魔法少女リリカルなのは ~ Silver of Paladin ~   作:アルフォンス

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Number;04 マジックマスター

「これは……酷いな」

 

「うん……」

 

 

シンマに到着した俺たちだったが、到着したときはすでにファイヤーゴーレムの大軍は撤退していた。

そこに残されていたのは、破壊された町だった。

 

幸い、一般市民は避難しているようで、被害にあったのは軍事関係の場所だけだった。

 

 

 

「こっちは、見る影もないね。フェイトちゃん達の方も……」

 

「多分な……」

 

 

 

今、俺はなのはと一緒に行動している。

フェイトとフォワードのみんなは反対方向で救助活動していた。

 

 

 

「だけど、全滅はしていないはずだ。今は信じて俺たちも救助活動をしよう」

 

 

 

とはいうものの、この様子では何とも言えないよな。

引き続き、様子を探っていたその時……。

 

 

黒い影が俺たちの上を横切った。

 

 

「何だ!?」

 

「何!?」

 

 

次の瞬間、炎の塊が俺たちの前に降り注いだ。

炎は俺たちを囲むように渦巻き燃え続けていた。

 

 

「ふふふふふ……」

 

 

炎の中から声がした。

人を小馬鹿にするような笑い声だ。

 

 

「くっ、なんだ!?」

 

「レイジングハート!!」

 

 

俺は凍牙を、なのははレイジングハートを展開し、構えを取った。

 

 

 

「ふふふふ……。炎の魔法くらいで驚かないでくれよ」

 

 

 

炎の中にギンと目玉が一つ現れた。

次の瞬間、炎は四散し、中から不気味な魔物が現れた。

 

鎧がマントを纏っているような姿。

しかし、マントの中は漆黒の闇で、身体はなかった。

 

同じく漆黒の鎧の中に、一つの目が輝いていた。

ギロリと瞳が動き、俺たちを見つめた。

 

 

 

「ほほぅ……シーリウスの戦士か。少しは強さを感じるな」

 

「貴様は一体何者だ!!」

 

「私か? 私は魔法を司る者にして、魔王三邪星の一人『マジックマスター』さ」

 

「魔王だって!! まさか、復活していたのか!!」

 

「どういう事なの、ケイン君!?」

 

「ああ、大昔この世界は魔王によって支配されていたんだ。それを一人の勇者が封印に成功して、同時に三邪星も封印されたはずなのに……」

 

「そのとおりだよ、小僧。だけど、その封印は解かれ、我らも同時に復活をしたのだ」

 

「くっ!!」

 

 

冗談じゃないぞ。

伝説の魔王の復活だなんて……。

 

それでここ最近、魔物が暴れ回っていたのか!!

 

 

「と言うわけだ。せっかく復活したんだ。少し遊んでやるとするか」

 

 

そう言って、マジックマスターは魔法陣を展開し、砲撃体勢に入った。

 

 

「なのは、気をつけろ!! あれはやばいぞ!!」

 

「うん!!」

 

 

 

マジックマスターの瞳がカッと光る同時に、空から氷の塊が俺たちに降り注いできた。

俺となのはは空に退避し、何とかかわすことだ出来た。

 

 

 

「ほぅ……少しは骨があるようだな」

 

「今度はこっちの番だよ!!」

 

 

 

なのはは、自分の周りにいくつもスフィアを作り出した。

その数はおよそ40

 

 

 

「アクセルシューター!!」

 

 

 

全てのスフィアがマジックマスターに命中し、爆炎をあげていたが……。

 

 

 

「ふふふ……お嬢ちゃん、今何をしたのかな……」

 

「う、うそ……。無傷だなんて……」

 

「さすがに魔王三邪星の一人だな。普通の魔法じゃ全く効かないか……」

 

「けっこう本気でやったんだけどな……あれ」

 

「なのは、こうなったら本気でやるしかないぞ。三邪星はそんなに甘くない」

 

「そうだね」

 

 

 

俺となのはは、剣とデバイスを構え直し、改めて戦闘態勢に入った。

 

 

 

「……ふん、まだお前らは私と戦うには早い。今日の所はこいつがお相手をしよう」

 

 

 

そう言ってマジックマスターは、再び魔法陣を展開した。

あれは、召喚の魔法陣。

 

 

 

「彼の地より、我の呼びかけに応えよ!! 出でよ、コールドゴーレム!!」

 

 

魔法陣から現れたのは、30mくらいの大きなゴーレムだった。

コールドゴーレムは魔導師ランクで言えば、AAAランク以上。

こいつはファイヤーゴーレムの大軍を相手にするよりタチが悪い。

 

 

 

「こいつを相手に生き残れたら、また相手になってやろう。ふははははは!!」

 

「ま、待て!!」

 

 

マジックマスターは、マントを翻すと空にとけ込むようにその姿を消してしまった。

 

 

 

 

*    *    *

 

 

 

「逃げられた!!」

 

「なのは、今はマジックマスターのことより、こいつをどうにかしないと!!」

 

「そうだね、ケイン君。どうやって倒す?」

 

「ここは俺に任せてもらおうか。こいつなら何とか倒せる」

 

「無茶だよ!! いくら何でも一人じゃ無理だよ!!」

 

「確かにパワーはあるさ。でも、動きは……」

 

 

 

次の瞬間、ケイン君はゴーレムの懐に移動していた。

そして、剣を一閃する。

 

 

『グガアアアアアア!!』

 

「この通り、素早くない。だから……スピードで翻弄し、一撃で決めれば、倒せる!!」

 

 

 

そしてケイン君の凍牙に、蒼い炎が纏い、模擬戦の時とは違い、炎の剣となった。

 

 

 

「フレア・ストライク!!」

 

『グガアアアアア!!』

 

 

 

ケイン君はゴーレムの頭上から、剣を振り下ろし、ゴーレムの身体を真っ二つにした。

ゴーレムは断面から炎で焼かれ、断末魔と共に、その姿を完全に焼き尽くした。

 

 

 

*    *    *

 

 

 

「ふぅ……結構疲れたな。それにしても、魔王が復活していたなんてな」

 

「……うん、ケイン君。魔王のこと、もっと詳しく聞かせてくれるかな」

 

「そうだな。それはアースラに戻ってから、みんなの前で話すとするよ。今後のためにもな」

 

 

魔王が復活したとなると、魔物の力も相当上がっているに違いない。

今後、厳しくなるだろうな。

 

 

その後、フェイト達と合流した俺たちは、一旦アースラに戻り今度の対策を練ることになった。

 

 

 

*    *    *

 

 

 

アースラに戻った俺たちは、作戦司令室に集合した。

フォワード達には、はやてが、まだ知らせる段階ではないと判断し、ここには俺となのは、フェイト、はやての4人が集まった。

 

 

 

「それじゃ、ケイン君。この世界の魔王のことを聞かせてもらえるかな」

 

「ああ、俺も伝説でしか知らないんだけど、かつてこの世界は魔王『ダークロード』によって支配されていた。魔王は、自分の部下三邪星を率いて、人々を苦しめていた。それを一人の勇者が苦労の末、ある場所に封印したと伝えられているんだ」

 

「そっか……。じゃ、魔王の伝説はこの星では有名な話なんやな」

 

「ああ、子供でも知っていることだしな。だけど、まさか、復活しているとは思わなかったけどな」

 

 

 

魔王の話は、もう何十年以上も昔のことだ。

古びた話としか捕らえてなかったんだけどな。

 

 

 

「わたしとケイン君が戦った相手は、マジックマスターと名乗っていたよ。わたしのアクセルシューターを喰らっても無傷だったんだ……」

 

「嘘でしょう!? なのはのアクセルシューターを喰らって無傷だったなんて!!」

 

「嘘じゃないんだ。あのまま戦っていたら、もしかしたらやられていたかもな……」

 

「「「……」」」

 

「……ごめんね、ケイン君。足を引っ張ってしまって」

 

「何言ってるんだよ。なのはがいなかったら、もっとやばかったんだぞ」

 

 

 

あの時、一人だったら間違いなくやられていただろう。

二人だったから、生き残る事が出来たんだ。

 

 

 

「それにお前、見たところどっか負傷してるだろ?」

 

「えっ……? な、なんでそう思うのかな」

 

「一応、魔力の流れを見ることが出来るんだ。見たところリンカーコアが結構傷ついている感じだからな」

 

「そっか……。分かっちゃうんだ……」

 

「もしかして、半年前のJS事件での後遺症みたいな物か?」

 

「正解……あの時に結構無茶をしちゃってね。まだ完全には治っていないんだ」

 

「なのは、今はあんまり無茶をするな。時間はかかっても完全に治すことを考えろ」

 

「でも、わたしが戦わないと……」

 

「その考え方は危険だぞ。不完全な状態で戦えるほど、三邪星は甘くない」

 

 

 

三邪星の強さは半端じゃない。

中途半端な状態だったら、返り討ちにあうのが見えている。

 

 

 

「そうだよ、なのは、ケインの言うとおりだよ。このままじゃ、なのはまた潰れちゃうよ」

 

「そやで、なのはちゃん。ケインの言う通りや。なのはちゃんはしっかり後遺症を治すことや!!」

 

「フェイトちゃん……はやてちゃん……」

 

「戦えないお前の代わりに、俺が何とか頑張るよ。大分役不足だけどな」

 

 

 

なのはみたいに、みんなのムードメーカーにはなれないけど、それでも剣を振るうことは出来る。

 

 

 

「そんなこと……そんなこと無い……。ありがとう、ケイン君……ほんとうにごめんね……」

 

「余計な心配しないでしっかり治せ。それと、これを飲んでおきな」

 

「これは?」

 

 

ポケットから取り出したのは、一つの小さな小瓶。

 

 

 

「俺の家に代々伝わるリンカーコアの治療薬さ。致命的な物は駄目だけど、軽度のダメージなら何とか治すことが出来るんだ。これを飲んでおきな」

 

「ケイン君……本当にありがとう……」

 

「別に礼は良いよ。それとなのはだけでなく、フェイトも飲んでおけよ。お前もなのはほどじゃないけど、コアにダメージがあるみたいだから……」

 

「き、気づいていたの!?」

 

「わかるっての。理由はしらねえが、お前も結構無茶したみたいだな」

 

「……うん。私も、スカリエッティを逮捕するときにね」

 

 

 

やっぱり、スカリエッティを逮捕するってのは、相当大変だったんだな。

なのは達でも、相当の犠牲を払っていたんだな。

 

 

 

 

「そのくらいなら、薬を飲んで一週間くらいで完全に治るよ。なのはの場合は一月くらいかかるけどな。それも一月の間、魔法使用は禁止にしてだ」

 

「そ、そんなにかかるの……」

 

「当たり前だ!! お前のダメージは薬が効くかどうかギリギリのラインだぞ!! 今はおとなしくしてろ!!」

 

「はぁ~い……」

 

「はやて、絶対になのはに魔法を使わせるなよ。今、無茶したら取り返しがつかないから……」

 

「わかっとる。なのはちゃん。一月の間レイジングハートは没収させてもらうで。ええな……」

 

 

 

はやては、なのはからレイジングハートを取り上げ、魔法使用を禁止した。

こうでもしないと使ってしまいそうだからな……。

 

その後なのはは、部屋に戻っていった。

今は身体を完全に治してくれよ、なのは。

 

 

 

「フェイトは一週間魔法を使わなかったら、大丈夫だからな。それくらいは守ってくれよ」

 

「大丈夫。ケインがここまでしてくれたんだから、踏みにじるようなことはしないよ」

 

「そっか」

 

「ケイン、本当にありがとうな。何から何まで」

 

「大したことはしてないよ。女の子が笑顔になってくれるのが嬉しいだけだよ」

 

 

 

やっぱ女の子は笑顔でいてくれるのが一番だ。

悲しい顔なんてみたくないしな。

 

 

でも、フェイトのあの瞳……。

 

 

うまく隠してるけど、悲しみに満ちたあの瞳……。

 

 

あんな悲しい瞳をしてるやつなんて、あいつ以来だ。

 

 

 

 

 

 

*    *    *

 

 

 

 

「えっと、今後しばらくの間はなのはの代わりをしなきゃいけないから、どこでも良いから部屋をもらえないかな。なんだったら格納庫でも良いから」

 

「そんな場所にするわけないやろ。アースラの中は結構空き部屋があるから、後でちゃんと案内するよ。今は自由にしていてや」

 

「分かった。じゃ、俺は訓練室で汗を流しているよ」

 

 

 

そう言ってケインは司令室から出て行った。

 

 

 

「はやて……」

 

「なんや?」

 

「少しだけ、ケインのこと分かった気がする。ケインは本当に真っ直ぐなんだね。行動も考え方も……」

 

「なんか、なのはちゃんに少し似ているかもな……」

 

「困っている人がいたら、どんなことをしても助ける……そんな感じ」

 

「ふふっ……」

 

「ははっ……」

 

 

明るくて、ちょっとエッチなケイン。

だけど、でも、その考え方はすごく真っ直ぐなんだ。

 

性格は違うけど、実直なところはあの子に似てるな。

 

 

 

「なんか、楽しくなりそうやな。よっしゃ、私もこれから忙しくなりそうやな!!」

 

「頑張ろうね、はやて。なのはの分も」

 

 

なのは、今は身体をしっかり回復させてね。

その間は、私達とケインがしっかりやるからね。

 

 

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