魔法少女リリカルなのは ~ Silver of Paladin ~   作:アルフォンス

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Number;10 vsソードマスター

「エリオ、そっちの被害状況は!!」

 

「はい、東地区は殆ど住民の避難は終わっています。あとは西地区だけです!!」

 

 

 

あたしとエリオは八神部隊長の指示で、ルカーノの救助活動に参加していた。

部隊長が何度も凍結魔法を放っているが、効果はなく、もうどうしようもないと思っていたが、ケインが駆けつけてくれ、ルカーノ火山は活動を停止したけど……。

 

 

 

「火山は停止したけど、街の被害は収まったわけではないのよね……」

 

「はい、でも、もう少ししたら応援が来ますよ」

 

 

 

もうすぐ現地の管理局員も到着から、そこまで持ちこたえれば、何とかなるわ。

そんなときアースラから緊急通信が入った。

 

 

 

『エリオ、ティアナ、大変なの!!』

 

「どうしたんですか、ルキノさん。そんなに慌てて?」

 

「一体何があったんですか?」

 

『実は、部隊長とケイン君が、謎の敵に遭遇して現在戦闘中なの!!』

 

「何ですって!!」

 

『しかも、部隊長もケイン君も、もう残り魔力がないから、いつやられてもおかしくないの!!』

 

 

 

確かに部隊長もルカーノ火山を止めるのに、大量の魔力を使っていた。

ケインは、水竜と戦っていたから、全力とはほど遠い。

 

 

 

『ティアナ、エリオ、何とか火山に行って部隊長達の応援に回れない!?』

 

「応援に行きたいのは、山々なんですけど……」

 

「まだ、交代局員が来ないんです……」

 

 

 

予定の時間になっても、まだ交代の局員は来ていない。

そう思っていたら、空からヘリが降りてきた。

 

 

 

「済みません。救援物資をそろえるのに時間がかかってしまって!!」

 

「やっと来たわ。これで交代が出来る。エリオ、悪いけど後のことはお願いね!!」

 

「はい、まかせてください!!」

 

 

あたしはエリオ達に、ルカーノの救助活動を任せ、ケイン達の救援に向かった。

何とか持ちこたえてなさいよ、ケイン。

 

 

 

*    *    *

 

 

 

「このぉぉぉぉおお!!」

 

「なんの!!」

 

 

俺が全力で凍牙を振り下ろすが、ソードマスターは砕牙であっさりと受け止める。

しかも、こちらは余力は残されてないのに対し、あちらはまだまだ余裕が感じる。

 

 

 

「それが貴公の全力か……」

 

「あいにく、これでも全力でね……」

 

「その程度ではダークロード様はおろか、我にも勝つことはできんぞ!!」

 

 

ソードマスターの剣閃で俺は岩に叩きつけられてしまった。

 

 

「「ケイン (さん)!!」」

 

「貴公にはもう少し期待をしていたのだがな」

 

 

 

砕牙が俺の首元に突きつけられ……。

 

 

 

「くっ……」

 

「これで貴公も終わりだな……」

 

「ソードマスター、一つだけ聞かせろ。ルカーノ火山を噴火させたのはお前の仕業か!?」

 

「……冥土のみやげに聞かせてやろう。いかにもあれはダークロード様のご命令で、我がしたのだ。ダークロードの魔力で溶岩に意志を持たせてな」

 

「それで、凍結魔法が効かなかったのか!!」

 

 

これで納得がいった。

ダークロードなら、そのくらい簡単にできる。

 

死火山が目覚めたのも、合点がいく。

 

 

 

「これで分かったろ。では、さらばだ」

 

 

 

上段から振り下ろされた砕牙が、俺を斬ろうとしたその時……。

 

 

ドゴオオオオオオン

 

 

「むぅ……」

 

 

 

オレンジの魔力弾が砕牙の軌道をそらし、刃は俺の頬の横をかすめた。

 

 

 

「何者!?」

 

 

ソードマスターが弾が飛んできた方向を見ると……。

そこにはいたのは……。

 

 

 

「ケイン、部隊長、大丈夫!?」

 

「「ティアナ!!」」

 

 

 

ルカーノで救助活動をしていたティアナだった。

そして、ティアナは持っていた閃光弾を投げ……。

 

カッ

 

 

「くっ!!」

 

 

強烈な光と共にソードマスターは視界が効かなくなり、その隙に俺たちは近くの岩場に姿を隠した。

 

 

 

「ティアナ、どうしてここに!?」

 

「ルキノさんから、あんた達のピンチを聞いてね。丁度現地局員が来てくれたから、後のことはエリオとその連中に任せてきたのよ」

 

「そうやったんやな。助かったで……」

 

「助かったですぅ」

 

「安心するのはまだ早いです。二人とももう殆ど戦えない状態ですし、ケインもかなりのダメージがあります」

 

 

ティアナの言うとおり、ここで戦えるのは、俺とティアナだけだ。

しかも俺は、ソードマスターにかなり傷を負わされている。

 

 

 

「逃がしてくれるような相手ではないしな」

 

「無理ね……。それだったら、とっくに撤退を選んでるでしょう」

 

「せやな」

 

「ケイン、あたしに一つ考えがあるんだけど……」

 

「考え?」

 

「ええ……」

 

 

 

 

*    *    *

 

 

 

 

「ソードマスター!!」

 

「ほう……出てきたか。貴公と、そのオレンジ髪の少女だけか?」

 

「あんたのねらいは俺だけだろ。だったら関係のないはやて達はいいだろ」

 

「我は貴公の腕を確かめるだけに来ただけだ。他の人間は関係ない。少女よ。死にたくなかったら、他の女と同じく退くがいい」

 

「そうはいかないのよね。確実に全滅させられるって分かってるのに、足掻かないのは性に合わないの。だから……」

 

 

 

そう言ってティアナは―――――。

 

 

「最後まであがかせてもらうわ!!」

 

 

自分のデバイスの銃口をソードマスターに向け、戦う意志を見せた。

 

 

 

「……良い眼だ。ならばそなたも一人の戦士として見させてもらう!!」

 

 

ソードマスターは、再び砕牙の切っ先を俺たちに向け……。

 

 

「見せてみろ!! 貴公達の意地を!!」

 

「ティアナ……奴さん。マジになってるぞ」

 

「そんなことは分かってるわよ。ケイン、さっき説明した作戦は、あんたがソードマスターを足止めしてくれるかにかかってるんだからね」

 

 

 

ティアナの作戦はこうだ。

ここら一体は、さっきからはやてが凍結魔法を放ち続けてきたので、魔力素が充満している。

 

それを利用して、集束砲を撃とうと言うことだ。

いつものティアナでは、ソードマスターを倒す威力はないけど、これだけの魔力素を集めれば、充分な威力を持たせることが出来る。

 

 

俺たちはこれにかけることにした。

 

 

 

「やってみせるさ。俺がここで意地を見せないでどうするんだ。持ちこたえてみせるさ、お前のためにもな……」

 

「期待してるわよ。ケイン」

 

「おう……いくぜ!!」

 

 

 

俺は残りの魔力を使い、フレア・ストライクの体制に入った。

 

 

 

「ほほぅ……その技は先ほども使い、通じなかったのを忘れたのか」

 

 

 

今の俺の魔力では、フレア・ストライクもダイヤモンドブレイカーも、通用しないのは分かっている。

だけど……。

 

 

 

「この俺を……人間を舐めるなよ!!」

 

 

上空に飛び上がり、凍牙を振り下ろし……。

 

 

 

「ハアアアアア!!」

 

「ムウウウウン!!」

 

 

凍牙と砕牙が激突し、辺り一帯が魔力の嵐がおこり、周りの岩とかが崩れていった。

 

 

 

*    *    *

 

 

 

「ケイン!!」

 

「今だ!! ティアナ、思いっきりぶっ放せ!!」

 

「何だと!?」

 

 

 

ソードマスターがティアナの方を向くと、そこにはすでにここら一体の魔力をかき集めて、集束砲の発射態勢に入っていたティアナの姿があった。

 

 

銃口にはオレンジの魔力が集中し、魔力球も上半身を覆い尽くすほどの大きさになっていた。

 

 

 

「まさか!! 貴公はおとりか!!」

 

「今頃気づいたか!! 俺は囮だよ!!」

 

 

ソードマスターは俺と距離を取り、ティアナに向かおうとしたが、もう遅い。

 

 

 

「気づくのが遅かったわね。喰らいなさい!!」

 

「スターライトブレイカァァァーーーーーー!!」

 

 

 

放たれたオレンジの奔流は、ソードマスターに一直線に向かうが……。

 

 

「なんの!!」

 

 

 

ソードマスターは、砕牙でスターライトブレイカーを受け止める。

 

 

 

「う、嘘!! あれを受け止めるなんて!!」

 

「……大した物だ。だが、これまでだ!!」

 

「安心するのは早いぜ!!」

 

「何!?」

 

 

ソードマスターが空を見ると、そこには……。

 

 

 

「俺がいるのを忘れるんじゃねえ!!」

 

 

 

残された魔力を全て凍牙に集め、魔力球を作り出す。

 

 

「凍える魂持ちたる精霊達よ……。我に与えん氷結の怒り!!」

 

 

この辺り一帯は、はやての凍結魔法の魔力素で充満している。

通常なら、俺の凍結魔法じゃ通用しない。

 

だが、これを利用すれば、高い攻撃力を得られる。

 

 

そして、ライトニングブレスを詠唱する時間はない。

手持ちの魔法で、詠唱時間が短くて、攻撃力が高い魔法はこれしかない!!

 

 

 

「……これが最後の一発だ!!」

 

「ダイヤモンドブレイカァァァァーーーー!!」

 

「グオオオオオオ!!」

 

 

 

上空から放たれたダイヤモンドブレイカーと正面からのスターライトブレイカーは、魔力融合し、ソードマスターを中心に大爆発を起こした。

 

 

 

*    *    *

 

 

 

「……これで……どう、だ」

 

「はぁ……はぁ……もう、撃てないわよ」

 

 

 

俺もティアナも、もう一発たりとも撃つことは出来ない。

これで駄目なら……。

 

 

「……大した物だ。二人がかりとはいえ、我をこれだけ脅かしたのは、貴公達が初めてだ。少女よ。そなたの名前は?」

 

「ティアナ……ティアナ・ランスターよ」

 

「ティアナ……か。その名、覚えておこう。今回はそなたに免じてこの場を退こう。また会おう」

 

 

 

ソードマスターは、風を自分の身に纏わせ、竜巻と共にその姿を消した。

 

 

 

 

 

*    *    *

 

 

 

 

「どうにか……助かったわね」

 

「ああ、ありがとうなティアナ。お前がいなかったら、俺たちは死んでいた」

 

「別にあたしが駆けつけなくても、あんたならどうにかしてたんじゃない?」

 

「いや、俺もはやても、もう対抗手段はなかったんだ。逃げるにしても、逃がしてくれるような相手じゃないしな」

 

 

 

逃げることは何度も考えたけど、相手の実力からして逃げるのは無理だろう。

それに、逃がしてくれるとは思えなかったし……。

 

 

 

「だから、お前が来てくれて、本当に助かったよ。ありがとう……」

 

「ケイン……」

 

「大したもんだよ。あれだけの状況で冷静に行動できたんだからな」

 

「そんなこと無いわよ。あんたが絶対足止めしてくれるって思ったから、あたしは思いっきりやれたんだから……」

 

「それは俺も同じかな。ティアナがやってくれるって思ったから、あの作戦に乗ったんだから」

 

「ふふっ……」

 

「ははっ……」

 

「「あはははは!!」」

 

 

 

俺もティアナも気がついたら、大笑いをしていた。

 

 

 

「ケイン、あたしもっと強くなるわね。あんたがくれた腕輪でコアを鍛えて、もっと魔力を高めてみせるわ!!」

 

「ああ、俺ももっと強くなるさ。そんなお前と一緒に胸を張って戦えるように」

 

「じゃ、約束ね」

 

「だな」

 

 

俺はティアナと指切りをし、ここに約束を誓った。

 

ティアナだけじゃない。

俺はみんなのためにも、もっと強くなりたい。

 

せめて自分の大切な人を守れるくらいの力は、身につけなきゃな。

 

 

 

 

*    *    *

 

 

 

 

 

「おーい、ケイン、ティアナ」

 

「八神部隊長、リイン曹長。ご無事でしたか!?」

 

「私らは何とかな……。でも、ティアナ、ケイン。二人ともようやったで」

 

「本当です。なのはさんもフェイトさんもいないのに、三邪星を相手に良く戦ったです!!」

 

「はやてもリインも、ルカーノ火山を止めるのに、必死だったからな。本当にありがとう。この星のために……」

 

「気にしないでや。私は救える命があるのに、見捨てるのが嫌なだけや。本当はこの考えは上に立つ者としては甘いかもしれんけどな」

 

「いや、俺はそんなはやての考え、好きだぜ。優しいはやてらしいと思うぞ」

 

「……ありがとうな……ケイン」

 

 

 

はやては顔を赤くしてしまい、下に向いてしまった。

 

 

 

「「むぅ……」」

 

 

ギュゥゥゥゥゥッッ

 

 

いきなりティアナとリインの二人が、俺の両腕を思いっきり抓り……。

 

 

 

「あいたたたたた!! 何で二人とも俺を抓るんだよ!!」

 

「知らないわよ!!」

 

「知らないです!!」

 

 

 

二人とも、ぷんすか怒り出してしまい、さっさと歩き出してしまった。

 

 

 

「あははは!! ケイン、あんたはもう少し女心を勉強した方がええな」

 

「えっ、どういう意味だ?」

 

「それは自分で考えや。鈍感さん♪」

 

 

 

はやては笑いながら、ティアナ達の方に行ってしまった。

 

 

うーむ。

 

女心はやっぱ難しいな。

こんなので本当に俺、嫁さんを見つけられるのかな?

 

 

ある意味、魔王を退治するのより大変かも……。

 

 

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