出した。

氷結魔法は苦手だけど、こいつら程度なら、充分おつりが来る!!

 

 

 

ファイアーゴーレムの軍団は、一斉に俺に襲いかかってきて……。

 

 

 

「これでも喰らいやがれッッ!! ダイヤモンドストラッシュ!!」

 

 

 

氷結の剣から放たれた氷の刃は、数体のゴーレムを真っ二つにし、さらにブーメランのように戻ってきて再びゴーレムを胴体から真っ二つに切断した。

 

 

 

『グオオオオオオオン』

 

 

 

残った5体のゴーレムは、闇雲に突撃してもまずいと判断したのか?

俺と取り囲むように展開する。

 

 

 

「へえ~、すこしは考えてるじゃないか。だけどな……。そんなことしたって無駄なんだよ!!」

 

 

 

ニヤリと笑いながら剣を再度構え……。

 

 

 

今度は刀身に雷を纏わせ、その剣を地面に突き刺す。

その瞬間、地面に黒のミッド式の魔法陣が現れ、魔法陣から膨大な量の雷が顕現する。

 

 

 

「これで最後だ!! ライトニングブラス!!」

 

 

 

地面から顕現した、雷の刃がそれぞれのゴーレムに向かって放たれ、ゴーレムに接触すると……。

突如、雷柱が現れ、ゴーレムを後からもなく焼き尽くした。

 

 

 

「ふぅ、雑魚とはいえ、あれだけいると疲れるぜ……」

 

 

雑魚とはいえ、数の暴力にはたまったもんじゃない。

アイツだったら……もっとうまくやるんだろうがな。

 

今はクラナガンにいる俺のダチのことを思い浮かべる。

アイツは魔力こそ少ないけれど、指揮系統や冷静さは俺よりも遙かにうまかったからな。

 

 

クラナガンか……。

 

 

せっかくだから、あいつに会いに行くのもありだよな。

そんなことを考えていると、上空から金色の髪をした女の子が降りてきた。

 

 

「時空管理局執務官、フェイト・T・ハラオウンです。済みませんが、今ここであったことを聞かせてもらえませんか?」

 

「管理局の……執務官だって?」

 

「管理局を……知ってるんですか?」

 

「一応この世界は管理外世界とはいえ、管理局とはそれなりのコンタクトは取っているからな。知っている人は結構いると思うぞ」

 

「そうですか。それだったら話は早いです。私は最近この世界で起こった事を調べるためにここに来たんです。それを追っていて……」

 

「ここにたどり着いたと言うことだな」

 

「ええ……」

 

 

昔からこういった魔物は出ているけど、ここまで大量に出てくることは珍しい。

やっぱ、この女の子が言うとおり、この世界に何かが起こっているのかもな。

 

 

 

「俺も、詳しいことは知らないけど、ここではこういった魔物は珍しくないんだ。ただ、こんなに大量発生するのは滅多にないんだけどな」

 

「そういえば、ここの魔物はあなたが倒したんですか?」

 

「まあね。これくらいの雑魚だったら、そんなに手こずらないで倒せるぜ。多分、君でも倒せるんじゃないかな、執務官さん。隠しているみたいだけど、魔力かなり高いのは分かるぜ」

 

「……分かるんですか、魔力が?」

 

「一応、この世界の戦士だからな。これくらいのことは分かるぜ」

 

 

 

あのクソ親父に何年も鍛え上げられたんだ。

このくらいのことが出来なかったら、マジでシメられる。

 

 

 

「では、あなたに幾つか聞きたいことがあるんですが、済みませんがご同行してもらっても良いですか?」

 

「それはかまわねえが、一つだけ条件がある」

 

「何ですか?」

 

「飯……食わせてくれ。もう三日も何も食ってないんだ。マジで腹と背中がくっつきそうだ」

 

「ぷっ……ふふふっ……」

 

 

 

フェイトと名乗る少女は、俺の言葉がおかしかったのか、吹き出し笑いをした後、笑いがこらえきれなくなり……

 

 

 

「……ふふっ、分かりました。向こうで食事は用意しますね」

 

「よっしゃ!! 久しぶりの飯だぜ」

 

 

あのくそ親父、これも修行とかいいやがって碌に飯を食わせてもらえなかったからな……。

 

 

「それじゃ、行きましょうか。私達の拠点……『アースラ』へ」

 

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