魔法少女リリカルなのは ~ Silver of Paladin ~   作:アルフォンス

9 / 22
Number;08 水竜との戦い

「うわぁ……ここって本当に綺麗だね」

 

「そうですね。空気も綺麗ですし……」

 

「まあな。レクター湖は観光地としても有名だからな。一般人は奥までいけないけどな」

 

 

 

レクター湖は水竜が住んでいることでも有名だけど、ここは観光地としても有名なところだ。

現にレクター湖の水を使った飲み物はかなり美味しい。

 

 

 

「ねぇ、ケイン。そのレアメタルって、どんな物なのかな?」

 

「俺も話でしか知らないんだけど、この金属はかなり堅いらしく魔力を通すのに最適な金属らしい。だから、バルディッシュとレイジングハートの強化にはピッタリということだ」

 

「へぇ……」

 

「それとな。戦う前に言っておくけど、水竜との戦いは短期決戦に持ち込むぞ」

 

「どういうことですか? ケインさん」

 

 

俺は考えながらキャロ達に説明することにした。

 

 

 

「いいか。今までもいくつものパーティが水竜に戦いを挑んだけれど、誰も致命傷を負わせることどころか、互角に戦うところにまでいっていない」

 

「つまりは、水竜にウォーミングアップをさせただけにとどまっているって事?」

 

「そういうことだ。だから長期戦になればなるほど、水竜が強くなってしまい、こちらが不利になってしまうってわけだ」

 

「と言うことは、やり直しは出来ないって事ですね。ケインさん」

 

「ああ」

 

 

 

俺は頷いて肯定の意志を示した。

 

 

 

「それじゃケイン。あたし達でドーンと倒しちゃおうよ!!」

 

「ったく、このお気楽娘が……。そう簡単にいけば苦労はしないっての。だけど、ここでウジウジしてもしょうがないか。スバル、キャロ、絶対に勝ってレアメタルを手に入れるぞ!!」

 

「「おおっ (はい)!!」」

 

 

 

*    *    *

 

 

 

「ここ、か」

 

 

レクター湖についた俺たちは、今までと違う空気を感じていた。

清浄さが違うのだ。

 

かすかに霧がかかっているが、その有様は荘厳で、どこか絵物語のようだった。

 

そんなことを考えてると、湖から大きな水音が響き渡っていた。

 

 

ザアン……ザアン……

 

 

 

水音は幾重にも響き、新しい音になればなるほど、段々大きくなっている。

 

 

 

「来たぞ!!」

 

 

 

スバル達はそれぞれデバイスをセットアップし、俺も、凍牙を抜き上段に構え、いつでも戦闘に入れるように体制を整えていた。

 

そして音は、俺たちの数メートル前の所で炸裂した。

水しぶきが俺たちを打ちのめしたが、そんなことを気にしている余裕はなかった。

 

 

視界が元に戻ると、そこには俺たちを見下ろす者がいた。

 

 

巨大な、人ならぬ存在。

 

 

鱗を銀色に輝かせ、頭を上げている……竜。

 

 

その瞳がレクター湖の底を思い起こさせる深い青に輝いた。

 

 

 

『人間よ、なぜに……我が湖を、侵すか』

 

 

 

低いが、水竜の声が俺たちの頭上から降り注いだ。

 

 

 

「大切な友人のために、この湖にあるレアメタル。アクエリアスがどうしても必要なんです」

 

『なにゆえアクエリアスを欲する。人間よ』

 

「俺の友人の魔力はかなり高く、普通の金属では耐えきれないんです」

 

『そんなの我には関係ない。早々に立ち去れ』

 

「そうはいかないんです!! このままじゃ彼女たちは力を使うことが出来なくなり、また無茶をすることになってしまう。それだけはさせたくないんです!!」

 

 

 

俺は水竜に懇願するが、しかし、その答えは望んでいた物ではなかった。

 

 

 

『そんなの知ったことではない。人間が無茶して死のうが、そんなのは関係ない』

 

「……なんだと。もういっぺん言ってみろ」

 

『何度でも言ってやる。人間ごとき、いくら死のうと知ったことではないと言ったのだ。たがが人間のために、大切な資源を渡すことなどできん……うおっ!!』

 

 

 

ドゴオオオオン

 

 

 

――――今の言葉だけ許せねえ。

 

 

俺は水竜の頭に魔力弾をぶちかましてやった。

 

 

 

「……ふざけるなよ」

 

『なんだと』

 

「何が世界の守護者の僕だ!! 魔王が復活しても、何もしないでこんな所でのうのうとしやがって!! いいか、よく聞きやがれ!! なのは達はな、この世界の住民でもないのに、この世界のために命を賭けて戦ってるんだぞ!!」

 

「ケイン……」

 

「ケインさん……」

 

「それを死のうと知った事じゃないだと……」

 

 

 

そして俺は凍牙に炎を纏わせ……。

 

 

 

「だったら、てめえはその人間以下の存在だ!! そのふざけた頭を冷やしてやるから覚悟しやがれ!!」

 

 

 

その切っ先を水竜に向け、戦闘の意志を示した。

 

 

 

*    *    *

 

 

 

『ふん、やれる物ならやってみるがいい。人間ごときが、我に逆らうなど身の程を知れ!!』

 

「ケイン、どうするの!! 完全に怒らせちゃったよ!!」

 

「スバル、どのみち戦闘は避けられないんだ。それに……」

 

「悪いが、俺はあのクソ竜を叩きのめさなきゃ気が済まねぇ!! あの台詞だけは絶対許せねえ!!」

 

「それは、そうだけど……」

 

 

 

確かにあの台詞は頭に来たけど、ここでケインが頭に来ちゃ駄目でしょう!!

ケインはあたし達のリーダーなんだから。

 

 

 

「スバルさん、こうなったらやるしかありません。わたしもあの言葉は許せません!!」

 

「キャロまで……」

 

 

 

普段自分から戦おうとしないキャロまで……。

一体どうなってるの!?

 

 

 

「やるぞ!!」

 

「はい!!」

 

「もう、こうなったら、やぶれかぶれだよ!!」

 

 

 

あたし達は、水竜にそれぞれ攻撃を仕掛けた。

 

 

 

*    *    *

 

 

 

「はぁ……はぁ……全く効かないね」

 

「さすがに竜族だけはあるな。攻撃は効いているはずだけど、それをこらえてタイムラグ無しで攻撃してきやがる」

 

「フリードのブラストレイも、ある程度は効いてるんですけど……」

 

 

 

実際、スバルのリボルバーナックルも、俺のフレア・ストライクも、フリードのブラストレイも効果はあるのだが、その痛みをこらえて、タイムラグ無しで攻撃してくるから、こちらが追撃をするのは難しい状態なのだ。

 

しかも、水竜の攻撃は水系魔法の広範囲型だから、この湖では強力な威力を誇る。

このままでは全滅は時間の問題だ。

 

 

 

「こうなったら、全力のフレアストライクで!!」

 

 

 

俺が再び、フレアストライクで斬りつけようとしたその時……。

 

 

 

《待ってください!!》

 

 

 

俺が持っていたフェイトのデバイス、バルディッシュが制止をかけた。

 

 

 

《このまま戦っても、勝つ確立は5%もないです》

 

「例え5%以下だとしても、やるしかないんだ!! フェイトのためにもな」

 

《頭を冷やしてください。このまま戦ったらと言ったのです》

 

「どういうことだ?」

 

《はぁ……あなたたちはそろいもそろって、突撃思考なんですね。闇雲に突っ込んでも、あの鱗には傷は付けられません》

 

 

 

見てみると、確かに傷があるのは鱗がないところや、鱗の継ぎ目の所だ。

 

 

 

「そっか、あたし達がこのままバラバラに攻撃していても、大したダメージは与えられないって事だね」

 

《あの竜に勝つには、ある一点に攻撃するしかありません》

 

「ある一点って?」

 

《先ほど、フレアストライクが首筋を切りつけましたよね。そこを見てください》

 

 

バルディッシュに言われ、首筋を見ると……。

 

 

「!! あれは」

 

「首筋の傷だけ……再生が遅い!?」

 

《そうです。他の部分は再生されてますが、あの部分だけは、再生が遅く、未だに傷口が残っています》

 

「そこを重点的に叩くって事か」

 

《そう言うことです。3人の攻撃を一点に集中すれば十分可能です》

 

「……すまねえ。本当は俺がやらなきゃいけないことなのにな」

 

 

現状でこのパーティのリーダーは俺だ。

リーダーがしっかりしないといけないのに……。

 

 

 

《いいえ、サー達のために怒ってくれたのだから……むしろ礼を言わせてもらいます》

 

「あたりめえだろ。俺たちの世界のために、あんなに一生懸命してくれるのに、それを貶されて黙っていられるほど冷静沈着じゃないんでな」

 

「ケイン……」

 

「スバル、キャロ、あの竜を倒すには、並半端な攻撃じゃ駄目だ。俺とキャロ、そしてお前の全力の一撃をこの一発にかけるぞ!!」

 

 

 

もう、スバルも、キャロも残り魔力が少ない。

この一発に全てをかけるしかない。

 

 

 

「うん!!」

 

「はい!!」

 

「キャロ、俺の合図で、フリードにブラストレイを俺に向かって放て!!」

 

「アンデッドバタフライを倒したときの奴ですね!?」

 

「ああ、超高熱のフレア・ストライクの一撃で仕留めてみせる!! そしてスバル。俺が剣を振り下ろしたら間髪入れず、全力の攻撃を放ってくれ!!」

 

「任せておいて!!」

 

「いくぞ!!」

 

 

 

俺は地面に黒銀の魔法陣を展開し、剣に炎を纏わせ、斬りつけるタイミングを狙っていた。

スバルも、ベルカ式の青い魔法陣を展開し、右腕に魔力をため込み、同じくタイミングを計っていた。

 

 

 

『人間風情が、良くここまで戦った。その事に敬意を払い、我の最大の一撃で葬り去ってやる!!』

 

 

 

水竜は口を開き、口元に魔力を集中し、今までよりも巨大な魔力を感じた。

この一撃で俺たちを消し去る気だ。

 

だけど……。

 

 

 

「待っていたぜ、この時を!!」

 

『何!?』

 

 

俺は上空高く飛び上がり、剣を上段に構え……。

 

 

「キャロ、今だ!! ブラストレイを撃て!!」

 

「はい!! フリード!!」

 

 

キャロの命令で、フリードは俺に向かって最大火力のブラストレイを放った。

それを俺は剣に絡め、炎を一つにし、より高温の魔力剣を作り出した。

 

 

 

『ま、まさか。きさま、我が魔力を溜めるこの時を待っていたというのか!?』

 

「てめえがタイムラグ無しで攻撃する以上、反撃のタイミングを掴むことが出来なかった。だけど、最大魔力を使うときなら、多少のタイムラグが発生すると思ったんだよ!!」

 

『くっ……』

 

「くらえ、フレア・ストライク!!」

 

 

ザシュッッ

 

 

『ぐおおおおお……だが、このていどでは……』

 

 

 

フレアストライクの一撃は、首の切り傷に正確に斬りつけたが、それでも倒れない。

だが……。

 

 

 

「スバル、いまだ!!」

 

「一撃必倒……」

 

 

 

スバルの右腕には、すでに、魔力の塊が作り出されていて、後はそれを放たれるのを待つだけだった。

 

 

 

「ディバイン……バスタァァァァーーー!!」

 

 

 

スバルから放たれた青の魔力球は、先ほどの切り傷に命中し……。

 

 

 

『ぐああああああああ』

 

 

 

水竜の巨体は、湖の岸辺に、ドスンと倒れ、もう戦闘は行えない状態になった。

 

 

 

それはこの戦闘の終わりを告げていた……。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。