魔法少女リリカルなのは ~ Silver of Paladin ~   作:アルフォンス

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Number;11 なのはの悩み

ソードマスターとの戦いから、二週間がたった。

ルカーノも無事救うことが出来、アクエリアスも手に入った。

 

その金属を元に、なのはとフェイトのデバイスの強化も終わり、俺がお願いしたコア&筋力養成デバイスも作ってもらえた。

 

それを付けて今俺は、フェイトと一緒に訓練をしている。

完治したフェイトは、半端無く強く、バルディッシュもそれについていけるようになっているので、今のフェイトはおそらく六課最強と言っても過言じゃない。

 

 

 

「はあああああああ!!」

 

「うおおおおおお!!」

 

 

ガキイイイイイ

 

 

俺の凍牙とフェイトのライオットがぶつかり、俺は何とか受け止められた。

しかし、すぐにもう一つの刃で吹っ飛ばされてしまい、そこで模擬戦は終了となった。

 

 

 

「くっ……やっぱ、金の閃光の名前は伊達じゃないな。つえぇよ……フェイト」

 

「そんなこと無いよ。ケインが私となのはを治してくれたからだよ」

 

「ははっ、そう言ってもらえるとやったかいがあったかな。でも、無茶するんじゃねえぞ」

 

「分かってる。そんなことしたら、何の意味もないからね」

 

「ふふっ……」

 

「ははっ……」

 

「「あはははは!!」」

 

 

 

 

*    *    *

 

 

 

 

「……フェイトちゃん……ケイン君……」

 

 

 

さっきからわたしは、二人の模擬戦の様子をずっと見ていた。

フェイトちゃんは、完治してから力も動きも以前と比べものにならなくなっていた。

 

ケイン君は完治すれば、わたしももっとパワーが上がるって言ってくれたけど……。

 

 

 

「……ここにいても、しょうがないよね」

 

 

 

わたしは今の二人を見ているのが辛く、ティアナ達がいる訓練室に行くことにした。

 

 

 

「はあああああ!!」

 

「うおおおおおお!!」

 

 

 

訓練室に行くと、ティアナ達が自主錬をしていた。

今やっているのは、ティアナが仲間とはぐれてしまい、一人で多人数と戦うという想定でやっている。

 

ティアナの仮想敵をスバルとエリオが担当しているみたいだ。

 

 

 

「ティア、行くよ」

 

「行きますよ、ティアさん」

 

「いつでも良いわ。かかってきなさい!!」

 

 

 

まずスバルが、右からティアナに攻撃を仕掛け、

 

 

「リボルバー……シュート!!」

 

 

スバルのリボルバーシュートが、ティアナに命中したかと思ったが……。

 

 

「き、消えた?」

 

「スバルさん、もしかして!?」

 

「うん、フェイクシルエットだね。でも、あの一瞬でいつの間に使ったんだろ?」

 

 

 

スバルとエリオが驚くのは無理もない。

本来、フェイクシルエットはもっと発動時間がかかって、あんな一瞬で出来る物ではない。

 

 

 

「いったいどこに行ったんだろ?」

 

「さっきから、周りを見てるんですけど……」

 

 

 

二人があたりを索敵するが、ティアナの姿を捕らえることが出来ない。

すると……。

 

 

ドウンンン

 

 

「うわああああ!!」

 

 

エリオの背後から、魔力弾が飛んできて、突然のことで反応が出来なかったエリオは、もろに喰らってしまった。

 

 

「エリオ!! 一体どこから!?」

 

 

魔力反応も、飛んできた方向も分からない。

スバルは次第に焦りが見えてきた。

 

そして、ティアナが姿を現すと……。

 

 

 

「そこだ!!」

 

 

スバルがディバインバスターを放つが……。

 

 

 

「う、嘘!? またフェイク!!」

 

 

ディバインバスターはティアナの身体を通り抜けてしまった。

これもティアナが作ったシルエットだ。

 

 

攻撃が当たらず、ティアナを見つけることも出来ず、スバルの焦りはピークに来ていた。

そして……。

 

 

スバルの背後に、オレンジ色の魔法陣が現れ、そこから設置型のバインドが出現し……。

 

 

 

「し、しまった!!」

 

 

スバルはバインドにとらわれてしまい、完全に身動きが取れなくなってしまった。

 

 

「はい、そこまでね」

 

 

スバルの目の前に、ティアナが現れクロスミラージュの銃口をスバルに突きつけ、この戦闘の終了を宣言した。

 

 

 

*    *    *

 

 

 

 

「すごいよ、ティア!! 今まであんな事出来なかったのに!!」

 

「まぁね。あたしもケインからもらったこの腕輪で、コアを鍛えて魔力量を上げていなかったら、あんな事は出来なかったわよ」

 

 

フェイクシルエットは魔力をかなり使うので、そんなに乱発は出来ない。

だけど、魔力量が増えたおかげで、こうしてシルエットの維持時間も増え、戦闘の幅も大きくなってきている。

 

 

 

「へぇ……」

 

「そうだったんですね……」

 

「むぅ……」

 

「ということなのよ。って、なんでキャロはむくれてるのよ?」

 

「……だって、ティアさんだけずるいです。ケインさんから贈り物をもらってるんですから……」

 

「まぁ、これはあたしに最も向いてるって思ったから、ケインもあたしにくれたんだと思うわ。だから、キャロそんなに心配しないで良いわよ」

 

「わ、わたしは……そんな……」

 

「「「あはははは」」」

 

「むぅ……みなさん酷いです。もう、いいです」

 

 

少しからかいすぎたかな。

キャロが頬をぷくっとふくれさせ、ぷいっと向いてしまった。

 

でも、キャロ、あいつが来てから、なんか変わったわよね。

以前はエリオとルーテシアが付き合ってから、空元気だったけど、今は違う。

 

心から笑顔を見せてくれるようになった。

本当、あいつには感謝しなくちゃね。

 

 

 

*    *    *

 

 

 

「……ティアナ達のあんな顔、見たこと無かったな」

 

 

 

今までもティアナ達と一緒にいたけど、あんな風に笑うところは見たことがなかった。

ケイン君が来てから、フォワードのみんなも、フェイトちゃん達も、本当に笑うようになった。

 

 

特にフェイトちゃん――――。

 

 

ゆりかごの事件であんな悲しいことがあったのに――――。

 

 

あの事件は六課にとっても、わたしたちにとっても忘れられないこと。

 

 

でも、それもケイン君が来てから元の雰囲気を取り戻そうとしている。

本当に、ケイン君は色んな所でみんなを助けている。

 

 

 

でも……。

 

 

 

「今のわたしは……みんなに何をしてあげられてるのかな」

 

 

何がエースオブエースよ。肝心なときにみんなと一緒に戦えないなんて……。

 

 

 

 

*    *    *

 

 

 

 

「あーあ、つかれたーーー!!」

 

 

 

今の俺の魔力は大体AAAくらいだ。

それをランクアップさせるとなると、デバイスもかなり大幅に改良を加える必要があった。

 

そのため、アクエリアスを使って、俺専用のコア養成ギプスを作ってもらった。

その効果は抜群で、たった二週間だけど、自分の力が上がっているのが分かるくらいだ。

 

 

 

「これだったら、なのはが復帰しても、足手まといはならないな」

 

「……あれ、あそこにいるのは?」

 

 

 

訓練を終了して、訓練室から出ようとしたとき、一人の女性が部屋の端っこで体育座りをして顔を伏せて座っていた。

 

俺は、その女性のそばに行き……。

 

 

 

「なのは……?」

 

「ケイン……くん?」

 

 

 

座っていたのは、涙をながしているなのはだった。

 

 

 

*    *    *

 

 

 

「ほら、これ……」

 

「……ありがとう」

 

 

わたしとケイン君は、訓練室のベンチに移動し、そこで一緒に座っている。

ケイン君が自販機で買ってくれたコーヒーを受け取ると、それを口に含む。

 

 

 

「……暖かい」

 

「いったい、どうしたんだよ。こんな所で?」

 

「別に……何でもないよ」

 

「何でもないわけ無いだろ!! 涙を流してるなんて」

 

「……」

 

 

すると、ケイン君はふぅ、とため息をついて……。

 

 

「お前、もしかして、今自分が何も出来てないなんて、思ってないだろうな」

 

「!!」

 

 

 

―――――見透かされた。

 

 

一番、知って欲しくなかった人に……。

 

 

 

「なのは、何でそんな風に思ってるんだ」

 

「……だって……だって!! 今のわたしはフェイトちゃん達と一緒に戦うことも出来ない。ティアナ達と訓練もしてあげられない!! そんなわたしはいったい何の役に立ってるの!!」

 

「魔力が使えないと言ったって、一時的だろうが、あと二週間もすれば元通りになるっての」

 

「だけど、フェイトちゃんはパワーアップをして、ティアナだって新しい力を身につけて、三邪星にも対抗できる力を付けたけど、もし……もし、治っても元の力並だったら……みんなと一緒に戦えない!!」

 

 

ティアナは、魔力こそ少ないけど、わたし以上の状況判断能力がある。

だから、そのティアナが魔力を上げたら、わたしの存在意義は……。

 

 

「……あほか」

 

 

ぽかっ

 

 

「いたぁぁぁい……何するの!!」

 

 

ケイン君は、いきなりわたしの頭に拳骨を振り下ろした。

 

 

 

「そう言う考えがあほだって言うんだよ。戦いは、お前一人でやるんじゃないんだ」

 

「だけど……」

 

「少しは仲間を信じろ。フェイトだって、ティアナだって、お前が復帰するって信じてるからこそ、ああやって思いっきり鍛錬が出来るんだろうが、そのお前がくよくよしてたら、しょうがねえだろが!!」

 

「ケイン君……」

 

「それに、お前がいるからこそ、俺だって、やる気を奮い立たせられるんだぞ」

 

「えっ……?」

 

 

 

それはどういう事なの。

わたしがいるからって……?

 

 

 

「なのは、俺は最初この機動六課を見たとき、本当に良い部隊と思ったよ。全スタッフが一丸となって働いている。そしてフォワード達もすごく生き生きしていた。だけど、なんでそう思ったかというとな……」

 

「お前が……お前がいるからこそ、みんな戦えるんだ。一緒にいて、そう感じた」

 

「なのは、お前は確かに今は戦うことは出来ない。だけど、お前がこの六課にいるからこそ、みんなが信じてやれるんだ。お前が復活することを信じてな」

 

「だから、お前もフェイト達を、みんなを信じてやれ。それが今お前が出来る大切なこと何じゃないか」

 

「あっ……」

 

 

 

そうだ。わたしは何を焦っていたんだろ。

あの時と違って、あと二週間で治るって分かっているのに……。

 

 

「そうだよね……。ゆりかごで……『フィル』を失ったときとは……ちがうんだから……」

 

「っ!!」

 

 

 

 

 

*    *    *

 

 

 

「……今、何て、言っ…た……?」

 

 

 

本当に聞こえるかどうかの声だったが……。

 

 

フィル……。

まさか、あのフィルなのか……。

 

 

「ど、どうしたの!? そんなに血相を変えて」

 

「もう一度聞くぞ。今、お前が言ったフィルってのは……フィル・グリード、なの……か?」

 

「っ!! ケイン君、フィルのこと知ってるの!?」

 

「……知ってるも何も、あいつは……」

 

 

 

――――俺の、たった一人の親友だったんだ。

 

 

 

「そうだったんだね……。ケイン君がフィルの……」

 

 

 

クラナガンで管理局の部隊に勤めてるとは言ってたけど、まさかあの六課だったとはな。

しかも……。

 

 

 

『ケイン、今度会うときは、俺の大切な人を紹介できる……かもな』

 

 

 

あのばかやろうに、やっとパートナーといえる女性が出来たと喜んでいたのに。

 

確か同じ部隊の女性と言ってたよな。

六課でフィルのことが分かってやれそうな奴――――。

 

 

まてよ――――。

 

 

フェイトのあの悲しい眼――――。

 

 

そして、彼氏の話に異常なまでの反応。

 

 

 

「……フェイト……だったんだな。フィルの……大切なひとってのは」

 

「……うん、フィルを失ったときは、本当に生きる希望を失ってたんだ……」

 

「そっか……。本当にあいつは……最後まで自分を大切にしなかったんだな」

 

 

 

本当に馬鹿野郎だ。

結局自分の大切な人を泣かせてしまったんだからな――――。

 

 

 

 

「でも、今のフェイトちゃんは少しずつだけど、このシーリウスに来てから笑うようになってきた。それはきっとケイン君のおかげ……」

 

「俺がしたことはたいしたことじゃない。なのは達みんながいたからさ」

 

 

 

俺がしたことなんて、ほんの一握りだ。

もし、立ち直れてきたというなら、それはなのは達みんなが支えてきたからだ。

 

 

 

「ふふっ、タイプは違うけど、こうして話してると、やっぱりケイン君は、フィルの親友だなって感じるな」

 

「そっか?」

 

 

 

俺はあいつほど自己犠牲精神は持っていないぞ。

それに、あいつみたいに悲しみを背負ってるわけじゃない。

 

 

 

「でも、本当にありがとう、ケイン君」

 

「うん、さっきまでとは違っていい顔をするようになったな。これなら安心だ」

 

 

 

 

*    *    *

 

 

 

 

 

「おはよう、フェイトちゃん、はやてちゃん!!」

 

「おはよう、なのは」

 

「おはよう、なのはちゃん」

 

 

 

 

なのはは、私とはやてに挨拶した後、訓練室の方に向かった。

昨日まで、あんなに辛い表情をしていたのに……。

 

 

 

「おはよう、はやて、フェイト」

 

「あっ、おはよう、ケイン」

 

「おはよう。ねぇ、なのはがすごく元気になったみたいだけど、何か知ってる?」

 

 

正直、昨日までのなのはは見ているのがつらかった。

でも、いまのなのはは、何かが吹っ切れたって感じだった。

 

 

「せやな。あんなに落ち込んでいたのに、今日はなにか吹っ切れた顔をしていたみたいやし」

 

「……そっか」

 

「なにかあったん?」

 

 

 

ケインは、昨日なのはと訓練室であったことを話してくれた。

そして、ケインとフィルのことも……。

 

 

 

「……そっか。それにしても、ケイン君がフィルの……」

 

「……ああ、あいつは俺にとっても大切なダチだった」

 

「……」

 

 

 

――――フィル。

まさか、ここであなたの知り合いに会うなんてね。

 

 

そっか……。

ケインが、どことなくフィルに似ている所を感じたのはそう言うことだったんだね。

 

 

 

「フェイト、はやて。俺は……あいつみたいにしてやれないけど、でも、あいつが大切にしていたお前らは絶対に俺が護るから……」

 

「「ケイン(君)……」」

 

 

――――そんなことない。

ケインにはケインの、フィルにはフィルの魅力があるんだから。

 

決してケインはフィルの代わりなんかじゃないんだからね。

 

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