魔法少女リリカルなのは ~ Silver of Paladin ~ 作:アルフォンス
マジックマスターと遭遇してから、一週間が過ぎた。
「あっ、来おったな。ケイン、待っとったで」
「遅れて済まないな。はやて」
「かまへんで。フォワードのみんなと訓練しとったんやろ」
「まあな。なのはが動けないからな。少しでも役に立たないとな。それで用件はなんだ?」
「せやったな。これを見てくれるか」
はやてがスクリーンに映し出したのは、この星の名物、アイリーの大樹だった。
「アイリーの大樹じゃないか。これがどうかしたのか?」
「実はな。かなりのスピードで、枯れていっているんや」
「枯れているだって!? あの樹は妖精が守っている樹なんだぞ。そう簡単には枯れないのに……って、まさか!!」
「……せや、間違いなく魔王が絡んでいると思う。そうでなかったら、あんなに急速に枯れたりはしないはずや」
「魔王の影響はこういうところまで来ているのか……」
「そこでや。ケインにはアイリーに行ってもらい、原因を突き止めて欲しいんや。本当はシグナムとヴィータ、それにザフィーラがいてくれたらよかったんやけど。三人とも別任務で今はいないし……」
「言われるまでもないぜ。早速出発してアイリーに行ってくる!!」
アイリーの樹が枯れてしまったら、妖精達が住むところはなくなってしまい、世界のバランスも狂ってしまう。
そんなことはさせねえ!!
「なのはちゃんとフェイトちゃんが出動できないから、今回はキャロに一緒に行ってもらうわ。ティアナ達はそちらで何かあったときに対応してもらうから」
「了解!! じゃ、行ってくるわ!!」
「あっ、ケイン……」
「んっ?」
「……ちゃんと生きて帰ってきてな」
「ああ、必ずキャロと一緒に帰ってくるよ」
俺は、部隊長室を出て格納庫に向かった。
そこには、すでにキャロが待っていて、大きな竜がそこにいた。
「うわぁ……大きいな。話には聞いていたけど、これがフリードの本当の姿なんだな」
「はい、今回はヘリが使えないと言うことですので、フリードに乗ってアイリーまで行くことになります」
「そっか、フリード。アイリーまで大変だと思うがよろしくな!!」
『キュクウウ』
「じゃ、行きましょうか。ケインさん」
俺とキャロはフリードの背に乗り、フリードはその巨体を羽ばたかせ、格納庫から出て大きく羽ばたいた。
* * *
「それにしても、済まないなキャロ。俺と二人きりの任務になってしまって」
「大丈夫ですよ。わたしも六課のフォワードの一人ですから」
「そっか。本当はエリオと一緒の方が良かったろうに。エリオと付き合ってるんだろ。キャロ」
「えっ……? つ、つきあってませんよ!! エリオ君はルーちゃんと付き合っているんですから!!」
「ルーちゃん?」
「は、はい。本名はルーテシア・アルピーノって言うんですけど。ある事情で今は別世界にいるんです。エリオ君はそのルーちゃんと付き合ってるんですよ」
エリオ君とルーちゃんが付き合ったときはショックだったけど、今は祝福できる。
だって、あの二人本当にお似合いだから……。
「そうだったのか。エリオもうまくやったんだな。でも、ルーテシアがどんな子か知らないから言えないけど、エリオももったいないことしたよな」
「えっ?」
「だって、身近にこんな可愛い女の子がいるのにな♪」
「け、ケインさん!! からかわないでください!! わたしなんて可愛くありませんよ……」
「からかっていないさ。キャロが16歳になっていたら、遠慮無く声かけてたと思うよ」
「ケインさん……」
「だから、そんなに自分を卑下する物言いはするなよ。なっ」
ケインさんはわたしの頭に、ポンと手を置いて、その後少し乱暴気味だけど撫でてくれた。
「ケインさん、ありがとう……ございます。少しですけど、自信が持てました」
「もっと自信を持って良いぞ。実際キャロは可愛いんだから」
「ふふっ、そんなこと言って良いんですか。本気にしますよ」
「本気でも良いぜ。数年経ったら、もっと美人になりそうだし、つば付けておくのも悪くないな」
「も、もう……」
ケインさんって、軽い感じなんだけど、軽薄って感じじゃない。
おそらく、こんなこと言ってるのは、エリオ君のことを話したからだと思う。
でも、ちょっと嬉しいな。
可愛い女の子って言っていってくれたの、男性ではケインさんが初めてだから……。
「さてと、もうすぐアイリーに着くみたいだな。頭を切り換えますか」
そう言ってケインさんは、さっきまでとは違ってすごく真剣な表情をしていた。
「はい!!」
* * *
俺とキャロがアイリーに到着すると、確かに周りの枝を枯れていて、幹も大分傷んでいて完全に枯れるのは時間の問題だった。
アイリーはこの樹そのものが街になっている。
だからこの樹が枯れてしまったら、街が全滅になってしまう。
「こりゃ、急いで原因を突き止めなきゃいけないな」
「ケインさん、樹の頂上から魔物の反応を感じます。これがおそらく……」
「間違いないな……。キャロ、急ごう!!」
「はい!!」
俺とキャロは飛行魔法で樹の頂上に向かった。
そして……。
『グオオオオオン』
そこには、大きな蝶の化け物と人型の魔物がいた。
人型の方は、肩から地面にまで届く長い腕をしており、顔はまるでミイラみたいに乾ききりで生きているのが不思議なくらいだった。
「貴様は何者だ!! お前も三邪星の一人なのか!?」
「いかにも、我が名は『アンデットマスター』。魔王三邪星の一人にして死を司る者なり」
「ケインさん……」
「ああ……こいつもかなり厄介な強さだぞ」
マジックマスターとは違う力を感じる。
アンデットマスターと言うことは、ゾンビ系のモンスターの親玉ってことかよ。
「先手必勝だ!! くらえ!!」
魔力を凍気に換え、凍牙を思いっきり振り下ろし――――――。
「ダイヤモンド・ストラッシュッッ!!」
氷の刃はアンデットマスターに一直線に向かっていったが……。
「ふん」
ストラッシュの刃は、アンデットマスターの右手につかまれ――――。
その刃は次第にひび割れ、完全に砕かれてしまった。
「くそっ!! やっぱこれじゃ効かないか!!」
「我を舐めるな。この程度の攻撃など蚊にさされたほどでもないわ」
やばいな。完全に向こうの方が実力は上だ。
このままではやられる!!
「このまま殺すのは簡単だ。だが、今はお前らと戦うときではない……。ここは任せたぞ。アンデットバタフライ」
「ま、待て!!」
アンデットマスターは地面と同化するように、この場から姿を消してしまった。
そして今度はアンデットバタフライが目を見開いて、こちらに向かってきた。
「ケインさん、来ます!!」
「分かっている!! キャロ、フリード。連係攻撃だ」
「はい!! フリード。ブラストレイ!!」
ゴオオオオオオ
フリードの火炎は、アンデットバタフライの身体を包み身体は炎で包まれた。
「やりました!!」
「……いや、まだだ!!」
「えっ……?」
次の瞬間、アンデットバタフライは羽で炎を消し、ダメージも完全に回復してしまった。
「どうして……?」
「やっぱりか……。アンデットの名前がついていたから、再生はすると思っていたんだ」
だけど、フリードの火炎でも駄目となると、どうしたらいいんだ。